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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30461号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第2583174号商標の指定商品中「かばん類、袋物及びこれらに類似する商品」についてはその登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2583174号商標(以下「本件商標」という。)は、「FRAU」の文字を横書してなり、平成3年3月4日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として同5年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。

(1) 本件商標は、その指定商品中「かばん類、袋物及びこれらに類似する商品」について、日本国内において継続して3年以上使用されていない。したがって、請求人は、「かばん類、袋物及びこれらに類似する商品」について、本件商標の登録の取消しを求める。

(2) 答弁に対する弁駁

▲1▼ 被請求人は、被請求人が発行する女性誌「FRaU」をブランドイメージとして用いた、バッグ類、衣料品、アクセサリーを含む総合的な商品企画が検討されているとし、その証拠として同企画に係る企画書の写しを提出し、本件商標が使用されていると主張している。

しかしながら、被請求人が示している事実は以下に示すように商標法上の商標の使用に該当しない。

商標の使用については商標法第2条第3項各号において規定されており、本件では同項第1号、第2号及び第7号の各規定が関係するが、被請求人の事業の企画がこれらの規定の使用に該当するとは考えられない。商標法での保護の対象となる業務上の信用は、自他識別力を発揮するように商標を使用しなければ獲得できるものではない。

被請求人は、女性誌「FRaU」に関連したバッグ類等についての商品の企画及び開発を行っているようであるが、実際に市場に売り出されているわけでも、販売に先行して広告が行われているわけでもなく、同企画の関係機関内で使用されているに過ぎないものと思われる。

また、被請求人が発行する女性誌「FRaU」には女性用のバッグ等の記事あるいは広告が掲載されているとは思われるが、これらの事実により、本件商標がバッグ類に使用されていることにはならない。この「FRaU」は雑誌の題号として用いられているので、印刷物への使用であって、バッグ類についての使用にはならない。

以上から、登録商標「FRaU」が「かばん類、袋物及びこれらに類似する商品」について、自他商品を識別するように使用していることが立証されたとはいい難く、本件商標の取消は免れない。

▲2▼ 商標法は使用主義ではなく登録主義を採用しているので、出願の際に現実に使用していることは要求されないが、商標の使用なくして業務上の信用が商標に化体することはないので、将来における使用の意思が要求される(第3条第1項柱書)。

被請求人の答弁書における雑誌「FRaU」ブランドイメージの商品展開と題する部分で、「株式会社サンワールド及びカネボウデザイン研究所より株式会社講談社に提案され」とあり、更に、企画書が株式会社サンワールドにより作成された事実が述べられている。これらの記載から、本件商標が出願及び登録された時点で、被請求人が使用の意思をもっていなかったことが推認される。

答弁書の内容からも明らかなように、現在、被請求人は登録商標を使用するための準備を行っており、登録後4年経過した平成9年12月から使用の意思をもったと推認されることに加え、登録から5年も経過した今日において今だ準備段階で使用することができないのであるから、登録が取消されても仕方がない。

▲3▼ 上述のように、被請求人が登録商標を「かばん類、袋物及びこれらに類似する商品」について使用しているとは認められないし、請求人は、不使用について特別な事情が存在したという主張を一切していない。仮にそのような主張をしたとしても、上記のような事実関係が推認されるので、不使用につき正当な理由があったとは考えられない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証(被請求人は甲第1号証としているが、乙第1号証の誤記と認められるので、「乙第1号証」として扱う。)、資料1及び2を提出している。

(1) 被請求人は、本件商標と同一題号の女性雑誌「FRaU」を発行している。この雑誌の表紙及び裏表紙を甲第1号証として提出する。

この雑誌「FRaU」は、平成4年に創刊され、現在に至るまで継続して発売されており、二十代、三十代の女性読者を中心に広く人気を博している。

雑誌「FRaU」は、上記世代の女性が関心を持つ衣料品や化粧品等を紹介する雑誌であり、当然、女性用のかばん類や袋物は当該雑誌の対象となる商品分野である。

(2) 現在、上記雑誌「FRaU」をブランドイメージとして用いた、総合的な商品企画が株式会社サンワールド及びカネボウデザイン研究所より被請求人に提案され、一部具体的な商品展開が始まっている。この商品企画は去年の12月頃から検討が始まっており、対象商品として本件商標の指定商品たるバッグ類を始め、衣料品、アクセサリーに及んでいる。

同企画書の写しを、添付する使用証明書の資料1として提出する。この企画書は上記企画を推進している株式会社サンワールドが作成したものであって、同企画書の表紙に記載されているように企画書の作成年月日は平成9年12月18日である。同時に、FAXのタイムスタンプは1997年12月19日となっている。

(3) 上記、商品企画に基づいて、バッグの製造販売が計画に乗っている。具体的には、これらバッグは株式会社サンワールドが製造販売するものである。かかる企画は被請求人と共同で進められているものであって、実質的に、被請求人の使用に該当するものである。

これらバッグの具体的企画書を、前記使用説明書の資料2として提出する。

資料2▲1▼に示すバッグは今年(1998年)の秋及び冬向けデザインのバッグであり、資料2▲2▼に示すバッグは来年(1999年)の春及び夏向けデザインのバッグである。これらバッグは未だ製造販売されているものではないが、同資料に示すように、例えば色彩や布地選定まで行われている設計図段階まで具体化されており、既に製造・販売が決まっているものである。

(4) 以上説明したように、現在、本件商標は、指定商品であるかばん類に使用しているといえる。使用説明書の資料1はこれらバッグが本取消審判の請求登録前に作成されたものであることを証明するものではないが、同資料1の、雑誌「FRaU」ブランドの総合商品企画から連続して生まれたものであることは間違いない。この継続性を考えれば本件商標は、本取消審判の請求登録前から連続して使用されているといえる。

このように、被請求人は、本件商標が本件指定商品について、審判の請求登録前に日本国内において被請求人により使用されていることを証明するものであって、本件商標は取り消されるべき商標ではない。

なお、請求人から被請求人に対し、本取消審判を請求する旨の通知はなく、上記使用の事実は、商標権者等が商標法第50条第3項にいう「審判の請求がされることを知った後、取消審判の請求登録前3ヶ月の使用」に該当しない。

4 当審の判断

被請求人の提出に係る乙第1号証、資料1及び2によれば、被請求人が「FRaU」と題する雑誌を発行していること、「FRaU」ブランドを使用する商品の企画が行われ、該商品企画に基づいて「FRaU」の標章を付したバッグの企画が行われていたことが認められる。

しかしながら、上記雑誌中に上記バッグの宣伝・広告が行われていたというようなことを示すものはなく、雑誌の発行そのものは本件商標がその指定商品について使用されていたかどうかとは直接関係のないことである。また、資料1及び2に掲載された「バッグ」は、未だ企画段階に止まるものであり、上記「バッグ」が、本件審判請求の登録前3年以内に実際に製造・販売又は宣伝・広告されたという事実は見出すことができない。

そして、このような単なる商品の企画をする行為が、商標法上の標章の使用に該当しないことは、商標法第2条第3項の規定に照らし明らかである。

その他、これを覆すに足りる証拠の提出はない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって取消請求に係る指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ず、また、被請求人はこれを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、指定商品中「かばん類,袋物及びこれらに類似する商品」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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