Trademark Appeal Case
著名商標と結合商標の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90131(T2001−90131/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4434720号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年12月13日に登録出願、別掲のとおり、「E.M.I.JEWELRY ARTS」の文字と図形からなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製宝石箱,貴金属製喫煙用具,身飾品 (「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,放送番組の制作」を指定商品及び指定役務として、同12年11月24日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立人がハウスマークとして使用している「EMI」商標(以下「引用商標」という。)を引用し、
「本件商標は、その構成中に申立人の著名商標である引用商標『EMI』を含むので、引用商標に類似する。したがって、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合には、出所の混同を生ずる。それ故、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。また、本件商標は、引用商標に類似する以上、同第19号に該当する。さらに、本件商標は、申立人の著名な略称でもある『EMI』を含むにもかかわらず、同人の承諾を得ていないものであるから、同第8号に該当する。よって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。」旨述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成13年8月8日付け取消理由通知書をもって商標権者に対して通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
記
申立人であるイーエムアイ グループ ピーエルシーの提出に係る甲号各証によれば、申立人は、世界でも最大級のレコード会社であり、「EMI」の文字からなる商標(すなわち「引用商標」)を申立人のハウスマークとして使用するとともに、レコード、CD等の商品に使用し、常に世界のトップクラスのシェアを維持してきたこと、我が国においては、昭和35年に、東芝との合弁で、東芝音楽工業株式会社を設立し(1973年に東芝イーエムアイ株式会社と商号変更)、引用商標をレコード、CDに使用してきたこと、そして、申立人に関する記事及び東芝EMIの発売に係るレコードに関する記事は、新聞、雑誌にも盛んに取り上げられていたこと、また、申立人は、レコードのみならず、各種エレクトロニクス製品分野でも大手の企業であり、レジャーやテレビ・プロダクションの分野にも進出しており、東芝イーエムアイ株式会社もレコード、CDのほか、録画済みビデオテープ・ビデオディスク、音響・映像機器の販売、各種イベントの企画・制作・実施、放送及び音楽番組の企画等の分野にも進出していたことを認めることができる。
以上の事実によれば、引用商標は、申立人のハウスマークとして、また、申立人の業務に係る「レコード、CD」の商標として、本件商標の出願時においては、既に、我が国における取引者・需要者の間においても広く知られていたものと認めることができる。
しかして、本件商標は、別掲に示すとおりの構成からなるところ、その構成中の「E.M.I.JEWELRY ARTS」の文字は、全体として特定の語義を有するものとして一般に親しまれているものとは認められないばかりでなく、その全体の称呼も「イーエムアイジュエリーアーツ」と冗長なものであるから、容易に、頭字語[いくつかの単語から成る熟語や句を、それぞれの単語の頭文字の連続で略記した語。例えば、「VIP」(VeryImportant Person)の類]と認められる前半の「E.M.I.」の文字部分と「宝石、装身具類の技術」等の記述的意味合いを認識させる後半の「JEWELRY ARTS」の文字部分とに分離して理解・認識されるものということができる。
してみれば、本件商標は、その構成中に申立人の著名な引用商標と同一の綴字を含むものであるから、申立人における事業の多角化の実情をも考慮すれば、商標権者が本件商標をその指定商品、指定役務について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の使用に係る著名な引用商標を想起し、該商品・役務が申立人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品、役務であるかの如く、商品、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記取消理由に対して、商標権者は、その意見を要旨次のとおり述べた。
(1)異議申立の理由が正当性を有し、極めて常識あるものと理解した。
しかしながら、
(2)特許庁が本件商標について第三者である申立人の申立理由を認めるのはよいとしても、取消理由通知の最後における「したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。」という点に対しては反駁する。
すなわち、本件商標については、特許庁審査官の指示に従って、平成12年10月31日に商標登録料を納付後、当該商標権を取得したものであって、商標権者が勝手に商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録した事実はない。取消理由通知は非常に不快である。
特許庁審査官の任務は多忙であることは充分理解できるにしても、本件商標に関しては、申立人の提示した「EMI」に関する社会的な認知度や実績を特許庁審査官も同等に業務上知り得る範囲の情報及び知識として、これを当然取得するに可能な立場にありながら、これを怠り、本件商標の登録査定を行い、商標権者は単に特許庁審査官の指示に従い、当該商標権を取得したものであり、本件取消理由通知に従うことはできかねる。
特許庁は、本件商標の登録査定のあり方を再度調査確認し、本件商標の取得に要した商標登録料の返済を商標権者にしたならば、商標権者は本件取消理由通知に従うことに同意する。
5 当審の判断
本件商標は、上記3の取消理由に示すとおり、その構成中に申立人の著名な引用商標と同一の綴字を含むものであるから、申立人における事業の多角化の実情をも考慮すれば、商標権者が本件商標をその指定商品・指定役務について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の使用に係る著名な引用商標を想起し、該商品・役務が申立人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品・役務であるかの如く、商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるとした上記3の取消理由は妥当であって、取り消すべき限りでない。
商標権者は、上記取消理由に対し、意見書を提出したが、その内容は上記4のとおりであって、実質的反論をしておらず、むしろ、当該理由に正当性があり、その判断を極めて常識あるものと理解した旨述べている。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。