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Trademark Appeal Case

著名商標と記述的語の結合

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2003−90099(T2003−90099/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4623732号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4623732号商標(以下「本件商標」という。)は、「ASHLEY SENIOR」の欧文字と「アシュレーセニア」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成14年1月24日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成14年11月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、次の(ア)ないし(イ)に示す登録商標(以下、纏めては「引用各商標」という。)を引用し、これと本件商標とは類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、また、仮に同号に該当しない場合であっても、本件商標は、同第7号、同第8号、同第15号若しくは同第19号に該当するものであるから、本件商標の登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであると申し立て、その理由を要約次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第105号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標を構成する「SENIOR」の文字は、中学生レベルの英語で「高齢者、年輩者」を意味し、その指定商品との関係では「高齢者向け」といった程度の意味合いで、用途・効能・品質等を表示するにすぎない識別のない語である。したがって、本件商標は、申立人の所有する著名ブランド「ローラ アシュレイ」とも相俟って、「(ローラ)アシユレイの高齢者・年輩者向け商品」の観念が生じる。

これに対し、引用各商標からも「ローラ・アシュレイ」の観念が生じるから、本件商標と引用各商標とは、「ローラアシュレイ」の観念を共通にする類似の商標である。

また、本件登録商標と引用各商標とは、その指定商品も同一又は類似のものである。

<引用各商標>

(ア) 「ローラ アシュレイ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年2月24日に登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く。),歯みがき,化粧品(薬剤に属するものを除く。),香料類」を指定商品として、平成8年11月29日に設定登録された登録第2718140号商標(以下「引用商標(ア)」という。)。

(イ) 後掲(イ)のとおり、子持ち楕円輪郭内の上部に籠字風に「laura」「ashley」の欧文字をやや湾曲させて二段に書し、下部に草花の図形を描いた構成よりなり、昭和60年8月16日に登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成2年12月26日に設定登録された登録第2287225号商標(以下「引用商標(イ)」という。)。

当該商標権は、平成12年7月4日に存続期間の更新登録がされており、また、指定商品については、平成13年2月28日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」とする指定商品の書換登録がされているものである。

(ウ) 後掲(ウ)のとおり、子持ち楕円輪郭内の上部に籠字風に「lauraashley」の欧文字をやや湾曲させて書し、下部に草花の図形を描いた構成よりなり、昭和58年3月11日に登録出願、第4類「せっけん類、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和61年7月30日に設定登録された登録第1875930号商標(以下「引用商標(ウ)」という。)。

当該商標権は、平成9年1月30日に存続期間の更新登録がされている。

(2)商標法第4条第1項第15号について

「LauraAshley(ローラアシュレイ)」の表示は、我が国において、本件商標の出願前から申立人の婦人服、布製品、香水、インテリアデザインサービス等各種商品、役務の商標として周知著名であったから、本件商標が、その指定商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第7号及び同第8号について

「Ashley(アシュレイ)」は、デザイナーであった故ローラ・アシュレイ、息子のデイビット・アシュレイとニック・アシュレイを含むアシュレイ家の著名な略称である。さらに、「LauraAshley(ローラアシュレイ)」は、店舗名であり、申立人の著名な略称となっている。しかして、本件商標の出願にあたり、何らの承諾も得ていない。

(4)商標法第4条第1項第19号について

「LauraAshley(ローラアシュレイ)」商標は、世界25カ国420店舗で使用されている。本件商標が使用されれば、「LauraAshley(ローラアシュレイ)」、「Ashley(アシュレイ)」に化体した信用、名声、顧客吸引力が著しく毀損される。したがって、本件商標の使用は、不正の利益を得、申立人に損害を加える目的を持つものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記のとおり「ASHLEY SENIOR」の欧文字に、その読みを表したといえる「アシュレーセニア」の片仮名文字よりなるところ、該欧文字部分後半の「SENIOR」の文字が、申立人提出に係るデイリーコンサイス カタカナ語辞典(甲第6号証)によれば、見出し語を「シニア〔senior〕」とする項に「年上のほうの、先輩の、上位の、上級の、また、年長者、先輩」の意味を有するものとして掲載されているとしても、本願指定商品との関係において「高齢者向け」の意味合いで、商品の用途、効能、品質等を表示するものと認識、理解されているものと認め難く、かつ、その証左もない。

また、同じく、前半の「ASHLEY」の文字が、リーダーズ英和辞典(甲第6号証)によれば、見出し語を「Ash・ley」とする項に「1 アシュリー《男子名;女子名》.2 アシュリー Laura〜(1925−85)《英国のデザイナー;旧姓 Mountney;ヴィクトリア朝様式の花柄プリントが特徴的;1960年代に洋品店 LAURA ASHLEY を創業した》.」の掲載が認められる。

そして、「Ashley」ないし「アシュレー」の文字が、婦人服を中心としたデザイナーブランドないしは店名として周知著名な「Laura Ashley(ローラ アシュレイ)」の著名な略称といえないこと、次の(2)で述べるとおりである。

そうすると、本件商標の「ASHLEY SENIOR」及び「アシュレーセニア」の各文字は、それぞれ一連に書された構成からなり、構成中の「Ashley」ないし「アシュレー」の文字を殊更、分離・抽出して取引指標として把握しなければならない特段の事情はないといわざるを得ないから、「ASHLEY SENIOR」の文字に相応して「アシュリーシニア」及び「アシュレーシニア」の称呼を、「アシュレーセニア」の文字に相応して「アシュレーセニア」の称呼をそれぞれ生じるものであり、その各称呼は淀みなく一連一気に称呼し得るものである。

また、本件商標は、全体として特定の意味合いを有しないものというべきである。

他方、引用商標(ア)は、その構成前記とおり「ローラ アシュレイ」の文字を書してなり、引用商標(イ)は、その構成前記ないし後掲のとおりなるところ、欧文字部分は図形部分と独立して商取引指標として機能するものであって、その構成文字部分「laura」と「ashley」の文字は二段に纏まりよく表されており、同様に引用商標(ウ)も、構成文字部分「lauraashley」の文字が一連に表されているものである。

そして、引用各商標は、その構成中の「ashley」ないし「アシュレイ」の各文字が著名な略称と認識され、単独に取引指標として把握される事情は認められず、また、婦人服を中心とするデザイナーブランドないしは店名として周知著名な「LauraAshley(ローラアシュレイ)」を離れ考察しても、その構成文字中、前半の「laura」ないし「ローラ」の文字は、欧米の女性名と容易に理解されるものであるから、同後半の「ashley」ないし「アシュレイ」の文字が我が国で知られるものでないとしても、両文字を一体に看取し、欧米女性の人名を表したものとして理解・把握されるものといえる。

そうすると、引用各商標は、それぞれの構成文字に相応して「ローラアシュレイ」ないし「ローラアシュレー」又は「ローラアシュリー」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標と引用各商標との類否を判断するに、上述のとおり、両商標の構成文字中の「ASHLEY(アシュレー)」及び「ashley(アシュレイ)」の文字自体が独立して取引指標として把握される特段の事情もなく、かつ、本件商標から「(ローラ)アシユレイの高齢者・年輩者向け商品」の観念が生じるとは認め難いものであるから、本件商標と引用各商標との観念上の類似を述べる申立人の主張は採用できない。

その他、観念において相紛れるおそれはない。

また、本件商標より生ずる「アシュリーシニア」又は「アシュレーシニア」及び「アシュレーセニア」の各称呼と引用各商標より生ずる「ローラアシュレイ」ないし「ローラアシュレー」又は「ローラアシュリー」の各称呼とは、その音構成において明らかな差異を有するものであるから、互いに聞き誤るおそれはなく、互いに聴別し得るものであり、さらに、外観においても、判然と区別し得る差異を有するものである。

したがって、本件商標と引用各商標とは、その観念、称呼及び外観のいずれの点においても非類似の商標というべきである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人の使用する商標「LauraAshley(ローラアシュレイ)」は、我が国において、本件商標の登録出願前から、商品「婦人服、布製品、香水」等各種商品に使用され、デザイナーブランドないしは店名として、周知著名であることは認められるとしても、申立人の提出に係る甲第7号証ないし甲第105号証は、申立人の関連会社ローラ アシュレイジャパンのホームページ情報(甲第7号証)、ファッション雑誌「マリ・クレール」(1990年11月1日発行)のローラ アシュレイ物語と題するデザイナー ローラ アシュレイ及び申立人の企業展開等の紹介記事(甲第8号証)、同誌(1988年4月1日発行)のローラ アシュレイ 自由ヶ店の紹介記事、在日英国大使館広報部(2003年1月20日)発行の「クオリティ・ブリテン」へのローラ アシュレイ ジャパンの掲載広告(甲第9号証)、雑誌「販売革命」(1985年3月号)の英国のローラ・アシュレイがジャスコと提携/銀座に実験店オープン!!と題して、店舗ローラ・アシュレイの取扱い商品等の紹介記事(甲第10号証)、同誌(1986年5月号及び1987年12月号)の店舗等の紹介記事(甲第28号証及び甲第29号証)、日本経済新聞(2002年8月3日付)でボーダーを使って模様替えとする記事、出願人が取り扱う商品「香水」の例とする電子メール(甲第100号証)、雑誌「マーサ・スチュワート・マーサ」(2003年6月号)へのインテリア商品の掲載広告(甲第101号証)、及び雑誌「VERY」(2001年5月号、6月号、10月号及び2002年1月号)への婦人服ほかの各商品の掲載広告(甲第102号証ないし甲第105号証)であって、これら甲各号証からは、「ローラ アシュレイ」、「LAURA ASHLEY」等の使用ないし掲載事実は認められ、さらに、その他の甲各号証である経済誌、各種新聞においては、「ローラ アシュレイ」ないしジャスコ(イオングループ)との提携企業としての「ローラ アシュレイ ジャパン」に関する店舗展開或いは業績を主とする掲載・報道記事が認められるに止まるものである。

してみれば、申立人の提出に係る甲第7号証ないし甲第105号証からは、単に、「Ashley」、「ASHLEY」及び「アシュレイ」の文字のみを使用している事実は認められず、該文字が申立人の略称ないしは商標として我が国において広く需要者間に認識されている事実は不明というほかなく、その著名性を認めるに足りない。

そうすると、本件商標の構成中に「ASHLEY」及び「アシュレー」の文字を有するとしても、これより直ちに、申立人のデザイナーブランドないしは店名として周知著名な「LauraAshley(ローラアシュレイ)」を連想、想起させるものとはいえないから、本件商標をその指定商品に使用した場合、申立人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。

(3)商標法第4条第1項第7号及び同第8号について

デイビット・アシュレイ及びニック・アシュレイは、前出のファッション雑誌「マリ・クレール」のローラ アシュレイ物語と題する申立人の企業展開等の紹介記事(甲第8号証)によれば、ローラ・アシュレイの息子であり、申立人の主要なデサイナー等であることは認められるとしても、これ以上に、著名なデザイナーであるとか、「Ashley(アシュレイ)」と略称され著名であるとする証左は見あたらないし、上述のとおり申立人のデザイナーブランドないしは店名として、「Ashley(アシュレイ)」と略称され著名であるとする証左も認められないから、本件商標は、他人の氏名若しくは名称の著名な略称を含む商標ということはできない。さらに、本件商標は、前記構成よりなるものであって、それ自体何ら矯激、卑猥もしくは差別的な印象を与えるものでなく、また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとすべき事由はなく、かつ、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。

(4)商標法第4条第1項第19号について

前記(1)で判断したとおり、本件商標と「LauraAshley(ローラアシュレイ)」とは、類似するものでなく、別異の商標と認識、理解されるものであるから、本件商標をその指定商品に使用するとしも、「LauraAshley(ローラアシュレイ)」に化体した信用、名声、顧客吸引力が著しく毀損され、不正の利益を得、申立人に損害を加える目的を持つもと断定する根拠は見あたらない。

(5)以上の(1)ないし(4)とおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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