Trademark Appeal Case
地名と素材名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−18373(T2002−18373/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「加賀絹」の文字を標準文字で表してなり、第25類「和服」を指定商品として、平成13年10月12日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、普通に用いられる文字で『加賀絹』と書かれたものであるが、これをその指定商品である和服との関連においてみた場合、『加賀絹』は、石川県一帯の旧国名である加賀地方で、古くから産出する生絹を指し、その品質が良いことで知られていることから、このような文字からなる本願商標を、その指定商品中、例えば『じゅばん』等に使用する場合、これに接する需要者は、前記意味合いから、その商品が『加賀絹を用いた商品』であるという、その商品の品質(材質)あるいは生産地を表わしたものとして認識するにとどまり、自他商品を区別する標識としては認識し得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「加賀絹」の文字を横書きしてなるところ、該文字は、『広辞苑第五版』を徴すると、「加賀国に産する生絹。羽二重に似て、緯糸(よこいと)が太く、多くは染めて裏地に用いる。」と記載されており、また、『新・田中千代服飾事典』(同文書院 1993年4月18日発行)を徴すると、「石川県に産出する生絹をいう。裏地に多く用いられ、地あいが強く光沢があり、染の色もよく、裏地として最高のものといわれる。」と記載されている。
そうすると、「加賀絹」の文字は、石川県に産出する生絹を意味するものと容易に理解、認識させるとみるのが相当である。
このことは、例えば「加賀絹」について、株式会社ジー・サーチの提供に係る新聞記事情報データーベースをみると、以下のような記事が掲載されていることからも十分に裏付けられるところである。
(1)「加賀絹の発祥地とされる小松で、組合が発足してから百周年を迎えた。」(「北國新聞」2003.1.24朝刊)
(2)「加納實会頭や森喜朗前首相らが小松の特産品『加賀絹』の紋付き袴(はかま)姿で出席した。」(「北國新聞」2003.1.7朝刊)
(3)「会場の一角には江戸時代の小間物店を再現、小松特産の加賀絹、小松畳なども紹介している。」(「毎日新聞」2002.10.18地方版/石川24頁)」
(4)「小松商工会議所の新春懇談会=写真=は四日、小松市園町の同会議所で約百八十人が出席して開かれ、加納實会頭らが小松の特産品『加賀絹』の紋付き袴(はかま)姿で同会議所六十周年の幕開けを祝うとともに今年一年の飛躍を誓い合った。」(「北國新聞」2002.1.5朝刊)
(5)「小松織物工業協同組合は、加賀絹や表面に柄を織り込むジャガード織りなど全国を席巻した小松の織物技術を生かし、加賀絹浴用タオル『雪肌づくり』を開発した。」(「北國新聞」2001.10.23朝刊)
(6)「織物産地の小松市は、じゅばんの生地となるりんずを中心に、『加賀絹』の産地として知られる。」(「北國新聞」2001.4.19朝刊)
(7)「小松は加賀藩三代藩主、前田利常公の保護奨励で全国産地に発展した加賀絹の主産地。同組合では3年前から小松産地で製織した絹織物を使った新商品を開発するため新製品製作チームを作って企画、研究を進めてきた。」(「毎日新聞」1999.6.30地方版/福井)
(8)「日本の染織製品がパリのオートクチュールのショーで舞った。加賀絹の奉書(ほうしょ)紬に京都の絞り染めを施した帯がこのほど、パリのデザイナーのルコアネ・エマンのショーでショールとして披露されたもの。」(「繊研新聞」1999.2.8 4面)
(9)「小松市は古くから加賀絹の産地として知られているが、生活様式の変化で最近は着物離れが進んでいる。そこで、産地の活性化と着物のPRを兼ねて、同会議所が会員らに和服姿での参加を呼び掛けていた。」(「毎日新聞」1999.1.5地方版/石川)
(10)「古くは平清盛が衣服に使い、加賀藩三代藩主、前田利常の保護奨励で全国産地へと発展した加賀絹の主産地・小松が、産地の活性化をかけて始めた『ファッション・デザインコンテスト』が今年2回目を迎え、全国から516点と予想を大幅に上回る応募があった。」(「毎日新聞」1998.12.27地方版/石川)
(11)「古くから加賀絹の産地として知られる小松市は加賀藩の三代藩主・前田利常が全国に人を派遣して製織技術を導入するなど積極的な保護奨励策を取り、国内でも有数の絹織物産地に発展した。」(「毎日新聞」1998.12.18地方版/福井)
(12)「織物産地の小松市は、襦袢の生地となるりんずちりめんを中心に、『加賀絹』の産地として知られる。『加賀絹』は室町時代の文献に既にその名が記され、藩政時代の加賀藩三代藩主前田利常の殖産振興策により、全国に誇る絹産地となった。」(「北國新聞」1998.12.15朝刊20頁)
(13)「小松は平安時代から『加賀絹』『りんず』『ちりめん』などの産地として知られ、明治時代からは柄を布地に折り込んだ紋織物産地として発展した。」(「毎日新聞」1998.10.21地方版/福井)
(14)「金沢は江戸以来の加賀絹の伝統があり、多湿で糸が切れにくい気候から繊維工業が盛んだった。」(「共同通信」1995.1.9)
してみると、本願商標をその指定商品中「加賀絹を使用してなる和服」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が石川県に産出する生絹を用いたものであるという、商品の品質・原材料を表示したものと直ちに理解、認識するというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、また、「加賀絹以外の織物を使用してなる和服」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、種々の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨を主張しているが、これらの登録例は、いずれも本願とは事案を異にするものであるから、請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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