結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35161(T2002−35161/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3290404号商標(以下「本件商標」という。)は、商標の構成を明朝体風の書体による「江戸前」の邦文字を横書きし、平成6年12月1日に登録出願され、指定商品を第28類「釣り具,運動用具」として、平成9年4月25日に商標権の設定登録がされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出している。
1.釣りに関して、「江戸前」なる語については、次のような事実が認められる。
(1) 落語界の長老でもあった三遊亭金馬が、その長い落語遍歴よりも、さらに古い釣りの遍歴を書いた名作に「江戸前の釣り」という表題を掲げ、筆者はその中で、東京湾で行なわれる特有の釣りについて語っている(甲第1号証)。
(2) 最近では、釣り人社発行、木島佐一訳・解説「幸田露伴江戸前釣りの世界」、株式会社えい出版社発行「江戸前釣りがわかる本」という表題のもとで、東京湾での特有の釣りについての書物が発刊されており、現在でも、「江戸前」なる語が特有の釣法を表示するための一般的な表示として使用されている(甲第2号証、甲第3号証)。
(3) インターネット上での検索によると、「粋でイナセナ江戸前釣り」、「釣りバカ日誌で有名な羽田沖での江戸前釣りプラン」、「四季折々(ハゼ、キス、カレイ等)の本格江戸前釣り」、「東京湾の釣りの歴史をたどってみると、“江戸前の釣り”というものを避けては通れない。釣りでいう江戸前とは、現在の羽田沖から船橋、幕張あたりにかけての部分である。」、「江戸前の釣りの歴史には目を見張るものがあって、江戸時代には美術工芸品としても価値あるほどの竹竿、いわゆる和竿が登場した」、との記載がなされており、また、フジテレビ局では、1996年4月6日と13日の2週にわたる東京湾での釣り大会の模様を「江戸前釣りバトル」という題名を付して放映している(甲第4号証ないし甲第7号証)。
(4) 同じく、インターネット上での検索によると、ハゼ釣りに使用する「江戸前竿」の典型といえるものを写真入りで紹介し(甲第8号証)、さらに、釣り竿について「京都に笛巻の京竿、東京に江戸前竿、紀州に紀州竿、...」との記載がなされており(甲第9号証)、「江戸前」が伝統的な竿の名称であることが示されている。ちなみに、甲第10号証は、被請求人が、前出の株式会社えい出版社発行「江戸前釣りがわかる本」(甲第3号証)に掲載した宣伝広告部分を複写したものであるが、その中で、「江戸の昔から現代へと歴史を変えた二代目の奇跡。伝統の江戸前釣りに、新たな歴史が刻まれる。」との記載がなされており、「江戸前」が伝統的な釣法であることが表明されている。
(5) 甲第11号証は、高崎武雄著、昭和53年1月20日株式会社二見書房発行の書籍「釣魚遍歴」であるが、「江戸前釣り」についての記述で、「隅田川筋から神田川筋、深川、浦安、築地、月島、浜松町、金杉、芝浦から品川、大井、大森、羽田までが、俗に江戸前と呼ばれていたハゼの釣場だった」との記載がなされており、「江戸前」が特定の釣場を示す表示であることが示されている。また、「江戸前釣りの一つに、青ギスの脚立釣りがあった。」との記載がなされており、(江戸前釣りの風景については、各写真参照)、「江戸前」が釣方の一種であることが表示されている。
(6) 甲第12号証は、インターネット上で検索された釣り竿についての用語集「大竿道用語集」であるが、「中通し竿」についての説明の中で、「・・・ガイドがなく、竿の中を糸が通り竿先から出るような構造となっている竿。古くは江戸前のハゼ釣り竿がそうであった。」と記載されており、「江戸前」がハゼ竿の伝統的な名称であることが示されている。
(7) 甲第13号証は、インターネット上で検索された「和竿つくりのエツセー」であるが、「はぜ竿」についての項目の中で、「竹とうるしで作った釣竿を和竿と言います。今回は『はぜ竿』の中でも江戸和竿のハゼの中通し竿(以下、中通し竿と言います)についてお話しましょう。・・・江戸前のハゼ竿は昔そのままの釣方が現在に生きている釣と言えましょう。この中通し竿でハゼ釣をすると、なぜか気持ちがピッタリと引き締まると同時にシャレとおもむきを感じます。」との記載がなされており、甲第12号証と同様に、「江戸前」なる語がハゼ釣り用の中通し竿の伝統的な名称であるとされている。
(8) 甲第14号証は、インターネット上で検索された「庄内竿」についての記載であるが、その中で「・・・わが国の和竿は紀州、京都、東京(江戸)そして全国各地でそれぞれ伝統を持って作られているが・・・」、「・・・なぜ、京、江戸前ひいては全国の和竿のように・・・」と記載し、伝統的な「江戸前」和竿と比較しながら、庄内竿の特性を記載しており、江戸前竿が、庄内竿、紀州竿と並ぶ、伝統的な和竿であることが示されている。
2.上記のような事実からして、「江戸前」なる標章は、特定の釣り場を示すものであるとともに、そこで行なわれる特定の釣方を表示するものであり、その釣方に使用する「釣り具」について「江戸前」なる標章を使用しても、単なる用途の表示にすぎず、かつ、「江戸前」なる標章は、「紀州」、「庄内」とともに、釣り竿についての伝統的な名称であり、「釣り竿」について普通に用いられる方法で使用しても、単なる和竿の名称表示にすぎない。また、江戸前釣り以外の釣りに使用する釣り具について「江戸前」なる標章を使用し、あるいは、伝統的な釣り竿について使用される「江戸前」なる名称をそれ以外の釣り竿について使用した場合、一般需要者に、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、「江戸前」なる商標を、指定商品である「釣り具」に使用しても、単に商品の品質、効能、用途、使用の方法を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当するとともに、「江戸前」なる商標を、伝統的な「江戸前竿」以外の「釣り竿」について使用した場合、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当し、商標法第46条第1項第1号の規定により無効とすべきものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
1.商標法第3条第1項第3号該当について
(1) 請求人は、甲第1号証ないし甲第7号証、及び甲第10号証を挙げて、恰も「江戸前釣り」という東京湾で行われている特有の釣り、或いは釣法が有るかの如く主張している。
しかし、「広辞苑 第四版」(乙第1号証)の「江戸前」の項には、「(芝・品川など『江戸前面の海』の意で、ここで捕れる魚を江戸前産として賞味したのに始まる。鰻では、浅草川・深川産のものをさす) 1.江戸湾(東京湾)付近で取れる魚類の称。膝栗毛発端『−の魚のうまみに』 2.江戸風。梅暦『一の市隠』」と定義され、また、平成10年7月20日東京堂出版発行の二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」(乙第2号証)の「江戸前」の項には「芝・品川などの『江戸前面の海』の意で、そこで採れる魚を『江戸前産』と賞賛したのが始まり。海が近いから新鮮で旨いとされ、後に江戸湾(東京湾)一帯で漁れる魚貝の総称となった<膝栗毛 梅暦>。...鮨屋は全国的に『江戸前』の一枚看板。善意に解釈すると『握り鮨』ということで『大阪鮨(押鮨)に対抗(区別)する言葉であろうか。』」との説明がある。
したがって、「江戸前」とは、江戸前面の海である東京湾の意味であり、後に東京湾付近で捕れる魚貝類に総じて付けられるようになったものと定義付けている。
(2) 甲第1号証は、その表題に「江戸前の釣り」と掲げている点は被請求人も認めるものの、「江戸前の釣り」については、これに「本書はその中にあってもタナゴ釣りからボラ、ハゼ釣りまで、いわゆる江戸前の釣りについて、微に入り細をうがって、その蘊蓄を傾けて綴った名著である。」との記載があり、当該記載と前出乙第1号証ないし乙第2号証の「江戸前」の定義とを併せて考えると請求人が主張するような「東京湾で行われる特有の釣り」の説明は何れからもみることが出来ない。
(3) 甲第2号証は、表紙にて「幸田露伴江戸前釣りの世界」と表題がつけられた書籍が存在することを証明しているのみで、請求人が主張するような「東京湾での特有の釣り」について書かれているか否かは証拠資料の範囲では解らない。
また、甲第3号証についても、表紙にて「江戸前釣りがわかる本」と表題がつけられた書籍が存在することを証明しているのみであり、請求人が主張するような「東京湾での特有の釣り」について書かれているか否かは解らない。
しかし、甲第3号証の表紙には、表題の頭に「東京湾の船釣り完全教本」と記載され、スズキ、カワハギ、シロギス、カサゴ、マダイ、メバル、マゴチ、アナゴを表示し、下段に「手軽に楽しめる東京湾の船釣り」との記載があるので、需要者としては、前出乙各号証に示している「江戸前=東京湾」との定義から「東京湾でのスズキ、カワハギ、シロギス、カサゴ、マダイ、メバル、マゴチ、アナゴ等の手軽に楽しめる船釣りの教本」と予測できるに留まる立証内容にすぎず、請求人が主張するような「東京湾での特有の釣り」について書かれているかまでは解らない。
(4) 甲第4号証からは、「江戸前の魚である沙魚、メバル、カサゴ、鱸に鱚、鰈等々を通年遊びで釣るのが江戸前釣り」との解釈が出来るに留まり、請求人が主張するような「東京湾での特有の釣り」についての記載はない。
(5) 甲第5号証の本文は、「四季折々(ハゼ、キス、カレイ等)の本格江戸前釣り、ホテルのプライベートな桟橋より出船。ベテランはもちろん、初心者から女性、お子様まで、手軽に釣りを楽しんでいただけます。」と記載されており、請求人が主張したいであろうところの「東京湾での特有の釣り」を示唆するような記載は甲第5号証の何れからも見出せない。
(6) 甲第6号証には、請求人の主張のように「東京湾の釣りの歴史をたどってみると、”江戸前の釣り”というのを避けては通れない。釣りでいう江戸前とは、現在の羽田沖から船橋、幕張あたりにかけての部分である」との東京湾内のエリアの特定をしているが、この後には、「遊びの釣りの歴史となると、江戸前の釣りほどのものは、そうざらにはみあたらない。」との記載が続いている。また、「江戸前の釣りの歴史には目を見張るものがあって、江戸時代には美術工芸品としても価値があるほどの竹竿、いわゆる和竿が登場した。」との文章の後に「そしてその伝統は1950年代あたりまで脈々と引継がれ、ハゼ、アオギス、カレイ、アナゴなど、四季折々の釣りの楽しみ方を、日本全国に発信してきた。」との記載が続いている。
(7) 以上のとおり、上記甲第1号証ないし甲第6号証の説明を総合して把握される「江戸前の釣り」とは、「現在の羽田沖から船橋、幕張あたりにかけて江戸前である東京湾内で通年、四季折々の、沙魚、ハゼ、アオギス、アナゴ、スズキ、カワハギ、シロギス、カサゴ、マダイ、メバル、マゴチ等の魚を遊びで釣る」との解釈が出てくるだけであり、請求人が主張するような他の地域における釣りと相違するような「東京湾での特有の釣り、或いは釣方やこの為の特有の釣り具」があるとの解釈は何れからも見出せない。
(8) なお、請求人は、上記甲各号証の他に、甲第7号証として「東京湾江戸前釣り対決」とのインターネット上の表示を挙げて、甲第10号証として被請求人が「江戸前釣り」を用いた広告を挙げているが、これらは、何れも表題や表示のみで内容が不明である。
また、被請求人において「釣り具」を指定商品とした釣り場や魚場の登録商標を調査すると、証拠資料としての提出は省略するが、「けんざき」(商標登録第996435号)、「せとうち」(商標登録第1166913号)、「八丈」(商標登録第1467414号)、「日本海」(商標登録第918664号)、「南海」(商標登録第2033607号)、「北海」(商標登録第669650号)及び「西海」(商標登録第669656号)等の文字による登録例があるので、「江戸前」が釣り場や漁場名であることを理由にしての商品の品質、効能、用途、使用の方法であるとの無効性の主張にも無理がある。
(9) したがって、請求人の「江戸前」なる商標を、指定商品である「釣り具」に使用しても単に商品の品質、効能、用途、使用の方法を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当するとの請求の理由は、前述の甲各号証からは何等の論拠も見出せないものである。
2.商標法第4条第1項第16号該当について
請求人は、甲第8号証及び甲第9号証を挙げて「江戸前竿」といわれる竹竿が未だに普通名称として存在しているが如く主張している。
(1) 甲第8号証のインターネット上への掲載記事は、末行に「昭和40年前後の作品」との記載があるように、この竿を保有しているマニアが昭和40年前後に作成された中通しハゼ竿を「洗練された江戸前竿」として愛好家に自慢しているニュアンスの高い文章構成であり、逆に考えると竿の所有者が他の愛好家に自慢するほど現在においては希少価値の高い作品ということがいえる記事である。
(2) 甲第9号証のインターネット上への掲載記事は、「昭和24年4月、釣具店を開業した年は...」との記載があり、「道楽商売43年を振り返ってみると」とあるように昭和24年4月に釣具店を開業して43年間にわたって釣具店を経営してきた釣具店主の回想録と思われる記事であり、「今でこそグラスロッドを始め、カーボン、ウイスカー、そしてアモルファス等の軽くて丈夫な化学繊維の竿が作られてどんな大きな魚でも簡単に釣ることが出来るが、終戦直後は竿といえば竹の庄内竿だけである。京都に笛巻きの京竿、東京に江戸前竿、紀州に紀州竿、そして加賀に加賀竿と、日本全国どこでも竹で作った釣竿だけであった。」との記載があり、請求人が引用した「江戸前竿」との記載は終戦直後の竹で作った釣竿の一種として挙げられているものである。
(3) 以上の記載を総合すると「江戸前竿」とは、昭和40年以前の竹竿の時代に使われていたものであり、掲載者が「世界の釣具界のルネッサンスの時期」と明記しているように、「江戸前竿」等の竹で作られた釣竿は、昭和40年代以降の化学繊維竿の普及に伴って衰退し、現在では、数少なくなった竹竿職人の間でこれを珍重する竹竿愛好家の特注に応じて作られている程度で、一般の釣り具市場における商品としての流通は殆どあり得ない。
(4) これが証拠に、甲第8号証で紹介の自慢の「江戸前竿」の製作者である「江戸和竿総本家『東作』六代目松本三郎」が著作して2000(平成12)年8月1日 株式会社小学館が発行した「竹、節ありて強し」(乙第3号証)にて昭和40年代以降の化学繊維竿の普及に伴って衰退していった東京における竹竿の状況が書かれている。
そして、「東作」六代目松本三郎氏は、東京での竹竿を表紙での記載等からも明らかなように「江戸前竿」ではなく「江戸和竿」或いは「東京和竿」と称し、平成5年に東京釣用品協同組合と東京和竿睦会が共同でまとめた天明から平成の現代までの約200年間で東都に名を残した竿師系図を「江戸和竿師系図」と銘打っている点を勘案すると、東京の竹竿の正式名称は「江戸和竿」であって、請求人の主張する「江戸前竿」ではないものと考える。
「江戸和竿」といわれた東京の竹竿は、20人足らずになった竿職人が贔屓のお客さんやこの釣りの弟子などの紹介者からの直接注文に応じて製作している美術・工芸品に近いものとなり、現代の釣り具市場においては流通していないのが実情である。
(5) したがって、請求人の「江戸前」なる商標を伝統的な「江戸前竿」以外の「釣り竿」について使用した場合、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当するとする請求の理由も甲第8号証及び甲第9号証からは何等の論拠を見出せないものである。
3.まとめ
以上のように、「江戸前」との用語は、「東京湾」或いは「東京湾でとれる魚」に冠されて使われているのが一般的であり、「東京湾の魚を遊びで釣る」行為の総称として「江戸前釣り」と使われているとしても、請求人が主張するような他の地域における釣りと相違する特別な釣方や用具が有る訳ではないために商標法第3条第1項第3号に該当するものではないと確信する。また、今から40年以上も以前の昭和40年代までに東京で作られていた竹竿は、正式には「江戸和竿」と称されており、これを仮に一部の人が「江戸風竿」との意味で「江戸前竿」と称していたとしても、この種の竹竿が四十年以上も前からの化学繊維の釣竿の進歩に伴って衰退して実用品から美術・工芸品の域に達して一般の釣り具市場での流通がなくなり、釣り具の需要者間においては既に死語となっており、しかも、和竿愛好家は、甲第8号証からも明らかなように、これらの竿に表示された「東作」、「竿忠」、「竿冶」などの工房の銘によって製作者までも識別して愛蔵するものである現在の状況から勘案すると、商標法第4条第1項第16号に該当するとの主張にも当たらないと確信する。
1.請求人の提出に係る証拠についてみるに、甲第1号証の「江戸前の釣り」(1999年6月20日 株式会社つり人社発行)には、筆者は東京湾で行なわれる特有の釣りについて語っている(この作品は「つり人」昭和33年1月号から転載した旨の記載がある。)。そして、甲第7号証のインターネット上での検索結果によれば、フジテレビ局では、1996年4月6日と13日の2週にわたって釣り大会の模様を「東京湾江戸前釣り対決」という題名を付して放映した事実を認めることができる。
また、甲第11号証の「釣魚遍歴」(昭和53年1月20日 株式会社二見書房発行)には、「隅田川筋から神田川筋、深川、浦安...芝浦から品川、大井、大森、羽田までが俗に江戸前と呼ばれていたハゼの釣場だった・・・」、「江戸前の釣りの一つに、青ギスの脚立釣りがあった。」とそれぞれ記載されている事実が認められる。
さらに、甲第4号証ないし第6号証、第8号証、第9号証及び第12号証ないし第14号証のインターネット上での検索結果によれば、「粋でイナセな江戸前釣り」、「『釣りバカ日誌』で有名な羽田沖での江戸前釣りプラン」、「四季折々(ハゼ、キス、カレイ等)の本格江戸前釣り」、「東京湾の釣りの歴史をたどってみると、“江戸前の釣り”というものを避けては通れない。釣りでいう江戸前とは、現在の羽田沖から船橋、幕張あたりにかけての部分である。」、「江戸前の釣りの歴史には目を見張るものがあって、江戸時代には美術工芸品としても価値あるほどの竹竿、いわゆる和竿が登場した」、「洗練された江戸前竿の典型といえるのが本品。」、「さて、この作品は...昭和40年前後の作品。」、「京都に笛巻の京竿、東京に江戸前竿、紀州に紀州竿、...」、「...ガイドがなく、竿の中を糸が通り竿先から出るような構造となっている竿。古くは江戸前のハゼ釣り竿がそうだった。」、「竹とうるしで作った釣竿を和竿と言います。今回は『はぜ竿』の中でも江戸和竿のハゼの中通し竿(以下、中通し竿と言います)についてお話しましょう。...江戸前のハゼ竿は昔そのままの釣方が現在に生きている釣と言えましょう。...」、「わが国の和竿は紀州、京都、東京(江戸)そして全国各地でそれぞれ伝統を持って作られているが、...」、「...なぜ、京、江戸前ひいては全国の和竿のように、...」等とそれぞれ記載されている事実が認められる。
2.以上の事実からすると、「江戸前」の語は、特定の釣り場を示すものであるとともに、釣り竿についての伝統的な名称、或いは釣方の一種であることを表示するものとして理解されているものというのが相当である。
そうすると、「江戸前」の文字よりなる本件商標をその指定商品中「釣り竿」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、これより「江戸前釣りに使用する竿」であることを容易に想起し理解するものであって、単にその商品の品質、用途等を表示するものと把握するに止まり、自他商品の識別標識として把握するものといえない。また、江戸前釣りに使用する釣り具以外の「釣り具」に使用するときは、あたかも江戸前釣りに使用する釣り具であるかの如く理解し、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「釣り具」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は商標法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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