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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90331(T2002−90331/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4545811号商標の指定商品中「化粧品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4545811号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲(1)のとおり「CAMPAGNA」の欧文字と「カンパーニャ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成13年3月7日に登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類,香料類,つけ爪用接着剤,つけまつ毛用接着剤」を指定商品として、平成14年2月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由(要約)

(1) 登録異議申立人「セー エフ ウー ベーシスレー」(以下「申立人 A」という。)の申立理由

本件商標は、後掲(2)のとおりの構成よりなり、平成3年7月17日に登録出願され、第4類「オードトワレ」を指定商品として、平成6年5月31日に設定登録された登録第2668385号商標(以下「引用商標A」という。)に類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似のものである。また、本件商標は、申立人Aの業務にかかる商品「オードトワレ」等に使用する商標として著名となっている引用商標Aを容易に連想する相紛れるおそれのあるものであるから、本件商標をその指定商品である「化粧品」等に使用した場合、これに接する需要者等は、恰も申立人A若しくは申立人Aと組織的又は経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当する。

(2) 登録異議申立人「ジョヴァンニ カンパーニャ」(以下「申立人B 」という。)の申立理由

本件商標は、イタリア国テーラー業界のみならず世界的に著名な裁縫師である「ジャンニ カンパーニャ(GIANNI CAMPAGNA)」の名前の略称を含むものであり、その者の承諾を得ていないものである。また、本件商標は、後掲(3)のとおりの構成よりなり、平成10年6月26日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」外、第9類及び第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成11年10月29日に設定登録された登録第4329321号商標(以下「引用商標B」という。)に類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似のものである。そして、申立人Bの使用する「GIANNI CAMPAGNA」の商標は、需要者の間で広く認識されているものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人Bの業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に該当する。

3 取消理由の要点

当審において平成15年3月17日付で商標権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。

本件商標は、その構成上記のとおり「CAMPAGNA」と「カンパーニャ」の文字からなるものであるから、これに相応して「カンパーニャ」の称呼を生ずるものと認められる。

これに対し、引用商標Aは、後掲(2)のとおり図形と文字の組み合わせよりなるところ、その図形内に三つに分けて表された文字中顕著に書されている「eau de」「campagne」の文字部分を捉えて商取引に資される場合が決して少なくないといえる構成であり、かつ、その欧文字部分において「eau de」の文字は、その指定商品の関係にあって「の水」の意味を有するものとしてよく知られているといえるから、識別力がないか、或いは識別力が弱いものと認められ、「campagne」の文字自体が固有の商標と認識され、独立した取引指標として機能し得るものであるといわなければならない。

そうすると、引用商標Aは、簡易迅速を尊ぶ商取引の場において、これに接する取引者、需要者は構成中の「campagne」の文字部分に着目して、これより生ずる「カンパーニュ」の称呼をもって商取引にあたるものとみるのが相当であるから、その構成文字中の「campagne」の文字部分に相応して、単に「カンパーニュ」の称呼をも生ずるものと認められる。

そこで、本件商標より生ずる「カンパーニャ」と、引用商標Aより生ずる「カンパーニュ」の称呼を比較するに、両称呼は冒頭からの「カンパー」の音を同じくし、末尾において「ニャ」と「ニュ」の音の差異を有するにすぎないから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感、語調が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。

してみれば、本件商標と引用商標Aとは、それぞれの構成中に取引指標として認識されることのある大小文字の差があるとはいえ、全8字中の語末「A」と「e」の綴りの差があるにすぎない「CAMPAGNA」と「campagne」とを有するところにおいて相紛らわしいばかりでなく、上記認定のとおりこれに相応して生ずる称呼においても類似する商標であり、かつ、引用商標Aの指定商品は「化粧品」の一であるから、本件商標の指定商品中「化粧品」とは同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、その指定商品中「化粧品」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べている。

本件商標は、その構成上記のとおりであるところ、これを構成する文字中「カンパーニャ」の部分は欧文字部分の読みを特定するものと認められるから、これよりは「カンパーニャ」の称呼を生ずる。

これに対し、引用商標Aの構成は、後掲(2)のとおり、図形と「eau de」及び「campagne」の欧文字を二段に中心部に記してなるところ、該文字も図形と分離して要部と見られるものであって、その文字部分は「eau de」の部分を上段に「campagne」の部分を下段にそれぞれ同書同大同間隔に表されてなり、全体としてまとまりよく一体的に構成されており、これよりは英語読み風にあるいはローマ字読み風に「ユーデ キャンペイン」と称呼するのが自然である。

この点について、取消理由は、「eau de」について簡単に「...の水」と解釈し、さらに「campagne」の部分も「カンパーニュ」と称呼している。この文字部分はフランス語であると考えられるが、現在の我が国においては、未だフランス語の知識は英語ほど普及しておらず、やはりこれをフランス語読みに「オード カンパーニュ」と称呼するのは極めて困難であるというべきである。取消理由はフランス語が我が国において普及しているとしているが、やはり上記の如く無理であり、又その証拠の提出もされていない。したがって、引用商標Aより生ずる称呼は一連に英語風読みに「ユーデ キャンペイン」と称呼するのが自然である。

してみれば、両者の称呼「カンパーニャ」「ユーデ キャンペイン」とは明らかに相紛れる恐れのない別異のものと認められる。しかしながら、引用商標Aより生ずる称呼を「eau de」の部分を「オード」、「compagne」の部分を「カンパーニュ」と称呼するとしても「オード カンパーニュ」と「カンパーニャ」とは類否を論ずるまでもなく、相紛れるおそれはない。また、「カンパーニュ」と「カンパーニャ」の点についてもその差異は微差あるとのみ述べ、何故に「ニャ」と「ニュ」という大差を小差とするのか不明であり、かつその証拠の提出もない。

以上のとおり、本件商標と引用商標Aとは、その称呼、外観及び観念のいずれにも該当しない非類似のものである。

5 当審の判断

(1) 指定商品中の「化粧品」について

当審において通知した上記3の取消理由は妥当なものである。すなわち、本件商標と引用商標Aとは、その構成中に独立した取引指標として機能し得る「CAMPAGNA」と「campagne」の欧文字を有するところにおいて相紛らわしく、これに相応して生ずる称呼「カンパーニャ」と「カンパーニュ」においても類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「化粧品」と引用商標Aの指定商品「オードトワレ」とは、同一又は類似のものである。

してみると、本件商標をその指定商品「化粧品」について使用することにより、需要者はその出所を混同するおそれがあるといわなければならないから、本件商標は、その指定商品中「化粧品」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとしなければならない。

他方、商標権者は、上記3の取消理由に対し、上記4のとおり意見を述べているので、以下に検討する。

我が国の化粧品を取り扱う業界では、フランス製の商品が輸入され我が国の商品と同様に各小売店舗で販売されるとともに、雑誌等おいても広告宣伝されていることは、申立人Aの提出に係る「世界の一流品大図鑑」(甲第7号証ないし甲第23号証)、「The一流品」(甲第24号証ないし甲第31号証)、「世界の特選品」(甲第32号証ないし甲第35号証)、「粧品要覧」(甲第36号証ないし甲第38号証)、「香水図鑑」(甲第39号証、甲第40号証)、及びインターネット上の商品情報紹介サイト(甲第41号証)等により窺い知れるものである。

これら証拠によれば、我が国の化粧品の商取引に接する需要者等は、「eau de cologne」(オーデコロン)、「eau de toilette」(オーデトワレ)等の「eau de」文字を冠した商品の用例からして、本件商標の構成中「eau de」の部分を「の水」の意味を有するもの、すなわち、水性の化粧品であることを認識するに止まり、識別力がないか、或いは識別力が弱いものと認識するというべきである。

しかして、日本製の化粧品においても「オーデコロン(eau de cologne)」、「オーデトワレ(eau de toilette)」の語が使用されるほか、フランス語が商標等に用いられている実情があり、当該商標がフランス語によるものと認識される場合は、フランス語風の読み方に倣って称呼され商取引に資される場合も決して少なくないというべきである。そして、引用商標Aの使用に係る申立人Aの商品(オーデトワレ)について、「EAU DE CAMPAGNE」ないし「オー ド カンパーニュ」の表示により商品の紹介がされている事実も認められ(甲第39号証ないし甲第44号証)、これらを合わせみれば、「compagne」の文字を「カンパーニュ」と称呼し、その取引に資されるものとみて差し支えないものといえる。

また、両商標から生ずる「カンパーニャ」と「カンパーニュ」の称呼における類否は、化粧品の一般的な取引者、需要者が聴取した場合に、聞き誤るおそれがあるか否かについて判断したものであって、比較的聴別し難い末尾においての音の差異を有するにすぎない両称呼を一連に称呼したときは、その全体の語調、語感が近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがあるというべきであり、商標権者の意見をもってこれを否定することはできない。そして、両者の称呼上の類似性を左右するに足りる証拠もない。

結局、上記3の取消理由に示すとおり、本件商標と類似する引用商標Aが存在し、それぞれの指定商品も同一又は類似といえるものである以上、本件商標は、その指定商品中「化粧品」については、商標法第4条第1項第11号に該当するものといわざるを得ないから、商標権者の意見は採用することができない。

(2) 残余の指定商品について

本件商標の指定商品中「せっけん類,香料類,つけ爪用接着剤,つけまつ毛用接着剤」、すなわち、「化粧品」以外の本件商標の指定商品について、登録異議の申立をしている申立人Bの申立理由について検討するに、申立人Bの提出に係る甲各号証によれば、「ジャンニ カンパーニャ(GIANNI CAMPAGNA)」は、イタリア国在の裁縫師であって、裁縫に係る業界において広く知られている者であることを認め得るとしても、それら証拠によっては、直ちに本件商標の指定商品中の「せっけん類,香料類,つけ爪用接着剤,つけまつ毛用接着剤」の分野において需要者間に広く認識されているとする点、あるいは申立人Bがそれら商品に係る業務まで事業範囲を拡大しているとする点は明らかでなく、それを認めるに十分な証拠はないから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が直ちに申立人Bの「GIANNI CAMPAGNA」商標を想起し、申立人業務と何らかの関係を有するものの如くその出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

また、申立人Bの提出に係る証拠に同氏又は同氏の製品(スーツ)を紹介する雑誌の記事において「カンパーニャ」と僅かに掲載されていることは認め得ても、それら証拠によっては、本件商標の登録出願時に「CAMPAGNA(カンパーニャ)」が申立人Bの著名な略称として認識せられたものとの点は俄に認め難いものであるから、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標といえない。

さらに、申立人Bの引用商標Bは、後掲(3)のとおり、開脚した鋏と「C」及び「A」のモノグラムとを描いた図形部分の下段に「GIANNI CAMPAGNA」の欧文字を配したものである。しかして、該文字部分は同じ書体、同じ大きさをもって、一連に表されていて視覚上一体のものとして看取し得るばかりでなく、これより生ずるとみられる「ジャンニカンパーニャ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり、かつ、全体として一種の造語を表したものというべく、該文字部分は常に全体として一体のものとして認識し把握されるものとみるのが相当である。してみれば、引用商標Bは、「ジャンニカンパーニャ」の一連の称呼のみを生ずるものというべきであって、殊更、構成中の「CAMPAGNA」の文字部分を抽出し、該文字部分に相応する外観、観念及び称呼をもって取引に資されるというべき特段の理由は見出せないから、本件商標と引用商標Bとは、非類似の商標といわなければならない。

そうすると、本件商標は、その指定商品中「せっけん類,香料類,つけ爪用接着剤,つけまつ毛用接着剤」については、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものとはいえない。

(3) まとめ

以上のとおり、本件商標は、上記3の取消理由により、その指定商品中「化粧品」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわなければならないから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。

ただし、その余の登録に係る指定商品については、前記各法条に該当するものとはいえないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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