結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35368(T2002−35368/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4129112号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示したとおりの構成よりなり、平成8年9月25日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,ネクタイ,マフラー,ナイトキャップ,帽子,バンド,ベルト,靴類,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,乗馬靴」を指定商品として、平成10年3月27日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証(枝番を含む。)を提出している。
請求人は、「Langlitz Leathers」商標及び本件商標の図形部分と同一の図形商標(以下、該図形を「疾走する2台のオートバイ図形」という。)を第25類に属する商品を指定商品として平成13年3月30日に登録出願を行ったところ(商願2001−29506号及び商願2001−29507)、本件商標を引例とする拒絶理由通知が発せられた。
したがって、請求人は、本件商標の登録を無効とするにつき、法律上直接の利害関係がある。
(1)請求人は、1947年以降アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにおいて、主にオートバイ乗りのための革製被服等を製造販売してきた老舗である。同人は、1980年代後半には、「世界一のモーターサイクルジャケットメーカー」として世界的な名声を勝ち得るにいたった。請求人の広告、商品、包装、定価表、取引書類等には、本件商標の文字部分と同様の文字からなる商標又は著名な商号の略称たる「LANGRITZ」又は「Langlitz/Leathers」及び本件商標の図形部分と同一の「疾走する2台のオートバイ図形」商標が表示され、現在にいたっている。同人の製品は全くの手作りであり、その品質維持のため、現在も一日僅か6着、年間1500着程度の生産量を堅持している。このこと故に同人の製品は世界中のオートバイ乗りの垂涎の的となっている。
(2)請求人の保有する本件商標の文字部分と同一の文字からなる商標「LANGRITZ」、及び本件商標の図形部分と同じ「疾走する2台のオートバイ図形」商標は、少なくとも本件商標の登録の基となった登録出願の日の時点において、アメリカはもとより、世界的に知られた著名商標になっており、このことはわが国においても同様である。
したがって、商標法第4条第1項第8号、同第10号及び同第15号に照らし、本件商標は、被請求人の名義においては登録されるべきものでなかった。
(3)さらに、本件商標の「疾走する2台のオートバイ図形」は、請求人の創業者が創業時に創作した著作物と同一であり、本件商標は、「疾走する2台のオートバイ図形」を含んでいることにより、その使用が必然的に請求人の著作権に抵触することとなる。また、後述のとおり、被請求人は、本件商標の図形部分が請求人の創業者の著作に係るものであることにつき悪意があった。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に照らしても登録されるべきではなかった。
(4)被請求人は、かねてより請求人の製品を、年数着のオーダーで輸入し、国内で販売していたが、請求人の商品の需要に目をつけ、わが国における請求人の総代理店になることを希望し、1999年頃からその旨の打診をするなど、請求人に急速に接近してきた。
ところが、両者の会話の中で、被請求人が、既にその名義において本件商標を取得していることが判明し、請求人がその不実を指摘すると「それは第三者の違法な登録から請求人(の地位)を守るためであり、いうまでもなく、今日まで一度として請求人に迷惑になる使用は一切したことはなく・・・」、「本来は請求人が保有してしかるべきものです。」、「約束したとおり譲渡する所存であります。」と弁解してきた。そのため、請求人はその言を信じ、本件商標の登録に対して直ちに法的手続をとることを留保してきた。
しかるに、代理店交渉が思うように進まない中で、翌2000年には「譲渡はするが条件がある。」とし、さらには「2000万円」という驚くべき額を本件商標の譲渡の対価として請求するに及んで、請求人は上記商願2001−29506号及び商願2001−29507号を登録出願し、再度本件商標の譲渡を促し、しかる後、本件審判請求を提起した次第である。
請求人は1999年まで本件商標の登録の存在を知らず、それを知った後も本件商標の登録にかかる被請求人の行為を承諾、追認したことはない。他方、上述のとおり、被請求人は、従来より自らが請求人の商標を用いた商品を輸入してきた経緯があり、また、本件商標の登録出願の時点で、既にそれが請求人の商標として国内外において著名なものになっており、本件商標の登録が違法なものであることを熟知していた。それにも拘わらず、本件商標の登録の放棄に代えてその譲渡を行う旨を回答しながら、その後も言を左右にして当該譲渡手続を行わず、その間、名義が自己にあることを奇貨として、交渉を有利に運ぶという不正の利益を図ろうとし、交渉が決裂するに至ると、にわかに2000万円の譲渡対価を提示する等、請求人に言われなき損害を与えようとしている。
このことから、被請求人の不正の目的が本件商標の登録出願の当時から存在したことは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号にも反した登録である。
被請求人は、何ら答弁していない。
本件商標は、別掲に示したとおり「Langlitz」の文字と「疾走する2台のオートバイ図形」よりなるところ、請求人「ラングリッツ レザーズ インコーポレイテッド」より提出された甲第3号証の1ないし9及び同第4号証によれば、本件商標の文字部分と同一の「Langlitz」の文字よりなる商標、及び本件商標の図形部分と同一の「疾走する2台のオートバイ図形」よりなる商標は、請求人がアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにおいて1947年以来、今日にいたるまで半世紀以上にわたって製造、販売してきた「オートバイ乗りの革製被服(オートバイ用のレザージャケット)」を表示するものとして、本件商標の登録出願時には、既に、米国のオートバイの愛好者はもとより、その取引者、需要者の間において広く認識されていたことが認められる。
そして、この「Langlitz」の文字は、特定の意味を有しない請求人(会社)の創立者(ロス・ラングリッツ)の名前に由来する造語といえるものであり、また、「疾走する2台のオートバイ図形」には、高い創作性が認められるものである。
そうすると、本件商標は、その登録出願の時に既に取引者、需要者の間に広く認識されていた「Langlitz」の文字を上部に、「疾走する2台のオートバイ図形」をその下部に表してなるものであり、その指定商品は、前記したとおりであって、請求人の製造、販売に係る商品「オートバイ乗りの革製被服」をその指定商品中に含むことは明らかである。
さらに、甲第5号証の1ないし4によれば、被請求人(本件商標の商標権者)は、1991年頃から請求人の製品(オートバイ乗りの革製被服)を年数着輸入し、日本国内で販売していたこと、その後輸入数量を増やし、該製品の日本総代理店になることを希望し請求人と折衝していたこと、そしてこの間に被請求人が本件商標を登録出願し取得した経緯があることが認められる。
以上のことを総合勘案すると、本件商標の登録出願の時には既に外国において需要者の間に広く認識されていた請求人の「Langlitz」商標、及び「疾走する2台のオートバイ図形」商標を上下に配した本件商標を、請求人が日本において登録していないことを奇貨として、被請求人が登録出願し、権利を取得しようとする行為は、請求人の商標の出所表示機能を希釈化させたり、その名声を毀損させる行為というべきであり、かつ、その行為には不正の利益を得る目的があるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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