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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の証拠評価

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第31382号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2639377号商標の指定商品中「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本願商標

本件登録第2639377号商標(以下「本件商標」という。)は、「真葛」の文字を縦書きしてなり、平成3年12月13日に登録出願され、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品(書画および彫刻を除く)屋外装置品(他の類に属するものを除く)記念カップ類、葬祭用具」を指定商品として、同6年3月31日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、同11年11月4日にされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1及び2を提出している。

1.請求の理由

(1)本件商標は、少なくも過去3年以上継続して日本国内において、その指定商品中「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」について被請求人が使用していないものであり、本件商標の原簿謄本(甲第1号証の2)を参照するも、登録された使用権者も存しないものである。

その他、被請求人が本件商標を前記指定商品について使用していないことについて正当な理由も存しない。

(2)したがって、本件商標は前記指定商品に係る登録については、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2.答弁に対する弁駁

(1)本件審判の請求に対し、被請求人は、本件審判の請求に係る商品「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」について、当該商標を使用していることを証明しなければならない処、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)を提出しているので、被請求人の提出した証拠(各乙号証)についてみるに、

1)乙第1号証ないし乙第6号証は、機器購入に係る納入先の請求書で ある。

2)乙第7号証の1及び2は、ガス窯の写真であり、撮影年月日は99 年12月13日であり本件審判請求後の撮影である。

3)乙第7号証の3及び4は、矢印で柚薬・粘土・粕薬の材料を指した 棚の写真

4)乙第7号証の5は、素焼きの状態の陶器、完成した陶器

5)乙第7号証の6は、素焼きの状態の陶器、素焼きの状態の陶器(花 びん)、柚薬の材料等の写真

6)乙第7号証の7及び8は、電動ろくろ、土練器の写真

7)乙第7号証の9は、不明(商品)

8)乙第8号証の1及び9は、粘土購入に係る納入先の請求書である。

9)乙第9号証の1及び2は、草書体による「真葛」の刻印

10)乙第10号証の1ないし34は、制作した陶器の写真(被請求人 の撮影平成12年1月3日)、本件審判の請求に係る商品「花びん、 水盤、風りん、葬祭用具」であることの確認は不明確である。

11)乙第11号証ないし乙第13号証は、証明書は個人的なものであ って、写経の如く文章及び物品の種類まで符合し、信憑性が薄い。ま た、別紙写真からは具体的な商品が特定できず、本件審判の請求に係 る商品であることの特定ができないものである。

12)乙第14号証は、ゴム印の領収書(平成10年6月24日付)、乙 第15号証は、ゴム印の写真、乙第16号証は、すみ下に押印らしき ものがあることを確かめた。これら領収書、ゴムの印の写真、ゴム印 の使用状態を示す帯封からは、本件審判請求の登録前3年以内に、被 請求人が「皿、茶わん、水盤を含む陶器」に本件商標を使用していた か否かは全く不明である。

13)乙第17号証は、被請求人作成の陳述書、該陳述書は、本件審判 請求日前から「皿、茶わん、水盤」等に本件商標を使用していたか否 かについての客観的証左を欠き、信憑性が薄い。

(2)以上のように、被請求人の提出した各乙号証には、商標の使用事実を示す書類とはみられないものがあり、使用の事実を示す写真が提出され、又は添付されてはいても、それらの写真からは、直ちに商品「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」として理解し得ず、それらの写真の撮影年月日は本件審判請求の登録後(乙第10号証の1ないし34は平成12年1月3日)か、また撮影日が不明(乙第11号証ないし乙第13号証)であって、販売状態を示すわけでもなく、単なる物品の写真にすぎず、本件商標が被請求人(商標権者)によって本件審判請求の登録前3年以内に、本件審判の請求に係る商品「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」について、取引の実際において使用されたことを客観的に証明するものではない。

(3)少なくとも業として商品を販売する以上、商標の使用の事実を示す資料として商品に関する取引書類、例えば、売上伝票、納品書、販売実績等の書類は必要不可欠である処、取引上実際に使用された事実を客観的に裏付ける書類の提出がないのである。

(4)したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国

内において商標権者が、本件審判の請求に係る商品「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」について使用していたとは言えないものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)を提出している。

1. 請求人は、本件商標を少なくとも過去3年以上継続して日本国内においてその指定商品中「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」について被請求人は使用していないと主張している。

しかしながら、本件商標の商標権者である被請求人は、次のとおり、3年以上前から継続して前記の指定商品に本件商標を使用している。

2. 被請求人は、真葛焼として世界的に有名となった宮川香山の直系に当り、昭和20年代初期に陶器の製作業務を行っていたが、その後、陶器の製作業務を中断していた。被請求人は、平成2年(1990年)の12月及び翌年の1月に製陶用の電動ろくろ及び灯油窯を購入し(乙第1号証及び乙第2号証)、陶器の製作の業務を再開した。その後、平成6年(1994年)に製陶用のプロパンガス窯、常圧式土練機、陶器の表面にぬる紬薬を攪拌するポットミルなどを購入し(乙第3号証ないし乙第5号証)、平成7年(1995年)11月には更に、製陶用の小型プロパンガス窯を購入して(乙第6号証)、自宅の一角内に設けた製陶の作業場にて陶器の製作の業務を行ってきた。

乙第1号証ないし乙第6号証は、被請求人が平成2年以降購入した電動ろくろ等の陶器製作機器の領収書であり、乙第7号証の1ないし9の被請求人の陶器製作作業場の写真と併せ見れば、被請求人が、平成2年から本件審判請求日以降まで陶器を制作してきた事実が証明される。

乙第7号証の1ないし9は、被請求人の陶器製作の作業場の写真であるが、そこに写されている作業場には、前記の大型及び小型のプロパンガス窯、電動ろくろ、常圧式土練機、ポットミルなどの陶器製作の機材のほか、陶器製作の材料や素焼の状態の陶器及び完成した陶器などが置かれている。また、 釉薬の材料や攪拌後の釉薬も写されている。

3. 乙第8号証の1ないし9は、被請求人が平成9年以降に陶器を製作する為に購入した原材料のうちの粘土についての請求書の一部であるが、これらの証拠により平成9年以降、被請求人は多量の粘土を購入し、手作りではあるが、陶器をある程度量産しており、被請求人が作る陶器は「商品」であったことが証明される。

粘土は、1枚の小皿を作るのに約150グラムを使用するので、これらの粘土で多量の陶器が作られることがわかる。

・乙第8号証の1は、信楽荒土30キログラムと志野土20キログラム を購入した際の請求書である。

・乙第8号証の2は、志野土20キログラムを購入した際の請求書であ る。

・乙第8号証の3は、志野土20キログラムを購入した際の請求書であ る。

・乙第8号証の4及び5は、志野土を各々20キログラム購入した際の 請求書である。

・乙第8号証の6は、信楽荒土30キログラムを購入した際の請求書で ある。

・乙第8号証の7は、並漉粘土20キログラムを購入した際の請求書で ある。

・乙第8号証の8は、白信楽土20キログラムと白御影土20キログラ ムを購入した際の請求書である。

・乙第8号証の9は、黒泥20キログラムを購入した際の請求書である 。

4. 以上のように、被請求人は陶器の製作業務を行ってきているが、平成11年10月よりも3年以上前から被請求人が製作した陶器には、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる「真葛」の商標を陶器自体に刻んで表示するなどして、本件商標を使用してきている。

乙第9号証の1及び2は、本件商標と社会通念上同一と認められる「真葛」の商標を陶器に刻むための柘製の刻印の写真である。

乙第10号証の1ないし34は、被請求人が製作した本件商標と社会通念上同一と認められる「真葛」の商標を刻んで表示した陶器の写真である。

これらの写真は本件審判請求後に撮影したものではあるが、これらの写真に写っている陶器のほとんどは本件審判請求日以前に作られたものである。 被請求人は、1人で手作りにて陶器を作っているので、短期間に大量の陶器を作ることは不可能である。上記の写真から、被請求人が従前からこれらの写真に写されている「真葛」の商標を付した陶器を継続して作っていたことが明らかになる。

本件審判が請求されたのは平成11年10月7日付であり、同年11月26日に審判請求書が被請求人に発送されている。被請求人が答弁書を提出したのは平成12年1月17日であるが、乙第10号証の1ないし34の陶器を、被請求人が手作りにより3か月程度の短期間で制作することは不可能であることから、被請求人は、本件審判請求の登録前に被請求人が陶器に「真葛」の商標を付していた事実が証明される。

5. 被請求人は、種々の陶器を製作し販売してきているが、本件審判の請求に係る指定商品「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」のうち、「花びん」に縦書した「真葛」の商標が使用されていることは、乙第10号証の1及び2の写真(右側の陶器)から、また「水盤」に縦書した「真葛」の商標が使用されていることは、乙第10号証の21及び22の写真から明らかである。

請求人は、これらの写真では商品が明確に把握できない、などと主張するが、これらの写真をみれば明らかである。

また、本件審判の請求に係る指定商品のうち「水盤」について、被請求人は平成9年12月頃及び平成10年2月頃に本件商標と社会通念上同一と認められる縦書した「真葛」の商標を陶器自体に刻んで表示して同商標を使用していたこと、及び同商標が付された「水盤」を販売した事実は、乙第11号証ないし乙第13号証の証明書から明らかである。

被請求人の製作する陶器は、いわゆる手作りであり、大量に生産されるものではない。また、その販売も知人らを通じての販売(いわゆる口こみによる販売)である。

6. 被請求人が製作した陶器自体に「真葛」の文字を刻むための乙第9号証の1及び2の写真に写っている刻印を作成した際のその代金の領収証は紛失してしまっている。しかしながら、被請求人は、平成10年6月に前記刻印と同一業者に前記刻印と同一の態様及び大きさの表示によるゴム印の作成を依頼した。その際のゴム印作成料金の領収証が乙第14号証である。このゴム印は、乙第16号証にあるように、本件商標の付された皿、茶わん、水盤等の陶器販売する際の帯封等に押印して使用してきたものである。乙第15号証の1及び2がそのゴム印の写真であり、乙第16号証の右下の赤色の表示がそのゴム印により押印した印影である。

7. 以上の証拠から、本件審判請求の登録前に少なくとも「花びん」及び「水盤」に本件商標と社会通念上同一性がある「真葛」商標を被請求人が使用してきたことは立証されるが、前記乙第9号証の1及び2に写っている拓製刻印の製作日を証明する資料がないことから、請求人から乙第10号証の1ないし34の写真に写っている陶器が、本件審判請求の登録前に作られたものではない旨の主張がなされることをおもんばかって、乙第14号証の領収証から明らかなように、平成10年6月に作成した前記拓製刻印と同一表示のゴム印の写真を乙第15号証の1及び2の証拠として提出して、かつ乙第16号証によって同ゴム印の使用態様を証明し、それと共に口こみによって「真葛」商標が付された水盤等を購入した人の証明書を乙第11号証ないし乙第13号証として提出し、更に、被請求人の「真葛」商標の使用事実についての陳述書を乙第17号証として提出したものである。

8. 請求人は、取引書類、すなわち被請求人が発行する売上伝票、納品書等の提出があって、取引上商標が実際に使用された事実が裏付けられると主張する。

しかしながら、請求人が主張する取引書類は、商品が大量・頻繁に取引されている場合に作成される書類である。

これに対し、被請求人が制作する陶器は、手作りであり大量生産されるものではない。そして、陶芸家一般がそうであるように、何らかの形で陶芸家として有名になる前は、それが制作した陶器は知人らを通じてのいわゆる口こみによる販売の方法により販売がなされるものである。

被請求人は、世界的に有名となった宮川香山の直系ではあるが、未だ「5代目宮川香山」を名乗るまでに至っていないことから、前記のような販売方法をとっており納品書、売上伝票等の取引書類は作成していない。このようにして販売している被請求人の陶器も手作りではあるが、ある程度量産され販売されており商標法上の商品であることに間違いはない。

したがって、納品書、売上伝票等の取引書類の提出がなければ、商標の使用を示す資料とならないという請求人の主張は的外れの論外の主張である。

9. 以上のように、被請求人が本件審判請求の登録前3年以内に「花びん」及び「水盤」を含む陶器に本件商標と社会通念上同一性がある商標を付し、かつ同商標が付された「水盤」を含む陶器を口こみにて販売してきた事実は十分立証されている。

第4 当審の判断

被請求人は、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)を提出し、本件商標を本件審判の請求に係る商品について使用していると答弁している。

そこで、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)について検討する。

1.乙第1号証ないし乙第8号証について

(1)乙第1号証ないし乙第6号証は、製陶用の各種機器(電動ろくろ、灯油窯、プロパンガス窯、常圧式土練機、ポットミル、小形プロパンガス窯)に関するシンポ工業株式会社が被請求人宛に発行した請求書であって、これらは、本件審判の請求に係る商品のものではない。

(2)乙第7号証の1、2、7及び8は、製陶用の各種機器(機器名を矢印で示している。)と思しき写真であって、これらは、本件審判の請求に係る商品ではない。

乙第7号証の3、4及び6は、釉薬、粘土、釉薬の材料を矢印で示した写真であるが、これらは、本件審判の請求に係る商品ではない。

乙第7号証の5及び6は、素焼の状態の陶器、完成した陶器を矢印で示した写真であるが、棚に積み重ねられた状態のものであり、本件商標の使用に係る商品であることが明確に確認できないものといわざる得ないし、また、使用に係る商標も確認することができない。

乙第7号証の9は、作業台(場)と思しき写真であるが、これらは、本件審判の請求に係る商品ではない。

(3)乙第8号証の1ないし9は、製陶用の各種の土(シガラキアラツチ・信楽荒土、シノヅチ・志野土、並漉粘土、白信楽土、白御影土(細)、黒泥)に関するシンポ工業株式会社及び日本電産シンポ株式会社が被請求人宛に発行した請求書であって、これらは、本件審判の請求に係る商品のものではない。

(4)そうすると、乙第1号証ないし乙第8号証からは、陶器の製作を行っていたことは推測できるとしても、直ちに、本件審判の請求に係る商品についての本件商標の使用の事実を証明したものとは認め難い。

2.乙第9号証ないし乙第13号証について

(1)乙第9号証の1及び2は、商標を陶器に刻むための刻印の写真であり、乙第10号証の1ないし34は、この刻印によって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付された陶器の写真である。

また、乙第11号証ないし乙第13号証は、口こみにより、被請求人の製作した本件商標と社会通念上同一と認められる「真葛」商標の付された水盤等を購入した旨の3人の顧客の証明書であるが、ほぼ同一の内容で、商品の写真を添付して、購入したことを単に述べているものであり、顧客本人が証明しているにすぎないものであって、客観的な証明とはいい難く、信憑性が乏しいものといわざるを得ない。

(2)そうすると、乙第9号証ないし乙第13号証からは、本件商標と社会通念上同一と認められる「真葛」の商標が付された陶器が製作されたことは認められるとしても、被請求人が、少なくとも「花びん」及び「水盤」に

ついて使用していると主張する乙第10号証の1及び2並びに乙第10号証の21及び22を含め、その製作時期、販売時期を客観的に証明したものとは認め難い。

さらに、この乙第9号証ないし乙第13号証と上記第4 1.の乙第1号証ないし乙第8号証(製陶用の各種機器の写真、釉薬・釉薬の材料等を矢印で示した写真、棚に積み重ねられた陶器の写真、製陶用の各種の土の請求書等)との関連性も明確でないことから、その製作時期を確認することができない。

3.乙第14号証ないし乙第16号証について

乙第14号証は、有限会社雅章堂が被請求人宛に発行した平成10年6月24日付けのゴム印(乙第9号証の刻印と印影が同一表示のもの)の領収書、乙第15号証の1及び2は、そのゴム印の写真及び乙第16号証は、そのゴム印の使用状態を示す帯封と認められるものである。

しかしながら、これらのみでは、本件審判の請求に係る商品との関係における実際の使用状況が把握できないものであるから、本件商標の使用の事実を証明したものとは認め難い。

4.乙第17号証について

乙第17号証は、被請求人本人の陳述書であるが、被請求人本人の主張のみでは、客観的な証明とはいい難く、信憑性が乏しいものといわざるを得ないから、本件審判の請求に係る商品についての本件商標の使用の事実を証明したものとは認め難い。

5.むすび

以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠及び被請求人の答弁の理由をもってしては、客観性に乏しく、本件商標の使用の事実を確認することができないから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を本件審判の請求に係る商品「花びん、水盤、風りん、葬祭用具」のいずれについても使用していたことを証明したものと認めることができない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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