結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35110(T2001−35110/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4429368号商標(以下「本件商標」という。)は、「CYBERDOG」の文字を横書きしてなり、平成11年9月24日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服」を指定商品として、同12年11月2日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、概略以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第41号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号(周知商標)違反について
本件商標は、「CYBERDOG」の欧文字を同書、同大、同間隔に書してなるところ、請求人は、本件商標の商標登録出願前から商標「CYBERDOG」(以下「引用商標」という。)を「被服、履物、服飾小物類等(以下「被服等」という。)」に使用してきた。その結果、引用商標は、請求人の被服等に使用される商標として、本件商標の出願時及び査定時までに、日本国内において広く知られるに至った。
(ア)例えば、雑誌「KEROUAC」(ケラ)は、請求人の被服等のブランドとして「CYBERDOG」を幾度も掲載しているが、1998(平成10)年発行の同誌VOL.2には、同誌で人気のある美容師がロンドンで購入した「CYBERDOG」の被服に身を包んでいる様子が掲載されている(甲第1号証)。
このことは、引用商標「CYBERDOG」がロンドンを発信源とする最先端の被服等のブランドとして、我が国のファッション業界の取引者、需要者間において既に認識されていたことを示している。
また、同年発行の同誌VOL.5(甲第2号証)においては、特集記事として「サイバーファッション」がとり上げられており、その代表的ブランドとして、「サイバードッグ」が表紙に掲載されている。
これにより、その当時、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、同誌の購買層に認識され、高い顧客吸引力を有していたことがわかる。
それに加えて、同誌面には、引用商標「CYBERDOG」とともに、請求人の設立者兼デザイナーの写真及び被服を展示した請求人の店舗内部の写真も掲載されている。
そのほかにも、請求人は、ロンドンの本店だけでなく、ホームページ(http://www.cyberdog.co.uk)において、引用商標「CYBERDOG」を付した被服等を販売している(甲第41号証)。
このことから、1998年の時点において、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等に使用されるブランドとして、不特定多数の取引者、需要者の間において知られていたことが明らかである。
さらに、前記同誌は、翌1999年発行のVOL.6においても、「デザイナー・インタビュー」の特集第3回として、請求人を大きくとり上げている(甲第3号証)。
ここでも、「CYBERDOG」へのインタビューが当該号の特集記事として、表紙に大きく掲載されており、引用商標「CYBERDOG」は、請求人のブランドとして同誌の購買層に認識され、高い顧客吸引力を有していたことがわかる。
同様に、同誌面には、請求人の設立者兼デザイナーの写真が大きく掲載されている。
また、「CYBERDOG」の文字を表示した請求人店舗の写真、その被服等を展示した店舗内部の写真、請求人の被服の写真も掲載されているほか、前記ホームページも紹介されている。
これらの記載からも、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、不特定多数の需要者の間において知られていたことが明らかである。
雑誌「KEROUAC」以外の様々な雑誌においても、請求人の被服等のブランドとして、引用商標「CYBERDOG」は、毎年のように掲載されている。
(イ)例えば、1997(平成9)年11月発行の雑誌「Boon」は、イギリスのストリートシーンでの2大ブランドの1つとして請求人を大きくとり上げており、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のストリート系ファッションの中心的ブランドであると明記されている(甲第4号証)。
ここでも、請求人の設立者兼デザイナー及び請求人のロンドンの店舗内部の写真が「CYBERDOG」の文字とともに掲載されており、請求人の「CYBERDOG」商標は、ロンドンで勢いがあり、拡張しつつあるクラブウェアのブランドとして説明されている。
これらの記載からも、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、取引者、需要者の間において認識されていたことが明らかである。
(ウ)同年10月発行の雑誌「Ollie」は、「CYBERDOG」の文字とともに、請求人の設立者兼デザイナーの写真及び請求人の本店と2号店の写真並びに請求人の被服の写真を掲載している(甲第5号証)。
同誌は、翌1998年2月にも、「CYBERDOG」の文字を請求人の店舗内部及び請求人の被服の写真とともに掲載している(甲第6号証)。
(エ)また、同年8月には、雑誌「Zipper」がロンドン発祥のサイバーファッションの2大ブランドの1つとして、「CYBERDOG」を掲載し、請求人の被服等の写真も併せて掲載している(甲第7号証)。
このように、多くの雑誌が頻繁に「CYBERDOG」をとり上げ、請求人の被服等のブランドとして、引用商標「CYBERDOG」を掲載していることから、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、取引者、需要者の間において認識されていたことが明らかである。
(オ)翌(1999)年9月には、雑誌「LONDON FASHION」が絶大な人気ブランドとして、その表紙に、引用商標「CYBERDOG」を掲載している(甲第8号証)。
同誌は、絶大な人気を誇るロンドンのクラブウェアのブランドとして、引用商標を請求人の商品とともに12ページという枚数を割いて紹介し、当該商品を現地価格で誌上販売している。
このことは、引用商標「CYBERDOG」がロンドン在住の請求人の被服等のブランドとして、取引者、需要者の間において充分に認識されており、前記同誌の購買層を惹き付ける高い顧客吸引力を有していたことを示している。
(カ)さらに、同年同月(1999年9月)に、雑誌「mono」は、英国特集の一環として、「CYBERDOG」を紹介している(甲第9号証)。 これには、「CYBERDOG」の文字とともに、請求人の設立者兼デザイナーを店舗前で撮影した写真も掲載されている。
また、被服等を陳列した請求人の店舗内部の写真や請求人の商品自体の写真も掲載されている。
そして、請求人の前記ホームページアドレスやクラブのような場所に適した被服を請求人が販売しているということも明記されている。
このことから、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、取引者、需要者の間において認識されていたことが明らかである。
ところで、同誌は、毎月2日及び16日を発行日としているところ、雑誌業界の慣例上、雑誌に記載の印刷発行日の前回発行日から店頭販売が開始されるので、同誌も1999年10月2日発行と記載されていることから、1999年9月16日より販売されたものと考えられる。
このように、毎年連続して、しかも、一年に幾度も様々な雑誌にとり上げられ、その中で、同一の雑誌に数カ月おきに掲載され、頻繁に特集が組まれていた「CYBERDOG」は、請求人の被服等の商標として、本件商標の出願前より日本国内の取引者、需要者の間において広く知られていたことは明らかである。
さらに、請求人は、本件商標の出願後も、引用商標「CYBERDOG」を被服等に継続して使用しており、その結果、引用商標「CYBERDOG」は、本件商標の登録査定時においても、請求人の商標として、需要者の間において広く知られていたことが明らかである。
(キ)また、例えば、英国の新聞「THE TIMES」は、1999年11月に、請求人に対し、請求人の商品を読者へのクリスマスプレゼントとしたいとし、当該プレゼント用商品を指定した書簡を送付してきている(甲第10号証の1及び2)。
同紙は、英国国内だけでなく世界中で販売されており、インターネットにおいても閲覧可能であることから、読者も世界中に存在しており、英国国内だけに限定されないものと考えられる。
このように世界的に権威のある新聞の一つである同紙が請求人の商品を読者へのクリスマスプレゼントに選択したことは、請求人の被服等のブランドである引用商標「CYBERDOG」を付した商品が英国は言うに及ばず、日本においても、また、世界的にも、人気が出ていたことを物語っている。
以上のことから、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、日本及び世界の取引者、需要者の間において充分に認識されていたことがわかる。
(ク)また、請求人は、2000年1月付けで、ニューヨークに開設された顧客の新店舗用にカスタマイズされた「CYBERDOG」商品の納品打診を受けている(甲第11号証の1及び2)。
当該書簡は、引用商標「CYBERDOG」が請求人の被服等のブランドとして米国においても知られ、請求人の商品が英国及び日本だけでなく米国へも輸出・販売されていたことを示している。
さらに、前述の顧客は、著名な英国出身の歌手デヴィッドボウイの妻として、また、ファッションモデルとしても、よく知られており、ニューヨークにおいて化粧品や香水を扱う会社を経営している。
このように、請求人の被服等が数カ国に輸出され、また、ファッション業界のリーダー的役割を果たす著名人によって、その取り扱いを希望されていることからすると、請求人の被服等のブランドである引用商標「CYBERDOG」は、日本はもとより世界中の取引者、需要者の間において広く知られていたものと考えられる。
(ケ)また、請求人は、2000年2月付けで別の顧客から支払いを受けている(甲第12号証の1及び2)。
当該顧客は、英国のみならず、世界のサッカー界におけるスター選手の妻及び英国ロック界のスターとしても知られている。
このようにファッションリーダー的役割を果たすと考えられるスポーツ界や芸能界の著名人が請求人の被服等を身に着けるということは、引用商標「CYBERDOG」が請求人の被服等のブランドとして、英国はもちろんのこと、日本においても、また、世界的にも、取引者、需要者の間において認識されていたものと考えられる。
(コ)さらに、請求人は、日本のストリートファッション雑誌「Style Source」から、請求人の店舗を訪問し、取材したい旨の依頼を受けている(甲第13号証の1及び2)。
このことは、引用商標「CYBERDOG」が請求人の被服等のブランドとして、日本の取引者、需要者の間において充分に認識されていたことを示している。
以上のとおり、請求人の商品を世界的に権威ある新聞が読者へのクリスマスプレゼントとして選択し、ファッションリーダーである著名人が請求人の商品を取り扱いたいとし又は身に着け、請求人の商品が数カ国で取引されていること、さらに、請求人の被服等のブランドとして、引用商標「CYBERDOG」が本件商標の出願前から登録査定時まで、当該商品に継続して使用されていたことよりして、引用商標「CYBERDOG」は、本件商標の査定時においても、請求人の被服等の商標として、日本国内の取引者、需要者の間において広く知られていたことが明白である。
(サ)請求人の被服等のブランドである引用商標「CYBERDOG」を請求人が本件商標の出願前から登録査定時まで継続して使用していたことは、請求人の日本における以下の取引実績からも明らかである。
請求人の日本への販売実績(一部)は、1995年から2000年までに日本の取引先に対して請求人が発行した請求書(一部)の写し及びその要約によって示される(甲第14号証ないし甲第22号証)。
これらが示すように、請求人は、日本に対して、少なくとも、1995年に£12531.5(約¥2,506,300)、1996年に£19345.5(約¥3,869,100)、1997年に£19597.00(約¥3,919,400)、1998年に£27837.90(約¥5,567,580)、1999年に£65133.4(約¥13,026,680)、2000年に£67959.29(約¥13,591,858)の取引を実際に行っている。
このことは、請求人の被服等のブランドである引用商標「CYBERDOG」を付した商品が本件商標の出願前から査定時まで、あるいは、それ以降も、日本企業に対して継続して取引されていたことを示している。
以上のことからすれば、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等の商標として、本件商標の出願時及び査定時まで、日本国内の取引者、需要者の間において広く知られていたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであり、その登録は、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。
(2)商標法第4条第1項第19号(不正目的)違反について
(ア)引用商標の周知性
(a)引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等に使用される商標として、本件商標の出願時及び査定時までに、日本だけでなく、英国及び世界中の不特定多数の取引者、需要者の間において認識されていたことは、前述のホームページの存在や雑誌の掲載内容からみて明白である。
本件商標の出願前より請求人のホームページが存在していたことは、請求人の被服等に使用される引用商標「CYBERDOG」が不特定多数の取引者、需要者の間において認識されていたことを示すものでもある(甲第2号証)。
(b)さらに、英国において発行され、世界的に有名なダンス及び音楽専門雑誌である「mixmag」から請求人に対し、1999年7月20日付けで、請求人の商品を撮影用として借り入れたい旨の書簡が送付されてきている(甲第23号証の1及び2)。
このことは、引用商標「CYBERDOG」が請求人の被服等のブランドとして、英国の取引者、需要者の間において認識されていたことを示している。
(c)また、サンフランシスコに拠点を置くアメリカの雑誌「WIRED」は、1999年8月28日付けで、新しいクラブ系ウェアの記事掲載のために請求人の商品を借用したい旨の書簡を送付してきている(甲第24号証の1及び2)。
それにより作成された記事(甲第25号証)には、請求人のホームページアドレスも掲載されている。
このことから、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、米国における取引者、需要者の間において認識されていたものと考えられる。
してみれば、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等に使用される商標として、本件商標の出願前より世界的に広く知られていたことが明らかである。
(d)前述のとおり、世界的に権威ある新聞が読者へのクリスマスプレゼントとして請求人の商品を選択したこと(甲第10号証)、ファッションリーダーである著名人が請求人商品を取り扱いたいとし又は身に着け、あるいは、自ら購入したこと(甲第11号証、甲第12号証)、請求人の商品が英国、日本、米国など数カ国で販売されていたこと(甲第1号証ないし甲第9号証、甲第11号証)等を総合考慮すると、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等に使用される商標として、本件商標の出願時ないし査定時まで継続して、世界的に認識されていたことが明らかである。
また、BBCから請求人宛ての1999年11月付けの書簡において、BBCは、その番組中で最先端のファッションブランドの1つとして、引用商標「CYBERDOG」を紹介すること及び視聴者に対して請求人の商品をプレゼントすることの打診をしてきている(甲第26号証の1及び2)。
さらに、2000年1月付けの書簡において、BBCは、その番組の出演者用コスチュームとして請求人の商品を使用するので、請求人の商品を購入又は借用したい旨の書簡を送付してきている(甲第27号証の1及び2)。
これらの書簡の内容からも、引用商標「CYBERDOG」は、BBCのテレビ番組でとり上げられるほど、流行の最先端を行くファッションブランドとして英国において認識され、人気を博しており、また、テレビ番組において使用されることで、英国において、さらに知られるに至っていたことが明白である。
(e)引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等のブランドとして、「SPEAKEASY」や「mixmag」などの英国の雑誌においても紹介されている(甲第28号証、甲第29号証)。
とりわけ、雑誌「mixmag」は、1999年から2000年にかけて数回に亘り、同誌に掲載するため、請求人の商品の借用を申し入れている(甲第30号証の1及び2、甲第31号証の1及び2、甲第32号証の1及び2)。
同誌から申し入れのあった商品は、誌上ショッピングのページに掲載する帽子、男性用及び女性用の被服、子供用被服等である。
これらの書簡から、同誌は、幾度も請求人の被服等を掲載していたことが明らかである。
そして、このことよりすれば、引用商標「CYBERDOG」は、請求人の被服等の商標として、本件商標の出願時より査定時に至るまで継続して、世界中の、とりわけ、英国における取引者、需要者の間において広く知られていたことが明らかである。
(イ)被請求人等の不正目的
(a)請求人は、日本における商標権の取得の必要性を感じはじめ、日本における登録商標及び商標登録出願の調査を行ったところ、請求人の知らない間に、本件商標の登録出願が被請求人によりなされていることに気付いたものである。
(b)請求人は、被請求人に対し、当該商標登録出願の譲渡を依頼したが、被請求人の代理人と名乗る第三者から、請求人が被請求人との共同事業を断るのであれば、譲渡を拒否する旨の書簡を受け取った(甲第33号証)。
当該第三者は、請求人との共同事業計画を望んでいる。
これらのことは、前記第三者が請求人に送付してきた一連の書簡から明らかである(甲第34号証ないし甲第39号証)。
そして、これらの書簡の内容を要約すると、以下のようになる。
当該書簡において、前記第三者は、2000年2月に、大阪に開設予定の「CYBERDOG」の店の必要経費の試算と当該店舗が入る予定のビルフロアの賃貸計画について述べている(甲第34号証の1及び2)。
その4日後、前記第三者は、請求人の店舗を撮影したビデオテープの送付を依頼している(甲第35号証の1及び2)。
さらに、その翌日、前記第三者は、顧客に見せるという理由で、3日以内にビデオテープを送付するよう請求人に依頼している(甲第36号証の1及び2)。
その8日後、前記第三者は、大阪に開設予定の「CYBERDOG」の店について、請求人の心配するリスクや費用について、ランニングコストを当該第三者が全て負担して、請求人の負担を軽減する提案を行い、共同事業への積極的な姿勢を明らかにしている(甲第37号証の1及び2)。
さらに、その翌日、第三者は、ビデオテープについて、日本とヨーロッパでは長さの違いがあることを述べている(甲第38号証の1及び2)。
また、8日後の3月3日に、第三者は、請求人に対し、「VIVIANE WESTWOOD」の総代理店であるホリゾンティ社が請求人に興味を示していることと、前記第三者が同社と会う予定であることを述べている(甲第39号証の1及び2)。
前記第三者は、その際、請求人のロンドン店で購入した商品を同社に示すつもりであることを述べている。
因みに、「VIVIANE WESTWOOD」は、「CYBERDOG」と同様、ロンドンを発信源とする最先端のクラブウェアのブランドの1つとして、よく知られている。
(c)このように、請求人との共同で「CYBERDOG」の店を日本に開設することを希望していた第三者は、請求人への商標の譲渡を拒否する一方、被請求人の許可を得て、本件商標「CYBERDOG」を使用していることから、その行為は、被請求人の行為と同一視することができる。
(d)引用商標「CYBERDOG」が請求人の被服等に使用される商標として日本を含む世界中の取引者に知られていたことは、前述のとおりであるから、被請求人及び前記第三者は、引用商標「CYBERDOG」が請求人の商標として、日本及び世界中の取引者、需要者の間において認識されていたことを知り得た筈であり、そのことは、前記第三者が衣料品の輸入を取引の主体とする商社であって、1994年以来、ライセンス事業部を発足させてまで、海外の著名ブランドの獲得を積極的に行ってきていたことからも明らかである(甲第40号証)。
(e)このように、被請求人の行為は、請求人の将来の営業活動に支障を来すものであり、取引上の信義則に反する目的を有しているものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に該当し、商標登録を受けることのできない商標であるので、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、出願時及び査定時に日本及び外国において、請求人の商標として、取引者、需要者の間において広く知られていた商標を不正の目的を持って使用するものと認められるから、商標法第4条第1項第10号及び同第19号の規定に該当し、その登録は、同法第46条第1項第1号の規定によって無効とされるべきである。
被請求人は、本件商標の登録を維持する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、以下のとおり答弁し、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号(他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務について使用をするもの)に規定する要件を満たしておらず、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである旨言及しているが、被請求人が本件商標を出願するに当たり、出願日(平成11年9月24日)よりも前に調査した際、「CYBERDOG」なる商標は、1件しか見つからなかった(乙第1号証)。そして、上記調査結果を踏まえて、被請求人は、本件商標の登録出願を行ったのである。
しかしながら、本件商標の商標登録出願時においてさえ、「CYBERDOG」が第25類「被服,履物,仮装用衣服」について出願された形跡は無く、被請求人には、それが周知商標であったとは思えないものである。
(2)請求人は、また、本件商標が商標法第4条第1項第19号(他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするもの)に規定する要件を満たしているので、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである旨言及しているが、被請求人(本件商標の商標権者)は、請求人がいうような不正の目的で本件商標を登録出願したものではない。
(3)請求人提出の甲各号証について
(ア)請求人は、甲第1号証(「KEROUAC」の1998年2巻)をもって先使用を主張しているが、発行元、裏表紙、2頁目の頁数が不明である。しかも、雑誌の背景が黒く、切り張りの感じが拭えない。女性が「CYBERDOG」の上着、シャツ、パンツをロンドンで購入して来たらしいが、このことが、「CYBERDOG」という商標の使用に当たるか甚だ疑問である。
また、雑誌「KEROUAC」は、どこの国の雑誌かわかりにくい。これが日本語で書かれていることから、日本の雑誌と思われるとしても、表紙があるのに、頁が不明である。
(イ)甲第2号証の表紙には、「サイバー」という文字が書かれており、次頁には、「CIBER/DOG」(注:「CyBER/DOG」の誤記)「サイバー・ドッグ」「サイバー・スタイル」という文字が散見されるが、「KEROUAC」という雑誌の存在について、被請求人は、本件商標の登録出願前より不知である。
(ウ)甲第41号証のホームページが本件商標の商標登録出願前に存在したかどうかについて、被請求人は、不知である。また、ホームページが刊行物と同様の証拠能力を有するか否かということや、どのように証明するかについても甚だ疑問である。
(エ)甲第3号証については、表紙がわかるとしても、裏表紙が無く、発行所、発行部数も不明である。当該頁の下に、112、116、117という数字があり、これが頁の表記かとも思われるが、いずれにしても、「KEROUAC」という雑誌の創刊がいつで、発行所がわからないことには、答弁の方法が見つからない。
(オ)甲第4号証の「Boon」という雑誌については、発行所、発行部数、創刊日、裏表紙、頁表記が無いので、答弁しかねる。
(カ)甲第5号証の「O11ie」という雑誌は、背景が黒で、切り張りの感じが拭えず、しかも、発行所、裏表紙が不明であるので、証拠能力に問題があり、被請求人は、「証拠能力は無い」と思量する。
(キ)甲第6号証の「O11ie」という雑誌には、「昭和57年3月2日 三種郵便物許可」という文字が読み取れるが、背景が黒で、切り張りしたようで、証拠能力に欠けるといわざるを得ない。
(ク)甲第7号証の「Zipper」は、背景が黒地で切り張りしたようで、刊行物として、いかがなものかと思う。無理矢理に刊行物として提出した感じがする。
(ケ)甲第8号証の「LONDON FASHION」という雑誌も、その正体がはっきりしない。本文が英文ならば、英国発行である筈だが、日本語なので翻刻版でないとすれば、イギリスの流行衣装の紹介雑誌なのだろうか。12頁とあるが、40.42.57.59.61.63.64という数字を頁番号とみても、発行所、裏表紙、創刊日、発行部数など、疑問が氷解しない。また、被請求人による本件商標の商標登録出願前から引用商標「CYBERDOG」が衣装、衣服について公然と使用されていたのかどうか疑問に思う。しかも、平成11年10月15日という発行日は、被請求人による本件商標の商標登録出願日より遅い発行日であり、証拠能力のないものである。甲第8号証の「LONDON FASHION」は、平成11年10月15日発行であるから、被請求人による本件商標の登録出願日である平成11年9月24日より後である。したがって、それがいかに16頁あったとしても、証拠能力は無いに等しい。
(コ)甲第9号証の「mono」(1999年10月2日号)に至って初めて、雑誌の発行所が明示されている。そうとすれば、甲第1号証から甲第8号証までの雑誌の発行所は、勘ぐって言うとすれば、明示できない理由があったことになる。そのうえ、請求人は、被請求人の本件商標に係る商標登録出願が1999(平成11)年9月24日であることを知るや、日本における商慣習を持ち出して、「10月2日の発行日は、9月16日に発売されたと考えられる。」というように、我田引水の理屈を展開している。当該論理は奇弁であり、被請求人は到底承服できない。
また、請求人による日本特許庁への商標登録出願(商願2000−100987:被請求人提出の乙第2号証参照)は、平成12年9月14日であるから、被請求人による本件商標の商標登録出願日よりも1年近く後になるので、請求人による前記出願に係る商標は、商標登録を受けることができない商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当する。
請求人は、引用商標「CYBERDOG」が請求人の被服等に使用される商標として、本件商標の商標登録出願前より日本国内の取引者、需要者の間において広く知られていたことは明らかである旨述べているが、その主張は、前述したとおり、牽強付会の論理である。
さらに、請求人は、本件商標の出願後も引用商標「CYBERDOG」を被服等に継続して使用してきた結果、引用商標「CYBERDOG」は、本件商標の査定時においても、請求人の商標として需要者の間において広く知られていた旨述べているが、無効審判は、被請求人が本件商標の登録出願時に、請求人の商標の使用を知っていたかどうかのただ一点にかかっている。
それにもかかわらず、請求人の代理人である二人の弁理士は、こともあろうに、商標法にない事由で、被請求人を責めるというのはいかがなものであろうか。
(サ)請求人提出の甲第10号証の日付は、1999年11月12日であり、また、甲第11号証の日付は、2000年1月14日であり、被請求人による本件商標の商標登録出願よりも後の出来事であるので、被請求人が本件商標の商標登録出願をした際には、不知である。
(シ)被請求人は、請求人提出の甲第12号証の1及び2(支払い書)についても不知であるだけでなく、それらは、本件商標の出願より後の出来事である。
(ス)甲第13号証の1及び2も、1999(平成11)年12月6日の日付であり、被請求人による本件商標の商標登録出願よりも後である。
また、日本のストリートファッション雑誌「Style Source」について、被請求人は、本件商標の商標登録出願前及び現在においても不知である。
なお、甲第13号証には、「イクシマ ユカ」という発信人の片仮名の名前があるものの、住所が記載されていない。雑誌の発行所がわからない以上、衣服について、請求人が引用商標「CYBERDOG」を使用した証拠というのはいかがなものかと首を傾げざるを得ない。
(セ)甲第14号証を分析すると、日本における売上は、
年 度 品種 金 額 1品種当たり売上
1995年 9 250万6300円 27万8478円
1996年 7 386万9100円 55万2729円
1997年 12 391万9400円 32万6617円
1998年 16 556万7580円 34万7974円
1999年 19 1302万6680円 68万5615円
2000年 23 1359万1858円 59万0950円
となる。もしも、これが正確であるならば、CYBERDOG株式会社の日本での売上高はわかるとしても、引用商標「CYBERDOG」の使用に直接結びつくものはない。とりわけ、2000年の資料は、証拠能力として不適格である。
(ソ)甲第15号証から甲第22号証について、分析すると、
証拠番号 年 度 納入先 品種 数量累計 売上金額 1着平均金額
甲15号証1995.6 東京新宿 6 173 39万6200円 2290円
甲16号証1995.11 大阪中央区 7 77 30万5400円 3966円
甲17号証1996.3 東京渋谷 16 228 66万3100円 2909円
甲18号証1996.3 東京銀座 4 62 19万1200円 3084円
甲19号証1996.4 愛知西尾 13 500 226万1800円 4524円
甲20号証1996.4 東京渋谷 5 77 21万2600円 2761円
甲21号証1999.11 沖縄西原 31 74 56万9600円 7698円
甲22号証1999.12 東京新宿 13 217 96万5400円 4449円
となる。
本件商標の商標登録出願前にCYBERDOG社(請求人)が日本へ輸出した商品の売上額は、甲第15号証から甲第20号証までの合計で、51品目、1117着で、403万300円、1着平均3608円であり、この安さ、金額の少なさからすると、試着品か試供品の域を出ないように思われる。
また、請求人が当該商品に引用商標「CYBERDOG」を付していたかどうかはわからない。
さらに、甲第21号証及び甲第22号証については、被請求人による本件商標の商標登録出願より後であるので、論評を差し控える。
請求人は、被請求人による本件商標の登録出願よりも前に、引用商標「CYBERDOG」を使用したことの実績を示す資料に事欠いて、証拠として不十分な資料を甲第1号証から甲第22号証まで提出している。
以上のことから、本件商標の商標登録出願時に日本国内において、請求人の引用商標「CYBERDOG」は、取引者、需要者の間において広く知られていた商標とはいえない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
請求人は、甲第2号証で、ホームページについて述べているが、ホームページが商標の使用に該当するかは抜きにして、「KEROUAC」という雑誌の発行所、創刊日、裏表紙、発行部数が不明で、また、その記事の2枚目の頁数が不明であるのに、被請求人による本件商標の商標登録出願前より、請求人が引用商標「CYBERDOG」を使用していた証拠に該当するといわれても、被請求人としては否定せざるを得ない。
(タ)被請求人は、英国の事情に疎く、甲第23号証の「mixmag」という雑誌について不知であり、また、書簡が商標法における刊行物に該当するか否かについても疑問に思っており、被請求人としては、それが刊行物に該当しないとの見解をとっている。
米国では、特許において、実験ノートが証拠書類として有効とされているが、日本において、ファックスや書簡が刊行物に該当するか否かは、些か疑問に思う。
被請求人は、アメリカの雑誌「WIRED」の存在について、本件商標の商標登録出願時、不知であった。
(チ)同じく、被請求人は、甲第24号証の書簡について、刊行物として疑問に思っている。
(ツ)ただし、甲第25号証の「WIRED」という雑誌が1999年12月号であることは認める。
しかしながら、それも被請求人による本件商標の商標登録出願よりも後である。
また、発行所、裏表紙、発行部数、創刊日等の記載が無く、次頁と表紙のつながりもないので、甲第25号証は、無効のための資料として不適当である。
請求人は、甲第1号証ないし甲第12号証によって、請求人の引用商標「CYBERDOG」が本件商標の商標登録出願時から査定時まで継続して世界的に認識されていたことが明白であると断言しているが、被請求人は、これについて、以下のように反論する。
すなわち、
甲号証 雑誌名 発行年 発行所 裏表紙 創刊日 頁 発行部数
甲第1号証 KEROUAC 1998.6月 不明 無し 不明 不明 不明
甲第2号証 KEROUAC 1998.12月不明 無し 不明 不明 不明
甲第3号証 KEROUAC 1999.2月 不明 無し 不明 有り 不明
甲第4号証 Boon 1997.11月不明 無し 不明 無し 不明
甲第5号証 0llie 1997.10月不明 無し 不明 無し 不明
甲第6号証 0llie 1998.2月 不明 無し 不明 無し 不明
甲第7号証 Zipper 1998.8月 不明 無し1997年 無し 不明
甲第8号証 LONDON 1999.8月 不明 無し 不明 有り 不明
甲第9号証 mono 1999.10月有り 有り1982年 有り 不明
甲第10号証 書簡 1999.11月Times
甲第11号証 書簡 2000.1月 IMAN
甲第12号証 売買書 2000.2月
によれば、請求人提出の上記証拠中で証拠書類として適切といえるものは、甲第9号証だけであって、それさえも、被請求人による本件商標の商標登録出願日より1カ月後の発行である。
それゆえに、被請求人は、本件商標の商標登録出願前に、引用商標「CYBERDOG」を刊行物により知り得なかったことは事実である。
(テ)甲第26号証の1及び2の日付は、1999年11月19日であるところ、商標法第4条第1項第19号の3(注:商標法第4条第3項の誤記と解されるが、問題もあり、この表示をそのまま維持する。)には、「第1項第8号、第10号、第15号、第17号又は第19号に該当する商標であっても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は適用しない。」と記載されているので、被請求人による本件商標の商標登録出願日である1999年9月24日よりも後の請求人提出資料は、検討対象とならない。
(ト)2000年1月27日付けの甲第27号証の1及び2にも、上記商標法第4条第1項第19号の3が適用される。
(ナ)請求人が提出した甲第28号証の雑誌「SPEAKEASY」及び甲第29号証の雑誌「mixmag」については、発行日、発行所、裏表紙などの記載が不明であり、しかも、雑誌の背景が黒いので、証拠能力につき答弁のしようがないというよりも、「無い」に等しいものと思料している。
(ニ)甲第30号証の1及び2の書簡は、1999年12月2日、また、甲第31号証の1及び2の書簡は、1999年12月15日、さらに、甲第32号証の1及び2の書簡は、2000年1月27日であり、いずれも被請求人による本件商標の商標登録出願より後である。
請求人は、しきりに「査定時」ということを主張しているが、商標法第4条第1項第19号の3が適用され、「出願時」により論議する必要がある。
(ヌ)被請求人は、本件商標「CYBERDOG」に関する代理人として、「川上哲洋」を委任している。それゆえに、
甲第33号証 川上哲洋書簡
甲第34号証 2000年2月10日 川上哲洋書簡
甲第35号証 2000年2月14日 川上哲洋書簡
甲第36号証 2000年2月15日 川上哲洋書簡
甲第37号証 2000年2月23日 川上哲洋書簡
甲第38号証 2000年2月24日 川上哲洋書簡
甲第39号証 2000年3月3日 川上哲洋書簡
という7件の書簡については、詳細を知る立場にない。
いずれにしても、日付からみて、被請求人による本件商標の商標登録出願後から特許庁による商標公開後にかけてのものである。
被請求人が本件商標を商標登録出願する目的で商標調査した際には、乙第1号証しか発見できなかった。
被請求人は、請求人から商標譲渡の話があってはじめて、引用商標「CYBERDOG」の存在を知ったのである。
前記川上哲洋からは、本件商標について、日本の特許庁による商標公開の後しばらくしてから、本件商標の登録査定後に正式契約を締結しようとの話があった。
(ネ)請求人は、「被請求人の行為は、請求人の将来の営業活動に支障を来す行為であり、取引上の信義則に反する目的を持っている。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に該当し、商標登録を受けることのできない商標であるので、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効にすべきである。」旨述べている。
しかしながら、請求人提出の甲第1号証ないし甲第41号証は、本件商標の商標登録出願前の確かな証拠というものではなく、傍証にすぎない願望の証拠であり、そのうえ、請求人は、出願時から査定時までと、自己中心的に拡大解釈して無効にすべき旨言及しているので、請求人のほうが信義則に反しているといわざるを得ない。
被請求人による本件商標の商標登録出願前には、「他人の登録商標又はこれに類似の商標、指定商品又はこれに類似する商品に使用する」ものがなかったために、被請求人は、本件商標について登録査定を受けたのである(商標法第4条第1項第11号)。
被請求人の本件商標は、商標登録を受けることができない商標に適用される商標法第4条第1項第11号には該当せず、しかも、商標法第4条第1項第19号の3によって登録されたものである。
したがって、被請求人による本件商標の登録は、商標法第4条第1項19号にも該当せず、また、同法第46条第1項第1号の規定には当たらないから、本件商標の登録は、維持されるべきである。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標の商標登録出願時に、本件商標が商標法第4条第1項第11号の適用除外であり、同法第4条第1項第19号の3に基づき、同法第4条第1項第10号及び同第19号の適用除外となり、その登録が維持されるべきものと信ずる。
よって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号の規定に該当しないので、その登録は維持されるべきである。
(1)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、上記1のとおり、「CYBERDOG」の文字を書してなり、平成11年9月24日に登録出願され、第25類に属する商品(被服等)を指定商品として、同12年11月2日に設定登録されたものである。
これに対し、請求人の引用商標は、「CYBERDOG」(他に、「cyberdog」、「CyBERDOG」、「サイバードッグ」の文字も用いられている。)の文字を書してなり、本件商標と同様に、被服等に使用されているものである。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、両者は、欧文字の綴りを共通にし、その称呼「サイバードッグ」を同じくするものであって、その商品も同一又は類似であることから、彼此相紛れるおそれある類似の商標といわなければならない。
(2)請求人の引用商標の周知性について
(ア)請求人提出の甲第2号証(1998VOL.5「KEROUAC」[ケラ!])、甲第3号証(1999VOL.6「KEROUAC」[ケラ!])、甲第4号証(NOV.1997「Boon」[ブーン])、甲第9号証(平成11[1999]年10月2日発行「mono」[モノ・マガジン])、甲第14号証(1995年から2000年までの請求人商品の日本における売上額リスト:2000[平成12]年11月16日付け)、甲第15号証(1995[平成7]年6月19日付け:請求人より日本法人「PINK & BLACK CO LTD」宛てのINVOICE[請求書][写])、甲第16号証(1995[平成7]年11月13日付け:請求人より日本法人「DROP THE BOMB」宛てのINVOICE[請求書][写])、甲第17号証(1996[平成8]年3月26日付け:請求人より日本法人「L.EST CO.LTD」宛てのINVOICE[請求書][写])、甲第18号証(1996[平成8]年3月27日付け:請求人より日本法人「HERO INTERNATIONAL /GINZA FUSON CO.LTD」宛てのINVOICE[請求書][写])、甲第19号証(1996[平成8]年4月3日付け:請求人より日本法人「AMIKADO LA TRADING CO.LTD」宛てのINVOICE[請求書][写])、甲第20号証(1996[平成8]年4月22日付け:請求人より日本法人「LIFT CO.LTD」宛てのINVOICE[請求書][写])、甲第23号証(枝番号を含む。)(1996[平成8]年7月20日付け:ダンス及び音楽専門雑誌「mixmag」より請求人宛ての請求人商品の借用申し入れ書)、甲第24号証(枝番号を含む。)(1999[平成11]年8月28日付け:雑誌「WIRED」より請求人宛ての請求人商品の紹介のための当該商品借用申し入れ書)、甲第26号証(枝番号を含む。)(1999[平成11]年11月19日付け:英国の放送局「BBC」より請求人宛ての同局番組視聴者にプレゼントする請求人商品の提供打診と請求人商品のテレビ紹介の申し入れ書)、甲第27号証(枝番号を含む。)(2000[平成12]年1月27日付け:「BBC」より請求人宛ての同局テレビ番組中で使用する請求人商品の購入又は借用申し入れ書)及びその他の甲各号証を総合勘案すると、請求人の引用商標「CYBERDOG」(「cyberdog」、「CyBERDOG」、「サイバードッグ」の文字を含む。)は、本件商標の商標登録出願前より、少なくとも、英国において、本件商標の指定商品である被服等の取引者、需要者の間において、ロンドンを発信源とする最先端かつ前衛的な請求人の被服等のブランドとして広く認識されており、その周知性は、本件商標の出願時のみならず登録査定時まで継続していた事実が認められる。
なお、請求人提出の甲各号証中、雑誌等には切り張りにより作成されたと思しきものも存在するが、たとえ、これらが切り張りによるものであったとしても、当該雑誌等の表紙や頁に掲載されている日付や記事内容の全ての実在性までもが悉く否定されるべきものということはできない。
(イ)さらに、上記各証拠によれば、請求人は、少なくとも、被請求人による本件商標の商標登録出願前より、日本の複数の法人との間において、引用商標「CYBERDOG」を用いて当該被服等に関する取引をしていたことが認められる。
(ウ)同様に、上記各証拠によれば、本件商標の商標登録出願前より、引用商標「CYBERDOG」は、ロンドンを発信源とする最先端かつ前衛的な請求人の被服等のブランドとして、我が国の複数のストリートファッション雑誌の表紙を飾り、あるいは、請求人の商品や店舗及びデザイナーの写真等とともに特集記事としてもとり上げられ、我が国の若者を中心とする需要者や被服等の取引者の間において相当程度知られ、少なからず話題を集め、あるいは、注目されていたことが認められる。
(3)不正の目的について
(ア)本件商標は、「CYBERDOG」の文字を書してなるところ、その構成中、前半の「CYBER」は、「電脳,コンピュータに関する」(2003年1月1日株式会社自由国民社発行の「現代用語の基礎知識」1398頁参照)といった意味合いを有する英語であり、同後半の「DOG」は、「犬」の意を有する英語であることが認められる。
そして、これらの文字の結合よりなる本件商標「CYBERDOG」は、特定の意味合いを有する語として直ちに認識し得るものとはいい難いことより、一種の造語よりなるものとみるのが相当である。
しかるところ、我が国の一般世人は、前記「CYBER」の文字が上記意味合いを有することのみならず、該文字の綴りを正確に記すことが困難な場合も決して少なくないと考えられることからすると、当該「CYBER」と「DOG」の文字を結合してなる本件商標は、誰にでも容易に想到し得るものとはいえず、しかも、被請求人が偶然の一致によって、請求人の引用商標と同じ綴りよりなる本件商標を想到し、出願したものであるなどとは到底考え難いといわざるを得ない。
(イ)さらに、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品は、どちらも被服等であるだけでなく、被請求人及び同人により本件商標に関する一切の権利を委任された「川上哲洋」(以下「川上」という。:甲第33号証及び平成14年7月9日差出の答弁書の第9頁、下から4ないし5行目参照)は、請求人と同じく被服等を取り扱う事業者である。
すなわち、川上が代表取締役を務める「株式会社トライスル」(甲第40号証)は、衣料品の輸入取引を主体的に行っており、1994年以来、ライセンス事業部を発足させ、海外の著名ブランドの獲得を積極的に行ってきている経緯があること(審判請求書10頁の下から3行目以降及び甲第40号証)から、請求人と同様に、被服等を取り扱う事業者、すなわち、同業者と認められる。
(ウ)そして、被服等は、ファッション関連商品の業界に属し、該業界では、流行に合致した需要者の希求する商品を敏感に察知し、すばやく市場に出すことが求められ、そのために、我が国のみならず、世界中のファッションに関する様々な最新情報の収集・分析が欠かせず、被服等の同業者であってみれば、他社ブランドや商品等に寄せる関心は高く、情報を絶えず収集し、参考にしているというのが実情であるから、本件商標に関する一切の権利を川上に委任していることや、川上が海外のブランド情報をしばしば目にする機会の多い被服等の輸入取引に関与していたことからすると、被請求人は、本件商標の出願前の段階で、海外の有力ブランド情報の一として、川上を通じて、請求人の引用商標を知り、それと同一又は類似の本件商標を自己名義で出願するに及んだ可能性が極めて高いものと推認し得る。
(エ)被請求人は、本件商標につき日本特許庁の商標公開後しばらくして、川上から本件商標の登録決定後に正式契約を締結しようとの話があった旨述べている(答弁書の第10頁、上から11ないし13行目参照)ところ、遅くとも、本件商標の登録査定前の段階で、被請求人は、請求人の引用商標を知っており、本件商標の譲渡について、登録査定を待ったうえで対応することに川上と決めていたことが窺える。
その後、請求人からの本件商標の譲渡依頼に対し、被請求人の委任を受けた川上は、請求人が被請求人との共同事業を断るならば、本件商標の譲渡を拒否するという書簡(甲第33号証、甲第34号証ないし甲第39号証)を請求人に送付するに及んでいる。
川上が被請求人から本件商標に関する一切の権利の委任を受け、被請求人に代わり、本件商標に関する一切を執り行っていたことは明らかであり、その結果により、商標権者たる被請求人の所有する本件商標の権利の帰趨に直接的な影響が及ぶことも明らかであってみれば、被請求人が川上の7件の書簡について詳細を知る立場にない(同答弁書の第10頁、上から5行目)と述べていることは詭弁であり、むしろ、上記事情よりして、川上と請求人との書簡に不知の筈がないのは当然のことであり、被請求人は、かかる状況のみならず、本件商標に関する経緯一切を知っていたものといわなければならない。
そうすると、川上が被請求人の許可を得て、本件商標を使用している行為は、被請求人の行為と同一視し得る旨の請求人の主張は、妥当なものというべきであり、優に首肯し得るものである。
(オ)以上の点を総合すると、被請求人等は、本件商標の商標登録出願前より、ロンドンを発信源とする最先端かつ前衛的な請求人の被服等のブランドとして英国において広く知られ、我が国の若者を中心とする需要者や被服等の取引者の間においても相当程度知られ、少なからず話題を集め、あるいは、注目されていた引用商標「CYBERDOG」の存在を熟知しており、それが我が国において人気を博する蓋然性があると予測し、先行商標調査を行い、請求人が引用商標を未だに我が国に商標登録出願していないことを奇貨として、本件商標を先取り的に出願し、その登録を得て、請求人の引用商標の人気(周知性)や顧客吸引力に便乗し、あるいは、共同事業の話を持ちかけ、それに応じなければ、商標の譲渡を拒否するというように、請求人が将来我が国に進出して営業活動をする際に支障を来すもの、すなわち、被請求人にとって、取引上有利となる材料を確保することで、何らかの不正の利益を得ようとする目的をもって出願したものといわざるを得ない。
(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に該当し、商標登録を受けることのできない商標というべきであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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