結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30696号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
I 本件商標
登録第1576357号商標(以下「本件商標」という。)は、「マッハ」の片仮名文字を横書きしてなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和55年1月17日登録出願、同58年3月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
II 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1.被請求人は、本件商標の指定商品中「潤滑油用添加剤及びその類似商品」について使用されていない。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、請求人は本件審判を請求するについて利害関係を有しない旨主張するが、商標法第50条第1項の請求人適格については、平成8年(法律68)の一部改正により、「何人」にも認めることとした。したがって、請求人の平成10年7月10日付審判請求書は、平成10年8月5日に審判の請求の登録がなされたものであるから(甲第2号証)、上記平成8年の一部改正が適用されるものである。
(2)被請求人は、本件商標を指定商品中の「浄化槽活性化剤」について、本件審判請求の登録日前3年以内に使用しているとして、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第4号証の証拠価値については、以下に述べる理由によりいずれも否認する。
▲1▼乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が本件商標を商品「浄化槽活性化剤」に使用した売上実績とその返品実績を示す一覧表(平成5年ないし同9年)であるが、その事実を示す売上実績が全然示されていないので、立証価値はない。
▲2▼乙第2号証について
乙第2号証(パンフレット)には、その発行年月日が示されてなく、その記事内には発行日として昭和63年4月21日(木)か明示され、また、納期として「昭和 年 月 日」が示されていることよりすれば、このパンフレットの使用開始時期は少なくとも昭和63年4月21日以前のものであることが推認できるので、本件請求の登録日前3年以内の使用事実を立証することにはならない。
▲3▼乙第3号証について
乙第3号証(パンフレット)には、その発行年月日が示されてなく、その他、記事内容にも使用時期を示す記載はなく、僅かに被請求人の営業所を示す東京の局番が現在(平成3年1月1日以降)は4桁であるが、これが3桁になっていることからすれば、少くとも平成3年以前に発行されたパンフレットであることが認められるので、本件登録の請求日前3年以内の使用事実を立証するものではない。
▲4▼乙第4号証について
乙第4号証(パンフレット)には、その発行年月日が示されてなく、その他、記事内容にも使用時期を確定する記載はない。
僅かに「浄化槽設置(年間)伸長」を示すグラフによれば、昭和40年度、昭和58年度及び昭和60年度の対照年度が示されているので、少くとも昭和60年後に使用されたパンフレットであると推認することができる。しかして、それが本件請求の登録日前3年以内の使用とすることには無理があり、到底容認することはできない。
(3)上記理由により、本件審判請求については請求人適格を有するものであり、また、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者、または通常使用権者のいずれもが、本件請求に係る指定商品について使用していた事実を認めることはできないものである。
III 被請求人の主張
被請求人は、「本件請求は却下する、もしくは本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1.請求人の利害関係
請求人は、本件審判を請求することについての利害関係を有しないものである。
したがって、本件審判請求は不適法であるから、審決をもってこれを却下すべきである。
2.本件商標の使用について
(1)審判請求人は本件商標権中「潤滑油用添加剤及びその類似商品」を取り消すとあるが、この表現は商品の類似の範囲が極めて不明確であって、「その類似商品」とは、第1類「化学品」中「のりおよび接着剤」を除く総ての「化学品」か、または、「化学品」中「化学剤」のみか鮮明さに欠けるものである。
(2)本件商標は、本件審判請求の登録日前3年以内に、指定商品中「化学剤」の範疇に入る「浄化槽用活性化剤」について使用されている。
本件商標は、昭和63年発売の「浄化槽用活性化剤」はその後生産量はごく少量であるが、依然として、一般市場に流通していることも事実である(乙第1号証)。
1993年(平成5年)市場において流通しているもの 8個
1994年(平成6年)市場において流通しているもの 85個
1995年(平成7年)市場において流通しているもの 41個
1996年(平成8年)市場において流通しているもの 21個
1997年(平成9年)市場において流通しているもの 6個
そして、1998年(平成10年)市場において流通している実際の個数は現在は、把握できない。
なお、使用していることを立証するパンフレットを提出する(乙第2号証ないし乙第4号証)。
前記したとおり、販売個数の残が少なくても、依然として商品として市場に流通している以上、商標の不使用の対象にならないことは明らかである。
IV 当審の判断
1.利害関係について
平成8年6月12日法律第68号をもって改正された商標法第50第1項は、その施行日を平成9年4月1日とするものである。したがって、平成9年4月1日以前に請求された同条の審判の請求人適格については、利害関係人」に限られるとされていたが、上記改正により「何人」にも認めることとなった。
してみると、本件審判を請求するにつき、請求人は利害関係を明らかにしなくても、これをなすことができるものであるから、本件審判を請求するにつき、請求人は利害関係を有しないとする被請求人の主張は失当といわざるを得ない。
2.本案に入って審理する
(1)取消に係る商品について
本件審判の取消請求に係る商品は、「潤滑油用添加剤及びその類似商品」であるところ、「潤滑油用添加剤」は、潤滑油の品質、性能等を高めるため添加されるものであり、例えば、酸化防止剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、腐食防止剤、防錆剤、消泡剤などが添加剤として用いられる。そして、これらの添加剤は、各種化学物質を主原材料にする商品であり、化学剤ないし界面活性剤の範疇に属する化学的商品と認められる。
また、「その類似商品」は、上記したように、潤滑油用添加剤が各種化学物質を原材料とするにする化学的商品であり、工業原料等として使用される化学的基礎製品の有機工業薬品、無機工業薬品とは、原材料と製品という密接な関係にあるばかりでなく、生産者をも共通にする場合が多いから、化学剤ないし界面活性剤を含めた「化学品(但し、のり及び接着剤を除く)」といわなければならない。
一方、被請求人が、本件商標を使用しているとする「浄化槽用活性化剤」は、乙第2号証ないし乙第4号証によれば、バクテリアと酵素を応用した商品で、水洗トイレの消臭効果を有するとともに浄化槽内の活性化を行う商品と認められ、消臭剤として公衆衛生用薬剤としての性質を持つと同時に活性化剤として化学剤としての性質をも持つものということができる。
(2)被請求人が、本件商標を指定商品中の「化学剤」の範疇に属する「浄化槽用活性化剤」に、本件審判の請求の登録日前3年以内に使用しているとして提出した乙第1号証ないし乙第4号証についてみるに、
▲1▼乙第1号証について
乙第1号証は、1993年度から1997年度までおける商品「浄化槽 活性剤 マッハ」の売上数量と返品数量を一覧表にしたものと認められるところ、記載事実を裏付ける証拠の提出がないものであるから、客観的証拠力に欠けるものであり、また、該一覧表によれば、1993年度から1997年度までの間の売上数量は「0」であり、1993年度以降には商品の取引が存在しなかったと窺わせるものといえる。
▲2▼乙第2号証について
乙第2号証は、「浄化槽活性剤 マッハ」のリーフレットと認められるところ、その発売日が「昭和63年4月21日」であることが認められるが、該リーフレットの「キリトリ線」以下に記載されている「マッハ注文申込書」の申込年月日と認められる「昭和 年 月 日」、及び「納期」覧の「昭和 年 月 日」の記載からすると、該リーフレットが本件審判の請求の登録日である平成10年8月5日からその前3年である平成7年8月頃の間に使用されていたものとは、商取引の経験則上考え難いものである。
▲3▼乙第3号証について
乙第3号証は、「浄化槽活性剤 マッハ」のリーフレットと認められるところ、その作成年月日は不明であるが、右下覧に記載された「(株)白元」の各営業所中、東京の市外局番である「03」の付いた電話番号をみるに、東京の電話番号は、平成3年1月1日に最初の3桁が4桁に変更されたところであるが、ここに記載されている電話番号は、3桁のままであり、該リーフレットが本件審判の請求の登録日前3年である平成7年8月頃に使用されていたものとは認め難いところである。
▲4▼乙第4号証について
乙第4号証は、乙第3号証と同様、「浄化槽活性剤 マッハ」のリーフレットと認められ、その作成年月日は不明である。
そして、該リーフレットが本件審判の請求の登録日前3年である平成7年8月頃に使用されていたと認めるに足りる記載は何ら見当たらない。
▲5▼してみると、乙第1号証ないし乙第4号証によっては、本件商標がその指定商品中の「化学剤」の範疇に属する「浄化槽用活性化剤」に、本件審判の請求の登録日前3年以内に使用していたと認めることはできない。
3.被請求人は、上記II2.の弁駁に対して何ら答弁するところがない。
4.以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国において、本件商標を取消請求に係る商品について使用していなかったものといわざるを得ない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「潤滑油添加剤及びその類似商品」について取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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