結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第31106号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2390064号商標(以下、「本件商標」という。)は、「天仙」の漢字を横書してなり、第1類「薬剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成1年4月17日登録出願、同4年3月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第6号証(枝番号を含む)を提出している。
2ー1 請求の理由
(1)請求人が市場を調査したところ、本件商標がその指定商品中「薬剤」について少なくとも過去3年間に、被請求人又はその使用権者等によって使用された事実を見出すことができなかったものである。
すなわち、被請求人たるダイヤ製薬株式会社は、水虫治療剤として三ツ星ダイヤ軟膏を創業以来、当薬品業界において他の追随を許すことなく販売してきたものであり、かつ、その他の商品としては、三ツ星ダイヤテート液、ニッポーダイヤナチュラル、ニューサンユホツト、ムンハップ、ニューサンユクール等を販売してきたものである。しかしながら「天仙」を商標とした「薬剤」については、およそ販売・使用されていないものである。
したがって、被請求人は、本件商標を商品「薬剤」については、現在及び過去3年に亘り使用していないものと確信する。
(2)以上のとおり、本件商標の登録は、指定商品中「薬剤」については商標法第50条第1項の規定にしたがって取消すことができ、よって請求人は、上記請求の趣旨のとおり本件商標の取消し審決を求めるものである。
(3)請求人は、本件商標と同一もしくは類似の商標について「薬剤」を指定商品として使用したいと欲するものであり、かかる商標について平成10年10月26日付で既に商標登録出願(甲第3号証)していることを申し添える。
2ー2 弁駁の理由
(1)本件取消審判に対し、被請求人は商品「薬剤」について本件商標を過去3年間において継続して使用しており、現在においても継続して使用していると主張し、種々の証拠を提出しているので、これに対し請求人は、以下の如く弁駁する。
(2)過去3年間の使用
被請求人は、本件商標の過去3年間における使用の証拠として、納品書のコピー(相手先:ノーラブランド社)を7通提出している。
しかしながら、本件取消審判の請求の登録日が平成10年11月25日であるので、過去3年の始期は少なくとも平成7年11月25日でなければならない(商標法第50条第2項)。
したがって、平成7年9月以前の日付の5通の納品書は商標使用のための証拠とはならない。
そこで、証拠となり得る残り2通の納品書には、確かに商品「天仙」に関するものを単価3、500円にて相手先「ノーラブランド社」に対し販売した事実が一応推測される。
ところが、この2通の納品書における被請求人の電話欄における市外局番が「0744」と印刷され、また市内局番が「28」となっており、この点に多大なる疑問を抱くものである。すなわち、奈良県橿原市の市外局番が「0744」局に変更されたのは、平成9年6月1日からであって、平成8年8月においては「07442」であったはずである。そして、その時点における市内局番は1桁であって2桁になったのは、同じく平成9年6月1日からであったはずである。これ等の点を明確に記載したNTT奈良支店の電話案内(甲第4号証)を証拠として提出する。
したがって、上記日付の平成8年8月においては「07442」であったはずの市外局番が、納品書において、その時点では到底使用されていなかった平成9年6月以降の市外局番である「0744」となっており、また市内局番が2桁となっているのは全く理解に苦しむところである。更には、前記したより古い平成5、6、7年の各納品書においても全く同じ新局番である「0744」が使用され、市内局番が2桁となっており、これ等各証拠としての信憑性に大いに疑問を抱くものである。
この点を請求人が推測するに、前記各納品書は平成10年以降に印刷されたものを過去分に利用したものではないか、と考える以外理解し難いところである。
よって、上記各納品書において、何故市外局番に新局番が使用され、かつ2桁の市内局番が使用されていたのか釈明を求めると共に、上記各納品書が納められた「ノーラブランド社」の納品責任者の証明を新たに求めるものである。
更にまた、被請求人の製品の販売先は、上記ホームページによると、日邦薬品工業株式会社となっていて、ノーラブランド社の名称は記載されておらず、何故日邦薬品工業の証明がないのであろうか、その釈明も求めるものである。
また、本件審判事件に関し、先に被請求人より提出された証拠の信憑性に重大な疑義があるので、上記納品書の担当者が釈明し、また新たな証明をしたときは、それ等各人を証人として特許庁の審判廷における口頭審理による証人尋問を請求する所存である。
(3)登録商標と使用商品の関係
被請求人は、本件商標と使用商品との関係について、以下のように説明している。
すなわち、被請求人は自ら製造発売していると称する商品パッケージ、商品小包(乙第1号証)と、商品説明書(乙第3号証)に本件商標を付していると主張し、これら商品パッケージと、商品小包(乙第1号証)に関しては写真を提出し、商品説明書(乙第3号証)は現物を提出している。
そこで、上記商品パッケージ(乙第1号証)の写真によると、箱の背面部(4枚目の写真)には、「飲み方」の説明として、以下のように記載している。
「本品1包を、約200ccの水、又はお湯に溶かしてお飲み下さい。」
そして、答弁書において「本商品のパッケージの中に添えている」として現物が提出された商品説明書(乙第3号証)によれば、同じ商品の「飲み方」の説明として、以下のように記載している。
「1袋を約600ccの温湯又は冷水に溶かして・・・お飲み下さい。」
同じ商品でありながら、外箱の説明と、商品説明書の説明とで、溶かす水の量を何故200ccと600ccの如く3倍もの差があるのであろうか。本件の商品はいやしくも「薬剤」である。この薬剤の飲み方として、このような一貫性のない、いい加減な説明が何故なされたのであろうか。
思うに請求人は、商品パッケージと、商品説明書(乙第3号証)は全く関連性のないものか、実在しないものを組み合わせたものではないかと推測するものである。
(4)使用商品と指定商品の関係
被請求人は、「本商品は旧第1類『薬剤』中の『滋養強壮変質剤』に含まれるものであり、特にその中の『糖類剤』又は『無機質製剤』に該当するものである。」と主張している。
そこで請求人は、被請求人が答弁書において主張する商品「糖類剤」又は「無機質製剤」が「滋養強壮変質剤」、すなわち「薬剤」に該当するものか否か、具体的には被請求人の商標「天仙」を付して販売していると称する商品「無機質補給剤」が薬事法の認可を受けているものか、その立証を求めるものである。
上記商品「無機質補給剤」が薬剤であるとするならば、当然に薬事法の認可を受けているはずである。もし仮に、薬事法の認可のない商品であるとするならば、それは新第29類の健康滋養食品か、新第32類の清涼飲料かに該当し、本件商標をその指定商品(旧第1類)に使用していることにはならないのである。
(5)被請求人の製品:健康滋養食品(リンゲル糖)
請求人において、被請求人の製造販売している商品を調査したところ、商品名「リンゲル糖」の名の健康滋養食品が存在することが判明した。甲第6号証として、その製品外箱のコピーを提出する。この製品は、前記した甲第5号証のホームページ製品紹介欄の最下段に掲載されている。
そして、この甲第6号証によれば、以下の事実が判明した。
この製品外箱の背面部には商品の効能書が表記されており、この効能書と、被請求人によって提出された乙第3号証の商品説明書の内容が、対比表(甲第6号証の1)に示すように、赤下線部分を除き同一といえるほど極似していることが判明した。同じ会社から製造された「健康滋養食品」と薬剤であると称する「無機質補給剤」の効能書が何故これほど極似しているであろうか、被請求人に釈明を求めるものである。
(6)以上の4点において、請求人は、被請求人が提出した各証拠の信憑性に多大なる疑問を抱くものであり、現実には本件商標をその指定商品である「薬剤」について使用していないものと認識するものである。
しかるに、被請求人は本件商標を取消請求にかかる商品について使用していないので、本件商標は、その指定商品「薬剤」については取り消されるものである。
3被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と主張し、その理由を下記の通り述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至同第3号証を提出している。
答弁の理由
(1)請求人は、本件商標について「被請求人は本件商標を商品『薬剤』については、現在及び過去3年に亘り使用していない」とし、指定商品中「薬剤」について登録の取消しを求めている。
(2)しかしながら、請求人の事実認識には誤りがある。すなわち、商標権者たる被請求人は「薬剤」について本件商標を過去3年間において継続して使用しており、現在においても使用している。
具体的には、被請求人は自ら製造発売している商品パッケージ、説明書、小包に本件商標を付している。本商品は旧第1類「薬剤」中の「滋養強壮変質剤」に含まれるものであり、特にその中の「糖類剤」又は「無機質製剤」に該当するものである。
乙第1号証は、本商品の写真であり、乙第2号証は過去の本商品の納品書の写し、乙第3号証は本商品のパッケージの中に添えている商品の説明書である。
(3)以上から明らかなように、被請求人は指定商品「薬剤」について、本件商標を現在及び過去3年間において使用しているので、請求人の主張は当を得たものではない。
被請求人が本件商標を継続して本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において取消請求に係る指定商品について使用していた事実を証する書面として提出した7通の納品書(控:乙第2号証)に記載された電話番号は、被請求人の所在地である奈良県橿原市において平成9年6月1日付けで変更採用された電話番号であることが、請求人提出の甲第4号証によって認められる。
そして、前記7通の納品書(控)の作成日がいずれも平成9年6月1日以前の日付である事実よりすれば、該納品書(控)が被請求人によって適正に作成されたものかどうか疑わしいものというべきであり、かつ、この点に関して釈明を求める請求人の主張に対して、被請求人は何ら応答していない。
また、請求人は乙各号証について他に幾つかの疑問点を指摘し、その釈明を求めているが、この点に関しても被請求人は何ら応答していない。
さらに、他に本件商標に関し、その使用の事実を認めるに足る証拠の提出は見当たらない。
してみれば、被請求人は、本件商標を継続して本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用していなかったものといわざるを得ず、また、これを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「薬剤」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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