結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2002−30540(T2002−30540/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4269580号商標(以下「本件商標」という。)は、「養命」の漢字を横書きしてなり、平成8年7月16日に登録出願され、第29類「梅ぼし,梅ぼしの果肉,梅のジャム,梅エキスを加味した漬物その他の加工野菜及び加工果実,食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成11年4月30日に設定登録されたものであるが、その後、本件商標の商標権は、平成14年8月15日に商標権一部取消審判(2002年審判第30982号)が請求され、平成14年11月27日に指定商品中「梅ぼしの果肉,梅のジャム,梅エキスを加味した漬物その他の加工野菜及び加工果実,食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」については、その登録を取り消すとの審決がなされ、その審決は平成15年1月6日に確定し、その登録が平成15年2月5日にされているものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標は、その指定商品中「梅ぼし,梅ぼしの果肉,梅のジャム,梅エキスを加味した漬物その他の加工野菜及び加工果実,食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
請求人の調査したところによると、本件商標は、被請求人である商標権者もしくは使用権者によって、その指定商品中の上記の商品について、少なくとも過去3年以上継続して使用されている事実を発見できなかった。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項に該当し、その登録の取消しを免れることができないものである。
本件について被請求人より平成14年7月15日付で審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)が提出されたが、答弁書における被請求人の主張は到底認めることができないので、以下にその理由を述べる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証は「メイテツのお歳暮」なるカタログであり、乙第2号証は「シンギフのお歳暮」なるカタログである。これらは、カタログの主体が異なると思われるが、題号を除いた表紙デザイン、及び商品リストの写真のページの構成が両者ほぼ同じである。別の店舗のカタログがこのように似通っているということは通常考えられない。
よって、乙第1号証及び乙第2号証はその信憑性が疑われる。
また、乙第1号証及び乙第2号証は、カタログの表紙と中身の写真がそれぞれ別であり、「養命梅干し」の写真が載っている中身のページが、本当に「メイテツのお歳暮/2000年 冬のギフトカタログ」及び「シンギフのお歳暮/2000年 冬のギフトカタログ」にあるものかどうかわからない。
つまり、乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標が本件審判の予告登録前3年以内に使用されたものであることを示すに十分な資料であるとは認められない。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は被請求人も認めるとおり、本件審判の請求の登録より後に製造された商品の写真である。
被請求人は答弁書において「『梅干』の鮮度を重視し、在庫を残さない方針であるため、審判請求書の副本が送達された時点では、予告登録日以前に製造した商品は既に存在しなかった」と述べているが、乙第3号証の木箱の裏側の写真に表れた賞味期限の表示が製造日からほぼ4ヶ月後であることからもわかるように、梅干しはもともと漬け物であって保存食品であり、肉や魚のようにすぐに腐敗するものではない。
また、梅干しの製造方法として樽のようなものに大量に一度に漬け込むと思われるので、同時に製造される量がほんの少量ということはあり得ない。むしろ、ある程度まとまった量を同時に製造するのが普通である。
そうであれば、本件審判請求書が送達された平成14年6月19日の時点において、本件審判の予告登録がされた平成14年6月12日以前に製造された商品が全く残っていないはずはない。
そもそも、被請求人は自ら梅干しを製造しているわけではなく、奈良の有限会社王隠堂農園が製造した梅干しを販売しているにすぎない。奈良から被請求人の存する長野県伊那市まで梅干しを輸送するのにかかるコストを考えれば、少量ずつ仕入れるということはあり得ない。
つまり、被請求人が、実質的に本件商標を使用していたと認められるほど大々的に、継続して梅干しの販売を行っていたとは認められない。
(3)乙第4号証について
乙第4号証は、阪急食品工業株式会社の納品伝票写しである。
しかし、この伝票には「検収印」の欄に印鑑が押されていない。よって、この伝票に記載されている取引が、本当に被請求人と阪急食品工業株式会社との間であったのかどうかは疑わしい。
また、通常はこのような伝票の「品名」の欄には、商標は書かず、その商品の普通名称、本件では「梅干し」のみを書くと思われる。しかも、なぜ1日に1箱からせいぜい数箱といった少量ずつを、わざわざ送料を費やして納入しているのか理解できない。このような納入の仕方は、通常の百貨店の仕入れではあり得ないと思われる。
したがって、乙第4号証も、被請求人が本件商標を使用していたことを証明する資料としては不十分である。
(4)以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が本件審判の予告登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその指定商品「梅ぼし」に使用していたとは認められない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
(1)被請求人は、本件審判の予告登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその指定商品中「梅ぼし」について使用しているので、請求人の主張が成り立たないことは明らかである。
以下、本件商標の使用の事実について、乙第1号証ないし乙第15号証の証拠により立証する。
(2)被請求人は、奈良県吉野郡西吉野村湯塩所在の農業生産法人有限会社王隠堂農園によって生産された、吉野の梅を主原料とする商品「梅ぼし」を「養命梅干」及び「養命梅」のブランド名で販売している。
被請求人の販売に係る上記「養命梅干」「養命梅」は、百貨店を主たる納品先としており、特に名鉄百貨店及び新岐阜百貨店においては、お歳暮ギフト商品の一つにも選定されている。
被請求人は、上記の事実を立証するため、名鉄百貨店及び新岐阜百貨店の2000年(平成12年)お歳暮ギフトカタログの写真を乙第1号証及び乙第2号証として提出する。
乙第1号証は「メイテツのお歳暮 2000年冬のギフトカタログ」であり、その第14頁に、被請求人が販売する「養命梅干」が掲載されている。
乙第2号証は「シンギフのお歳暮 2000年冬のギフトカタログ」であり、その第13頁に、被請求人が販売する「養命梅干」が掲載されている。
次に、被請求人は、名鉄百貨店及び新岐阜百貨店に実際に納品している商品の写真を乙第3号証として提出する。
該商品は、内容量800gの梅干が木箱の中に納められており、さらに木箱は丈夫な厚紙の包装用箱に入れて販売されている。
厚紙の包装用箱の上蓋には縦長の「養命梅」のラベルが貼付されており、木箱の上蓋には正方形の大きな「養命梅」のラベルが貼付されている。
また、木箱の底板には、品名、原材料名、内容量、製造年月日、販売者等を記載した商品表示が貼付されている。
上記カタログ(乙第1号証及び乙第2号証)に掲載されている商品は、この商品と同一の商品である。
因みに、乙第3号証の商品の製造年月日は、2002年(平成14年)6月22日であって、本件審判の予告登録日の平成14年6月12日の後である。これは、被請求人が「梅干」の鮮度を重視し、在庫を残さない方針であるため、審判請求書の副本が送達された時点では、予告登録日以前に製造した商品は既に存在しなかったからであり、被請求人が上記商品(乙第3号証)を本件審判の予告登録日前から販売していたことはいうまでもない。
このように、被請求人は、本件商標をギフトカタログには「養命梅干」と表示し、商品自体には「養命梅」と表示し、本件商標を二つの態様で使用しているが、後述するように、何れの使用態様も本件商標の同一性の範囲内の使用であることは明らかである。
更に、被請求人は、本件商標の使用を重ねて立証するために、納品伝票の写しを乙第4号証として提出する。
被請求人は、名鉄百貨店及び新岐阜百貨店の関連会社である阪急食品工業株式会社を通じて、上記両百貨店に「養命梅」(乙第3号証)を納品しており、乙第4号証は、2001年(平成13年)2月3日から同年3月30日までの納品伝票(NO.11)の写しである。
該乙第4号証から明らかなように、被請求人は本件商標を付した商品「梅ぼし」を名鉄百貨店及び新岐阜百貨店にほぼ毎日少量ずつ納品しているが、これはいうまでもなく、少しでも鮮度の高い「梅ぼし」を需要者に提供せんとするためである。
しかして、上記乙第1号証ないし乙第4号証を総合的に勘案して判断すれば、被請求人が、本件審判の予告登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその指定商品中「梅ぼし」について使用していることは、疑う余地のないものである。
(3)以上、被請求人は、本件商標を指定商品「梅ぼし」について、「養命梅干」及び「養命梅」の表示で使用しているが、「養命梅干」及び「養命梅」の使用が本件商標の同一性の範囲内の使用であることは明らかである。
まず、「養命梅干」についていえば、その構成中「梅干」の部分は、本件商標の指定商品である「梅ぼし」の商品名(普通名称)そのものであるから、該部分が自他商品識別機能を有しないことは明白である。
このことは、「養老梅」についても同様である。
そうであれば、被請求人が使用している「養命梅」の構成中「梅」の部分は、単にその商品が「梅干」であることを表示するにすぎない部分であって、商標としての自他商品識別機能を有する要部が「養命」の部分にあることは明らかである。
したがって、「養命梅」の使用も本件商標の同一性の範囲内の使用であることは明白である。
(4)以上、立証したように、被請求人は、本件審判の予告登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその指定商品中「梅ぼし」について使用しているので、請求人の主張は成り立たない。
本件審判において、被請求人より提出された証拠のうち乙第1号証ないし乙第4号証についてみるに、乙第1号証は、「メイテツのお歳暮」と題する2000年 冬のギフトカタログの写真(写し)とその表紙を拡大した写真及びギフト商品が掲載されている内部該当頁とその商品を拡大した写真(合計4葉)と認められるものであり、それによれば、カタログの表紙及び裏表紙には、このカタログの発行者と認められる名鉄百貨店を表す「めいてつ」の文字が図形商標とともに表示されており、また、ギフト商品が掲載されている内部該当頁(14頁)の商品番号「3174」の欄に箱詰めされた梅干しの写真が掲載され、その下に「〈奈良〉吉野 養命梅干」と表示されており、さらに、その下に「(養命梅干800g〈塩分約17%〉)」と小さく表示されていることが認められる。
同じく、乙第2号証は、「シンギフのお歳暮」と題する2000年 冬のギフトカタログの写真(写し)とその表紙を拡大した写真及びギフト商品が掲載されている内部該当頁とその商品を拡大した写真(合計4葉)と認められるものであり、それによれば、カタログの表紙又は裏表紙には、このカタログの発行者と認められる新岐阜百貨店の文字が「SHINGIFU」の欧文字とともに表示されており、また、ギフト商品が掲載されている内部該当頁(13頁)の商品番号「13−30」の欄に箱詰めされた梅干しの写真が掲載され、その下に「〈奈良〉吉野 養命梅干」と表示され、さらに、その下に「養命梅干800g、塩分約17%」と小さく表示されているものである。
また、乙第3号証は、上記の乙第1号証及び乙第2号証のカタログ内部該当頁に箱詰めされた梅干しと同じ商品と認められる商品が包装用外箱に入った状態のもの、梅干しが木箱に詰められた状態のもの及び木箱から出された状態のもの、そして、木箱裏側に品名、内容量、販売者、製造者等を表示したラベルが貼付された状態のもの及びそのラベル部分を拡大した状態のもの等6葉の写真からなるものであるところ、包装用外箱、木箱及び該ラベルの品名欄に、本件商標を「梅干し」について使用していることを認めることができる「養老梅」の商標が貼付又は記載されているものである。かつ、該ラベルの販売者欄には、被請求人(商標権者)の名称、住所が記載され、内容量は「800g」と記載されていることが認められる。
さらに、乙第4号証は、被請求人の取引先と認められる阪急食品工業株式会社から、被請求人に発行された仕入伝票(納入者控)と認められるものであり、この仕入伝票は、日付から2001年2月3日から同年3月30日までの納品伝票の綴り(No.11)の写しと認められるものである。そして、この伝票綴りの取引先名には被請求人の商号及び取引コードが、また、品名欄には「養命梅800g木箱」と、それぞれ手書きで全て記入されており、その伝票の右上には通しの伝票No.が順次印字されていることが認められる。
しかして、これら乙第1号証ないし乙第4号証の証拠は、本件審判請求の登録(平成14年6月12日)前3年以内に商品「梅干し」について被請求人が実際に取引を行っていたことを証明するものと認め得るものである。
なお、請求人は弁駁書において、前記第2のとおり乙第3号証の当該ラベルの製造年月日が本件審判の予告登録日以前のものではない旨、また、乙第4号証の納品伝票写しの「検収印」の欄に印鑑が押されていない旨を種々述べ、被請求人が本件審判の予告登録前3年以内に、本件商標をその指定商品「梅ぼし」に使用していたとは認められないと主張している。
しかし、乙第3号証の製造年月日(2002.06.22)は、2000年の冬のギフトカタログ(乙第1号証、乙第2号証)及び2001年の仕入伝票綴り(乙第4号証)から判断すると、商品「梅干し」が、継続して製造されていたと推認できるものであり、また、乙第4号証の納品伝票写しの「検収印」の欄に印鑑が押されていない点も、実際の取引において控えの伝票にまで押印しないことはあり得ることと推認し得るものであって、本件審判の請求は、被請求人より提出された乙第1号証ないし乙第4号証によって、上記のとおり認定判断することが妥当と認められるものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「梅干し」について、使用されていたものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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