Trademark Appeal Case
権利能力なき社団の名称の著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成8年審判第17242号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標登録出願
本件商標登録出願は、商標(以下「本願商標」という。)の構成を別掲(1)に示すものとし、第26類「印刷物(文房具類に属するものを除く。)、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成3年10月18日に登録出願されたものである。
第2 原査定における引用商標
原査定において本願商標が商標法4条1項11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第2713135号商標(以下、「引用商標」という)は、昭和52年3月10日に登録出願、その構成を別掲(2)に示すものとし、第26類「書籍、雑誌、新聞」を指定商品として平成8年3月29日に設定登録されたものである。
第3 引用商標に対する登録無効審判事件及び同審決取消訴訟の経過
1 本件審判請求人が主宰する権利能力なき社団である「日本美容医学研究会」(以下「引用商標無効審判請求人」という。)は、引用商標に対して平成9年5月14日登録無効審判(以下「引用商標無効審判」という。)を請求した(平成9年審判第7916号)。審判合議体は、当該無効審判に対して、平成10年10月16日、「無効審判請求人は、法人格を有しないので、引用商標を無効にする利益を享受することができない。」旨の理由により「本件審判の請求は成り立たない」との審決(第一次審決)をした。
2 これに対して、引用商標無効審判請求人(原告)は、当該審決の取り消しを求めて、引用商標無効審判被請求人を被告として、東京高等裁判所に訴訟を提起した。東京高等裁判所は、これを平成10年(行ケ)第380号として審理し、平成11年9月30日に、「原告は、本件の無効審判の請求についてあたかも法人格を有するのと同じように扱われるべきである。」として第一次審決を取り消す判決をした。
3 第一次審決の取消しをうけて、当庁審判合議体は、平成12年8月2日、「引用商標は他人の名称と同一の文字を含むものというべきであるから商標法4条1項8号に該当する。」旨の理由により「引用商標の登録を無効とする」との審決(第二次審決)をした。
4 これに対して、引用商標無効審判の被請求人(原告)は、当該審決の取り消しを求めて、引用商標無効審判請求人を被告として、東京高等裁判所に訴訟を提起した。東京高等裁判所は、これを平成12年(行ケ)第345号として審理し、平成13年4月26日に、「権利能力なき社団の名称については、法人との均衡上、その名称は、商標法4条1項8号の略称に準ずるものとして,同条項に基づきその名称を含む商標の登録を阻止するためには,著名性を要するものと解すべきであり、審決には、被告の名称の著名性について、何ら審理、判断することなく、結論を導いた違法がある」旨認定・判断し、第二次審決を取り消す判決をした。
5 その後、当庁審判合議体は、「請求人の『日本美容医学研究会』なる名称は、引用商標の登録出願の時点において著名となっているとはいえない」として、平成14年3月27日に、「(引用商標の登録の無効を求める)本件審判の請求は成り立たない」との審決(第三次審決)をした。
6 これに対して、引用商標無効審判請求人(原告)は、第三次審決の取り消しを求めて、引用商標無効審判被請求人を被告として、東京高等裁判所に訴訟を提起した。東京高等裁判所は、これを平成14年(行ケ)第219号として審理し、平成14年10月24日、「原告の名称が引用商標出願の当時において著名となっていたことを認めるに足りる証拠はない。」旨認定・判断し、原告の請求を棄却する判決をした。
7 平成14年(行ケ)第219号判決は上訴されることなく確定したことにより、平成8年審判第17242号の第三次審決は、その審判請求は不成立として確定し、その審判の確定登録が平成14年12月4日に引用商標の登録原簿にされた。
8 したがって、引用商標の商標権は現在有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 本願商標の構成は、前記したとおり、「日本美容医学研究会」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「ニホンビヨウイガクケンキュウカイ」の称呼が生じるものである。
これに対して、引用商標は、前記したとおり、「財団」および「法人」の文字を二段に併記し、この右側に「日本美容医学研究会」の文字を横書きしてなるものである。
しかして、引用商標中の「財団」と「法人」の文字は、同じ大きさで上下にまとまりよく配されており、これらを結合した「財団法人」の語は、「民法上、慈善・学術・技芸その他の公益事業を目的とする財団で、主務官庁の許可を得て法人となったもの」(「広辞苑」参照)を意味する語として親しまれ知られている語である。そして、財団法人や株式会社などの団体名の表示については、法人の種類を表す部分が省略されて認識・把握され、呼称されたりすることは日常普通に行われているところである。
そうとすれば、引用商標からは、その構成全体から「ザイダンホウジンニホンビヨウイガクケンキュウカイ」の称呼が生ずるとともに、「財団法人」の部分が省略され、構成中の「日本美容医学研究会」の文字部分に相応して、単に「ニホンビヨウイガクケンキュウカイ」の称呼をも生じることもあるというべきである。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、その称呼において類似する商標というべきである。
2 引用商標は、上記したように「日本美容医学研究会」の文字を含むものであり、この文字は、本願商標と同一の文字構成であることから、本願商標と引用商標とは、外観においても共通する部分を有するものである。
また、本願商標からは、「日本における美容と医学を研究する団体」程の意味合いが把握され、引用商標からは、「日本における美容と医学を研究する財団法人」程の意味合いが看取されることから、、本願商標と引用商標とはその有する意味合いにおいて紛らわしく、観念において区別しうるものではない。
3 したがって、本願商標と引用商標とは、その称呼において類似し、外観・観念においても共通・近似する部分を有するものであり、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
4 そして、本願商標と引用商標とは、その指定商品において、同一又は類似するから、本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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