Trademark Appeal Case
称呼類似の語頭音判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90396(T2002−90396/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4552196号商標(以下「本件商標」という。)は、「PESTGARD」の文字(標準文字)よりなり、平成13年4月19日登録出願、第5類「殺虫剤、殺菌剤、除菌剤、その他の薬剤」を指定商品として、同14年3月15日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、登録異議申立人の引用に係る登録商標、すなわち、「ベストガード」と「BESTGUARD」の文字を二段に併記してなり、昭和62年7月23日登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成2年5月31日に設定登録された登録第2228640号商標(以下「引用商標」という。)と称呼上類似するものであり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 当審において通知した取消理由
本件商標は、引用商標と称呼において類似するものと認められる。
すなわち、それぞれの文字構成から、本件商標は「ペストガード」、引用商標は「ベストガード」の称呼を生ずるものであって、「ペストガード」と「ベストガード」の両称呼を比較すると、これらは、共に6音よりなり、そのうち語頭音において「ぺ」と「ベ」の差異を有するものであるが、「ぺ」と「ベ」は、「ヘ」の半濁音と濁音の微差にすぎず、共に調音位置を両唇音とし、破裂音をもって調音される近似した音であるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されているものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
(1)本件商標は「PESTGARD」の文字(標準文字)よりなるものである。「PEST」は「害虫」の意を有し、「GARD」は「GUARD(防ぐ、守る)」を変形したものであるから、本件商標からは「害虫を防ぐ、害虫から守る」の観念が想起される。
一方、引用商標は「ベストガード」と「BESTGUARD」の文字を二段に併記してなるものである。「ベスト」及び「BEST」は「最もよく、一番よく」の意を有するものであり、「ガード」及び「GUARD」は「防ぐ、守る」の意を有する。よって、引用商標からは「最もよく防ぐ、一番よく守る」の観念が想起される。
したがって、本件商標と引用商標とは、その顕著な差異により、外観及び観念においては非類似の商標である。
(2)本件商標からは「ベストガード」、引用商標からは「ペストガード」の称呼を生じるから、両称呼は語頭音において相違するものである。この語頭音は、称呼識別上、最も重要な役割を占める部分であって、最も強く発音される部分である。したがって、語頭音の相違は、全体の語感、語調に顕著な相違を与えるものである。
さらに、本件商標中及び引用商標中の構成文字である「PEST(害虫)」及び「BEST(最もよく)」は、我が国において一般に親しまれている英語である。そうすると、一般に親しみのない、意味の難解な語ならともかく、「PEST」及び「BEST」のように一般に広く親しまれている語の場合、聴取する者はその意味を直ちに理解することができるから、その音が「ペスト」であるか「ベスト」であるかは明瞭に区別し、認識できるものである。
以上の点を合わせ考えると、本件の場合、両称呼における語頭音の差異が、称呼全体に及ぼす影響は極めて大きいものであって、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が異なったものとなり、聴取する者は両商標を明確に区別することができるものであるから、両称呼を聴き誤るおそれはないというべきである。したがって、本件商標と引用商標とは称呼においても非類似の商標である。
(3)以上のとおり、本件商標と引用商標とは外観、観念、称呼のすべてにおいて非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
5 当審の判断
(1)本件商標についてした先の取消理由は妥当なものであって、本件商標と引用商標とは、称呼において互いに相紛らわしく、その外観、観念の点を考慮しても、なおその出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならない。
すなわち、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際にあっては、口頭又は電話による商取引が普通一般に行われているところであり、商標より生ずる称呼を重要な取引指標とする取引事情があることを勘案すれば、本件商標をその指定商品について使用することにより、需要者はその商品の出所を混同するおそれがあるといわざるを得ず、結局、本件商標は、引用商標と商標において類似するものであり、かつ、指定商品も同一又は類似するものであるから、その登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものといわざるを得ない。。
(2)商標権者は、意見書において、両称呼中相違する語頭音に関して、これが称呼識別上重要な役割を占める部分であって、最も強く発音され、全体の語感、語調に顕著な相違を与えるものであることと、「PEST」及び「BEST(ベスト)」がそれぞれ別個の意味合いを有する語として我が国において一般に広く親しまれたものであること等を挙げ、聴取する者は両称呼を明確に区別することができる旨主張しているが、一般に、語頭部分が語尾部分に比べて称呼識別上重要な要素となることは肯定されるけれども、語頭部分が異なるからといって、直ちに、両称呼が類似しないとの結論が導かれるわけではなく、その余の部分の同一性又は類似性と、語頭部分の類否とを総合考慮して、商標の構成文字全体としての称呼の類否が判断されるべきものである。本件においては、6音構成からなる両商標中5音が同一であり、かつ、語頭部分の相違が半濁音(ペ)と濁音(ベ)という微差にすぎないのであるから、語頭部分の相違は、上記5音の同一性をしのぐものではなく、両商標は、称呼において類似するというべきである。
そして、本件商標及び引用商標は、いずれも、通常の欧文字及び片仮名文字をありふれた字体で横書きしたものにすぎず、外観において特段強い印象を与えるものではないし、また、商標権者の主張するように、前者が「害虫を防ぐ、害虫から守る」、後者が「最もよく防ぐ、一番よく守る」なる意味合いの語として一般に親しまれているものとは認め難く、むしろ、共に特定の意味合いを表現し得ない一種の造語とみるを相当とし、特段の観念を生ずるものではないから、両商標における外観及び観念は、称呼における類似性をしのぐものではない。したがって、両商標は、全体的に観察して類似する商標であるというべきであって、これと異なる商標権者の主張は採用し得ない。
また、商標権者は、過去の異議決定例を挙げて主張するところあるが、それらの異議決定で争点となっている商標は、いずれも、本件商標とは商標の構成を異にし、事案を異にするものであるから、本件商標と引用商標における上記した判断を左右することにはならない。
(3)そうすると、本件商標の登録は、前記法条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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