1 本件商標
本件登録第3355864号商標(以下「本件商標」という。)は、平成7年4月18日に登録出願され、「クエーサー」の片仮名文字と「QUACER」の欧文字を二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,つや出し剤」を指定商品として、平成9年10月31日に設定登録されたものである。
2 請求人の引用する商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3313218号商標(以下「引用商標」という。)は、平成6年9月27日に登録出願され、「QUASAR」の欧文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,歯磨き,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布」を指定商品として、平成9年5月23日に設定登録されたものである。
3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
本件商標は、証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条によって無効とされるべきである。
本件商標の片仮名文字「クエーサー」は、その構成上ローマ字「QUACER」の称呼を表示したものと認められるから、本件商標は「クエーサー」と称呼されるものと認められる。
一方、引用商標は、「準星」を意味する英語の既成語「QUASAR」からなるものである(甲第3号証)。取引の経験則上、既成語からなる商標は、その既成語の読みをもって称呼されるものである。英語の既成語「QUASAR」が「クエーサー」と読まれることからして、引用商標は、取引上「クエーサー」と称呼されるものと認められる。
仮に、「QUASAR」なる語を知らない需要者であっても、ローマ字からなる商標で日本語で読み下せない場合には、われわれ日本人が、最も慣れ親しんでいる外国語である英語読みで称呼するものである。しかるに、英語においては「earthquake(地震)」を「アースクエーク」、「Quaker(クエーカ一教徒)」を「クエーカー」と称呼する如く、「QUA」は「クエ」と発音されるものである。現に、本件商標の「QUACER」は造語と認められるが、「QUA」が英語読みで「クエ」と称呼されることに鑑みて、「クエ」とその称呼を表わす片仮名文字を付したと推測される。本件商標の「QUA」が「クエ」と称呼される以上、引用商標の「QU
A」が「クエ」と称呼されないとは決して主張し得ない。
また、語尾の「AR」は「jar(つぼ)」を「ジャー」、「collar(えリ)」を「カラー」、「solar(太陽の)」を「ソーラー」、「regular」を「レギュラー」、「popular」を「ポピュラー」と称呼する如く「アー」と発音されるものである。したがって、引用商標の「SAR」の部分は「サー」と称呼される。
以上述べたことから、仮に、「QUASAR」なる語を知らない場合であっても、引用商標が「クエーサー」と称呼されるものとなる。
以上の如く、引用商標は、取引上「クエーサー」と称呼されることは明らかである。特許庁が請求人の出願した商標「QUASAR」(商願2001−62504)に対して本件商標を引用した(甲第4号証)ことからして、特許庁も「QUASAR」が「クエーサー」と称呼されるものとの見解を採っていることが判る。
なお、請求人の出願した商標に本件商標が引用されたことからして、請求人は、本件審判請求について利害関係を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、共に「クエーサー」の称呼を共通にする類似の商標である。
よって、本件商標は、引用商標と類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、その登録は商標法第46条によって無効とされるべきである。
4 被請求人の答弁
被請求人は、何等答弁していない。
5 当審の判断
そこで、本件商標と引用商標との類否について判断するに、本件商標は、前記のとおりの構成よりなるから、その構成文字に相応して「クエーサー」の称呼を生ずる造語よりなるものと認められる。
これに対し、引用商標は、前記のとおり「QUASAR」の欧文字よりなるから、これより「準星」又は「恒星状天体」との意味合いを有し、「クエーサー」の称呼を生ずるものと認められる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「クエーサー」の称呼を同じくする、称呼において類似する商標といわなければならない。
また、指定商品は前記のとおりであって、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に含まれる同一又は類似の商品と認められるものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。