結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35487(T2000−35487/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3371152号商標(以下、「本件商標」という。)は、「PACOS」の欧文字と「パコス」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、平成7年12月15日に登録出願、第3類「せっけん類、植物性天然香料、動物性天然香料、合成香料、調合香料、精油からなる食品香料、薫料、化粧品、つけづめ、つけまつ毛、かつら装着用接着剤、つけまつ毛用接着剤、洗濯用でん粉のり、洗濯用ふのり、歯磨き、家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤、さび除去剤、染み抜きベンジン、洗濯用漂白剤、つや出し剤、研磨紙、研磨布、研磨用砂、人造軽石、つや出し紙、つや出し布、靴クリーム、靴墨、塗料用剥離剤」を指定商品として、同11年2月12日に設定登録されたものである。
請求人の引用する登録第913205号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「PACO RABANNE」の欧文字を横書きにし、その下に「パコ ラバンヌ」の片仮名文字を小さく併記してなり、昭和44年6月17日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同46年7月29日に設定登録、同じく、登録第926513号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「PACO RABANNE」の欧文字を横書きにし、その下に「パコ ラバンヌ」の片仮名文字を小さく併記してなり、昭和44年6月17日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同46年8月23日に設定登録、同じく、登録第1062776号商標(以下、「引用商標3」という。)は、「PACO RABANNE」の欧文字と「パコ ラバンヌ」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、昭和44年5月26日に登録出願、第23類「眼鏡とその部品及び附属品」を指定商品として、同49年4月15日に設定登録、同じく、登録第1459377号商標(以下、「引用商標4」という。)は、黒塗りの横長長方形内に「paco rabanne」の欧文字を白抜きで横書きしてなり、昭和44年8月18日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同56年4月30日に設定登録、 同じく、登録第1498993号商標(以下、「引用商標5」という。)は、黒塗りの横長長方形内に「paco rabanne」の欧文字を白抜きで横書きしてなり、昭和44年8月18日に登録出願、第16類「織物、編物、フエルト、その他の布地」を指定商品として、同57年2月26日に設定登録、同じく、登録第1519490号商標(以下、「引用商標6」という。)は、黒塗りの横長長方形内に「paco rabanne」の欧文字を白抜きで横書きしてなり、昭和44年8月18日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同57年6月29日に設定登録、同じく、登録第1720669号商標(以下、「引用商標7」という。)は、黒塗りの横長長方形内に「paco rabanne」の欧文字を白抜きで横書きしてなり、昭和56年12月24日に登録出願、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同59年10月31日に設定登録、同じく、登録第4080894号商標(以下、「引用商標8」という。)は、「paco」の欧文字を大きく横書きし、その下に「paco rabanne」の欧文字を小さく横書きしてなり、平成7年11月22日に登録出願、第18類「皮革(革ひもを除く。)、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、かばん金具、がま口口金、傘、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄」を指定商品として、同9年11月14日に設定登録、同じく、登録第2108875号の2商標(以下、「引用商標9」という。)は、「パコ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和58年7月26日に登録出願、第4類「化粧品」を指定商品として、平成元年1月23日に設定登録、同じく、登録第4163404号商標(以下、「引用商標10」という。)は、「paco」の欧文字を大きく横書きし、その下に「paco rabanne」の欧文字を小さく横書きしてなり、平成7年11月22日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同10年7月3日に設定登録されたものである。
なお、上記商標中、「引用商標4」は、平成13年4月30日に存続期間満了により商標権が消滅し、その抹消登録が平成14年1月30日なされているものである。
請求人は、「本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第119号証を提出した。
(1)請求人であるパコ ラバンヌ パルファンは、フランスのファッションデザイナー「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)が創立したトータルファッションメーカーである。デザイナー「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)は、1965年以来、プラスチックやメタル素材のドレス、アルミのジャージ等独創的な素材によるデザインを発表した。現在ではパリ・オートクチュール界を代表する一人として世界的に広く知られているものである。また、パコ・ラバンヌのデザインする商品は、衣料品・アクセサリー・バッグ・靴・香水・オードトワレなど多岐に及んでいるものであるが、特に、1968年に香水の分野に進出して以来、現在では高い評価を受けているものである(甲第10号証ないし甲第37号証及び甲第47号証ないし甲第51号証)。
(2)日本においては、1982年に株式会社そごうとライセンス契約を締結し(甲第15号証及び甲第38号証)、翌年以降、多数の雑誌に、パコ・ラバンヌのデザインする服飾品が広告された(甲第20号証及び甲第21号証及び甲第39号証ないし甲第46号証)。また、化粧品については、ブルーベルジャパン株式会社を通じて販売されている。
(3)一般的にデザイナー名は、姓又は名により略称されることが多く、例えば「PIERRE CARDIN」は「CARDIN」と、「CHRISTIAN DIOR」は「DIOR」と略称されている。これらと同様に、デザイナー「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)も、「PACO」(パコ)又は「RABANNE」(ラバンヌ)と略称され広く知られている(甲第13号証及び甲第32号証ないし甲第43号証及び甲第50号証ないし甲第52号証)。例えば、前各号証の刊行物においては、「パコって感じる」「パコってまぶしい」「パコって知ってる」といったキャッチコピーと共に広告されているだけでなく(甲第39号証ないし甲第43号証)、他にも「パコの服」などのように紹介されている(甲第50号証)。
このように、デザイナーとしての「PACO RABANNE」及び「パコ・ラバンヌ」のデザインする商品は、その略称である「PACO」(パコ)と共に日本国内においても、1982年以来販売され、または数々の刊行物に紹介されたことにより、著名に至っていたものである(甲第10号証ないし甲第37号証及び甲第47号証ないし甲第51号証)。
すなわち、本件商標の出願時である1995(平成7)年以前には、すでに「PACO」(パコ)は、フランスのファッションデザイナー「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)の略称及び彼のデザインする商品を表示するものとして、特にファッション業界の取引者及び需要者の間に広く認識されていたと言うことができる。さらに、その後も「老若男女を問わず、地球上の誰もが使える“ユニバーサル”」をテーマとし、アルミニウムを100%使用したりサイクル可能なボトルを使用したユニークな香水「paco/paco rabanne」を発売したのに伴い、世界中で大量に広告・宣伝され、爆発的な人気を博し、日本においてもあらゆる雑誌において、著名なデザイナー「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)による新しいフレグランスとして紹介された(甲第53号証ないし甲第102号証)。
従って、請求人の継続的な努力により、本件商標の出願時以降、登録査定時前においても依然として、「PACO」(パコ)は継続して著名となっているものである。
本件商標は、アルファベット「PACOS」とカタカナ「パコス」とを二段併記してなる商標であり、そこから「パコス」の称呼が生じ、何等特定の観念は生じない。
一方、引用商標9は、その構成文字に相応して「パコ」の称呼が生ずることが明らかである。また引用商標10は、アルファベット「paco」の部分が下段の欧文字「paco rabanne」に比して顕著な大きさで表示されており、この部分「paco」が独立して自他商品の識別標識として機能し、これより「パコ」の称呼が生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「パコス」の称呼と引用商標9及び10から生ずる「パコ」の称呼とを比較すると、両者は、称呼の識別に重要な部分を占める語頭を含め「パコ」の音を共通にし、異なるところは語尾における「ス」の音の有無にすぎない。またかかる差異音たる「ス」の音は、明確に聴取されにくい語尾に位置するばかりでなく、舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦音(s)と母音(u)とが結合した音であって弱く発音されるものであるから、この差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して大きくはない。
特に、本件商標から生ずる称呼「パコス」においては、前音「パコ」が破裂音で力強い明確な音であることから、語尾音「ス」は一層微弱化され、また「PACOS」(パコス)は特定の観念を生じないものであるから、強音たる「パコ」の音が印象強く聴取されるものである。従って、本件商標の「パコス」を一連に称呼するときは、引用商標9及び10の「パコ」の称呼と相紛れるおそれがある。
なお、特許庁の審決では、語尾音に「ス」音の有無の差異があっても、称呼上類似するとしている例が多数あるので、それを甲第104号証ないし甲第119号証として挙げる。これらの審決に照らせば、本件商標と引用商標9及び10も、類似の商標と判断されるべきである。
さらに言うならば、「PACO」(パコ)は、請求人の創始者であるデザイナー「PACO RABANNE」の著名な略称であるから、商取引の実情を考慮すればなおそらのこと、本件商標のアルファベット「PACOS」及びその称呼「パコス」に接する取引者・需要者は、恰も前記「PACO RABANNE」の「PACO」(パコ)の如く誤認するおそれがある。また、本件商標が引用各商標と同一の指定商品を指定していることは明らかである。
請求人がデザイナー「PACO RABANNE」のデザインする商品に使用する引用各商標は、衣料品・アクセサリー・バッグ・靴・香水・オードトワレなどを中心とするファッション製品に使用され、請求人の長年の継続的な努力により、日本を含め世界的に一流ブランドとしての信用を本件商標出願前に既に獲得していることは、上述したとおりである。また、請求人は、特に本件商標の指定商品に含まれる「化粧品」の製造・販売を主要な業務の一つしており、事実「PACO」「パコ」と称されている請求人の商品「オードトワレ」が販売され、現在日本においても広く知られているものである。
そして、デザイナー名でもある引用各商標は、本件商標の出願時以前に「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)全体としてだけでなく、「PACO」(パコ)として略称され世界中で広く知られている。
本件商標は、アルファベット「PACOS」とカタカナ「パコス」とを二段併記にしてなる商標であり、アルファベットの構成において、語尾の「S」の1文字を除き、前記「PACO RABANNE」の著名な略称「PACO」と同一である。また、本件商標より生ずる称呼「パコス」は、語頭から連続する強音部分「パコ」と語尾の弱音「ス」よりなる称呼であり、本件商標がその称呼において「パコ」(PACO)と相紛れるおそれがある。
してみれば、本件商標が、その指定商品「化粧品」等に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が著名なデザイナー「PACO RABANNE(パコ・ラバンヌ)がデザインする商品若しくは請求人の製造・販売または請求人と何らかの経済的・組織的関連があるかの如く認識し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
被請求人は、答弁期間中に請求人より譲渡の申し入れがあったので答弁書の提出を控えていたが、後日、請求人が一方的申し入れを撤回したため答弁書を提出しなかった。そこで、後日答弁書に代わる上申書を提出し「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」及び「本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものではない」旨を述べている。
(1)デザイナー「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)」と「PACO」及び「パコ」の略称の著名性について
請求人の提出に係る「服飾辞典(文化出版局発行)」(甲第11号証)、「’79世界の一流品大図鑑(株式会社講談社発行)」(甲第12号証)、「’84THE BRAND(サンケイマーケティング発行)」(甲第13号証)等に徴すれば、「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)は、フランスのファッションデザイナーとして著名であり、我が国の需要者間にも広く知られていることが認められる。しかしながら、上記ファッションデザイナーの「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)が「PACO」(パコ)と略称されている例はあるとしても、それだけで「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)が、我が国の取引者、需要者間で単に「PACO」(パコ)と略称され著名であるとまでは認め難い。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、上記のとおり、「PACOS」「パコス」の各文字を二段に横書きしてなるものであるから、これよりは「パコス」の称呼を生ずるものであること明らかである。
他方、引用商標9は「パコ」の片仮名文字を書してなるものであるから、これよりは「パコ」の称呼を生ずること明らかであり、また、引用商標10は、「paco」及び「paco rabanne」の文字よりなるものであるから、それぞれの文字に相応する「パコ」及び「パコラバンヌ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこでまず、本件商標より生ずる「パコス」の称呼と引用商標9及び10より生ずる「パコ」の称呼とを比較するに、両称呼は「パコ」の2音を共通にし、語尾において、「ス」の音の有無の差異を有するものである。そして、2音若しくは3音という短い音構成よりなる称呼にあっては、構成音の一音一音が明瞭に発音、聴取されるのが常であるから、該「ス」の音の有無の差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼を一連に称呼した場合には、全体の語調語感が相違し、称呼上十分に聴別し得るものである。
次に、「パコス」と「パコラバンヌ」の称呼とを比較するに、両称呼は構成音数を著しく異にするものであるから、称呼上明らかに相違するものである。
また、本件商標と引用商標9及び10とは、外観上互いに区別し得る差異を有し、いずれも造語よりなるものと認められるものであるから、観念においては比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標9及び10とは、外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標であるといわざるを得ない。
(3)商標法第4条第1項第15の該当性について
「PACOS」、「パコス」の各文字を二段に書してなる本件商標と「PACO RABANNE」「パコ ラバンヌ」、「paco」及び「paco rabanne」の文字を二段に書してなる引用商標1ないし8とは、上記(2)の本件商標と引用商標9及び10の場合と同様に考えられるものであるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標と認められるものである。
また、「PACO」及び「パコ」が、「PACO RABANNE」「パコ ラバンヌ」の略称であることを認め得るとしても、本件商標の出願時に我が国の取引者、需要者間で著名でなかったことをも併せ考えれば、本件商標を、その指定商品について使用しても、取引者、需要者は、その商品を請求人若しくはファッションデザイナー「PACO RABANNE」(パコ・ラバンヌ)の製造・販売に係る商品であるかの如く、その商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
(4)結論
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に違反してされたと認められないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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