結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30817(T2000−30817/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件商標
本件登録第3080965号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年1月12日登録出願、「テクノゲル」の片仮名文字を書してなり、第17類「プラスチック基礎製品」を指定商品として、平成7年10月31日に設定登録されたものである。
2.請求人の主張
請求人は本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件審判請求の登録日から3年以内に日本国内において、その指定商品「プラスチック基礎製品」について使用していない。
(2)被請求人提出の乙各号証(下記製品を含む。)は、同人が本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品に使用した事実を証明するものではない。
(ア)製品Aについて
(a)被請求人は、乙1号証の1及び乙1号証の2を本件商標が指定商品に使用されている梱包状態を示す写真(写)であるとし、また、乙2号証が当該商品の内容物を明らかにする納入仕様書(抜粋)(写)であるとし、さらに、乙3号証が当該納入仕様書に基づく売上伝票(写)であるとしているが、乙2号証(納入仕様書)の商品名欄における「メディカル‐SRX CF1238」(以下「製品A」という。)という記載中の「メディカル」の語よりすると、該製品Aは医療に関するものであることが窺える。
(b)次に、乙2号証(納入仕様書)の「3.構造」等の欄には、被請求人が顧客に納入すべき商品の仕様が記載されているところ、たとえ、当該仕様どおりの納品がなされたとしても、当該商品が医療用のゲルシートとして取引されている以上、(用途等の点からみて)本件商標をその指定商品「プラスチック基礎製品」に使用しているものとはいえないうえ、該乙2号証(納入仕様書)には、安全性の記載・刺激性等といった医療用具としての注意事項が多く記載されている。
したがって、乙第1号証ないし乙第3号証は、「医療用機械器具の部品及び附属品」としての取引書類を示すものであって、本件商標をその指定商品「プラスチック基礎製品」に使用していることを示すものではない。
(イ)製品Bについて
(a)乙第4号証(「心電図測定用電極の製造用プラスチック製シート」及びその梱包状態を撮影した写真(写))(以下「製品B」という。)の商品名欄には、メディカルの省略語「MED」が使用されている。また、乙第5号証は、その完成図を示している。
しかしながら、これらはまさに「医療用電極ゲルパッド」を示すものであって、「プラスチック基礎製品」を示すものではない。
(b)被請求人は、乙第6号証を、乙第4号証と同様の商品が実際に販売されたことを示す売上伝票(写)であると主張している。
しかしながら、乙第6号証の商品及びサイズには、乙第1号証と乙第3号証のような数字や欧文字の整合性がないので、これを乙第4号証と同様の商品とはいえない。
(c)乙第7号証及び乙第8号証は、どのような商品が流通しているのか不明であるだけでなく、被請求人も「心電図測定用電極の製造用の半製品」と述べるに止まっているので、どのようなものか疑わしい。
(ウ)製品A及びBを含む医療用生体電極等の原材料として用いられるプラスチック製シートの拡販のための広告(乙第9号証及び乙第11号証)について
(a)被請求人は、乙第9号証(商品カタログ)を同人の商品の広告頒布のためのものであると述べているが、乙第10号証によれば、該カタログは平成9年5月6日に納品されており、該日付は本件審判請求の登録日前3年よりも前である。
また、乙第9号証中には、「こんな技術が誕生しました」というように、原料としてのプラスチックが誕生したことの紹介と、その特長・用途が示されているにすぎない。
しかも、これらは第1類の「化学品」に属する「原料プラスチック」であって、第17類の「プラスチック基礎製品」ではない。
商品及び役務区分解説(特許庁商標課編)も、「成形等の加工を何等施さない原料としてのプラスチックは、第1類7原料プラスチックに属し、ここには含まれない。」と説明している。
(b)乙第11号証(商品展示会における被請求人の展示ブースの写真(写))も同様に、原料としてのプラスチックを紹介しているにすぎず、「プラスチック基礎製品」の紹介ではない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品「プラスチック基礎製品」に使用したことを証明していないから、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3.被請求人の答弁
(1)被請求人は結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
(2)被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品「プラスチック基礎製品」に使用している。
(ア)製品Aについて
乙第1号証の1及び乙1号証の2(梱包状態の撮影写真)に示す製品Aは、「低周波治療器の電極用導電パッドの製造用プラスチック製シート」であり、それら及び乙第2号証(製品Aの納入仕様書)には、「テクノゲル」商標が表示されている。
製品Aは、ポリエステル系樹脂ネットの中間補強材とシリコンコーティングされたポリエステル製フィルムの表面保護材よりなるアクリル樹脂製ゲル状樹脂シートであって、導電性・粘着性に優れ、低周波治療器の電極用導電パッドの原材料として使用されている。
被請求人は、製品Aをシート状のまま顧客に納品し、顧客は製品Aを打ち抜き導電パッドを製造するので、製品Aは、ある程度の加工が施されている反面、最終製品である低周波治療器の電極用導電パッドの原材料として使用される半製品であることから、本件商標の指定商品「プラスチック基礎製品」に該当する。
乙第3号証(売上伝票)は、「テクノゲル」商標を付した製品Aを2000年4月3日に顧客へ納品したことを示すものである。
(イ)製品Bについて
乙第4号証(梱包状態の撮影写真)に示す製品Bは、「心電図測定用電極の製造用プラスチック製シート」であり、それには、「テクノゲル」商標が表示されている。
製品Bは、ポリエステル系樹脂ネットの中間補強材とシリコンコーティングされたポリエステル製フィルムの表面保護材よりなるアクリル樹脂製ゲル状樹脂シートであって、これは心電図測定用電極において、人体に密着して心臓の発するパルスをキャッチする受電部の原材料として使用されている。
被請求人は、製品Bをシート状のまま顧客に納品し、顧客は製品Bを打ち抜き電線等を取付け、心電図測定用の電極を製造するので、該製品は、ある程度の加工が施されている反面、最終製品である心電図測定用電極の受電部の原材料として使用される半製品であることから、本件商標の指定商品「プラスチック基礎製品」に該当する。
乙第6号証ないし乙第8号証(売上伝票)は、「テクノゲル」商標を付した製品Bを2000年4月24日(書面上2000年4月25日付)、2000年1月26日(書面上2000年1月27日付)及び1999年9月24日(書面上1999年9月29日付)に、顧客へ納品したことを示すものである。
(ウ)乙第9号証及び乙第11号証(製品A及びBの原材料として使用するプラスチック製シートの広告)について
乙第9号証中の樹脂シートは、製品A及びBと同様のものであり、本件商標の指定商品「プラスチック基礎製品」に該当する。
また、乙第9号証の商品カタログには、本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」が表示されている。そして、当該カタログは、医療用生体電極等の原材料として使用される前記樹脂を広告頒布するためのものである。
乙第10号証(納品書)は、平成9年5月6日に「テクノゲルリーフ」商標を付した前記カタログ2000部を印刷会社が被請求人に納品したことを示すものであり、また、乙第11号証(2000年5月24日から27日まで大阪市において開催の商品展示会における被請求人の出展ブースの写真)は、被請求人が前記樹脂に商標「テクノゲル」を付して広告宣伝していることを示すものである。
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品「プラスチック基礎製品」に使用している。
4.当審の判断
(1)本件商標は、「テクノゲル」の文字を書してなり、第17類「プラスチック基礎製品」を指定商品とすること前記のとおりである。
(2)被請求人が本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品について使用しているか否かについて、以下、検討する。
乙第2号証(納入仕様書)中の裁断寸法(巾、長さ、厚さ)、数量及びラベル表示を含む製品規格等の記載並びに被請求人による答弁の全趣旨よりすれば、被請求人提出の乙第1号証(製品Aの梱包状態を示す写真)ないし乙第3号証(売上伝票)における製品A(「低周波治療器の電極用導電パッドの製造用プラスチック製シート」)と乙第4号証(製品Bの梱包状態を撮影した写真)ないし乙第9号証(商品カタログ)及び乙第11号証(商品展示会における被請求人の展示ブースの写真)における製品B(「心電図測定用電極の製造用プラスチック製シート」)は、いずれもアクリル樹脂製ゲル状樹脂シートであって、被請求人が納品した該A及びBを顧客がさらに二次加工して、最終的に医療用機械器具の部品及び附属品とする、いわゆるプラスチックの半加工品であること(顧客が製品A及びBに打ち抜き等の加工を施し、乙第5号証の電極や乙第11号証の導電パッド等を製造すること)を前提として取引されていることが窺い知れる。
それゆえ、これらが最終的に医療用機械器具の部品及び附属品の原材料として用いられ、医療関連の用途に充てられるとしても、それらは医療用機械器具の部品及び附属品(完成品)として直ちに用いられるだけの最終加工が施されていないことよりして、いずれも最終製品でなく、なおかつ、顧客による打ち抜き等の二次加工を伴うことが明らかである。
してみると、これらは加工を何ら施さない原料としてのプラスチック(すなわち、第1類の「原料プラスチック」)であるということはできず、プラスチックの最終製品ということもできないから、結局、製品A及びBは、原料としてのプラスチックの半加工品というべきで、第17類に属する商品「プラスチック基礎製品」であるものといわなければならない。
そして、本件商標と社会通念上同一と認められる「テクノゲル」の文字を表示してなる製品Aに関し、乙第2号証(納入仕様書)が平成11年11月1日に作成され、それに基づく乙第3号証(売上げ伝票)が平成12年4月3日に顧客に対して発行されていること、同様に、「テクノゲル」の文字を表示してなる製品Bに関して、乙第6号証ないし乙第8号証(いずれも売上げ伝票)が平成12年4月25日、平成12年1月27日及び平成11年9月29日に顧客に対してそれぞれ発行されていること、さらに、乙第9号証(商品カタログ)中には、半加工品と認め得る四角形に裁断したゲル状樹脂シートの写真が掲載されていること等の点よりして、本件商標は、その指定商品について、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、使用されていたものというべきである。
(3)請求人の主張について
(ア)請求人は、乙第5号証よりして、製品Bが完成品である電極の部品の関係にある旨述べているが、製品Bは、顧客への納品後、該顧客が二次加工を施して完成させる製品の一例であって、被請求人から顧客に納品される段階では、縦130mm×横450mm×厚さ1.2mm大のアクリル樹脂製ゲル状樹脂シートであること、また、当該製品Bがシート状のまま電極の一部分に取り付けられて使用されるわけではなく、顧客が打ち抜き等の加工を施し、乙第5号証の電極を製造することからすれば、製品Bはプラスチックの半加工品として取引される「プラスチック基礎製品」というべきである。
したがって、製品Bは、乙第5号証の写真に示されている完成品(電極)の部品の関係にあるものではない。
(イ)さらに、取引書類中に「MED」の文字が記載されているからといって、直ちに当該商品を医療用機械器具の部品及び附属品と解さなければならない必然性はないから、これに関する請求人の主張は採用することができない。
(ウ)請求人は、乙第6号証(売上伝票)の商品及びサイズには、乙第1号証と乙第3号証のような数字や欧文字の整合性がないので、これを乙第4号証と同様の商品とは必ずしもいえない旨主張している。
しかしながら、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、商品の品番を取引書類に正確に記すよりも、どちらかといえば、簡略して記載する場合の方が、むしろありがちといえることや被請求人が答弁書の中で、乙第4号証に表示されている「1CC‐1238」の文字を乙第6号証では省略していると述べていること、さらに、乙第6号証の「MED‐CR」の文字が乙第4号証と一致している点で、乙第6号証の製品は、製品Bと同じものであると同人が主張していることを勘案すると、これらに関する被請求人の主張は無理が無く、充分斟酌すべき点と認められる。
(エ)請求人は、乙第7号証及び乙第8号証(いずれも製品Bの売上伝票)が、どのような商品の流通なのか不明であるうえ、被請求人も「心電図測定用電極の製造用の半製品」と述べるに止まっているので、これらは疑わしい旨主張している。
しかしながら、乙第7号証(製品Bの売上げ伝票)には、「テクノゲル MED‐CR」の文字、そして、乙第8号証(製品Bの売上げ伝票)には、「テクノゲル MED‐CR 1F‐S6615」の文字がそれぞれ記載されていること及び答弁書(5頁)において、被請求人が、製品B(「心電図測定用電極の製造用の半製品」)を2000年1月26日(乙第7号証の発行日は2000年1月27日)及び1999年9月24日(乙第8号証の発行日は1999年9月29日)に顧客2社へ納品したと主張している点を勘案すると、これらによれば、全体として被請求人の主張を理由付けるものとみるのが相当であって、たとえ、書面上に若干の齟齬があるとしても、そのことをもって、被請求人の主張が全否定されるものともいえないから、この点の疑義を述べる請求人の主張は採用することができない。
(オ)請求人は、製品A及びBを含む医療用生体電極等の原材料として用いられるプラスチック製シート拡販のための広告(乙第9号証及び乙第11号証)中の乙第9号証(商品カタログ)の納品日(平成9年5月6日)が本件審判請求の登録日前3年(平成9年8月16日)よりも前であるから、被請求人は本件商標をその指定商品について本件審判請求の登録日前3年以内に使用しているものとはいえない旨主張している。
しかしながら、当該カタログの印刷納品時と本件審判請求の登録日前3年内とは、僅かに3月程のずれでしかなく、極めて接近していること、また、この種製品を製造し販売する事業者が自己の商品を流通過程におく場合、少なくとも、商品カタログの納品日から相当程度の期間に至って、それを使って取引の用に供するのが通例であることよりすれば、本件商標「テクノゲル」が乙第9号証のカタログ中の「プラスチック基礎製品」に使用され、本件審判請求の登録前3年内まで継続していたとする点を充分推認させるものであって、本件商標の使用と認め得るものである。
(カ)請求人は、乙第9号証(商品カタログ)には、「こんな技術が誕生しました」というように原料としてのプラスチックが誕生したことの紹介と、その特長・用途が示されているにすぎず、かつ、当該商品が第1類の「化学品」に属する「原料プラスチック」であり、第17類の「プラスチック基礎製品」でないことは、特許庁商標課編「商品及び役務区分解説」でも説明されていると主張している。
しかしながら、平成3年政令第299号による商標法施行令第1条及び同法施行規則第3条別表において定める第1類七における商品「原料プラスチック」と第17類四における商品「プラスチック基礎製品」とは、国際分類全体の構成並びに当該区分に所属すべき商品の例示等よりして、概念上次の明確な違いを有し、かつ、それらの概念分けにより各々の所属区分が決せられるものと解される。
すなわち、第1類に属する「原料プラスチック」の概念には、成形等の加工を何ら施さない原料としてのプラスチックが含まれ、これらに何らかの加工を加えたものは属さないこと。そして、これらの半加工品は第17類プラスチック基礎製品に属すること。また、プラスチックの最終製品は、この概念に含まれないこと。
他方、第17類に属する商品「プラスチック基礎製品」の概念には、プラスチックの半加工品が含まれ、成形等の加工を何ら施さない原料としてのプラスチックは、第1類7原料プラスチックに属し、ここには含まれないこと。なおかつ、これには、最終製品は含まれないこと。
してみると、第1類「原料プラスチック」は、加工を何ら施さない原料としてのプラスチックであるのに対し、第17類「プラスチック基礎製品」はプラスチックの半加工品であり、原料としてのプラスチックに何らかの加工を加えたものであって、最終製品でもなく半加工品であるだけのものは第17類プラスチック基礎製品に属するとするのが正解である。
以上の点よりして、乙第9号証(商品カタログ)の製品は、いずれもプラスチックの半加工品といわなければならないから、17類「プラスチック基礎製品」の概念中の商品というべきであり、したがって、これを第1類の「原料プラスチック」の概念に属する旨述べる請求人の主張は採用することができない。
(キ)請求人は、乙第11号証(商品展示会における被請求人の展示ブースの写真)も、乙第9号証(商品カタログ)と同様に、原料としてのプラスチックを紹介しているにすぎず、「プラスチック基礎製品」の紹介ではないと主張しているが、前出(カ)と同様に、乙第11号証中の商品は、17類「プラスチック基礎製品」の概念中の商品を含んでいると解し得るから、これに関して述べる請求人の主張は採用することができない。
(4)結語
以上のとおり、提出に係る乙各号証及び答弁書における被請求人による主張の全趣旨よりすれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「テクノゲル」を取消請求に係る指定商品「プラスチック基礎製品」について、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において使用していたことを主張・立証し得たものというべきである。
これに対して、本件商標の使用を否定する請求人の主張は、いずれも妥当性を欠くものであって、採用の限りでない
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第2項の規定により、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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