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Trademark Appeal Case

糸の指定商品類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30855(T2002−30855/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第886506号商標の指定商品中「ポリエステル糸」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第886506号商標(以下「本件商標」という。)は、「ROSEL」及び「ローゼル」の文字を二段に横書きしてなり、昭和44年1月6日に登録出願、第15類「糸」を指定商品として同46年1月20日に設定登録、その後、同56年6月30日、平成3年6月26日及び同12年12月26日の3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同13年1月17日に指定商品を第23類「糸(脱脂屑糸を除く),脱脂屑糸」とする書換登録がされているものである。

2.請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。

(1)本件商標は、その指定商品中「ポリエステル糸」について継続して3年以上日本全国において使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)商標法第50条第2項は、「前項の審判の請求があった場合においては、その審判の請求の登録前三年以内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者はその取消を免れない。」と規定するところ、被請求人は、本件審判の請求に係る商品「ポリエステル糸」についての登録商標の使用をしていることの証明をしていない。

(3)「アセテート糸」は、本件審判請求に係る「ポリエステル糸」とは全く異なる商品である。以下にその理由を述べる。

(ア)製法・性質の差異

ポリエステル糸は、化学繊維のうち、石油・天然ガスなどを原料にした合成繊維を使用した糸であり、PETボトルに使用される素材と同様の素材によりできたものである。 一方、アセテート糸は、植物繊維であるパルプを原料とし、これに酢酸を化学的に結合させた酢酸セルロースを繊維とした半合成繊維を素材とした糸である。

これら製法の差異から、ポリエステル糸は、引っ張りの力強い、ほとんど水を吸わず、濡れても早く乾く等の性質を有する。一方、アセテート糸は、引っ張り力に弱く、吸湿性を有し、絹に似た光沢や手触り等の性質を有する。

このように、ポリエステル糸と、アセテート糸とは、材料、製法、性質のいずれも異なるものである。そして、ポリエステル糸は、ナイロンやアクリル、ポリウレタン等と共に合成繊維を使用した糸に分類されるが、アセテート糸は、合成繊維とは種類の異なる半合成繊維の糸として分類される。

甲第1号証(被請求人が答弁書に乙第1号証として添付したリーフレット「Natural Feeling Acetate」)には、アセテート繊維が、ポリエステルとは異なる半合成繊維であること、吸湿性や防汚性についてもポリエステルとは異なることが図やグラフ等により示されており、半合成繊維であるアセテートが他の繊維と異なる点が説明されている。

(イ)用途の差異

このように、ポリエステル繊維を使用した糸とアセテート素材の糸は同じ「糸」であっても、異なる種類の商品として分類されており、両者は用途も全く異なるものである。

すなわち、アセテート素材の糸は、レインコート、プリーツスカート、ズボン等に用いられ、この一方、ポリエステル繊維を使用した糸はブラウス、ふろしき、スカーフ、子供服等に用いられるものである。

(ウ)商品の主たる需要者の観点

ポリエステル糸とアセテート糸は、両商品共に、被服等の材料となる布地をつくるための素材であるから、主な需要者は布地製造業者である。

そして、布地製造業者が糸を購入する場合において、ポリエステル糸とアセテート糸とでは、取引の際に全く異なる別種の商品として判断がされる。すなわち、需要者(布地製造業者)がポリエステル糸を購入しようとする場合には、アセテート糸は、商品の用途が異なることから、需要者(布地製造業者)においては購入対象外となっている。また、この逆に需要者がアセテート糸を購入しようとする場合にも同様のことがいえる。

このように、「糸」の主たる需要者である布地製造業者にとっては、ポリエステル糸とアセテート糸とは単に性能の程度が異なるというものではなく、別異の商品であるということになる。

3.被請求人の答弁の要点

被請求人は、「請求人の申立ては成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第12号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)本件商標は、指定商品「糸」に属する商品に関し、長年自社アセテート素材商標として現在に至るまで継続して使用され、取消しの対象となるものではないので、以下その理由を述べる。

(2)まず、被請求人のアセテート素材に関するリーフレット「NaturaI Feeling Acetate」(乙第1号証)及び「自然からのプレゼントアセテート・ファブリックス」(乙第2号証)を提出する。

リーフレット「Natural Feeling Acetate」において、アセテート原糸として顕微鏡写真と共に本件商標が掲載されている。リーフレット「自然からのプレゼント アセテート・ファブリックス」においても原糸として本件商標が掲載されている。

「Natural Feeling Acetate」のリーフレットは現在使用中のものであり、リーフレットの作成年月日の表示はないが、裏面の大阪の電話番号が4桁となっていることから、NTTの番号改正時1999年1月以降に対応したものであることは明らかである。

(3)被請求人が本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に継続的に使用していたことを示すものとして被請求人の会社案内「Quality of Life l999」(乙第3号証)及び「Quality of Life 2000」(乙第4号証)を提出する。

「Quality of Life l999」の17頁及び「Quality of Life 2000」の13頁にアセテート長繊維としての「ローゼル」が掲載されている。

これらより本件商標が過去3年以内に継続的にアセテート糸の商標として使用されていたことは明らかである。

(3)更に、アセテート糸「ローゼル」の取引きを証明する資料としてアセテート糸の取引書類のごく一部を提出する。実際に素材製品が依頼によって契約出荷され入金される一連の取引きの書類である。

まず、出荷依頼書(乙第5号証−1及び2)を受け、その契約を受けた事を確認する糸綿契約明細書(乙第6号証−1及び2)、売約伝票(乙第7号証−1及び2)、実際に出荷についての連絡である出荷案内書(乙第8号証−1及び2)、その取引きにおける支払通知書(乙第9号証−1ないし4)となっている。それぞれは契約No.046295と契約No.047350がすべての書類の通し番号になっている。

そこで、アセテート糸月度出荷依頼において「ローゼル」、及び支払通知書においても「アセテート ローゼル イト」と記載されており、本件商標が糸において使用されていることを示すものである。

(4)乙第10号証の下げ札の表中央に「Rosel ローゼル」と表示があり、裏面には「ローゼルは...アセテート繊維です」との表示がある。

乙第11号証は、その下げ札の制作・管理をしている(株)テイビの管理リストであり、1999年2月26日に制作及び残数28000枚から始まり1999年3月には5万枚が作成されている。それらの下げ札は、糸の出荷に伴って取引先に配布されるものであり、(株)テイビにおいて発注という形として管理リストでは発注No.となっている。その出荷を証明するものの一部として出荷案内書及びラベル支給依頼書兼確約書(乙第12号証−1ないし5)を提出する。上記発注No.と出荷案内書及びラベル支給依頼書兼確約書中の指図番号とが対を成している。

(5)以上のとおり、本件商標は指定商品「糸」に属する商品について本件審判請求登録前3年以前より現在に至るまで継続して使用されていることは明白であるから、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

4.当審の判断

被請求人は、本件商標を指定商品「糸」の範疇に属する商品について使用しているとして証拠を提出しているので、被請求人の提出に係る各乙号証について検討する。

確かに、各乙号証には本件商標と社会通念上同一といい得る商標が表示されていることが認められる。しかしながら、本件取消請求に係る商品は「ポリエステル糸」であるところ、各乙号証において商標が使用されているとして掲げられた商品は、いずれも「ポリエステル糸」ではなく、「アセテート糸」である。

しかして、「ポリエステル糸」と「アセテート糸」とは、材料、製法、性質等を異にする別異の商品と認められる。このことは、被請求人の提出に係る乙第1及び第2号証のリーフレットにおいて繊維断面写真を掲げて「アセテート」と「ポリエステル」「絹」「羊毛」「綿」とを比較していることや、乙第3及び第4号証の会社案内において「アセテート長繊維」と「ポリエステル繊維」とを別項に掲げていることからも首肯し得るものである。

そうすると、被請求人の提出に係る各乙号証によっては、本件商標が「ポリエステル糸」について使用されているということはできない。

その他、本件商標が「ポリエステル糸」について使用されていることを認めるに足る証拠はない。

したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、本件審判請求に係る商品である「ポリエステル糸」について使用されていなかったものというべきであり、また、被請求人は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないから、 本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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