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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用証明

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第15171号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1645090号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1645090号商標(以下「本件商標」という。)は、「Wilson」の文字よりなり、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、昭和58年12月26日登録、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

(1)請求の理由

被請求人は、本件商標を継続して3年以上その指定商品に使用していない。

なお、本件商標は、請求人が所有していたものであるが、錯誤により、平成5年5月17日に被請求人に譲渡による移転登録がなされたものである。 本件商標の商標権存続期間の更新願書添付の登録商標の使用説明書には、被請求人の通常使用権者として、請求人の子会社である日本ペプシコーラ社と記載されたが、該日本ペプシコーラ社が被請求人の通常使用権者であった事実は全くなく、その更新登録出願当時に、本件商標の使用について、被請求人に何かの錯誤があったものと思われる。したがって、被請求人は本件商標を使用していないので、不使用により本件商標は取り消されるものと確信している。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人が答弁書で主張した2つの会社、即ち、ペプシコ・インク及び北海道ペプシコーラボトリング株式会社と被請求人との間には、本件商標の使用に関する通常使用権契約は存在しない。したがって、前記2つの会社が少くとも本件審判請求前3年以内に本件商標の通常使用権者であるという被請求人の主張を否認する。したがって、乙第1号証ないし乙第3号証も否認する。

被請求人の代理人は、別件で、商標「Wilson」の件と題して、被請求人が本件商標の通常使用権者であると主張した2つの会社の一つ、即ち、北海道ペプシコーラボトリング株式会社に宛てた平成10年6月4日付の警告状(甲第3号証)の中で「......ウィルソン社から許諾を得ないで当該商標を使用する場合には、商標権侵害を構成することになり......」と警告し、更に、同警告状の中で「......私共の調査によりますと、平成6年より現在に至るまで、貴社は、商標『Wilson』を清涼飲料に使用されていることが判明しました。如何なる権原にもとづいて、当該商標を使用されているのか平成10年6月9日までに書面でご回答頂きますようお願い致します。」と要請した。そこで、若し、該警告状の内容が正しいなら、被請求人が答弁書の中で、北海道ペプシコーラボトリング株式会社は、本件審判請求前3年以内に本件商標の通常使用権者であるとした主張は、全く偽りといわなければならない。したがって、被請求人は、本件商標を本件審判請求前3年以内に本件商標の指定商品に使用していなかったことは明らかである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

(1)本件商標の使用について

本件商標は、少なくとも本件審判請求前3年以内に本件商標の通常使用権者である、東京都港区赤坂1−9−20(後に東京都品川区南大井6−26−3に移転)に居所を有するペプシコ・インク及び北海道札幌東区伏古11条5−1−50に居所を有する北海道ペプシコーラボトリング株式会社により商品「清涼飲料」について使用されている(乙第1号証ないし乙第3号証)。よって、本件審判請求に理由がないことは明らかである。

(2)権利濫用について

請求人は、ライセンスフィーの支払については問題があるものの、被請求人の通常使用権者という地位にある。また、「Wilson」と言えば、被請求人の商標として世界的に著名である。

よって、本件審判請求は、真に本件商標の使用の有無を争うという目的ではなく、被請求人を害することを目的としているものと認められるから、権利濫用に該当することは明らかである。

(3)本件商標の譲渡について

請求人は、審判請求書の中で、本件商標が錯誤により移転された旨述べているが、その根拠を示されたい。

4 当審の判断

(1)本件審判の請求は、請求人主張の全趣旨よりして、本件商標についてその不使用を理由に登録の取消しを求めるものであるから、商標法第50条に基づく取消審判の請求であると認められる。

しかして、商標法第50条に基づく商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しは免れない。

(2)そこで、本件についてみるに、被請求人が本件商標はその通常使用権者である「ペプシコ・インク」及び「北海道ペプシコーラボトリング株式会社」により本件審判請求前3年以内に商品「清涼飲料」について使用されていた旨述べ、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した(平成10年11月30日付答弁書)のに対し、請求人は、弁駁書(平成11年3月30日付)において、これら2社と被請求人との間に通常使用権契約は存在しないと述べ、上記被請求人の答弁の理由を否認するとともに、その根拠として、被請求人代理人より「北海道ペプシコーラボトリング株式会社」宛発信された平成10年6月4日付「商標『Wilson』の件」と題する書面写し(甲第3号証)を提出したものである。

同書面(甲第3号証)は、その文面の記載よりして、北海道ペプシコーラボトリング株式会社が平成6年以降被請求人の使用許諾を得ないまま本件商標を清涼飲料に使用している点への警告と事情説明を求めた警告書と認められるものであって、被請求人が上記答弁書において述べた答弁の理由(同会社を通常使用権者であるとした点)と明らかに矛盾する内容のものである。

(3)かかる事実関係の下では、本件商標はその通常使用権者である「ペプシコ・インク」及び「北海道ペプシコーラボトリング株式会社」により本件審判請求前3年以内に商品「清涼飲料」について使用されていた旨述べる被請求人の答弁は極めて疑問とせざるを得ない。

(4)そこで、当審では、被請求人に対し、本件商標に関し被請求人と前記2社との間の通常使用権契約の存否を含めこの間の事情を明らかにし、又は、本件商標を使用していないことについて正当な理由が存するとすれば、その事情を明らかにした書面の提出を求める審尋書を平成12年9月14日に発したところである。

これに対して被請求人は、平成12年10月24日付け回答書において「甲第3号証として提出された手紙は、警告状ではなく、被請求人と北海道ペプシコーラボトリング株式会社との関係がいかなるものかを確認する手紙である。その後の調査により、北海道ペプシコーラボトリング株式会社とペプシコ・インクと被請求人との間にはライセンス関係があることが判明したので、この手紙を発送した後、北海道ペプシコーラボトリング株式会社にコンタクトをとっていない。請求人が主張するごとく、北海道ペプシコーラボトリング株式会社とペプシコ・インクがライセンス関係になかったというのであれば、本件商標を使用していた事実は特許庁において顕著な事実であるから、そのようなライセンス関係がなかった旨の宣誓書を北海道ペプシコーラボトリング株式会社とペプシコ・インクは提出すべきである。被請求人は、ライセンス関係を示す文書及び法律見解書を現在準備中であり、近日中に提出する予定である。」旨回答した。

しかしながら、被請求人は回答書の提出から2年以上を経過する今日においても、ライセンス関係を示す文書その他の書面を提出していない。

また、被請求人は甲第3号証は警告状ではない旨主張しているが、甲第3号証はその文面からして明らかに警告状と認め得るものである。

(5)そうとすれば、被請求人とペプシコ・インク及び北海道ペプシコ−ラボトリング株式会社との間には、少なくとも平成6年以降、本件商標に係る使用許諾契約は存在しなかったものといわざるを得ないから、乙第1号証ないし乙第3号証における使用証明は、被請求人の通常使用権者による使用とはいえないものと判断するのが相当である。

そして、他に本件商標を使用した事実を示す証拠はない。

(6)してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明していないものといわざるを得ず、また、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

(7)さらに、被請求人は、本件審判請求は権利濫用である旨述べるが、本件審判請求において、請求人による権利の濫用があったとする事実は認められないし、被請求人においてもその事実を証明していないものであるから、この点に関する被請求人の主張は理由がないものというべきである。

(8)以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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