Trademark Appeal Case
「食養士」と国家資格の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−15534(T2001−15534/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「食養士」の文字(標準文字による)を書してなり、第41類「健康自然食品や栄養補助食品についての知識の指導・助言・教授」を指定商品として、平成12年4月13日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『食養士』の文字を書してなるところ、一般に『○○士』は、国家等が実施する試験に合格した者が取得できる資格を表示する語として使用されているばかりでなく国家資格の一である『栄養士』とも紛れるおそれがあるから、そのようなものを一私人たる出願人が自己の商標として使用することは、需要者をして国家資格を表す名称の一つであるかの如く誤認を生じさせるおそれがあるばかりでなく、ひいては国家資格制度の秩序を乱すおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「食養士」の文字よりなるところ、末尾に「士」の付された語の通常の意味は、「広辞苑」第4版(1991年11月15日発行)や「講談社カラー版日本語大辞典」(1992年1月28日発行)によれば、「一定の資格・役割をもった者」、「特別の資格・職業の人」などといったものであり、その用語例として、「弁護士」、「栄養士」、「学士」、「代議士」、「公認会計士」等が挙げられていることが認められる。ここにいう一定の資格に何が含まれるかについては、格別の制限が付されていないから、形式的には、国家資格(法令に根拠を有するもの)、民間資格(それ以外のもの)のいずれをも含み得ることになる。しかし、末尾に「士」の付された名称の中で、一般国民にとって接する機会が多く、一般国民にとって知られている度合いの大きいものの多くは、上記「弁護士」、「栄養士」、「公認会計士」、「学士」をはじめ、税理士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、行政書士など国家資格に係るものであり(なお、前記「代議士」は、衆議院議員の俗称であって、法令に基づく名称ではないが、衆議院議員が法令に基づく地位であることは明らかであるから、国家資格に係る名称であることに変わりはない。)、しかも、その状態が古くから続いてきていることは、当審において顕著である。
また、末尾に「士」の付された名称のうち、国家資格に係るものは、国家が、公共の福祉その他政策上の目的のために、国民の職業選択の自由を制限してでも、一定の能力を有すると判定された者に限って一定の地位ないし権限を付与する必要があると認めて法令をもってそのように定めたものであり、そのために、国家資格に伴う地位ないし権限は、必然的に対世的かつ排他的なものとなる。これに対して、民間資格は、上記のような必要に基づくものでも、法令に根拠を有するものでもなく、対世的かつ排他的な地位ないし権限の付与を伴うものでもない。このように、国家資格と民間資格とでは、一般国民に対して現実に果たしている役割の重要性において比較にならない相異がある。
これらの事情の下では、一般国民は、末尾に「士」の付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表していると理解することが多いとするのが相当である。
これを本願商標についていえば、厚生労働省所管の資格制度として上記にも示した「栄養士」というものがあり、栄養士法において「栄養士とは、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう」(第1条第1項)、「厚生労働大臣の指定した栄養士の養成施設において2年以上栄養士として必要な知識及び技能を修得し、都道府県知事の免許を受ける。」(第2条第1項)と定められており、その活動範囲は、学校、病院、保育園、老人保健施設等に及んでいる。そして、その活動範囲の一つである病院において、食餌療法等を行う「食養科」「食養内科」と称する診療科を設けている実情がある。
そうすると、本願商標である「食養士」に接する需要者、取引者は、公的職業資格である「栄養士」のほかに、当該医療に関連した公的職業資格があるかの如く誤信される場合があることは否定できないところである。
そうとすれば、本願商標は、たとえ出願人が特定非営利活動法人であっても、これを登録することは、社会公共の利益を図る見地から、穏当ではない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。