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Trademark Appeal Case

不使用取消:使用商品・商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30051号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第2027976号商標の指定商品中「花又は鉢植え用の包装用シート及びそれに類似する商品」についてはその登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1本件商標

本件登録第2027976号商標(以下「本件商標」という。)は、「リンクル」の文字を横書してなり、第18類「包装用容器、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和61年2月27日登録出願、同63年2月22日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

(1)請求人は、第16類「花又は鉢植え用の包装用シ−ト,包装用シ−ト,紙類,文房具額(「昆虫採集用具」を除く。)」を指定商品とする商標登録出願(平成8年商標登録願第79918号)をしたところ、本件商標を引例とする拒絶理由通知を発せられた(甲第3号証)。それ故、請求人は本件審判請求について利害関係を有するものである。

(2)請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品中「花又は鉢植え用の包装用シ−ト及びそれに類似する商品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が認められず、かつ、それについての正当理由も認めることかできなかった。

したがって、本件商標は指定商品中「花又は鉢植え用の包装用シ−ト及びそれに類似する商品」について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(3)答弁に対する弁駁

▲1▼被請求人の主張は、取消請求に係る商品「花又は鉢植え用の包装用シ−ト」は、「プラスチックス製包装用容器」に属する商品であるということが前提となっている。

しかしながら、この被請求人の主張は、請求人が出願した商願平8−79918号における審査官の認定と明らかに矛盾するものである。

すなわち、新第16類の商品中、旧第18類に含まれる商品と類似関係にある商品は、「紙製包装用容器」があるにすぎない。すなわち、前記商願平8−79918号において審査官が旧第18類の本件商標を引用したのは、「花又は鉢植え用の包装用シ−ト」が「紙製包装用容器」に含まれる商品であると認定した以外には考えられない。

本件取消審判請求における請求の趣旨である「花又は鉢植え用の包装用シ−トおよびそれに類似する商品」について登録を取り消すということは、換言すれは、本件商標登録に対し、「紙製包装用容器」に属する「花又は鉢植え用の包装用シ−トおよびそれに類似する商品」について登録の取消を求めていることになる。

これに対し、被請求人が本件商標を使用しているとする商品は、被請求人が自認しているように、「包装用蒸着プラスチックフィルム」であり、「プラスチックス製包装用容器」に属する商品である。この「包装用蒸着プラスチックフィルム」は、「紙製包装用容器」に属する取消請求に係る「花又は鉢植え用の包装用シ−ト及びそれに類似する商品」とは、明らかに異なる商品である。

したがって、被請求人は、取消請求に係る指定商品について本件商標を使用している事実、すなわち「紙製包装用容器」に属する商品についての本件商標の使用については、何ら証明していないことは明らかである。

また、被請求人は、「花又は鉢植え用の包装用シ−ト」なる概念には、不織布に限られず、紙、布、プラスチックフィルム、蒸着プラスチックフィルムなどの各種材料よりなる花又は鉢植え用の包装用シ−トが含まれていると主張しているが、前述した商願平8−79918号の審査経緯からして、審査官は「花又は鉢植え用の包装用シ−ト」は第16類の商品であると認定していることは明らかであり、被請求人の主張には理由がない。

▲2▼被請求人は、乙第5号証ないし乙第7号証の取引書類を提出して、本件商標の本件取消請求に係る指定商品について使用している事実を立証している。

これらの取引書類は、いずれも「包装用蒸着プラスチックフィルム」に関するものである。

この「包装用蒸着プラスチックフィルム」は、取消請求に係る商品「花又は鉢植え用の包装用シ−ト」とは異なる商品である。それに加え、被請求人が証拠として提出した取引書類などには、いずれも「リンクルキャップ」なる商標が使用されており、本件商標である「リンクル」という商標は使用されていない。

わずかに、乙第5号証の2、第6号証の2及び第7号証の2の各証明願に添付された製造依頼書なる書類の品名の欄に手書きで「リンクル」の文字が見られるが、これらの製造依頼書では商品との関係が不明であり、これらの書類をもって本件商標が「包装用蒸着プラスチックフィルム」について使用されているとは到底理解できない。

また、乙第5号証、乙第6号証及び乙第7号証の2の取引書類で使用されている「リンクルキャップ」と本件商標「リンクル」との関係について述べ、両商標は、社会通念上同一と認められる商標であると主張しているが、「リンクルキャップ」と「リンクル」とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても明らかに相違するものであり、被請求人の主張が理由がないことは明白である。

以上、提出された証拠からは、本件商標が使用されている事実は、何も明らかにされていない。

▲3▼上述したように、被請求人は、取消請求に係る指定商品について本件商標を使用している事実、すなわち「紙製包装用容器」に属する商品について本件商標の使用については、何ら証明していない。

また、仮に、本件取消請求に係る商品が、「プラスチックス製包装用容器」に属する商品に関係があるとしても、本件商標とは全く非類似の商標である「リンクルキャップ」についての使用事実が証明されているにすぎず、本件商標の使用事実については何も証明されていない。

したがって、本件商標は、取り消されるべきである。

3被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。

(1)被請求人は、昭和60年に、塩化ビニルフィルムと蒸着ポリエステルフィルムとを接着剤をライン状に塗布して接着してなる熱収縮性フィルム(乙号証に添付されている商品見本。)の製造を開始し、その用途開発を行った結果、各種包装材用途への商品化に成功したので該フィルムを「リンクル」と命名し、商標を使用した当該フィルムからなる商品「キャップシ−ル」及び「キャップシ−ル用蒸着プラスチックフィルム」の製造・販売を開始し、平成2年から、本件商標「リンクル」を使用した商品「包装用蒸着プラスチックフィルム」の製造・販売を開始し、今日に到っている。

(2)株式会社東京麗光(以下「東京麗光」という。)は、被請求人の小会社であって被請求人の製造する真空蒸着加工品を販売している(乙第2号証及び乙第3号証)。

そして、被請求人は、本件商標の商標権について「東京麗光」に通常使用権を許諾しており、同社は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を商品「包装用蒸着プラスチックフィルム」に使用している。この事実は、乙第5号証の1〜乙第7号証の2の証明書並びに乙第5号証の1〜乙第7号証の2に添付されている注文書(写)、請求明細書(写)、製造依頼書(写)、納品書(写)によって立証する。

▲1▼乙第5号証の1によれば、同号証添付の三菱樹脂株式会社関東支社ヒシレックスグル−プ(以下「三菱樹脂」という。)が東京麗光株式会社(株式会社東京麗光の誤記と認められる。)に対し発行した平成9年11月6日付け注文書及び「東京麗光」が「三菱樹脂」に対し発行した1997年(平成9年)11月13日付け請求明細書に、それぞれ記載されている品名「リンクルキャップ」なる商品が同号証添付の商品見本通りの「包装用蒸着プラスチックフィルム」であった事実が証明されており、乙第5号証の2によれば、同号証添付の「東京麗光」が被請求人に対し発行した平成9年11月7日付け製造依頼書及び被請求人が「東京麗光」にに対し発行した平成9年11月12日付け納品書3通に、それぞれ記載されている品名「リンクル」なる商品及び品名「リンクルキャップ」なる商品が同号証添付の商品見本通りの「包装用蒸着プラスチックフィルム」であった事実が証明されている。

▲2▼乙第6号証の1によれば、同号証添付の「三菱樹脂」が東京麗光株式会社(株式会社東京麗光の誤記と認められる。)に対し発行した平成9年12月2日付け注文書及び「東京麗光」が「三菱樹脂」に対し発行した1997年(平成9年)12月20日付け請求明細書に、それぞれ記載されている品名「リンクルキャップ」なる商品が同号証添付の商品見本通りの「包装用蒸着プラスチックフィルム」であった事実が証明されており、乙第6号証の2によれば、同号証添付の「東京麗光」が被請求人に対し発行した平成9年12月2日付け製造依頼書及び被請求人)が「東京麗光」に対し発行した(平成)9年12月18日付け納品書に、それぞれ記載されている品名「リンクル」なる商品及び品名「リンクルキャップ」なる商品が同号証添付の商品見本通りの「包装用蒸着プラスチックフィルム」であった事実が証明されている。

▲3▼乙第7号証の1によれば、同号証添付の「三菱樹脂」が東京麗光式会社(株式会社東京麗光の誤記と認められる。)に対し発行した平成9年12月16日付け注文書及び「東京麗光」が「三菱樹脂」に対し発行した1998年(平成10年)1月13日付け請求明細書に、それぞれ記載されている品名「リンクルキャップ」なる商品が同号証添付の商品見本通りの「包装用蒸着プラスチックフィルム」であった事実が証明されており、乙第7号証の2によれば、同号証添付の「東京麗光」が被請求人に対し発行した平成9年12月16日付け製造依頼書及び被請求人が「東京麗光」に対し発行した平成10年1月12日付け納品書に、それぞれ記載されている品名「リンクル」なる商品及び品名「リンクルキャップ」なる商品が同号証添付の商品見本通りの「包装用蒸着プラスチックフィルム」であった事実が証明されている。

前記▲1▼▲2▼▲3▼の各取引書類に、それぞれ記載されている品名「リンクルキャップ」なる商品及び品名「リンクル」なる商品の規格内容(品番、厚さ、巾、長さ)が一致している事実から、各取引書類に記載されている品名「リンクルキャップ」なる商品と品名「リンクル」なる商品とが同一のものであることは明白である。

(3)本件商標と商標「リンクルキャップ」との関係

商標「リンクルキャップ」は、本件商標と「キャップ」の文字とを同時に使用しているものであり、該キャップの文字を使用しているのは次の事情によるものである。

即ち、「熱収縮性フィルムを」昭和60年に「キャップシ−ル」及び「キャップシ−ル用蒸着プラスチックフィルム」として商品化し各商品に商標「リンクル」を使用していたが、その当時、「熱収縮性フィルム」の用途を明示するために商標「リンクル」にキャップの文字を付記して使用していたことがあり、平成2年に該熱収縮性フィルムを「包装用蒸着プラスチックフィルム」として商品化し、その製造・販売を開始した後、商品「包装用蒸着プラスチックフィルム」に商標「リンクル」を使用するに際しても、社内では慣習的にキャップの文字を付記していたことがあったので、被請求人の子会社である「東京麗光」においても、本件商標「リンクル」にキャップの文字を付記して使用することがあるという事情によるものである。

被請求人は、キャップの文字が商品「キャップシ−ル」及び商品「キャップシ−ル用蒸着プラスチックフィルム」との関係において各商品の品質や用途などを表示するものであっても、商品「包装用蒸着プラスチックフィルム」との関係においては品質や用途などを表示するものでないことは承知しているが、上記事情と本件商標の使用に当って商品の品質、用途、等級、品種等々を表示する文字や記号が付記されていることが多い商取引の実情とからすれば、「東京麗光」が使用している商標「リンクルキャップ」に接する取引者・需要者によって「キャップ」部分が無視される場合もあり得るといえるので、商標「リンクルキャップ」が商標法第50条第1項に規定されている「...登録商標と社会通念上同一と認められる商標...」と認められる可能性もあり得るところと思料している。

(4)「花又は鉢植え用の包装用シ−ト」と「包装用蒸着プラスチックフィルム」とは同一視し得る商品であり、旧第18類に属し「プラスチックス製包装用容器」であることは明白である。「花又は鉢植え用の包装用シート」なる概念には、不織布に限られず、紙、布、プラスチックフィルム、蒸着プラスチックフィルム等々の各種材料よりなる花又は鉢植え用の包装用シ−トが包含されているから、請求人の主張は妥当性に欠けるものといわざるを得ない。

被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者「東京麗光」が、本件商標を商品「花又は鉢植え用の包装用シート」と同一視し得る商品「包装用蒸着プラスチックフィルム」について使用している事実を証拠(特に、乙第5号証の2、乙第6号証の2及び乙第7号証の2中の各製造依頼書)をもって立証する。

したがって、本件商標は、商標法第50条第2項の規定によって取り消されるべきでない。

4当審の判断

本件取消審判請求の趣旨は、「花又は鉢植え用の包装用シート及びそれに類似する商品」についての登録を取り消す、とするものであるところ、本件商標は、商標法施行令別表(昭和35年政令第19号)に基づき、第18類「包装容器、その他本類に属する商品」を指定商品として登録されたものである。その指定商品中「包装容器」についてみると、「包装容器」には、「紙製、プラスチックス製、不織布製」等の各種材料の包装容器が包含されていることは明らかであるから、本件取消請求に係る商品「花又は鉢植え用の包装用シート」の類似商品であるか否かに関係なく、いづれかの材料の「花又は鉢植え用の包装用シート」に使用していれば、取り消しを免れるというのが相当である。

そこで、被請求人が提出した乙各号証について検討するに、乙第2号証ないし乙第4号証は、会社案内のパンフレット、会社の履歴であって、本件商標を使用している事実は見あたらない。

また、乙第5号証の1、乙第6号証の1及び乙7号証の1は、「リンクルキャップ」を品名とする、証明願、注文書、請求明細書、納品書及び商品見本の証左であって「リンクル」の記載はない。

次に、乙第5号証の2、乙第6号証の2及び乙7号証の2の証明願、製造依頼書、納品書及び商品見本をみると、品名を「リンクル」とする取引書類は、「東京麗光」が平成9年11月7日、同12月2日及び同12年16日付で依頼した「製造依頼書」のみであって、その他の取引書類は全て品名を「リンクルキャップ」とするものである。

しかして、品名として使用している「リンクルキャップ」の文字についてみるに、「キャップ」の文字部分は、被請求人が主張している事実を考慮するとしても、本件取消請求に係る商品の用途、品質等を表示するものとして使用されている証左もないから、「リンクルキャップ」は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められないものであり、本件商標の使用ということはできない。

さらに、乙第5号証の1ないし乙第7号証の2の証明願に添付されている商品見本は、「リンクル121」「リンクルT−126」等表示し「プラスチックス製シート」をカットして貼付してなるにすぎないものであるから、これをもって本件商標の使用ということはできない。

また、乙第5号証の2、乙第6号証の2及び乙7号証の2に添付の各製造依頼書の品名の項に「リンクル121」、「リンクルNo121」、「リンクルT126」の記載は認められるが、これと「包装用蒸着プラスチックフィルム」とを関連付けるに足りる取引書類等の証左は見あたらない

してみれば、前記の製造依頼書のみでは、通常使用権者が本件商標を取消請求に係る指定商品について使用しているものと認定することはできない。

そうとすれば、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本内において、取消請求に係る指定商品について使用していたものということはできない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「花又は鉢植え用の包装用シ−トおよびそれに類似する商品」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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