結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30173(T2001−30173/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第1008565号商標(以下「本件商標」という。)は、「光悦」の文字を縦書きしてなり、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」を指定商品として、昭和48年4月9日登録、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)請求の理由
請求人の調査したところでは、本件商標は、過去3年以上に亘り取消しを求めた指定商品には全く使用されていないことが判明した。よって、本件商標は、商標法第50条の規定により取消しを免れないものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人が本件商標を使用しているとして主張立証している商品は「べんとう」である。当該商品は本件取消しの対象である商品「とんかつ」ではなく、かつ「とんかつに類似する商品」ではない。「とんかつ」は「コロッケ」等と同じく「肉製品」に含まれる商品であって「べんとう」には類似しない商品である。よって、本件登録は、商標法第50条の規定により「とんかつ及びこれに類似する商品」については取消しを免れないものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する再答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、登録商標の使用説明書を提出した。
(1)答弁の理由
本件商標は、その指定商品中「べんとう」について使用されており、登録商標の使用説明書により、その使用の事実を以下のとおり立証する。
(イ)本件商標の使用及び使用に係る商品
使用説明書に添付の写真に示すとおり、本件商標と同一の商標「光悦」が商品「べんとう」の包装紙に鮮明に表示され、本件商標が前記商品について使用されていることは明らかである。
(ロ)商品の販売事実
本件商標を使用した前記商品が実際に販売された事実は、平成12年7月4日付領収書及び同領収書の控えにより、裏付けられる。
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、本件審判請求に係る指定商品中「べんとう」について使用されており、請求に係る指定商品「とんかつ及びこれに類似する商品」の一に使用されているものであるから、本件の商標登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきではない。
(2)弁駁に対する再答弁
(イ)請求人の弁駁は、取消対象商品「とんかつ及びこれに類似する商品」と被請求人が使用していることを主張立証した商品「べんとう」が互いに類似しない商品であることを理由とするものである。
審査段階における類似商品審査基準では、「とんかつ」の属する「肉製品、加工水産物(かつお節、削り節、とろろこんぶ、干しのり、焼きのり、干しわかめ、干しひじき、寒天を除く。)」は、「すし、べんとう、サンドイッチ」と互いに非類似の商品と推定されている。
しかし、請求人の上記弁駁は、形式論にすぎず、現実の市場において有効に機能している商標権の審判段階における取消処分においては、商品ごとにこれらの取引の実態、消費者による出所の誤認混同の蓋然性が重く判断されるべきであり、このような形式論で画一的に定められるものでない。前記商品分類基準は、あくまで市場に流通する膨大な商品を迅速かつ容易に審査するための仮の基準にすぎないことは、特許庁商標課編「『商品及び役務の区分』に基づく類似商品・役務審査基準」において、審査基準の運用について、「本審査基準は全審査官の統一的基準ですが、具体的、個別的に商品又は役務の類否を審査する際において、あるいは商取引、経済界等の実情の推移から、本基準で『類似』と推定したものでも、『非類似』と認められる場合又はその逆の場合もあり得ます。」とされているとおりである。
本件においては、市場に「とんかつ弁当」、「ハンバーグ弁当」などが多数存在しているように、とんかつやその類似商品であるハム、ソーセージなどは、弁当の主要な惣菜として多く用いられており、生産部門も一致する場合が多いという実態からみて、これらは視覚的に顕著に判る「弁当」の主要構成商品でもある。また、「弁当」と「とんかつ」が同じスーパーマーケットの同一のコーナー、即ち惣菜コーナーで販売されたり、弁当販売店がとんかつを販売する例や、とんかつ販売店が弁当を販売する例も極めて一般的となっていることから、両者は販売部門及び需要者の範囲が一致する。このような見地からは、「とんかつ」と「弁当」は互いに類似の商品である。
(ロ)商標法第50条の商標登録の不使用取消制度は、法が本来保護すべきものとして予定している商標に化体した業務上の信用が存在しない状態の登録商標を個別的に整理して、他者の営業活動を阻害するが如き状態を除去することにある。
被請求人の調査によれば、請求人は、本件登録取消審判の請求後の平成13年2月15日に、第29類「とんかつ、その他の肉製品」を指定商品として、商標「こうえつ」を出願している(商願2001−12358)。仮に、本件商標の取消対象商品「とんかつ及びこれに類似する商品」が取り消されて、請求人の出願商標「こうえつ」が登録された場合、いずれも「コウエツ」の称呼を有する本件商標「光悦」と類似する商標が、それぞれ「べんとう、すし、サンドイッチ」などの商品分野とその惣菜である肉製品分野で併存することになる。これは、一般大衆に出所の混同を生じるのは明白である。その結果は、本件商標権者である京都洛北鷹峯の本阿弥光悦の屋敷跡に存在する日蓮宗の名刹「光悦寺」が、厳選した使用権者を通じて宗教行事や観光客などに広く提供してきた光悦弁当の信用と名声が阻害されることは明らかである。このように現実に使用され、商標法の精神に則って有効に機能している商標権を、審査便宜上の商品類似の基準だけをもって、取消処分の対象とするのは、著しく公平を欠く処分といわねばならない。
(ハ)以上のとおり、被請求人(商標権者)が答弁書にて使用の事実を主張立証した「べんとう」は、取引の実態からみて、請求に係る指定商品「とんかつ及びこれに類似する商品」に該当する商品であり、かつ本件商標は、請求人も認めているように、審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、広く使用されているので、本件の商標登録は商標法第50条第1項の規定には該当しないものである。
被請求人が提出した証拠によれば、平成12年7月当時、商品「べんとう」について本件商標と同一の態様よりなる標章が使用されていた事実が認められ、この点については請求人も明らかに争わないところである。
しかし、該使用に係る商品「べんとう」が本件取消請求に係る指定商品「とんかつ及びこれに類似する商品」に該当するか否かについて両当事者間に争いがあるので、この点につき、以下判断する。
「べんとう」は、携帯用の容器に入れた食べ物で、本来は外出先で食べるための携帯用の食事であるが、近年は家庭や会食などで用いられることが多く、その種類も豊富なことで知られる。そして、「べんとう」は、米飯、パン、麺類などを主食とし、これに幾品かの副食物(おかず)が添えられるのが一般的な態様であるところ、主食はともかく、副食物に用いられる食材は様々であって、その調達や調理の方法も多岐にわたるため、専門の業者により製造される場合が多く、デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの食品売場で販売されるほか、最近は製造も販売も行う弁当専門店などもでき、家庭、職場、行楽などでも気軽に楽しまれているのが実情である。
一方、「とんかつ」は、厚めに切った豚肉に塩こしょうをして小麦粉・溶き卵・パン粉をつけて油で揚げた料理をいい、その主たる食材が豚肉であることから、豚肉の加工品として肉製品の範疇に入る商品とみるを相当とするものであり、食材の良さや調達の容易さから、従来、主として肉屋が調理し販売している実情にあって、このような認識は今なお需要者間に根強く支配しているものと認められる。
以上の点よりすると、「べんとう」と「とんかつ」とは、必ずしも生産部門が一致するものとはいい得ないばかりか、販売部門の一致性も認め難いものというべきである。
被請求人は、両商品とも、同じスーパーマーケットの同じ惣菜コーナーで販売されるとか、弁当販売店がとんかつを、とんかつ販売店が弁当を販売する例がある点を捉えて、販売部門の一致性をいうが、もとよりスーパーマーケットの取り扱う商品は種々雑多であり、また、惣菜コーナー1つとってもその取り扱う品目は多種多彩であって、しかもそれらが雑多に並べられているわけではなく、各品目ごとにまとめられているのが実情であることよりすれば、同じスーパーマーケットの同じ惣菜コーナーに置かれることの一事をもって必ずしも販売部門が一致するとまではいい得ないし、また、弁当販売店がとんかつを、とんかつ販売店が弁当をそれぞれ販売する場合があることは否定しないが、このような販売形態は副食物と惣菜が一致する場合に成立する特殊な関係に限られるのであって、「べんとう」と「とんかつ」両商品全般にわたって通用する普遍的なものではないから、これを両商品の販売に際しての常態であると認めることはできない。したがって、この点(販売部門の一致性)を述べる被請求人の主張は、一面的なものであって妥当でなく、採用の限りでない。
してみれば、被請求人が本件商標を使用しているとする商品「べんとう」と本件取消請求に係る指定商品中の商品「とんかつ」とは、品質はもとより、生産部門、販売部門を異にする場合が多く、時に商品の取引経路が一致する場合があるとしてもごく一部に限られるというべきであり、しかもその取引経路も常態であるとはいえないこと上記のとおりであるから、互いに非類似の商品として認める方が、この種商品の取引の実際並びに経験則に照らし相当とするものである。
以上のとおりであるから、本件商標の使用に係る商品「べんとう」は、取消しに係る指定商品「とんかつ及びこれに類似する商品」に該当するものということはできない。
したがって、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内において、取消しに係る指定商品についての本件商標の使用を証明していないものであり、また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「とんかつ及びこれに類似する商品」については、商標法第50条の規定により、取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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