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Trademark Appeal Case

登録商標と使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30226号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1本件商標

本件登録第1419427号商標(以下、「本件商標」という。)は、別記に示すとおりの構成よりなり、第24類「楽器、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和47年6月22日に登録出願、同55年5月30日に登録され、現に有効に存続しているものである。

2請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第7号証を提出した。

(1) 請求の理由

請求人の調査によれば、本件商標は、「Mマーク mosrite」であるのに対し、被請求人が現実に使用している商標は「Mマーク mosrite of California」である。「Mマーク mosrite」に付記されている「of California」は、下段でありかつ「mosrite」とは別異の書体であるけれども、少なくともエレキギターにおいて「モズライトギター」といえば、必ず「Mマーク mosrite of California」のロゴ標章が表示されていることは商標権者自身よく承知しているのである。

そして、被請求人は、本件商標に係る標章「Mマーク mosrite」に「of California」を付記表示するに至った理由について、審判平10-30446号事件(商標登録第1419427号に対する商標法第51条第1項に基づく商標登録取消審判事件)の第3回答弁書において、「セミー・モズレーが1963年ないし1965年に製作したベンチャーズ・モデルといわれるモズライト・ギターに付記されているのと同一の書体にて添付してほしいとの被請求人の多数の顧客からの強い要望があり、付記するようになった。」と記述して自認している。

さらに被請求人は、前記答弁書において、「その製作するギターがCalifornia産とその顧客に誤認させるためにof Californiaの付記表示をしているのではない。of Californiaの表示を看て、これがアメリカ合衆国カリフォルニア原産と誤認するものは皆無である。」と主張している。

ということは、被請求人が現実に使用している商標は、本件商標に「of California」の文字を一体に付記使用していることを自認しているのであるから、本件商標「Mマーク mosrite」との間に社会通念上の同一性は認められないものである。

したがって、商標権者は、本件商標を使用しているとはいえないこと明らかであるから、その登録は取り消されて然るべきである。

なお、請求人は、被請求人が前記別件審判事件において本件商標とは違う態様で使用している事実を自ら立証している証拠(被請求人の発行に係る商品パンフレット)を請求人有利に援用して、1990年(平成2年)発行のパンフレットを甲第4号証、1993年(平成5年)発行のパンフレットを甲第5号証、1995年(平成7年)発行のパンフレットを甲第6号証、現在発行のパンフレットを甲第7号証として提出する。

(2) 答弁に対する弁駁

(イ)被請求人は、本件商標に付加して「of California」の表示をしていることについて種々弁解しているが、一体何のために本件商標のみを使用せず、あえて「of California」の表示を付加して使用してきたのか不明である。

また、被請求人は、「本件商標は、日本国において被請求人がこれを所有登録するものとして周知となっている」から、「of California」を見てこれが米国のCalifornia州で製造販売されたものと誤信する者は皆無だというが、何の証拠の裏付けもない。事実はその反対である。

即ち、故セミー・モズレー(Semie Moseley)氏が、インストルメンタル・サウンドグループで有名な「ザ・ベンチャーズ(THE VENTURES)」のために製作した「ベンチャーズモデル」と称される1963年〜1965年製の「モズライトギター」の音の凄さを知っているわが国の多くのモズライトファン(代表的な者としては加山雄三と寺内タケシがいる。)は、モズライトギターには必ず「Mマーク mosrite of California」の標章が表示されているものであることを承知している。また、筆記体の右下がりの「of California」はセミー・モズレー氏の筆記表示そのものであり、この表示がなければ偽物のモズライトギターとしか見られないのである。「of California」は、セミー・モズレー氏が、1952年に、米国カリフォルニア州ベーカーズフィールドで「モズライトギター」の製作を開始した時に、その発祥の地として特に表示したものといわれている。

したがって、「Mマーク mosrite of California」の標章態様は、モズライトギターの生みの親であるセミー・モズレー氏のアイデンティティそのものであるから、本件商標の標章態様にある「Mマーク mosrite」の表示だけでは、その真偽は別として、セミー・モズレー氏の伝統技術をくむ者によって製作されたモズライトギターではないことの明らかな証左となるのである。

モズライトファンに限らず、一般的なわが国の需要者が「Mマーク mosrite of Callfornia」の標章表示を見て、それが米国カリフォルニア製品ではなく、国産品であると容易に理解することなどできようか。

そこで、被請求人は、本件商標に係る標章表示だけでは、需要者に直ちにセミー・モズレー氏とは関係のない国産の偽物ギターであることがわかるから、あえて誤認混同を与えるために「of Callfornia」の表示を付加していることは明らかである。

したがって、被請求人においては、本件商標自体の使用はこれをしていないといわねばならないのである。

なお、乙第1号証に係る被請求人のパンフレットは、甲第7号証に係るものと同一のものであるが、製造元はジャパンモズライトとある。しかし、これは架空の会社である。そのような会社名を印刷物に印刷表示しているのは、米国カリフォルニア州に本社のあったモズライト・インコーポレーテッドの日本法人であるかのような印象を、わが国の需要者に与えようとしていることしか考えられないから、悪質である。

(ロ) 被請求人は、乙第1号証のパンフレットの最終頁に掲載されている「Accessories & Parts」におけるギター収納ケースの写真に、本件商標の「マルMマーク mosrite」の表示があるという。

しかしながら、広くわが国の需要者に頒布したパンフレットの表紙には「Mマーク mosrite of California」と大きく表示され、また各ギターのヘッド部分及びトレモロアーム台座部分には、「Mマーク mosrite of California」の標章が必ず一体に表示されている。ケースにおける標章表示は本質的なものではなく、ケースを使用しない者もいる。要は、ギター自体に本件商標がそのとおりに使用されているかどうかが問題である。したがって、被請求人の主張は失当である。

(ハ) 被請求人は、1968年(昭和43年)から現在に至るまで、本件商標を付したギターを販売し続け、そのうちの一つにエレクトリックギター(ミニギター)があるというが、このような話も作り話にすぎない。

もしそれが真実ならば、被請求人会社発行の製品カタログに紹介するのが普通であったし、昭和43年から平成8年12月までに毎年何本製造し販売したというのか。

また、乙第2号証に係る製造販売証明書も、乙第3号証に係る卸売証明書も、いずれも被請求人が製造したギターを全部取扱う総販売元の日本電通工業株式会社が発行したいわば身内の証明書であるから、信憑性に欠けるものである。

しかも、これらの証明書に添付の写真の「ミニギター」の製作年月は不明である。のみならず、この「ミニギター」なるものは、あえて証明書を作成するために、被請求人が緊急に製作したものとしか考えられない。せいぜい全長50cmのこのギターに使用されているパーツはミニギター用のものではなく、普通のギター用のものである。ヘッドに本件商標だけを表示し、他の商標を表示していないのは、被請求人が製造販売するベンチャーズモデルのモズライトギターのミニではないから、証明書のためにあえて製作したものというきわめて不自然なものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。

(1) 被請求人は、1968年(昭和43年)から現在に至るまで、本件商標を付したギターを販売し続けてきたところ、乙第1号証のパンフレットは1997年(平成9年)作成されて現在も使用されているものであるが(甲第7号証と同じもの)、このパンフレットには、各種エレキギターの天神部分およびMosley UnitまたはVibramute Unitといわれる部分には、本件商標「マルMマーク mosrite」 が使用されている事実が明らかである。

被請求人の製造販売するギターおよびそのパンフレット等には、本件商標の表示のほか「of California」と表示がなされていることがあるが、本件商標の表示と「of California」 の表示とにはかなりの間隔が置かれていて、これらは一体のものとしては構成されておらず、かつ、本件商標の字体と「of California」の字体とは全く異なるのみならず、「of California」のうち「California」はアメリカ合衆国の一州の名称を極めてありふれた書体にて表示しているに過ぎずこれが商標たり得ないことから、本件商標および「of California」の表示に接する当業者または消費者が、本件商標と「of California」とを一体のものとして観念し、称呼することはあり得ないことである。

また、被請求人としては、「California」はアメリカ合衆国の一州の名称であり、この「California」 についての商標権を主張する意図は全く無く、また、これをいわゆる原産地としてこれを表示したものでもない。本件商標は、日本国において、被請求人がこれを所有登録するものとして周知となっていることから、この「of California」を看て、これがアメリカ合衆国のCalifornia州で製造販売されたものの表示と誤信する者は皆無だからである。

(2) 被請求人は、過去3年以内から現在まで、乙第1号証のパンフレットを用いてきており、その最終頁には、「Accessories & Parts」として、ギターの収納ケースの写真が掲載されており、この収納ケースには、本件商標である「マルMマーク mosrite」 が付されている。

楽器の付属品には、例えば、「バイオリンケース」のように各種の「楽器専用ケース」が含まれる(特許庁商標課編、商品区分解説 第24類 79頁 社団法人発明協会発行 参照)とされているので、この乙第1号証のパンフレットに掲載された本件商標「マルMマーク mosrite」 が付されたギターの収納ケースが楽器の付属品であることは明白である。

(3) 被請求人は、1968年(昭和43年)から現在に至るまで、本件商標を付したギターを販売し続けてきたところ、そのうちの一つに、エレクトリック・ギター(ミニギター)がある。 このエレクトリック・ギター(ミニギター)は、低価格品であるため、被請求人のパンフレットには掲載してこなかったが、被請求人は、登録商標「マルMマーク mosrite」 が表示されているエレクトリック・ギター(モズライトミニギター)を製造して、日本電通工業株式会社に対し、平成9年6月に20本、平成10年10月に35本、平成10年12月に28本販売した事実がある(乙第2号証参照)。

被請求人から、これらのミニギターを購入した日本電通工業株式会社は、日本国内の小売店に対して、平成9年6月から平成9年12月までに20本、平成10年10月から平成11年3月までに63本販売した事実がある(乙第3号証参照)。

(4) 被請求人は、1968年(昭和43年)から現在に至るまで、本件商標を付したギターを販売し続けてきたところ、乙第5号証のパンフレットは1990年(平成2年)作成されたものであるが(甲第4号証と同じもの)、このパンフレットには、MINI 90S 33,000の3棹のミニギター(ブルー、赤、白)が掲載されており、その天神部分には、本件商標「マルMマーク mosrite」 が使用されている事実が明らかである。

乙第6号証のパンフレットは1993年(平成5年)作成されたものであるが(甲第5号証と同じもの)、このパンフレットには、MINI 90S BL 33,000の1棹のミニギター(ブルー)が掲載されて、その天神部分には、本件商標「マルMマーク mosrite」が使用されている事実が明らかである。

乙第5号証および乙第6号証のパンフレットにあるように、被請求人は、遅くとも平成2年から現在に至るまで(乙第2号証及び乙第3号証参照)、本件商標「マルMマーク mosrite」 をミニギターに付して使用している事実が証明される。

乙第7号証は、乙第3号証の卸売証明書を作成した日本電通工業株式会社からモズライトミニギター/Sを購入した小売店の証明書であり、平成10年9月29日、この小売店メインストリートギターがモズライトミニギター/Sを購入した事実が証明される。

このように、モズライトミニギターは、請求人が弁駁書において主張するような「証明書のために製作した不自然なもの」ではなく、少なくとも約10年の販売実績を有し、現在も販売されている真正な商品である。

4 当審の判断

そこで判断するに、被請求人が本件商標の使用の事実を証明するものとして提出した乙第1号証(請求人提出に係る甲第7号証)のパンフレットによれば、その表題部に本件商標である「Mマーク mosrite」の文字が大きく表され、「mosrite」の「e」の文字の右下には登録商標である旨の表示(マルアール)が付されており、また、パンフレットに掲載されているギター、ギター収納ケース(袋)及びギター専用部品にも「Mマーク mosrite」の文字が表示されている事実を認めることができる。

そして、甲第3号証(平成10年審判第30446号事件の被請求人提出の第3回審判答弁書)によれば、上記乙第1号証(請求人提出に係る甲第7号証)のパンフレットは、被請求人が別件事件において、平成11年1月14日付で提出したパンフレットと同じものであり、該パンフレットの発行年月日は確認できないものの、その時点で、「現在のパンフレット」とされているものであり、被請求人を含む三者の名称が表示されていることを認めることができる。

してみれば、被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品に含まれる「ギター、ギター収納ケース(袋)及びギター専用部品」について使用していたものといわなければならない。

なお、請求人は、本件商標の使用に関して、上記 2(1)及び(2)において種々述べているが、表題部及びギター本体に本件商標とともに表示されている「of California」の文字部分の評価については、別途、他の法条に基づく審判事件おいて判断されるべきことである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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