結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第30687号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2641655号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成3年7月19日登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同6年3月31日に登録されたものである。
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、登録第2641655号、第4類『せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)』の商標の登録を取り消す」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標の商標権者は、株式会社東京放送である(甲第2号証)。
ところが、過去、継続して3年以上日本国内において、株式会社東京放送が本件商標を指定商品について使用したものと認められない。また、商標登録原簿上、使用権者が登録されていないから、使用権者が本件商標を指定商品について使用しているとも認められない。
以上の理由から、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について使用をしていないものと認められる。よって、商標法第50条第1項の規定により、指定商品についての本件商標の登録は、取り消されるべきものである。
(2)弁駁
乙第1号証は、1999年度版の株式会社東京放送の「会社案内」である。そこには、放送事業(営業)の概要や放送番組についての記載はあるが、本件商標の指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」についての使用の事実を示すものは全く存在しない。
また、乙第2号証は、株式会社東京放送の「定款」である。そこには、日用品雑貨などの商品販売に関する記載があるものの、本件商標の指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」についての使用の事実を示すものは存在しない。
なお、被請求人は、これらの乙第1号証及び乙第2号証を以て、株式会社東京放送の略称「TBS」が民間の放送局を表示するものとして著名であるなどと主張している。しかし、略称「TBS」が著名であるかないかは、本件の取消審判と関係のないことである。
乙第3号証は、1999年4月19日放送の放送番組のタイトル「買物大図鑑」の音声付のビデオテープである。そこには、副タイトルとして、「TBSの社員とスタッフが厳しい目で選んだ商品」あるいは「TBS TASTE」などが付され、販売商品の1つとして「TIGI」ブランドの「シャンプー及び頭髪用化粧品」が紹介されている。
しかし、それらの商品「シャンプー及び頭髪用化粧品」に関して本件商標の表示や、音声(ナレーション)は全く存在しない。
なお、記録画像中の「TBS TASTE」や「TBSショッピング」などの表示、及びその音声は、通信販売の事業主体あるいは放送事業者を表示するものとして消費者に認識され、通信販売の放送によって宣伝されている商品の商標を表すものとなっていない。商品「シャンプー及び頭髪用化粧品」のブランド(商標)は、画像中で、当該商品とともに表示される「TIGI」にほかならない。
したがって、この乙第3号証は、本件商標の指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」についての使用の事実を証明するものとならない。
乙第4号証ないし乙第6号証は、TBSテレビ放送連携の通販カタログ又はショッピングマガジンであるが、そこには、請求に係る指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」の掲載はなく、もちろん、それらに類似する商品について本件商標の使用の事実を示すものは存在しない。
乙第7号証は、報告書(報告者:株式会社東京放送の総務局法務部兼総務部部長竹内隆一)及びその添付資料「TIGIヘアケアセット」の顧客受注照会画面の写しである。
まず報告書は、本件商標の指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」についての使用の事実を証明するものとなっていない。
次に、顧客受注照会画面の写しは、いずれもブランド(商標)「TIGI」を表示した上での商品「ヘアケアセット」の取引書類であり、当該商品について本件商標の使用の事実を立証していないから、本件商標の使用の事実を証明する資料となり得ない。
なお、報告書及び多くの取引書類の中で、商品「シャンプー及び頭髪用化粧品」のブランド(商標)は、当該商品とともに表示される「TIGI」にほかならない。
乙第8号証は、商品(「TIGI」ヘアケアセット)のパッケージの写真及びパッケージ内の当該商品の写真である。
写真のパッケージは、発送用の梱包箱であり、その商品(「TIGI」ヘアケアセット)についてのみ使用する包装又は容器でない。このことは、パッケージの側面に「食品、特注品、オーダーメード商品、一度ご使用になった商品(開封された映像ソフト、音源ソフト等を含む)、セット販売品の一部、・・・」などと記載されていることから明らかである。すなわち、写真のパッケージは、注文に基づいて注文主に、1又は2以上の商品をあわせて輸送する過程で、販売対象の全ての商品に用いられる汎用の梱包箱である。
したがって、このパッケージに「TBS」の表示があり、このパッケージの中に商品(「TIGI」ヘアケアセット)が収まっていたとしても、それらの写真は、請求に係る指定商品について本件商標の使用の事実を証明することにならない。
ちなみに、これらの写真に、撮影年月日、撮影者が明記されていない。これらの写真は、梱包態様の一例として、審判請求後に作成されたものであろう。
ところで、以上の乙第1号証ないし乙第8号証において、それらに表示されている「TBS」の文字は、明朝又は角ゴシックの印刷書体である。これに対して、本件商標は、高度に図案化され、それ自体で「TBS」と判読できない程度のローマ文字(字形)である。本件商標の最後の文字は、「S」でなく、むしろ「g」と読むべきローマ文字である。
このように、本件商標と「TBS」とは、著しく表示態様を異にしており、社会通念上も、同一と認められる範囲を大きく逸脱している。この理由から、明朝又は角ゴシックの「TBS」の使用は、本件商標の使用を立証するものとならない。
被請求人は、参考資料1及び参考資料2を提出して、放送事業についての登録商標「TBS」の著名性や、本件商標について「・・・取り消されても・・・」と仮定して、その時の審判請求の利益について言及しているが、それらの事柄は、商標登録の取消審判の成立と無関係である。
以上の理由から、被請求人は、継続して3年以上日本国内において、請求に係る指定商品についての本件商標の使用の事実を証明していない。また、本件の商標権に関する使用権者が本件商標を請求に係る指定商品について使用しているとも認められない。
このように、被請求人が請求に係る指定商品についての登録商標の使用を証明していないから、本件商標登録の取消しは免れない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び再答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証並びに参考資料1及び参考資料2を提出した。
(1)答弁の理由
被請求人は、1951年(昭和26年)5月17日に設立されて以来、「TOKYO BROADCASTING SYSTEM(東京放送)」の略称「TBS」として国内外で広く親しまれ、今日では国内最強の民放ネットワークと世界17都市に網羅された海外支局を誇る民間放送局の一つである。
また、メディア放送以外にも映画・音楽・イベントの企画・運営及びショップ・通信販売によるマーチャンダイジング等の様々な活動を幅広く行っている。そのため、本件商標「TBS」が被請求人の略称であることは著名である(乙第1号証 被請求人会社案内、乙第2号証 被請求人会社定款写し)。
被請求人は、1997年(平成9年)11月よりマーチャンダイジングの一貫として、略称「TBS」の知名度から、「TBSの社員とスタッフが厳しい目で選んだ商品」を「TBS TASTE」と名付けて放送番組やショッピングマガジンによって様々な商品を紹介・販売している。その放送番組の一つであり不定期に放送されている「買物大図鑑」では、「TBS TASTE/買物大図鑑」と番組中に表示するとともに(乙第3号証 1999年4月19日放送「買物大図鑑」ビデオテープ)、「TBSの社員とスタッフが厳しい目で選んだ商品」として「TIGI」ブランドのシャンプー及び頭髪用化粧品を紹介している。そして、被請求人は、乙第6号証として添付した商品パッケージ及び見本写真からも明らかなように、注文する需要者に本件商標の表示されたパッケージを使用して送付することで当該商品を販売している(乙第4号証「TBS TASTE」vol.1写し、乙第5号証「TBS TASTE」vol.2写し、乙第6号証「TBS TASTE」vol.3、乙第7号証 報告書「TIGIヘアケアセット顧客受注照会」について、乙第8号証 商品パッケージ及び見本写真)。
したがって、被請求人が本件商標を指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」について使用していることは明らかである。
被請求人は、商標「TBS」を付し、主たる業務である「放送業」だけでなく、多岐にわたる商品・サービスを全国的に提供するため、積極的に宣伝・広告活動を行ってきており、そのように認識されている(乙第1号証ないし乙第8号証)。その結果、被請求人の登録商標「TBS」は著名になっている。
したがって、被請求人の放送業に係る登録商標「TBS」(商標登録第3004212号)は著名商標であることから、仮に本件商標の指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」について取り消されても、請求人が同商標を出願した場合には、商標法第4条1項15号及び同第19号に該当し、請求人の出願商標は拒絶査定とされることは明らかであり、審判請求の利益がない(参考資料1 商標登録第3004212号原簿、参考資料2 商公平5−119987公報)。
(2)再答弁
乙第9号証は、本件審判が請求された平成11年6月3日以前に、被請求人が「TIGIヘアケアセット」を含めた「TBS」ショッピングの商品を発送する際に使用した包装資材に関する納品書(写し)である。
「TBS」ショッピング商品の発送に係る委託関係については、各証拠には記載されていないが、被請求人が被請求人関連会社である「東京都港区赤坂五丁目3番6号 赤坂メディアビル」所在の「TBSテレビショッピング株式会社グランマルシェ」に物流業務を委託し、株式会社グランマルシェは「東京都中央区銀座二丁目16番10号」所在の「ヤマト運輸株式会社(新東京ロジスティック営業所)」に商品配送業務を委託している。ヤマト運輸株式会社(新東京ロジスティック営業所)では「TBS」ショッピングの梱包資材を「東京都江東区海辺8番4号」所在の「千代田梱包工業株式会社」に発注している。
なお、当該納品書中の品名欄「TBSショッピング 8」及び「TBSショッピング 12」の数字部分は梱包資材のサイズを示しており、本件に係る「TIGIヘアケアセット」については「TBSショッピング 8」により発送されている(乙第11号証 報告書「TIGIヘアケアセット」パッケージの件)。
乙第10号証は、本件審判が請求された平成11年6月3日以前に本件に係る商品「TIGIヘアケアセット」を当該パッケージにより発送したことを示す宅配便/売上票(写し)である。
よって、本件審判請求以前に「TBSショッピング」のパッケージにより「TIGIヘアケアセット」が販売され、当該パッケージの使用は本件商標を使用する事実を示すことは明らかである。
(1)審判請求の利益の主張について
商標法第50条の規定に基づく商標登録の取消しの審判は、何人も請求できることが、その条文上明らかであるから、請求人は、本件審判を請求することができるものであり、請求人には本件審判を請求する利益がない旨の被請求人の主張は失当であって採用できない。
(2)被請求人による商標の使用事実について
被請求人提出の乙号各証並びに答弁の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
ア) 被請求人は、1951年(昭和26年)5月17日に設立の民間放送会社であって、「TOKYO BROADCASTING SYSTEM(東京放送)」の略称「TBS」で広く親しまれ、本来の放送事業以外の事業も行っており、テレビ放送などで商品を紹介し販売する事業もその一つであること。
イ) 被請求人は、「TIGIヘアケアセット」という商品名のトリートメント、シャンプー及びスタイリング剤をセットにした商品(以下「本件使用商品」という。)をテレビ番組中において紹介し、本件使用商品について平成11年4月3日から同年7月13日にかけて少なくとも100件を越える注文があり(複数セットを注文しているものもある。)、その配送をヤマト運輸株式会社に指示したこと。
ウ) ヤマト運輸株式会社は、平成11年4月13日に、被請求人から少なくとも39件の本件使用商品の配送を依頼されたこと。また、その配送売上票(乙第10号証)の「発送元」の欄には、「TBSショッピング配送センター」の文字の記載、商品名の欄には「TIGIヘアケアセット」の文字の記載があり、左下にはやや大きい文字で「TBSショッピング」と横書きされていること。
エ) ヤマト運輸株式会社は、被請求人から依頼された本件使用商品の配送をする際に、少なくとも平成11年4月前後の時期は、乙第8号証の写真に写っている段ボール箱に包装して配送していたこと。また、前記段ボール箱の上面には「TBS」と「ショッピング」の文字が上下二段に横書き表示されていること。
そして以上の事実によれば、乙第10号証の配送売上票の左下に横書きされている「TBSショッピング」の文字は、需要者に被請求人の使用する販売標として認識されるものと認められるから、被請求人は、本件使用商品に関する取引書類にこの販売標を商標として付して頒布したものということができる。また、前記配送売上票を頒布した時期は、ヤマト運輸株式会社が被請求人から少なくとも39件の本件使用商品の配送を依頼され注文主である需要者に配送した時と解されるから、被請求人から配送を依頼された平成11年4月13日から間もない時期と推認できる。
同様に、乙第8号証の写真に写っている段ボール箱の上面に表示されている上下二段の「TBS」と「ショッピング」の文字も、需要者に被請求人が使用の販売標として認識され、また、この段ボール箱に包装されている本件使用商品は被請求人の販売に係る商品であるから、被請求人は、本件使用商品の包装に前記上下二段の「TBS」と「ショッピング」の文字からなる販売標を商標として付して使用したものということができる。
ところで、請求人は、乙第8号証の写真に写っている段ボール箱は、本件使用商品についてのみ用いられているものでなく、注文主に、1又は2以上の商品をあわせて輸送するときに用いられる汎用の梱包箱であるから、そこに「TBS」の表示があり、本件使用商品が収まっていたとしても請求に係る指定商品について本件商標の使用の事実を証明することにならない旨主張する。
しかし、本件の場合、前記段ボール箱が汎用の梱包箱であるかないかによって、前記段ボール箱の上面に表示されている上下二段の「TBS」と「ショッピング」の文字が需要者に被請求人の販売標として認識されたり、されなかったりするということはないものであり、また、前記段ボール箱に包装されている本件使用商品も被請求人の販売に係る商品であるから、前記認定のとおり、被請求人は前記上下二段の「TBS」と「ショッピング」の文字からなる販売標を本件使用商品の包装に商標として付して使用したものということができる。
(3)被請求人の使用商標と本件商標の同一性について
前記配送売上票の左下に横書きされている「TBSショッピング」の文字からなる商標(以下「使用商標A」という。)は、別掲(2)に示すとおりであり、また、前記段ボール箱の上面に表示されている上下二段の「TBS」と「ショッピング」の文字からなる商標(以下「使用商標B」という。)は、別掲(3)に示すとおりである。
また、使用商標A及び使用商標Bの構成中の「ショッピング」の文字は「買い物」を意味する語であって、自他商品の識別機能がないことから、需要者は、使用商標A及び使用商標Bの構成中の「TBS」の文字部分によって被請求人の販売する商品であると認識して商品を購入するものであり、この文字部分(以下「使用TBS」という。)が商標としての識別機能を果たすものといえる。
そして、本件商標と「使用TBS」を比較すると、その外観において違いはあるが、本件商標は、「TBS」の略称で知られている被請求人が自己のマークとして一時期使用していたこともあり、かつ、いまだに欧文字の「TBS」をデザインしたものであろうとみられる外観を呈しているうえ、これより生ずると認められる「ティービーエス」の称呼及び被請求人を示すマークとして認識されると認められるその観念において「使用TBS」のそれと共通することは明らかである。
そうすると、使用商標A及び使用商標Bは、本件商標と社会通念上同一の商標と認めるのが相当である。
(4)本件使用商品について
本件使用商品は、前記認定のとおり、トリートメント、シャンプー及びスタイリング剤をセットにした商品であって、シャンプーは、本件商標の指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」に属する商品であり、トリートメント及びスタイリング剤は、本件商標の指定商品中の「化粧品(薬剤に属するものを除く)」に属する商品と認めることができる。
(5)以上によれば、本件審判の請求の予告登録(平成11年6月23日)前3年以内に日本国内において、商標権者(被請求人)が本件請求に係る指定商品「せつけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)」に含まれている商品について、本件商標を使用したものであるから、本件商標登録は、本件請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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