Trademark Appeal Case
地名冠称の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90991(T2001−90991/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4510764号商標(以下「本件商標」という。)は、「土佐の龍馬」の文字を標準文字により書してなり、平成12年5月29日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同13年10月5日に設定の登録がされたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件商標は、前記したとおりである。
一方、登録異議申立人が引用する登録第631544号商標(以下「引用商標」という。)は、昭和37年8月25日に登録出願、「龍馬」の文字を縦書してなり、第30類「菓子」を指定商品として、同38年12月9日に設定登録されたものである。
本件商標と引用商標の類否について検討すると、上記の文字よりなる本件商標及び引用商標からは、共に土佐出身の幕末の志士として著名な坂本龍馬が観念されるものと認められる。また、本件商標中の「土佐の」の文字は坂本龍馬の出身地を表すものであって、これに続く「龍馬」の語を修飾する語にすぎないから、本件商標は、その「龍馬」の文字部分を要部とするものというべきであり、その構成文字全体より「トサノリョウマ」の一連の称呼を生ずるほかに、要部である「龍馬」の文字部分より単なる「リョウマ」の称呼をも生ずるものというのが相当である。そして、上記の文字よりなる引用商標からは、「リョウマ」の称呼が生ずると認められる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、上記の同一の観念及び称呼を生じ、相紛れるおそれがある類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品と認められる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
本件商標については、審査における拒絶理由通知書に対する平成13年5月19日付意見書において、既に詳述したところであるが、本件商標は、「土佐の龍馬」と一体不可分に結合したことにより、その称呼も「とさのりょうま」と称するものであり、しかも引用商標「龍馬」をして本件商標の「土佐の」の文字が「龍馬」の修飾語とするのは早計である。
因みに、同一の観念及び称呼を生ずるものでないとの判断によって非類似商標として登録された一例を挙げると、第30類「菓子、パン」を指定商品とした商標で、戦国時代の将軍豊臣秀吉の家来で「槍」の名人であり美濃の出身であった「竹中半兵衛」に対して「美濃の半兵衛」が非類似として登録されており、その後においても「竹中半兵衛」が登録されている(乙第1号証)。その他、「織田信長」に対して「信長有平糖/のぶながゆうへいとう」(乙第2号証)、「名古屋の殿様」に対して「尾張の殿様」(乙第4号証)が登録されており、更に、本件商標と同様「土佐の」の文字を付した商標が幾多も同一の観念、称呼を生ずるものでないとして登録されている(乙第3号証)。
これらの例をも考慮すれば、本件商標は、外観上も同一の字形をもってまとまりよく「土佐の龍馬」と一体的に構成されており、あくまで要部は一体不可分に結合された「土佐の龍馬/とさのりょうま」で、一連に称呼することが可能である。しかも、「龍馬」若しくは「坂本龍馬」が存在しているとして、本件商標「土佐の龍馬」を故意に「土佐の」と「龍馬」に分離して「龍馬/りょうま」とのみ称呼、観念しなければならない格別の理由もなく、取引者・需要者間においても自他商品識別機能を十分有する商標として理解し認識されるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないことは明白である。
5 当審の判断
本件商標は、「土佐の龍馬」の文字を標準文字により横書してなるものであり、引用商標は、「龍馬」の文字を筆文字風の書体により縦書きに表したものである。
ところで、「坂本龍馬」が幕末の時代に活躍した歴史上の人物であることは、世上一般に広く知られている顕著な事実であり、また、「坂本龍馬」は、しばしば「龍馬」のみで示されること、このことが、「坂本龍馬」の著名性と相まって、ただ「龍馬」といえば、通常は「坂本龍馬」を示すものと理解される状況を生じさせていることも顕著な事実である。
そうとすれば、「龍馬」の文字に接した取引者・需要者は、上記歴史上の人物である「坂本龍馬」を想起することは、明らかというべきである。
そして、本件商標は、「龍馬」の文字に「土佐の」の文字が冠されているが、坂本龍馬が土佐出身の志士であることは広く知られているところであり、また、「龍馬」の文字に「土佐の」の文字を冠することにより格別の意味合いが生じ得るというような事情もないから、「土佐の」の文字は、単に坂本龍馬の出身地を表したものと理解されるにとどまるものと認められる。
したがって、本件商標からは、「土佐出身の坂本龍馬」及び「坂本龍馬」の観念を生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標は、上記のとおりの構成からなるものであるから、「坂本龍馬」の観念を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、ともに「坂本龍馬」の観念を共通にする類似の商標である。
また、本件商標は、上記したとおり、その構成中の「土佐の」の文字は、これに続く「龍馬」の語を修飾する語にすぎないから、「龍馬」の文字部分を要部とするものというべきであり、その構成文字全体より「トサノリョウマ」の一連の称呼を生ずるほかに、要部である「龍馬」の文字部分より単に「リョウマ」の称呼をも生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「リョウマ」の称呼を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、ともに「リョウマ」の称呼を共通にする点においても類似する商標である。
これらの点について、商標権者は、本件商標は外観上も一体的に構成されており、一連に称呼されるものであるから、引用商標とは区別されるものである旨主張している。
しかしながら、「坂本龍馬」という著名な歴史上の人物の観念を共通にすることの印象、記憶に与える影響は極めて大きく、商標権者が主張している両商標の外観における差異及び「トサノリョウマ」と「リョウマ」という一義的な称呼の差異が上記した観念の共通点を凌駕して、両商標を明瞭に区別し得るものとは到底認められないから、この点についての商標権者の主張を採用することはできない。
また、商標権者は、過去に区別されて登録されている事例があることを理由に本件商標と引用商標も区別されるべきである旨主張しているが、これらの商標は、いずれも、本件商標とは商標を異にするものであり、商標の類否の判断は、各商標につき個別具体的に判断されるべき性質のものであるから、商標権者が主張するような事例があるからといって、本件商標と引用商標との類否の判断を左右することにはならない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「坂本龍馬」の観念及び「リョウマ」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品「菓子及びパン」と引用商標の指定商品「菓子」とは、同一又は類似するものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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