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Trademark Appeal Case

不使用取消と商品類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30230(T2002−30230/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第886506号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和44年1月6日に登録出願され、「ROSEL」の欧文字と「ローゼル」の片仮名文字を2段に横書きしてなり、第15類「糸」を指定商品として、昭和46年1月20日に設定登録されたものであるが、指定商品については平成13年1月17日付けの書換登録により、第23類「糸(脱脂屑糸を除く),脱脂屑糸」とされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

(1)本件商標は、その指定商品中、「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」について継続して3年以上日本全国において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)被請求人は、「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」について使用した事実がないとの請求人の主張に対し、アセテート素材の糸についての本件商標の使用を理由に、「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」についての本件商標の使用を主張している。

ここで、現在公表されている基準に則れば、アセテート糸とポリエステル糸とは類似商品となっているが、化学繊維と一言にいっても、数多くの種類のものが存在する現在では、アセテート糸とポリエステル糸は互いに類似していないものと認められるべきと考えられる。

したがって、被請求人の主張に係るアセテート素材の糸は「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」に属する商品とはいえず、被請求人は「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」について継続して3年以上日本国内において使用した事実はないことから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(3)以下、ポリエステル繊維を使用した海島型糸とアセテート素材の糸の類否について述べる。

(a)製法・性質の差異

ポリエステル繊維を使用した糸は、化学繊維のうち、石油・天然ガスなどを原料にした合成繊維を使用した糸であり、PETボトルに使用される素材と同様の素材によりできたものである。この一方で、アセテート素材の糸は、植物繊維であるパルプを原料とし、これに酢酸を化学的に結合させた酢酸セルロースを繊維とした半合成繊維を素材とした糸である。

これら製法の差異から、ポリエステル繊維を使用した糸は、引っ張りの力強い、ほとんど水を吸わず、濡れても早く乾く等の性質を有する。この一方で、アセテート素材の糸は、引っ張り力に弱く、吸湿性を有し、絹に似た光沢や手触り等の性質を有する。

弁駁書に添付する、糸の素材性質の資料(「ポリエステル繊維とアセテート繊維」)において具体的に示されているように、ポリエステル繊維を使用した糸と、アセテート素材の糸の差異は顕著なものである。

両者は、材料、製法、性質のいずれも異なるものであり、そして、ポリエステル繊維を使用した糸は、ナイロンやアクリル、ポリウレタン等と共に合成繊維を使用した糸に分類されるが、アセテート素材の糸は、合成繊維とは種類の異なる半合成繊維の糸として分類されている。

甲第1号証(被請求人が答弁書に乙第1号証として添付したリ一フレット「NaturaI Feeling Acetate」)には、アセテート繊維が、ポリエステルとは異なる半合成繊維であること、吸湿性や防汚性についてもポリエステルとは異なることが図やグラフ等により示されており、半合成繊維であるアセテートが他の繊維と異なる点が説明されている。

(b)用途の差異

このように、ポリエステル繊維を使用した糸とアセテート素材の糸は同じ「糸」であっても、異なる種類の商品として分類されており、両者は用途も全く異なるものである。

すなわち、アセテート素材の糸は、レインコート、プリーツスカート、ズボン等に用いられ、この一方、ポリエステル繊維を使用した糸はブラウス、ふろしき、スカーフ、子供服等に用いられるものである。

(c)商品の主たる需要者の観点

ポリエステル繊維を使用した糸とアセテート素材の糸は、両商品共に、被服等の材料となる布地をつくるための素材であるから、主な需要者は布地製造業者である。

そして、布地製造業者が糸を購入する場合において、ポリエステル繊維を使用した糸とアセテート素材の糸とでは、取引の際に全く異なる別種の商品として判断がなされる。すなわち、需要者(布地製造業者)がポリエステル繊維を使用した糸を購入しようとする場合には、アセテート素材の糸は、商品の用途が異なることから、需要者(布地製造業者)においては購入対象外となっている。

また、この逆に需要者がアセテート素材の糸を購入しようとする場合にも同様のことがいえる。

この点、問題となる商品が、例えば仮に、「ポリエステル繊維を使用した被服」と「アセテート繊維を使用した被服」であれば、被服の需要者は一般消費者であり、また商品の用途も同一となることから、同一又は類似の商標を付した場合に、需要者をして、出所の混同を起こさせ得ると考えられる。

しかし、本件で問題となる商品においては、「糸」という共通点はあっても、主たる需要者が布地製造業者であり、布地製造業者である需要者は、素材の異なる糸を、用途の異なる別種類の商品という視点から区別することが常である。

このように、「糸」の主たる需要者である布地製造業者にとっては、ポリエステル繊維を使用した糸とアセテート素材の糸とは単に性能の程度が異なるというものではなく、全く別種の商品であるということになる。

したがって、両商品は、たとえ同一又は類似の商標を付しても、商品の主たる需要者において出所の混同を生じさせるほどには近似しておらず、非類似の商品である、ということになる。

(d)商標審査基準について

特許庁における審査の基礎となる商標審査基準においては、商品の類否を判断する場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるとされている。そして類似商品・役務審査基準においては、布地の材料となる糸は、その素材の違いによらず、すべて類似する商品として扱われている。

しかし、化学繊維が商品化される以前の基準であればともかく、今日では、新しい繊維を素材とした糸が多数商品化され、その用途も多岐にわたり、需要者もこれらを全く別の商品として区別して扱っている。この取引の現状に対しては、すべての糸を類似商品とする基準はもはや適当でない。

したがって、糸についての類似商品・役務審査基準は、昔の基準をそのまま今日の基準に当てはめるべきではなく、今日の取引実情を反映して、一定の素材ごとに非類似のものとする変更がなされるべきである。

(4)以上、アセテート素材の糸は「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」に属する商品とはいえない。

また、被請求人は、ポリエステル繊維を使用した海島型糸又はこれに類似する商品について、他に本件登録に係る商標を使用をした旨を主張したということにはならない。

したがって、被請求人は「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」について継続して3年以上日本国内において使用した事実はないことから、商標法第50条1項の規定により取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)請求人の申立てによれば、被請求人は、本件商標の指定商品中「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである、とのことである。

しかしながら、本件商標は指定商品「糸」に属する商品に関し、長年自社アセテート素材の商標として現在に至るまで継続して使用され、上記の規定により取消しの対象となるものではないので、以下にその理由を述べる。

(2)まず、当社のアセテート素材に関するリーフレット「NaturaI Feeling Acetate」(乙第1号証)、及び「自然からのプレゼント アセテート・ファブリックス」(乙第2号証)を提出する。

リーフレット「Natural Feeling Acetate」において、アセテート原糸として顕微鏡写真と共に本件商標が掲載されている。リーフレット「自然からのプレゼント アセテート・ファブリックス」においても原糸として本件商標が掲載されている。

この「Natural Feeling Acetate」のリーフレットは現在使用中のものであり、リーフレットの作成年月日の表示はないが、裏面の大阪の電話番号が4桁となっていることから、NTTの番号改正時1999年1月以降に対応したものであることは明らかである。

更に当社が本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に継続的に使用していたことを示すものとして当社の会社案内「Quality of Life l999」(乙第3号証)、「Quality of Life 2000」(乙第4号証)を提出する。

「Quality of Life l999」の17頁、及び「Quality of Life 2000」の13頁にアセテート長繊維としての「ローゼル」が掲載されている。

これらより本件商標が過去3年以内に継続的にアセテート糸の商標として使用されていたことは明らかである。

(3)更に、アセテート糸「ローゼル」の取引を証明する資料としてアセテート糸の取引書類のごく一部を提出する。

実際に素材製品が依頼によって契約出荷され入金される一連の取引の書類である。

まず、出荷依頼書(乙第5号証−1及び同第5号証−2)を受け、その契約を受けた事を確認する糸綿契約明細書(乙第6号証−1及び同第6号証−2)、売約伝票(乙第7号証−1及び同第7号証−2)、実際に出荷についての連絡である出荷案内書(乙第8号証−1及び同第8号証−2)、その取引における支払通知書(乙第9号証−1及び同第9号証−2)となっている。

それぞれは契約No.046295と契約No.047350がすべての書類の通し番号になっている。支払通知書について当該審判証明対象期間のものも追加する(乙第9号証−3及び同第9号証−4)。

そこで、アセテート糸月度出荷依頼において「ローゼル」、及び支払通知書においても「アセテート ローゼル イト」と記載されており、本件商標が糸において使用されていることを示すものである。

(4)乙第10号証は下げ札である。表中央に「Rosel ローゼル」と表示があり、裏面には「ローゼル...アセテート繊維です」との表示がある。

乙第11号証は、その下げ札の製作・管理をしている(株)テイビの管理リストであり、1999年2月26日に製作及び残数28000枚から始まり1999年3月には5万枚が作成されている。それらの下げ札は糸の出荷に伴って取引先に配布されるものであり(株)テイビにおいて発注という形として管理リストでは発注No.となっている。その出荷を証明するものの一部として、以下のそれぞれについて出荷案内書及びラベル支給依頼書兼確約書を提出する。

発注No.と指図番号が対を成している(乙第11号証及び同第12号証の1〜5)。

(5)以上の事実のとおり、本件商標は指定商品について本件審判請求登録前3年以前より現在に至るまで継続して使用されていることは、乙各号証より明白であるから、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

4 当審の判断

本件審判において被請求人より提出された乙第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)によれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、「アセテート糸」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことが認められる。

しかしながら、請求人は、アセテート糸とポリエステル糸は互いに類似しない商品と考えられるものであり、被請求人が本件商標の使用を主張している「アセテート糸」は、本件審判の請求に係る商品「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」に属する商品とはいえず、被請求人は、取消請求に係る商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実はないから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨を主張しており、この点について当事者間に争いがあるので、以下、この点について判断する。

まず、本件商標の指定商品及び商品の区分は、前記のとおり、第23類「糸(脱脂屑糸を除く),脱脂屑糸」であるところ、商標法施行規則第6条に定める別表によれば、第23類「糸」として「綿糸類、麻糸、絹糸、毛糸、織物用化学繊維糸、織物用無機繊維糸(石綿糸を除く。)、混紡糸、より糸、縫い糸、織物用特殊糸、脱脂屑糸」が例示されている。そして、ここに例示されている糸は、織物用の糸で、これを材料(素材)別にまとめたものと認められる。さらに、上記の例示中「織物用化学繊維糸」に含まれるものとしては「合成繊維糸、再生繊維糸、半合成繊維糸」が例示されている。

しかして、請求人より提出された弁駁書の「添付資料」によれば、本件審判の請求に係る商品「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」は、その材料表示からみて「(ポリエステル系の)合成繊維糸」に属するものと認められるものであり、他方、被請求人が本件商標の使用を主張している「アセテート糸」は、アセテートを素材とするものであるから「(セルロース系の)半合成繊維糸」に属するものと認められるものである。

そうとすれば、これら両商品は、材料、製法及び性質に違いがあり、それぞれの特性を活かした用途に使用されるとしても、数ある糸の種類中、共に同種の「織物用化学繊維糸」に属する商品であって、その生産部門、販売部門及び用途において一致することの多い類似の商品といえるものである。

してみると、被請求人の使用に係る「アセテート糸」は、本件審判の請求に係る商品「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」中に含まれるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により本件審判の請求に係る商品「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」について、使用されていたものと認めることができるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、指定商品中の「ポリエステル繊維を使用した海島型糸及びこれに類似する商品」についての登録を取り消すべきものではない。

よって、結論のとおり審決する。

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