Trademark Appeal Case
立体商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−869(T2001−869/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」を指定商品として、平成10年10月23日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係から、例えばその指定商品中『身飾品』の形状の一形態を認識させる立体的形状よりなるものであるから、これを前記商品について使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物のみならず、商品を構成する部品等商品の一部(以下「商品等」という。)の形状をも含むものといえるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は、当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」30頁においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は、登録対象としないことが適当と考えられる。・・・」としている。
また、立体的形状からなる商標であっても、商品又はその包装の形状をもって構成されるものについては、本来的又は直接的には他の知的財産制度で保護されるものであることなど、平面的な商標とは明らかに異なるものであるため、商標法においては、立体商標制度導入に当たって、商標法第4条第1項第18号等が設けられ、前掲工業所有権審議会答申でも、同31頁において、「・・・指定商品やその容器の形状そのものである場合には不登録とするとの運用を厳しくすること・・・」としている。
これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、ドクロと薔薇をデザインした形状の組合せからなるものと認められるものであるが、該形状は、美感を高めるためにデザインされた身飾品の形状の一形態を表したものとみるべきであり、これをその指定商品中「身飾品」等に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、本願商標は、高貴で華やかなイメージを有する薔薇と不良、アウトローのイメージを有するドクロの各モチーフを組み合わせた特異なものであり、これよりは「ドクロとバラ」の観念及び称呼が生じ、自他商品の識別標識としての機能を果たすものである旨主張する。
しかしながら、商品「身飾品」はいわゆるファッション関連商品といわれ、デザイン、外観の美しさなどが需要者の購買、選択意欲に重要な影響を与えるものであって、商品等の形状は、その時々の流行、需要者の趣味、嗜好にあわせて変化していくものであり、商品「身飾品」を取り扱う業界においては、薔薇やドクロなど様々なデザインからなる形状のものが取り扱われているばかりでなく、複数のデザインを組み合わせた商品も取り引きされている実情を考慮すると、たとえ、本願商標が特異なモチーフの組合せからなり、かつ、これより「ドクロとバラ」の観念、称呼を生ずるとしても、それは商品の美感をより発揮させるために施されたものであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきである。
また、請求人は、ネックレスやイヤリングなどの商品は非常に小さく、商品自体に平面商標を付すことができないため、立体商標を商品の一部に組み込ませる以外に方法がない旨主張するが、商品が小さく直接商標を付すことができない場合には、商品の包装、値札などに商標を付していることが顕著な事実であることから、請求人の主張はいずれも採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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