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Trademark Appeal Case

不使用取消の正当理由と使用の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30519号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2551971号商標(以下「本件商標」という。)は、平成3年3月28日に登録出願され、「ストラティジー」の文字と「STRATEGY」の文字とを二段に横書きしてなり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同5年6月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べている。

請求人の調査によると、本件商標は商標権者である株式会社コーセーによっていずれの指定商品についても日本国内において継続して三年以上使用されていない。

また、本件商標の商標権に専用使用権は設定されていない。加えて、通常使用権も登録されていないことから、本件商標権には通常使用権者も存在しないことが推認し得る。

したがって、本件商標の登録は商標法第50条の規定により取消を免れない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、本件商標に係る通常使用権許諾契約書(乙第5号証)において、その使用が認められている株式会社アクスによって、平成11年8月25日に使用されているものである(乙第8号証及び乙第9号証)。この使用は、本件審判の請求の登録前3年以内のものではないが、本件商標が上記の期間内に使用されなかったことについては、正当な理由があるものである。

本件商標の使用に至る経緯についてみると、本件審判の請求の登録(平成11年5月26日)の日から遡ること10月も前に、本件商標の使用許諾の要請があり(乙第2号証)、平成11年1月18日には通常使用権許諾の契約が締結され、同2月1日には対価の請求がなされ、同3月26日にはリーフレットの制作発注がなされており、以後商品の発売に向けて着々と準備が進められている。

もっとも、リーフレットの発注から納品(平成11年8月24日)までには5ケ月を要してはいるが、これは本件商標の使用商品が1998年5月にニューヨークで販売を開始し、好評を得ていた化粧品の日本での展開を図るものであったところから(乙第9号証の1)、これの広告宣伝用のり一フレットも海外におけるそれを日本語版にするために要したものである(乙第10号証)。

しかして、この期間は、その発注から納品に至るまでの経緯に不自然なところはなく、準備期間として社会通念上相当といえるものである。

したがって、以上の事情は、「登録商標の不使用についての正当な理由」の一つに該当するものとみるのが相当である。

(2)使用商標について

使用商標は、乙第8号証(リ一フレット)に表示されている「skincare strategy」及び「the 5s skincare strategy」である。これらの化粧品は、いずれも肌の手入れ(skincare)に用いられる化粧品である。

しかして、「skincare」の文字は、使用商品の用途、品質をいうものであり、「the」は英語の定冠詞であるに止まり、特段の特異性のあるものではなく、また、「5s」は商品の記号あるいは符号の一類型を出るものではないから、自他商品の識別標識として機能するのは「strategy」の文字といえるところ、この文字は、本件商標中の「STRATEGY」とその綴り、称呼及び観念を同じくするものであるから、社会通念上、本件商標と同一といえるものである。

(3)本件商標の使用者について

本件商標の使用者は、株式会社アクスであるところ、同社は通常使用権許諾契約書(乙第5号証)第4条でいう乙(株式会社資生堂)の子会社であるから(乙第12号証)、同社は実質的には本件商標の通常使用権者である。

(4)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内にその指定商品について使用されてはいないが、不使用であることについて正当な理由があるので、その登録は取り消されるべきものではない。

4 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、被請求人は、同条第2項に規定されているとおり、その取消請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明しない限り、その指定商品に係る商標登録の取消を免れない。ただし、その指定商品についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りではないと規定されている。

そして、登録商標の使用をしていないことについての正当な理由としては、例えば、その商標の使用をする予定の商品の生産の準備中に天災地変等によって、工場等が損壊した結果、その使用ができなかったような場合、時限立法によって一定期間(3年以上)その商標の使用が禁止されたような場合ばかりでなく、当該商標を商品に付する契約を第三者と締結しているような場合、当該商標を付した商品の広告を作成していたり、その作成を第三者に依頼していたような場合等、当該登録商標について具体的な使用計画や準備をしていた場合もこれに該当するものと解されている。

そこで、被請求人が提出した乙各号証をみるに、乙第8号証(リーフレット)には、「5S(5とSの文字を一部接触させるように縦書きにし、該接触部分の表示を消去した構成からなっている)」の文字を大きく表した商標とともに、「5Sスキンケア」と「skincare strategy」の文字とを二段に表した商標、あるいは「the 5S skincare strategy」の文字を一連に表した商標が「スキンケア化粧品」に使用されていることを認めることができる。しかして、「skincare(スキンケア)」、「the」及び横書きされている「5S」の各文字は、それ自体、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいえないから、自他商品の識別標識としての機能を果たすのは「strategy」の文字部分にあるものといえるところ、この文字は、本件商標中の「STRATEGY」の欧文字と大文字、小文字の差異のみであり、その称呼、観念を同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一のものとみることができる。

そして、平成11年8月23日発行の「週刊粧業」(乙第9号証の1)及び平成11年8月25日発行の「日本経済新聞」(同第9号証の2)には、資生堂グループのアクスは、平成11年8月25日に、ニューヨーク発のブランド「5S(ファイブエス)」を国内で発売開始する旨の記事が掲載されていることを認めることができる。

してみれば、被請求人の通常使用権者である株式会社資生堂の子会社と認められる株式会社アクスは、平成11年8月25日に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を「スキンケア化粧品」に使用していたものということができる。もっとも、上記した商標の使用は、本件審判の請求の登録前3年以内における使用とは認められない。

しかしながら、上記商標の使用に至る経緯についてみるに、乙第2号証(使用許諾要請書)によれば、本件審判の請求の予告登録日から遡ること10ケ月前の平成10年7月30日に、株式会社資生堂から本商標権者へ本件商標の使用許諾の要請があり、乙第5号証(契約書)によれば、平成11年1月18日に、本商標権者と株式会社資生堂との間において、本商標権について通常使用権許諾の契約が締結され、乙第6号証(請求書)によれば、同年2月1日に対価の請求がなされ、乙第7号証(リーフレット制作の進行予定表)によれば、同年3月26日にリーフレットの制作発注がなされ、同年8月24日にはリーフレットが納品されていたことを認めることができる。

そして、上記した本件商標についての使用許諾要請から上記した商標の使用に至るまでの経緯に不自然なところはなく、商標使用の準備期間としては、社会通念上相当の範囲内のものといえるから、上記した事情は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されなかったことについての正当な理由に該当するものというべきである。

なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。

してみれば、被請求人は、本件審判請求に係る商品について、その予告登録前3年以内に本件商標を使用しなかったことについて正当な理由があることを明らかにしているものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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