Trademark Appeal Case
「ドットコム」の識別力と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−5621(T2001−5621/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「エーアイドットコム」の文字を標準文字で横書きしてなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成12年2月24日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4052707号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年3月7日登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(『靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護器具』を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(『乗馬靴』を除く。)」を指定商品として同9年9月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記したとおり、「エーアイドットコム」の文字を書してなるところ、該文字は、構成全体をもって特定の意味合いを有するものとして取引者、需要者に理解、認識されるとみるべき格別の事情も見出し得ないものであって、構成全体より生ずる「エーアイドットコム」の称呼も比較的冗長に亘るものである。
そして、本願商標の構成中、後半の「ドットコム」の片仮名文字は、インターネットのドメイン名の末尾に付けられる組織形態別コードの一つであって、企業のサイトであることを示す「.com」の読みとして一般に広く使用されている語であり、さらに、近時、我が国におけるインターネットの普及に伴い、インターネットを介して行う電子商取引が、繊維業界を含む幅広い分野において行われている実情にあることからすれば、該「ドットコム」の文字は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当である。
以上のことは、「ドットコム」の文字について、各種の事典類及び株式会社ジー・サーチの提供に係る新聞記事情報データベース等をみると、以下のような記事があることからも十分に裏付けられるものである。
(1)株式会社秀和システム 2001年8月6日発行「最新2002年版標準パソコン用語事典」
「主に企業や法人を表すドメイン名の1つ。(中略)『ドットコム』という呼び名は、米国Sun Microsystems社が、“ビジネスをドットコムする”などと、TVコマーシャルに採用したことから、その言葉の持つ未来的イメージとも相まって、インターネットを中心とした情報技術ビジネスを指向する企業の代名詞として、幅広い意味で使われるようになった。」
(2)株式会社三省堂 2002年11月1日発行「コンサイスカタカナ語辞典第2版」
「ドットコム[dotcom]インターネット関連事業などの企業名にも用いられている。ドメイン−ネームで企業を表す『.COM』から。」
(3)株式会社自由国民社 2003年1月1日発行「現代用語の基礎知識2003」
「ドットコム(dot−com)インターネット上で商取引をする会社。」
(4)日経産業新聞2頁 2001年2月20日発行
「丸紅はインターネット上でポリエステル繊維を売買するサイト『ファイバーゲートドットコム(http://www.Fibregate.com)』を開設した。」
(5)日経流通新聞15頁 2001年4月10日発行
「伊藤忠商事が始めた綿糸のインターネット販売サイト『いといとドットコム』」
(6)日本経済新聞朝刊27頁 2001年5月10日発行
「ハンワスチール・ドットコム」、「ビービーエレ・ドットコム」及び「セミコンポータル・ドットコム」
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、自他商品の識別標識としての機能を果たすと認められる前半部の「エーアイ」の文字部分を捉えて、これより生ずる「エーアイ」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないといわざるを得ないものであるから、本願商標は、全体の構成文字に相応して「エーアイドットコム」の称呼を生ずるほか、前半の「エーアイ」の文字部分に相応して「エーアイ」の称呼をも生ずるものである。
他方、引用商標は、別掲に示したとおりの構成よりなるところ、図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてみるべき特別な事情も見出せないものであって、該図形部分と該文字部分とは、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすというのが相当であるから、引用商標は、造語と認められる「エイアイ」の文字部分に相応して「エイアイ」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標から生ずる「エーアイ」の称呼と引用商標から生ずる「エイアイ」の称呼を比較すると、この両称呼は、共に4音構成からなるところ、「エ」、「ア」、「イ」の3音を共通にし、第2音における「エ」の長音(ー)と「イ」の音の差異を有するにすぎないものである。
しかして、後者の「イ」の音は、母音(i)が前音「エ」の母音(e)とともに「エイ」と二重母音となる関係上、転化して前音「エ」の長音として発音される場合が少なくないものである。
そうとすれば、該差異音は、いずれも前音「エ」に吸収されやすい近似した音であるばかりでなく、比較的印象の弱い中間に位置することから、これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は少ないものというべきであって、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が近似し、互いに相紛れるおそれがあるものといわなければならない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念においては比較することができないことを考慮しても、称呼において相紛らわしい類似の商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似の商品を含むと認められるものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、「『ドットコム』が親しまれたトップレベルドメインであればこそ、その識別機能は強化され、本願商標からは『エーアイドットコム』の一連の称呼のみを生ずる」旨主張するとともに、他の登録例を挙げて、本願商標は登録されるべきであると主張しているが、本願商標構成中の「ドットコム」の文字部分は、前記したとおり商品の出所を識別するための標識としての機能を発揮し得ないとみるのが相当であり、また、他の登録例は、いずれも商標の構成等において本願とは事案を異にするものであるばかりか、請求人が証拠に挙げた「ドットコム」の文字からなる登録第4406492号商標は、その商標登録原簿に徴すれば、無効とする旨の審決が確定し、その登録が平成14年6月26日になされているものであるから、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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