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Trademark Appeal Case

著名商標の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90094(T2001−90094/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4429079号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4429079号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年7月27日に登録出願され、「ストロングフリーフレーム」の片仮名文字を横書きしてなり、第6類「モルタル又はコンクリートを打設して使用する法面保護用金属製型枠,建築用又は構築用のアンカープレート・アンカーボルト・アンカーケーブル,鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金庫,金属製金具,金属製建造物組立てセット,液体貯蔵槽,工業用水槽,ガス貯蔵槽,滑車,ばね,バルブ,金属製包装用容器(「金属製栓・金属製ふた」を除く。),金属製栓,金属製ふた,金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル,荷役用トラバーサー,金属製の可搬式家庭用温室,金属製の吹付け塗装用ブース,金属製道路標識(発光式又は機械式のものを除く。),金属製管継ぎ手,金属製フランジ,キー,コッタ,かな床,金属製締付け金具,はちの巣,ワイヤロープ,金属製工具箱,金属製のきゃたつ及びはしご」を指定商品として、平成12年11月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人「フリーフレーム協会」(以下「申立人」という。)は、次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。

(1)本件商標は、申立人の名称の著名な略称「フリーフレーム」(以下「引用商標」という。)を使用するものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。

(2)また、本件商標は、引用商標と称呼上、同一又は類似するものであり、なおかつ、本件商標の指定商品は、引用商標の使用役務との関係からみて、申立人の業務に係る商品若しくは役務に類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(3)さらに、引用商標は、前記したとおり、申立人の名称の著名な略称であり、かつ、申立人が推進する「フリーフレーム工法」の著名な略称でもあるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合には、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるので、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号及び同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要点

申立人の提出に係る証拠によれば、以下の各点が認められる。

(1)平成3年12月作成の、施工者フリーフレーム協会員による「施工実績表」(写し)の表紙には、「施工実績表」の文字の下に長方形の飾り枠で囲んだ「フリーフレーム」の文字が顕著に表され、次頁以下には「フリーフレーム工法施工実績」として北海道から沖縄に至る34県で実施した工事名称、施工者及び昭和55年から昭和58年の1年間を除く平成3年までの施行期日が記載されていること(甲第7号証)。

(2)昭和63年3月3日付けで、長野県木曽建設事務所長がフリーフレーム協会長宛に作成した「見積もり依頼書」及び平成元年2月6日付けで、兵庫県土木部砂防課長がフリーフレーム協会長宛に作成した「平成元年4月1日(予想)の単価見積もりについて(照会)」(各写し)には、「特殊法枠工(フリーフレーム)」の文字の記載がみられること(甲第8号証)。

(3)「フリーフレーム協会」のカタログ(甲第9号証及び同第10号証は写し)には、「フリーフレーム Gタイプ」(甲第9号証)、「鉄筋落し込み施工用フレーム フリーフレーム工法 <FKタイプ>」(甲第10号証)、「凹凸適応フレーム フリーフレーム工法 <SFKタイプ>」(甲第11号証)及び「環境保全と自然保護をはかる法面保護・補強・緑化工法フリーフレーム工法<FMタイプ・FPタイプ>」(甲第12号証)の各タイトルとともに、「フリーフレーム協会」の文字が、いずれも他の文字より大きく記載されていること。また、「フリーフレーム工法の特長」の説明の中には「4.フリーフレーム部材は、変形自由で軽量のため作業性が抜群です。」、「5.フリーフレーム部材は、解体作業が不要です。」「9.スターラップ施工する場合は、施工の容易なフリーフレーム部材を用意しています。」(甲第12号証)と記載されていること。

(4)1993年(平成5年)4月28日付日刊建設工業新聞紙面(写し)には、「フリーフレーム協会」の見出しに続き『フリーフレーム協会は、昭和50年に「フリーフレーム工法」と称するユニークな金網型枠を用いた吹付のり枠工法を発明し、急傾斜面、ダム・高速道路のり面など、これまでの現場打ちのり枠工での施工が困難と思われる所にも幅広く適用できるようフリーフレーム工法の普及・技術の向上を目的として発足いたしました。皆さまのご支援により平成4年度で17年を経過し、吹付のり枠工のパイオニアとして着実に施工実績をのばし、場所打ちのり枠工の中でも確固たる地位を占めるようになりました。』と記載されていること(甲第13号証)。また、1996年(平成8年)4月26日付同新聞紙面(写し)には、フリーフレーム工法により法面施工された後の木々に囲まれた斜面の写真が掲載され、その下に「フリーフレームの設置状況」の文字が記載されていること(甲第14号証)。

以上の各点よりして、「フリーフレーム」の語は、法面工事施工業者及び法面工事の需要者間において、本件商標の登録出願時ないしはその登録査定時において、既に、フリーフレーム工法の略称、すなわち「フリーフレーム」の称呼として広く認識されていたものであり、かつ、同工法を施行する法面工事施工業者によって構成される業者団体「フリーフレーム協会」(申立人)の名称の略称としても広く認識されていたものと認められる。

ところで、本件商標は、「ストロングフリーフレーム」の文字よりなるところ、意味上において、これらの文字の全体を常に一体のものとしてのみ把握しなければならない特段の事情はなく、また、構成中冒頭の「ストロング」の文字部分は「強い」の意味合いをもって一般に親しまれている平易な外来語であるから、本件商標に接する取引者、需要者は、該構成を「ストロング」と「フリーフレーム」の文字との結合よりなるものと容易に看取するとみるのが相当である。

そして、「フリーフレーム」の文字(語)が特定の工法又は当該特定の団体名の呼称(略称)であることは前記認定のとおりである。

そうとすれば、本件商標を、前記工法と直接、間接的に利用関係にあるとみられる本件指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、構成中の「フリーフレーム」の文字部分に着目し、直ちに前記特定団体を想起するとみるのが相当である。

そして、かかる場合、本件商標は、その構成中に他人(申立人)の名称の著名な略称「フリーフレーム」の文字を含むものというべきであり、かつ、当該他人の承諾を得たものとも認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反してされたものといわなければならない。

4 商標権者の意見の要点

上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。

(1)取消理由通知書の中で、『「ストロング」の文字部分は「強い」の意味合いをもって一般に親しまれている平易な外来語である』という認識が示されている。しかしながら、「ストロング」が比較的知られている外来語「strong」の発音の日本語表記であるとしても、「ストロング」という語は、商標権者(建設基礎エンジニアリング株式会社)が長きに亘って商標の一部として使用してきており、それを含む商標は、商標権者の営業を表示する商標として広く認識されているのである。

まず、商標権者は、商標登録第4009886号(乙第1号証)及び商標登録第4357867号(乙第2号証)として商標「ストロングパイル」を取得している。当該商標中「パイル」の文字は、「くい」を意味する英語の「pile」を示すものとして認識可能であり、特に「くい」を使用する土木施工業者なら容易に知られる語であるといえる。

しかしながら、前記両登録商標の指定商品は、「コンクリートくい」「金属製くい」である。さすれば、これら商標の自他商品の識別能力を備えている部分は「ストロング」の語であるはずである。

(2)本件商標の商標権者は、その他にも、商標登録第2038347号(乙第3号証)として商標「ストロングクリート」を登録している。また、商標登録第1940941号(乙第4号証)、商標登録第4169991号(乙第5号証)として商標「ストロングホールド」を登録している。さらには、商標登録第2676504号(乙第6号証)として、本件商標「ストロングフリーフレーム」のうち「フリー」の文字がない態様の「ストロングフレーム」という商標を登録している。

これら登録商標で理解できるように、商標権者は、これまで「ストロング」の語を含む多数の商標を使用し、登録させてきたものである。既に述べたように、「ストロング」の語は単に平易な外来語でなく、商標権者が使用する商標の特徴的な部分となっているもので、「ストロング」の語を含む商標は、商標権者が使用している商標として著名であるとの認識が広まっている。つまり、「ストロング」の語は、商標権者の営業を表示する商標の自他識別能力を備える部分となっているのである。

特に、前記した登録商標のうち、商標登録「ストロングフレーム」は、商標権者の販売する「金属製法面保護型枠材」を表示するものとして広く認識されてきており、本件商標の「ストロングフリーフレーム」は、「フリーフレーム協会」の略称を含む商標であるという認識は一般的でなく、商標権者の販売する「金属製法面保護型枠材」を表示する「ストロングフレーム」のうち、その販売に係る商品の一種類に「フリー」の文字を付して、「ストロングフリーフレーム」という商標を使用しているという認識で理解されているのである。つまりは、本件商標は、団体の著名な略称を含む商標ではなく、既に登録されている商標に「フリー」という語を付して、そのうちの一つを表示するための商標として認識されているのである。

(3)商標権者は、商標「フリーフレーム」をその自社の広告・資料用パンフレットにても紹介、使用しており、そのパンフ「AAW工法」(乙第11号証)の第11・12頁において、及び「斜面安定システムの要点」(乙第12号証)の第21頁において、その商品を掲載して広く知らしめている。 特に、「斜面安定システムの要点」は、二万冊以上の頒布実績があり、広く法面保護施工業者の間に商品商標「フリーフレーム」が認知されているのを証明するものである。

その結果、商標権者が納入した「フリーフレーム」型枠は、極めて長期的で大きな実績に昇り、商標権者発行の「フリーフレーム型枠納入実績表」(乙第13号証)に示すように、平成1年度から今日に至るまで多数の実績を残し、商標「フリーフレーム」は、商標権者が使用する商標として認識されるに至っているのである。さらに、両パンフレットの最終頁には、「フリーフレーム」は、「建設基礎エンジニアリング(株)の商標です。」と記している。

(4)これら使用の結果、商標「フリーフレーム」は、特定の団体の略称として著名でなく、商標権者が使用する商品商標として著名となるに至っているのである。

(5)既に述べたように、商標権者は、「ストロング」という語を含む商標を、自社の業務を示す商標として多数登録し、「ストロング」といえば、商標権者の業務を表示する自他商品識別能力を備える部分というほどまで認識されるに至っている。特に、商標権者は、「ストロングフレーム」という商標を指定商品「金属製法面保護型枠材」について取得している。

(6)以上のように、本件商標は、特定団体の略称を含む商標と認識されるものでなく、本件商標が登録されても特定団体の名誉を毀損するものでなく、商品取引上も同団体の業務を表示するものと混同されるおそれもない。本件商標は、特定団体の略称ではなく、本件商標の商標権者の業務を表示する著名な商標として認識されるものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当することはなく、登録を取り消されるべきものではない。

5 当審の判断

本件商標は、前記のとおり、「ストロングフリーフレーム」の文字よりなり「建築用又は構築用の専用材料」等を指定商品とするものであるところ、申立人により提出された証拠によれば、「フリーフレーム」の語は、金網型枠を用いた吹付のり枠工法(フリーフレーム工法)の普及・技術の向上を目的として昭和50年に発足した申立人の名称である「フリーフレーム協会」から団体の性質を表す「協会」の文字部分を省いたものであるから、申立人の名称の略称に当たるものと認められる。

そして、「フリーフレーム協会」は、同工法を実施しようとする法面工事施工業者のほとんどを会員として設立された、いわゆる業界団体であることが認められ、また、申立人による普及宣伝活動の状況及びフリーフレーム工法の著しい普及状況に照らし、さらに、「フリーフレーム」の語が、申立人の名称に関しても、また、フリーフレーム工法という工法名との関係においても、それぞれの識別力を有する部分の全部からなることを併せ考えると、遅くとも、本件商標の登録出願時までには、既に、「フリーフレーム」の語は、全国的規模に亘る当業者及び法面工事の取引者・需要者間において、フリーフレーム工法の略称として著名であったとともに、同工法を実施している法面工事施工業者からなる業界団体である申立人の名称の略称としても著名となっていたことが認められる。

しかして、本件商標は、その構成文字からすると、「強い」の意味合いをもって広く一般に親しまれている「ストロング」の外来語と「フリーフレーム」の文字との結合よりなるものと容易に看取し得るといえるものである。

そうとすれば、本件商標は、他人(申立人)の名称の著名な略称を含む商標に該当するものといわなければならない。

この点について、商標権者は、意見書において、「ストロング」という語を含む商標を自社の業務を示す商標として多数登録し、「ストロング」といえば、商標権者の業務を表示する自他商品識別能力を備える部分として広く認識されるに至っており、特に、商標権者は、「ストロングフレーム」という商標を指定商品「金属製法面保護型枠材」について取得しているから、本件商標は、特定団体の略称を含む商標と認識されるものでない旨を縷々述べているが、商標権者の提出した乙第1号証ないし乙第6号証によれば、「ストロングフレーム」を含め「ストロング」の文字を含む結合商標、数件が第7類又は第37類などに登録されていることは認められるが、他の証拠(乙第7号証ないし乙第16号証)をみても、商標権者が主張するように、これらの商標が商標権者の業務を表示する商品商標として著名になったものとは到底認められないうえ、本件商標が、その構成中に、申立人の名称の著名な略称を含む商標であることは、前記認定のとおりであるから、商標権者の上記主張は採用することができない。

したがって、先の取消理由は妥当なものであって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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