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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30704(T2002−30704/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3037400号商標(以下「本件商標」という。)は、平成4年5月25日に登録出願され、「DESKARTES」の欧文字を横書きしてなり、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク・同磁気テープ,電子計算機その他の電子応用機械機具及びその部品」を指定商品として、同7年4月28日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、商標登録第3037400号の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

2 請求の理由

本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

3 答弁に対する弁駁

被請求人の提出する乙第1号証ないし乙第5号証によるも、本件商標の商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることは一切証明されていない。また、被請求人は、株式会社ポイントニッチを代理店とし、デスカーテス商標を冠するソフトウエア製品の販売を日本において現在まで継続している旨主張しているが、株式会社ポイントニッチが、本件商標に係る専用使用権者又は通常使用権者であることについての証明は一切なされていない。

上記事実のみでもって、被請求人の提出する乙第1号証ないし乙第5号証からは、本件商標の使用の証明はされていないというに十分であるが、被請求人の提出する証拠方法に関し、以下の点を念のため指摘する。

(1)乙第1号証について

乙第1号証のどこにも、本件商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)が、商標として使用されている箇所は見当たらない。

(2)乙第2号証について

乙第2号証には、「DeskArtes Design Expert」又は「DeskArtes Industrial Design System 4.2」の表示が散見される。しかしながら、それらの表示が商標として使用されていることが証明されているとはいえない。仮に、それらの表示が商標として使用されているとしても、それらは、いずれも一連の構成からなるものであり、決して「DeskArtes」ではない。また、仮に百歩譲って、同表示中の「DeskArtes」のみが商標として使用されていると認め得るとしても、「DeskArtes」と本件商標「DESKARTES」は、社会通念上同一とは認められない。

すなわち、本件商標「DESKARTES」は、不可分一体に捉えられるものであり、同商標からは「デスカーテス」又は「デスカルテス」の自然的称呼が生じるものと考えられる。一方、「DeskArtes」の文字からは、その構成文字中の「D」及び「A」のみが大文字で、残る文字は全て小文字で書されていることから、「デスクアルテス」の自然的称呼が生じるものと考えられる。

してみると、本件商標と上記「DeskArtes」は、その外観のみならず、称呼も異にするものであり、到底、社会通念上同一のものとは認められない。

(3)乙第3号証について

乙第3号証は、DeskArtes Oyという会社の紹介であり、同資料中には、会社名として「DeskArtes」の表示が使用されているが、商標として本件商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)が使用されている事実は認められない。なお、同資料中の「DeskArtes Expert Series」の表示は、商標として使用されているのか、また、いかなる商品に係るものであるのか明確ではないが、仮に同表示が商標として使用されているとしても、同表示と本件商標とは、到底、社会通念上同一のものとはいえないし、仮に百歩譲って、同表示中の「DeskArtes」のみが商標として使用されていると認め得るとしても、「DeskArtes」と本件商標とが社会通念上同一とは認められないことは上述のとおりである。

(4)乙第4号証について

乙第4号証は、2頁目も含めて、日本アイ・ビー・エム株式会社から株式会社ポイントニッチに送られた書簡であり、何ら本件商標権者に係るものではない。また、同書類に係る情報が実際にどのような形で日本アイ・ビー・エム株式会社のカタログに掲載されているのかも不明である。

(5)乙第5号証について

乙第5号証に係るCD−ROMからは、当該商品が本件審判の請求登録前に日本国内において配布され流通していたことは何ら証明されていない。なお、提出されたCD−ROMに記録されているファイルの日付を確認したところ、最新の更新日付は、2002年8月30日となっており、同日付は、本件審判請求の予告登録の日よりも後のものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証を提出した。

被請求人は、株式会社ポイントニッチを代理店とし、デスカーテス商標を冠するソフトウエア製品の販売を日本において現在に至るまで継続している。

乙第1号証において、デスカーテス製品の取引販売が平成13年に成立している一例を証明する。乙第2号証において、デスカーテス製品の販売活動としてフィンランド大使館においてセミナーを開催しデスカーテス商標が平成12年に使用され、かつ、広く一般に公開されていることを証明する。乙第3号証において、デスカーテス商標が平成12年日本貿易振興会主催のフォーラムに登録され一般に公開されていることを証明する。乙第4号証において、日本IBM社が発行するソフトウエア製品紹介ディレクトリ一、ソリューションカタログにデスカーテス商標が平成12年に登録掲載され広くコンピュータ業界に公開、かつ、告知されていることを証明する。乙第5号証において、デスカーテス商標を冠する製品を収納するCD−ROMが平成14年に配布され流通していることを証明する。

したがって、本件商標の登録は取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断

1 被請求人が提出した乙各号証について

乙第1号証は、株式会社計算力学研究センターが株式会社ポイントニッチに宛てた注文書と株式会社ポイントニッチが株式会社計算力学研究センターに宛てた納品書(控)及びこれらの取引に付随したものと認められるPoint Niche Corp.が被請求人であるDeskArtes Oy(デスカーテス オーユー)に宛てた注文書、DeskArtes OyがPoint Niche Corp.に宛てたINVOICE、三井住友銀行が株式会社ポイントニッチに宛てた外国関係計算書、Point Niche Corp.がDeskArtes Oyへ送金した外国送金依頼書兼告知書控からなっている。

これらの書証中、株式会社計算力学研究センターが株式会社ポイントニッチに宛てた注文書には、平成13年5月24日の日付があり、注文商品の表示として、株式会社本田技術研究所和光研究所向けのソフトウェア「3Data Expert Basic Package」及びキャノン株式会社福島工場向けのソフトウェア「3Data Expert Standard Package」の記載が認められる。そして、株式会社ポイントニッチが株式会社計算力学研究センターに宛てた納品書(控)には、2001年(平成13年)5月30日の日付があり、上記注文書に対応した各依頼者向けの商品の記載が認められる。また、Point Niche Corp.がDeskArtes Oyに宛てた注文書及びDeskArtes OyがPoint Niche Corp.に宛てたINVOICEにも上記した各依頼者向けの商品の記載が認められる。

乙第2号証は、DeskArtes Design Expertセミナーのご案内と題する書面及びその参加申込書であり、案内書には、平成12年2月29日及び同28日の日付及び発信者である株式会社ポイントニッチの表示があり、開催概要として、平成12年3月2日にフィンランド大使館において上記セミナーが開催される旨の記載を認めることができる。また、参加申込書のプログラムの欄には、「DeskArtes Industrial Design System 4.2の新機能説明」、「DeskArtes Design Expertのデモンストレーション」等の記載を認めることができる。

乙第3号証は、日本貿易振興会主催の第6回国際テクノビジネスフォーラムの案内書であり、該案内書には、該フォーラムが2000年2月29日に東京で、同年3月2日に福岡で開催されること、海外参加企業の一つとして、DeskArtes Oyが紹介されていることを認めることができる。そして、その紹介記事には、DeskArtes Oyは、フィンランドにおけるCAD/CAM/CAEソフトウェアの輸出のパイオニアであり、DeskArtesのソフトウェアは、日本でもすでにトヨタ、ホンダ、シャープ、松下など様々な分野の主要メーカーで利用されていること、また、DeskArtes Expert Series商品は、表示、測定、通信、及び3D CADデータによる各種ソリッドモデリング操作の機能も提供し、Industrial Design systemは、プロの工業デザイナー向けの使いやすく、しかも最も強力なサーフェスモデリングとレンダリング用システムである旨記載されていることを認めることができる。

乙第4号証は、平成12年9月1日付で、日本アイ・ビー・エム株式会社が株式会社ポイントニッチへ宛てた書面であり、該書面によれば、日本アイ・ビー・エム株式会社のソリューションカタログに掲載されている「DESKARTES」のカタログ記載内容が最終更新日より7ヶ月以上期間が経過したため、その更新を依頼する旨の記載を認めることができる。

乙第5号証は、CD−ROMであり、盤面上には、上段に「DeskArtes/Expert Series」の文字が記載されており、中段部分に「Design Expert」、「3Data Expert」等の文字があり、下段には、図形とともに「deskartes」の文字が記載されていることを認めることができる。

以上の証拠方法を総合してみれば、被請求人の通常使用権者と認められる株式会社ポイントニッチは、本件審判の請求の登録(平成14年7月10日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件指定商品に含まれる「工業用意匠設計等に関するソフトウエアを記憶したコンピュータ用ディスク」について使用していたものと認められる。

2 請求人の主張について

(1)使用許諾について

請求人は、株式会社ポイントニッチが本件商標に係る専用使用権者又は通常使用権者であることについての証明は一切なされていない旨主張している。

しかしながら、乙第1号証にみられるように、株式会社ポイントニッチは、現に、DeskArtes製品の販売を行っていたばかりでなく、乙第2号証によれば、DeskArtes Design Expertセミナーを開催しており、また、乙第4号証によれば、日本アイ・ビー・エム株式会社から、該社のソリューションカタログに掲載されている「DESKARTES」のカタログ記載内容についての更新を依頼されていた事実を認めることができる。

これらの事実に照らしてみれば、株式会社ポイントニッチは、単に、DeskArtes製品の販売を行っていたばかりでなく、より積極的に、DeskArtes製品の普及に努めていたものと認められるから、文書に依ったものか、口頭に依ったものかは別にして、少なくとも、被請求人から本商標権についての通常使用権を許諾された代理店としての地位にあったものと解するのが相当である。

(2)使用事実の証拠について

請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証からは本件商標の使用の証明はなされていない旨主張している。

しかしながら、前記認定のとおり、乙第1号証によれば、株式会社ポイントニッチは、平成13年5月30日に、株式会社計算力学研究センターから注文を受けた「3Data Expert Basic Package」及び「3Data Expert Standard Package」を同研究センターへ納品しており、乙第2号証によれば、株式会社ポイントニッチは、平成12年3月2日に、フィンランド大使館において、「DeskArtes Industrial Design System 4.2」の新機能説明、「DeskArtes Design Expert」のデモンストレーション等を行うセミナーを開催していたことが認められるものであり、また、乙第3号証によれば、DeskArtes Oyは、2000年2月29日と同年3月2日に東京及び福岡において開催された日本貿易振興会主催の第6回国際テクノビジネスフォーラムに参加しており、その紹介記事には、DeskArtes Expert Series商品やIndustrial Design systemについての説明も記載されていた事実を認めることができる。

そして、乙第5号証のCD−ROMの盤面上には、乙第1号証の注文書・納品書に記載されている「3Data Expert」の文字が記載されているばかりでなく、乙第2号証のセミナー申込書に記載されている「Design Expert」の文字及び乙第3号証に記載されている「DeskArtes Expert Series」、「Industrial Design system」の各文字が記載されており、下段には、図形とともに「deskartes」の文字も表示されていることを認めることができる。

そうとすれば、乙第1号証ないし同第3号証中にみられる製品の表示と該CD−ROMの盤面に記載されている製品の表示とが符合している事実からみれば、乙第5号証のCD−ROM自体が請求人の主張するように、本件審判請求の予告登録後に更新されたものであったとしても、乙第1号証での取引においても、乙第2号証のセミナー及び乙第3号証の第6回国際テクノビジネスフォーラムにおいても、乙第5号証と同様の内容のソフトウエアが記憶され、同様の表示がなされたCD−ROMが販売され、あるいは、セミナーやフォーラムで使用されていたものと容易に推認し得るところである。

(3)社会通念上の同一について

請求人は、仮に、乙第2号証及び乙第3号証において用いられている「DeskArtes」の表示部分のみが商標として使用されているとしても、本件商標「DESKARTES」とは、その外観のみならず、称呼をも異にするものであるから、社会通念上同一のものとは認められない旨主張している。

しかしながら、乙第2号証及び乙第3号証において用いられている「DeskArtes」の表示にしても、本件商標と同一の綴字からなるものであり、しかも、本件商標は、その態様からみて、直ちに一定の称呼に特定し得るものともいい難く、請求人が「DeskArtes」について主張している「デスクアルテス」の称呼も本件商標から無理なく生じ得る称呼の一つといえるものであるから、両者は、必ずしも称呼を異にするものとはいえず、社会通念上同一の商標の範囲内にある商標とみて差し支えないものというべきである。

また、乙第5号証のCD−ROMには、明らかに、商標の表示と認められる態様で、図形とともに「deskartes」の文字が表示されているところ、この「deskartes」の表示は、全体が小文字をもって表されているものであるから、全体を大文字で表されている本件商標とは、小文字と大文字の差異のみであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。

3 してみれば、提出に係る乙号証をそれぞれ個別にみた場合には、本件商標の使用を証明するものとして、必ずしも充分でないところがあるとしても、乙各号証を総合してみれば、本件商標の使用は充分に証明されているものということができる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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