Trademark Appeal Case
宗教用語と公序良俗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−1411(T2001−1411/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ヴァイブル」の片仮名文字を横書きしてなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年6月9日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、同12年7月21日付け及び同13年5月9日付けの手続補正書により、最終的に、「レコード,録音済みのコンパクトディスク,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,スライドフィルム,基本単位計量器,精密測定機械器具,天文用測定機械器具,その他の測定機械器具,模型及び標本,映画機械器具,眼鏡,レンズ用ガラス,救命用具,運動用技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,盗難警報器,事故防護用手袋,保安用ヘルメット,防火被服,自動販売機,写真複写機,電気計算機,ウェットスーツ,潜水用機械器具,電動式自動扉開閉装置」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、キリスト教の経典である『BIBLE(聖書)』を片仮名文字で『ヴァイブル』と書してなるところ、これを一私益法人である出願人が自分ひとりの利益のために商標として登録することは、キリスト教の教団及びキリスト教徒の宗教感情を害するおそれがあり、穏当を欠くものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「ヴァイブル」の文字よりなるところ、これは、「聖書」を意味する語として一般に親しまれているものである。
そして、聖書には、モーセを介して神とイスラエル人とで交わされた古い契約を中心として書かれた「旧約聖書」と、イエス・キリストによって実現した新しい契約を中心として書かれた「新約聖書」とがあるが、日本国内においては、一般に旧約・新約の区別をすることなく、両者を総称する語として「ヴァイブル/聖書」の語が認識され、使用されているものと認められる。
また、「ヴァイブル」の語は、比喩的にそれぞれの領域における「権威のある書物」をも意味する語であるが、そのような場合は、例えば「子育てのヴァイブル」、「ギター愛好家のヴァイブル」等のように修飾語を付して使用されるのが通例であり、単に「ヴァイブル」という場合は、「聖書」を意味するものと解される。
そして、聖書は、キリスト教徒にとっての聖典であって、かけがえのない心のよりどころとなるものであり、また、キリスト教信者は、全世界にわたって多数存在し、日本国内においても相当数がいることからすれば、「ヴァイブル」の語について一私人に独占権を与え、そして一私人が自己の商標として採択使用することは、信者の宗教感情を害し、ひいては、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるというべきである。
そうとすれば、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって、これを取り消すことはできない。
なお、請求人は、本願指定商品を上記のとおり減縮補正するとともに過去の登録例を挙げて、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当しない旨主張しているが、登録出願に係る商標が公序良俗を害するおそれがあるか否かについては、査定時又は審決時における社会通念に基づき認定、判断すべきものであるところ、社会通念は時代とともに変化するものでもあるから、それに伴って、従来公序良俗を害するおそれがなかったものがあるようになったり、又はその逆の場合もあり得ることであり、過去に登録されたものが常に公序良俗を害するおそれがないとはいい得ないというべきである。
昨今、世界各地において、宗教に係わって様々な国際的紛争がおこり、それが宗教上の問題としてではなく国家間の紛争のもととなっていることは顕著な事実である。このような国際的状況や国家間の紛争を回避すべき我が国としての国際的信義を考慮すれば、キリスト教の聖書を意味する本願商標については、前記のとおり判断するのが相当である。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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