結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35552号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4140257号商標(以下、「本件商標」という。)は、「D2シンチ」」の文字を横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として平成8年9月26日に登録出願され、同10年4月24日に設定の登録がなされたものである。
(1) 請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証から甲第16号証を提出した。
(2) 請求人は、放射性医薬品の製造・販売を業とし、本願商標の権利者と同業者関係にある。そして、本件商標「D2シンチ」が放射性医薬品の品質・用途等を表す文字にすぎないために、請求人が本件商標に係る標章を放射性医薬品に使用した場合、この行為につき被請求人から本商標権の侵害に当たるとして、差止請求を受ける等のおそれがある。
(3) 本件商標の「D2」の文字部分は、商品の品種・形式などを表示する記号・符号として、取引上種々の商品分野において、普通に使用されているところである。
(4) 「D2」の文字部分を指定商品との関係からみると、該文字は、「ドーパミン(カテコールアミンに分類される神経伝達物質の一つ。)レセプターのうち、サブタイプD2」を指称する語であることは、「"RADIOISOTOPES"Vol.39,597 社団法人日本アイソトープ協会1990年発行(甲第5号証)」、「"European Journal of Nuclear Medicine"Vol.18,No.7 Springer-Verlag 1991年発行(甲第6号証)」、「“心の病気と分子生物学”日経サイエンス社 1994年8月24日発行(甲第7号証)」、「"The Role of Brain Dopamine"Springer Sandoz 1989年発行(甲第8号証)」の各「D2」に関する記載事項に徴し認め得るところであり、「D2」の文字が放射性医薬品業界において、商品の品質等を表す語として認識され、使用されている。
(5) 本件商標の「シンチ」の文字部分は、「“コンサイス外来語辞典”株式会社三省堂 1990年1月10日発行(甲第9号証)」によれば、「放射性アイソトープを患者に投与し、放射能の分布状態を測定して作った画像」を指称する「シンチグラム」の略語であると記載されている。
(6) 「“核医学”第33巻7号 日本核医学会 平成8年7月20日発行(甲第10号証)」、「“核医学”第33巻8号 日本核医学会 平成8年8月20日発行(甲第11号証)」、「“核医学”第34巻3号 日本核医学会 平成9年3月20日発行(甲第12号証)」、「“核医学”第34巻8号 日本核医学会 平成9年8月20日発行(甲第13号証)」、「“核医学”第34巻11号 日本核医学会 平成9年11月20日発行(甲第14号証)」において「シンチ」が「シンチグラフィ」の略語として使用されている。また、「“JIS工業用語大辞典”財団法人日本規格協会 1995年11月20日発行(甲第15号証)」においては、「体内に存在する放射性物質の分布状態を体外から検出し、描画する方法」を「シンチグラフィ」と、「シンチカメラなどを用いて、写真フィルムなどに記録された生体又は臓器内の放射性の分布図」を「シンチグラム」と説明されている。
(7) 「“臨床検査医学事典”株式会社朝倉書店 1982年10月20日発行(甲第16号証)」において、「シンチグラフィ」は、「疾病の診断や病態生理の把握を目的として放射性同位元素及びその標識化合物を直接人に投与して、その体内動態又は分布状態の記録をシンチスキャナやシンチカメラ又はガンマカメラを用い体外計測により描出記録すること」と説明され、「シンチグラフィにより得られる記録」を「シンチグラム」と称しており、放射性医薬品業界にあって「シンチ」は、「シンチグラム」、「シンチグラフィ」等の略語として普通・一般的に用いられている語である。
(8) 前述のとおり、「D2」及び「シンチ」の文字は、いずれも本件商標の登録査定日である平成10年4月24日以前から自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、両語が結合されたことにより、全体として新たに自他商品識別機能を具備するに至ったものと解すべき事由もない。
(9) そうとすると、本件商標をその指定商品中、「ドーパミンレセプターの一つのサブタイプであるD2の体外計測するための放射性医薬品」について使用しても、当該商品の品質・用途等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであり、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。
(10)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び第6号に該当し、前記商品以外の医薬品に使用するときは、商品の品質に誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
被請求人は、何ら答弁するところがない。
よって、判断するに、本件商標の「D2シンチ」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、「D2」の文字は、請求人提出に係る甲第5号証及び同第7号証によれば、「D2」は「精神分裂病治療薬を用いた臨床的な実験の結果、抗精神病作用を阻害するドパーミンレセプターの一つのサブタイプ」と認められるものであり、商品の品質等を表す語と認められる。また、甲第9号証によれば、「シンチグラム[scintigram]放射性アイソトープを患者に投与し、放射能の分布状態を測定して作った画像、腫瘍(しゅよう)や炎症などの診断に用いる。邦略してシンチ〈現〉」の記載があり、「シンチグラム」を「シンチ」と略して表されることが認められる。
そうとすれば、「D2」の文字が放射性医薬品業界において、商品の品質等を表す語として認識され、使用されていること、また、放射性医薬品業界おいて「シンチ」は、「シンチグラム」の略語として一般的に用いられている語であることからして、「D2シンチ」の文字は、本件商標の登録査定時には、「ドーパミンレセプターの一つのサブタイプであるD2の体外計測するための放射性医薬品」の品質を表すものとして認識されていたものと判断するのが相当である。被請求人は、この点にも何ら答弁するところがない。
してみれば、本件商標は、「D2シンチ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、指定商品との関係では、「ドーパミンレセプターの一つのサブタイプであるD2の体外計測するための放射性医薬品」の意味合いを認識させるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本件商標登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してなされたものであるから、同法第46条の規定により、その登録を無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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