結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−31123(T2001−31123/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4190497号商標(以下「本件商標」という。)は、「CHROME HEARTS」の欧文字を横書きしてなり、第18類「鞄金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成8年12月11日登録出願、同10年9月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標は、その指定商品中の『鞄金具,がま口口金,傘』についての登録を取り消す。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、指定商品中の「鞄金具,がま口口金,傘」については使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきである。
2.答弁に対する弁駁
A) 平成13年12月23日付け答弁書(以下「答弁書1」という。)に対する弁駁
(1)被請求人(商標権者)は、本件商標の使用につき、使用許諾の契約を締結している株式会社ボールド(以下「ボールド社」という。)によって使用されている旨を主張し、契約書(乙第1号証)を提出している。
しかしながら、該契約書は、商標管理代理人である株式会社フリーポートコーポレーション(以下「フリーポート社」という。)と、ボールド社により締結された契約書であって、本件商標権者が契約当事者として関与しているものではない。契約書の第1条においても、「1、甲は乙に対し、日本国内において、本件商標の通常使用権を許諾する。」と記載されるのみである。すなわち、本件商標権者が乙であるボールド社と本件商標に係る使用許諾契約を締結していることを証するものではない。
また、該契約書に添付の別紙(1)に、商標所有者として「株式会社トライスル」の記名及び捺印がされ、続いて商標管理代理人として契約書において甲であるフリーポート社の記名及び捺印がみられるが、そもそも商標管理代理人とは、法的にも定義されておらず、かつ、実務上も一定の概念を有する用語として使用されることのないものである。
よって、商標管理代理人であるフリーポート社と乙であるボールド社とを契約当事者とする本契約書をもって、本件商標権者が、ボールド社に対して本件商標に係る使用許諾をなしているとは、到底認められないものである。
したがって、後記するように、乙第4号証は、本件商標と同一の標章の使用を証するものとは到底認められるものではないが、百歩譲って、仮に、被請求人が主張するように、ボールド社によって本件商標と同一の標章が使用されていたとしても、ボールド社による使用は、本件商標権に係る通常使用権者による使用には該当しないものである。
(2)仮に、ボールド社が通常使用権者であるとしても、ボールド社が本件商標を現に使用しているという事実については、被請求人は、「ボールド社は本件商標を付した傘を販売している」旨述べるにとどまり、何ら具体的な使用の事実を示していない。さらに、乙第3号証(ボールド社の登記簿謄本)をみても、その目的に「傘の製造、販売」といった記載は見られず、傘の販売が示唆されるものすら存在しない。
また、商標の「使用」とは、商標法第2条第3項に規定される各行為をいうのであって、単なる商標の使用許諾行為は「使用」には該当しないから、ボールド社を通常使用権者と仮定した場合にあっても、その使用許諾行為をもって、商標権者による本件商標の使用の事実が証明されるものではなく、本件においては、本件商標の使用の事実を証明するものは皆無であることは明らかである。
(3)乙第1号証の第3条(再使用権の承認)には、「甲は乙が本件商標につき相手方を明らかにして再使用許諾の承諾を求めたときは、相当の理由がない限り承諾を与えるものとする。」と規定されている。しかも、被請求人に対して答弁書提出のために指定された期間の経過後の平成14年3月8日付差出の答弁書において、新たな証拠として、乙第4号証を提出しているところからすると、被請求人による本件商標の使用の事実ありとの主張は、その証拠を欠いているばかりでなく、主張そのものの信憑性に対しても疑いを禁じ得ないのである。
B) 平成14年3月8日差出しの答弁書(以下「答弁書2」という。)に対する弁駁
(1)答弁書2は、商標法第56条において準用する特許法第134条第1項に規定するところの、被請求人に対して答弁書提出のために指定された期間の経過後に提出されたものであることは、その差出日から明らかである。不使用取消審判においては、被請求人による登録商標の使用事実の立証が商標登録の取消を免れるための要件であるが、その審理は書面に基づくものである以上、期間経過後に提出された答弁書を採用することは、当事者間の公平を欠くものと考える。見方によっては、期間経過後の提出を可とすることは、被請求人に、取消を免れるために種々手段を講じ、時には証拠を捏造し提出するだけの猶予を与えることにもなりかねず、万が一、こうした状況下で提出された証拠に基づいて取消理由なしとの決定がなされたとなれば、それは不使用取消審判の趣旨に反するものであることは明白である。いわんや、一般論としてではあるが、「商標権の売買並びに仲介」を事業の主たる目的に掲げる業者が被請求人であった場合、その可能性は高まるといっても過言ではなく、そうした虞を最小限にとどめるためにも、不使用取消審判においては、期間経過後に提出された答弁書については、審理の対象としないことを希求する。
(2)被請求人は、「ボールド社は、乙第4号証にみられるような『傘』を平成13年4月より委託製造を行い、数件の店で店頭販売している。」旨述べ、新たに乙第4号証を提出しているが、具体的事実については何ら証明されていないことは、答弁書1と同じである。すなわち、ボールド社が販売を行っていると主張する店舗の所在地・名称すら明らかでなく、乙第4号証の左下の写真にしても、衣料品・靴を扱う店舗の外観を撮影したものにすぎず、ボールド社が店頭販売を行っていると主張する「傘」との関連が不明である。さらに、乙第4号証の左上及び左中の傘の写真及び乙第4号証の約3分の2に及ぶ傘の部分コピーと思しきものも、画像データの合成・改変を自在に行い得る今日のコンピュータ技術やコピー技術をもってすれば、この程度の資料は容易に準備できるのであって、客観的にみて、使用事実を証明するものとは認め難い。なにより、乙第4号証全体から、俄作りの資料との印象を受けるのであって、実際に製造・販売しているのであれば、このような資料を特別に用意するまでもなく、多岐にわたる取引書類を始め、種々の資料を提出することは容易なはずであり、むしろ、そうしたものが証拠として提出されて然るべきである。使用の事実とは、あくまでも客観的妥当性を有し、かつ、十分過ぎるほどの数の証拠により明らかにされるべきものと思料する。
C) むすび
上述のとおり、答弁書1及び答弁書2並びに乙第1号証ないし乙第4号証によっては、本件請求に係る「鞄金具,がま口口金,傘」のいずれの商品についても、本件商標の使用の事実が証明されたものとは到底認められないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。
1.本件商標の使用許諾について
(1)商標権者は、平成12年8月1日から同13年12月現在も、「傘」についてボールド社に使用許諾の契約を行い、使用の実績がある(乙第1号証及び乙第3号証)。乙第1号証は、商標権者と商標管理代理人であるフリーポート社と上記ボールド社との契約書である。
なお、商標権者とフリーポート社とは居所を同じくする関連する会社で2人の役員が兼任している(乙第2号証)。
(2)請求人は、乙第1号証(契約書)について、「商標権利者とボールド社との間には商標の使用許諾の事実がないのでボールド社が商標を付した製品を販売していた事実があったとしても、本件商標に係わる通常使用権者による使用には該当しない。」旨主張する。
しかし、商標権者は、フリーポート社が本件商標を再許諾することを認めている(乙第11号証)。もともと乙第1号証によりフリーポート社とボールド社との間で正式に本件商標の使用契約を交わしていることが証明されているので、これらの契約書によって、ボールド社が本件商標を指定商品「傘」に使用する権利を有することが証明された。
(3)ボールド社は、平成12年5月ころ、被請求人の系列会社であるフリーポート社に対し、本件商標を付した商品の製造販売を希望することを申し入れた。
「傘」を含む商品販売の商標使用料の代金として210万円(消費税込み)を前払いする条件に合意し、ボールド社は同12年6月30日に、フリーポート社の銀行口座に入金した(乙第12号証;阪奈信用金庫のフリーポート社の銀行口座入金記録参照)。
フリーポート社は、同12年8月1日の商品入荷をまって、商品の品質を確認した後に、ボールド社との契約を締結した。
同12年8月に、本件商標を付した商品は、時計500本、傘が300本製造されている(乙第13号証の1;8月24日に報告されたボールド社からの計算書参照)。
2.使用の事実について
(1)ボールド社は、平成13年4月より傘の委託製造を行い、当該傘は、数件の店で販売されている(乙第4号証)。
(2)ボールド社が本件商標を付した傘を販売していた事実については、以下のように、取引先各社に納品した商品の納品伝票及びその他の取引書類により証明される。
ア.乙第5号証は、ボールド社が指定商品中の「傘」を販売した相手先である株式会社エニーコーポレーション(以下「エニー社」という。)へ発行した納品書の写しであり、乙第6号証は、指定商品中の「傘」を仕入れたエニー社の仕入れ台帳の写し、乙第7号証は、指定商品中の「傘」を売買に関し、買主のエニー社が売主のボールド社に代金を支払った際の銀行預金通帳の入金記録の写しである。
イ.乙第8号証は、ボールド社が指定商品中の「傘」を販売した相手先である有限会社フロントラインに発行した納品書の写しである。
ウ.乙第10号証は、フリーポート社の本店所在地である大阪市中央区西心斎橋2−1−14にあり、同社が運営する集合店舗ビル「FERR PORT」の店頭写真であり、乙第4号証の店舗写真は、当ビルの1階右部分に位置する。店舗では衣料品や雑貨が販売され、指定商品中の「傘」は平成13年4月よりこの店舗で数十本販売された。乙第9号証は、上記「FERR PORT」の店頭で撮影した傘の写真である。
エ.なお、乙第5号証のエニー社は、大阪市平野区に所在する会社で、衣料品、雑貨の卸売りと直営店舗でゲームセンターを2店舗展開しており、また、乙第8号証の有限会社フロントラインは、東大阪に所在し、雑貨、ゴルフコンペ用品等を主に販売している会社である(乙第15号記)。
3.したがって、本件商標は、商標法第50条第1項には該当せず、その登録は有効である。
1.答弁書2について
請求人は、答弁書2は指定期間経過後に提出されたものであるから、審理の対象とすべきではない旨主張するので、この点について検討する。
本件審判は、平成13年10月11日に請求され、同副本は、同13年11月6日付け発送をもって被請求人に送達されたところ、被請求人は、平成13年12月23日付けで答弁書(答弁書1)及び乙第1号証ないし乙第3号証を提出し、さらに、同14年3月8日付け差出しの答弁書(答弁書2)及び乙第1号証ないし乙第4号証を提出したものである。
そして、答弁書2と答弁書1とを比較すると、答弁書2は、これと同時に提出した乙第4号証に関する記述部分を答弁書1の記述に書き加え、書証として新たに乙第4号証を提出したものであって、それ以外に関するものは、答弁書1と答弁書2はすべて同一であることが認められる。
ところで、商標法第56条第1項で準用する特許法第134条第1項は、審判長は、審判請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない旨規定しているところ、「相当の期間を指定」すべきことを定めた趣旨は、審判手続の遅延を防止し、迅速な審理の実現を図るためのものであって、指定期間経過後に提出された答弁書その他の書面であっても、審理の終結時まではいつでも提出することができると解され、したがって、本件における答弁書2及びこれと同時に提出された乙第4号証は、審理の対象とすべきものであるから、請求人の上記主張は採用できない。
2.乙第1号証ないし乙第13号証の1及び乙第15号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人とフリーポート社は、平成12年6月1日付けで、被請求人がフリーポート社に対し、本件商標ほか2件の登録商標の商標権に関し、その指定商品について商品化し、商品を製造、販売することを許諾する契約を締結した。そして、上記契約書の第12条には、被請求人は、フリーポート社に対し、該契約に基づいて許諾された権利の一部又は全部を第三者に使用させることを認める旨の規定がある。
フリーポート社は、平成12年8月1日付けで、ボールド社との間で、本件商標ほか2件の登録商標の商標権について、ボールド社を通常使用権者とする商標権の使用許諾契約を締結した。上記契約の締結に際して、ボールド社は、平成12年6月30日に、阪奈信用金庫のフリーポート社の口座に210万円を振り込んだ。
(2)ボールド社は、本店所在地を「大阪市西区北堀江一丁目16番7号」とし、会社設立の目的は「1.衣料品の卸、販売 2.商標権の売買並びに仲介業 3.上記各号に附帯関連する一切の業務」であって、「三枝完治」は取締役の一人である。
(3)ボールド社は、2000年(平成12年)8月1日に、大阪市平野区に本社があるエニー社に対し、本件審判の請求に係る指定商品中の「傘」を210本(品番「CH−A1」、「CH−A2」、「CH−A3」のものをそれぞれ70本ずつ)納品した。
エニー社は、平成12年9月7日に、ボールド社の取締役と認められる「三枝完治」の富士銀行島之内支店の口座に、上記取引のあった傘などの代金として、1,000,000円を振り込んだ。
また、ボールド社は、2000年(平成12年)10月9日に、東大阪市若江本町に所在の有限会社フロントラインに対し、本件審判の請求に係る指定商品中の「傘」を210本(品番「A−1」、「A−2」、「A−3」のものをそれぞれ70本ずつ)納品した。
上記エニー社及び有限会社フロントラインに対して発行した納品書には、いずれも「クロムハーツ 傘」の商品名が記載されている。そして、傘には「CHROME HEARTS」の文字が表示されている。
3.前記2.を総合すると、フリーポート社は、本件商標を含めた被請求人の所有する登録商標に係る指定商品について、商品化し、商品の製造販売をする契約を締結し、被請求人から使用許諾をされた上記登録商標について、ボールド社に再使用許諾の契約を締結したことが認められ、このような経緯からすると、ボールド社は、本件商標の商標権の通常使用権者というべきである。
そして、ボールド社は、本件審判の請求の登録日(平成13年10月31日)前3年以内と認められる2000年(平成12年)8月1日及び2000年10月9日に、本件商標を表示した「傘」について取引をしたと推認し得るところである。
してみると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者たるボールド社が、請求に係る指定商品中の「傘」について、本件商標の使用をしていたことを証明したというべきである。
そして、請求人は、平成15年1月6日差し出しの回答書及び意見書並びにこれらに添付された乙第5号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)について、何ら弁駁をするところがない。
4.以上のとおりであるから、本件商標は、請求に係る指定商品「鞄金具,がま口口金,傘」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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