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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−4081(T2001−4081/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ベッコウしじみ」の文字を横書きしてなり、平成11年10月22日に登録出願、指定商品については、願書記載の指定商品を、原審において、同12年11月1日付けの手続補正書により、第31類「宮城県北上川河口の飯野川地区流域で採れる飴色の殻を有するしじみ」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『ベッコウしじみ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ、『宮城県の北上川河口流域で採れるべっこう色をしたしじみ』を『べっこうしじみ、ベッコウしじみ、べっ甲しじみ』のように称し、使われていることよりすれば、これをその指定商品に使用するときは単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、「ベッコウしじみ」の文字を書してなるところ、その指定商品との関係からすると、これは北上川流域でとれる特に貝殻の色が黄色又はべっこう色の「やまとしじみ(ヤマトシジミ)」(【大和蜆】:シジミガイ科の二枚貝。広辞苑第五版)について、現在普通に用いられている名称の「べっこうしじみ(ベッコウシジミ)」を表したものと認められるものである。

また、この「べっこうしじみ」は、仙台圏を中心に一般的に良く知られており、しじみのブランドとして扱われているものである。

そして、上記「べっこうしじみ」が、本願指定商品を取り扱う業界及び需要者などにおいて、取引上及び一般的に普通に使用されている実情としては、例えば、次のような新聞記事及びインターネットによるホームページの情報等により、その一端をうかがい知ることができるところである。

(1)「シジミ養殖、大きな期待、試験に手ごたえ、宮城県北上町」

(1995.4.26 日本農業新聞社 ブロック版/東北)

「東北地方では珍しいヤマトシジミの養殖事業に取り組む宮城県桃生郡北上町はこれまでの試験を通じ、『シジミ養殖は可能』との手ごたえを得た。・・・・北上町でとれるシジミは『

べっこうしじみ

』のブランドで扱われ、仙台圏を中心に『味が良い』と評判の貝。それだけに、最近の天然物の漁獲減には頭を痛めていた。町の『シジミ稚貝増殖事業』は、平成三年度にスタート。」

(2)「[一村逸品]『シジミの加工品』宮城県北上町」

(1995.4.29 日本農業新聞 10面)

「宮城県桃生郡北上町のヤマトシジミは、仙台圏を中心に『

べっこうしじみ

』の名前で扱われるブランド産品。同町観光協会が中心になってそのシジミの加工開発を行い、すでに三商品を世に出している。」

(3)「シジミ、ふっくらベッコウ色/宮城・北上町で漁最盛期」

(1997.6.26 河北新報)

「宮城県北上町の北上川河口付近で、特産のシジミ漁が最盛期を迎えている。淡水と海水が微妙に交じり合う『良場』のシジミは、その殻の色から

ベッコウシジミ

と呼ばれている。」

(4)「[とうほくふるさとDAISUKI!]さとう宗幸 東北新発見=宮城」

(2000.11.1 スポーツ報知 15頁)

「◆北上町のシジミ さらに驚いたのが、北上町のシジミ。太平洋と北上川の水が混じり合う河口には、アサリを思わせる大きな黄色っぽい

ベッコウシジミ

が生息している。6月1日には漁が解禁になり、町民は家族総出で潮干狩りを楽しむ。汁にして食べると最高だ。」

(5)「みやぎ国体/シジミの貝殻で根付けなど製作/河北町で講習会」

(2001.7.27 河北新報)

「河北町を流れる北上川ではシジミ漁が盛んで、貝殻が黄色みがかっていることから『

ベッコウシジミ

』として売り出している。」

(6)「河北町 情報ネット街包む(わがまち・ふるさと) /宮城」

(2002.3.29 朝日新聞 東京地方版/宮城 30頁 宮城版)

「『水と緑の里』という町のキャッチフレーズから浮かぶのは、農業や漁業だ。確かに面積の21%を占める肥よくな耕土でササニシキ、ひとめぼれが生産されている。太平洋に面した長面(ながつら)湾で取れるカキなど海洋資源にも恵まれている。町内を流れる北上川でも

ベッコウシジミ

がとれる。」

「●恵み豊かに北上川悠々と マスやシジミも(自慢) 町を二分して流れる雄大な北上川。約200キロ上流の岩手県から流れ下る=写真。水は、流域住民の飲料水として活用されているほか、肥よくな耕土で生産される農作物をはじめ、サケ、サクラマス、

ベッコウシジミ

など川に生息する生き物などへも恩恵をもたらしている。」

(7)ホームページ「農林水産省関東農政局東京統計情報事務所・農林水産情報センター」の「生鮮食料品のマーケットレポート(築地市場水産物編)」(平成14年6月24日関東農政局東京統計情報事務所発表)中、

「シジミ 青森(十三湖・小川原湖)・三重(木曾三川)・宮城(北上川)物等が、前年並みに入荷も高めの取引となっています。店頭では100g当たり150円前後です。 梅雨時限定の『

べっこうしじみ

』もいかがですか。」

(http://www.tokyo.info.maff.go.jp/tokyo/sizen/s_market/0206/0206_2.htm)

(8)ホームページ「みやぎ三陸ねっと」の「これからのみやぎ沿岸 ▼エリヤプロフィール」中、

「■河北町 水と緑の里かほく ・・・特産品は、フランス鴨、北上川の

べっこうしじみ

、鮭、長面浦のカキ、うめ干、北限の銘茶かほく茶、せり、味噌、つけものなど。」

(http://www.3riku.net/korekara/area/)

(9)ホームページ「みやぎリアスライン地域フォトコンテスト」の「みやぎリアスライン地域の一部紹介」中、

「北上町 ◇河口の町からのメッセージ ・しじみ祭り:『黄金しじみを探そう』北上町特産『

べっこうしじみ

』に金粉を塗った黄金のしじみを探すイベント(7月中旬)」

(http://www.3riku.net/news_topics/kaiwai/news/1/rias/shoukai.htm)

以上の事実を総合的に勘案すると、「べっこうしじみ」は、例えば1995年4月26日の日本農業新聞社(ブロック版/東北)の記事によれば、当時において、すでに「北上町でとれるシジミは『べっこうしじみ』のブランドで扱われ、仙台圏を中心に『味が良い』と評判の貝。」となっていた事実が認められる。

そして、本願商標の「ベッコウしじみ」の文字は、その構成文字が片仮名文字の「ベッコウ」と平仮名文字の「しじみ」とを結合してなるものであったとしても、上記新聞記事等に記載された「べっこうしじみ(ベッコウシジミ)」の意味合いしか認識させ得ないものであるから、本願商標を補正後の指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「べっこうしじみ」であると認識し、「しじみ」の品質を表示したものと理解するにとどまるものであり、本願商標は、結局、商品の品質を表示したものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。

なお、請求人は、審判請求書の請求の理由において、「本件商標は、特定の地域において永年使用された結果、需用者が本件出願人の業務に係る商品であることを認識しているものであり、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである。そして、本件商標は、特定の蜆業者によって永年使用され、取引市場において本件出願人の取り扱に係ることが需要者および業者の間で理解されていることは、平成12年11月1日付で提出した意見書、事情説明書、および上申書によって明らかにしたとおりである。」旨述べているが、請求人が上記意見書において提出した証拠(上申書、事情説明書を含む。)によっては、上申書に記載されている30年前から使用している事実も、本願商標が使用された結果、取引者、需用者が請求人の業務に係る商品であると認識することができるものとなったことを認めるに足りる証拠も確認し得ず、また提出された領収書(印刷代)及び請求書(品名:リーフレット)からは、何について立証したものかも不明である。

さらに、北上追波漁業協同組合(組合長)及び河北町物産開発振興協議会(会長)連名の事情説明書において、「組合の総意として、組合員である請求人を出願人として、本願商標の出願を行うこととした。」旨記載されているところ、昨今、地域おこしや特定の業界のための活性化のため、団体が核になって、独自ブランドによる特産品作りがされているが、このような商品に関しても、商標登録ができる商標は、自他商品の識別標識としての機能を有するものであって、そもそも識別力のない品質表示等を普通に用いられる方法で表示する商標は、商標法上商標登録できないものである。

そして、仮にこのような品質表示等を特定の団体及び個人に独占させることは、例えば、その団体に属さない生産業者や販売業者は、その表示を使用できなくなり、かえって、地域おこし等にも支障を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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