sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第11399号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

第1 本件商標登録出願

本件商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「BAR」の欧文字を上段に、「ORIENT」の欧文字と「EXPRESS」の欧文字とを「〜」(波線の符号)を介して横一連に表した態様のもの(以下「ORIENT〜EXPRESS」の標章という。)を下段に表してなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して、第42類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成4年9月30日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由

原査定は、登録異議の申立てがあった結果、以下の理由により本願を拒絶したものである

原査定における登録異議の申立ては、2件なされ、1件は、フランス国の国営鉄道会社である「ソシエテ、ナショナル、デ、シュマン、ドゥ、フェール、フランセ」によるものであり、他の1件は、「ベニス シンプロン−オリエント−工クスプレス インコーポレーテッド」によるものであり、以下、前者の登録異議申立人を「申立人A」といい、後者の登録異議申立人を「申立人B」という。

<理由>

本願商標は、「BAR」の文字と「ORIENT〜EXPRESS」の標章を二段に書してなるものである。

これに対し、申立人Aは、同人が役務「鉄道による輸送」について使用する「ORIENT EXPRESS」の文字からなる商標を引用し、本願商標は、商標法4条1項8号及び同15号に該当するから登録されるべきでないと主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。

よって按ずるに、申立人Aの主張の全趣旨によれば、引用商標である「ORIENT EXPRESS」の文字は、仏国の国営鉄道会社である「Societe Nationale des Chemins de Fer Francais(ソシエテ、ナショナル、デ、シュマン、ドゥ、フェール、フランセ)」が、その業務に係る「鉄道による輸送」の役務に関し当該列車名として使用する商標(サービスマーク)として、世界的に知られているところである。

そうとすれば、本願商標は、申立人Aが上記役務に使用し取引者、需要者の間に広く認識されている「ORIENT EXPRESS」と同一綴字の「ORIENT EXPRESS」の文字を有してなるものであるから、本願商標をその指定役務に使用するときは、前記実情よりして該役務が申立人Aあるいは同人と何らかの関係にある者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は商標法4条1項15号に該当する。

第3 当審の判断

1 ORIENT EXPRESS(オリエント急行)について

「ORIENT EXPRESS(オリエント急行)」(以下「オリエント急行」という。)は、1883年から1977年にかけて、ヨーロッパ大陸(主としてパリ、イスタンブール間)に運行された旅客列車の名称であり、その営業が取りやめられた後は、いくつかの鉄道会社により復活したり廃止したりを繰り返し、現在、オリエント急行の名称を付した列車を運行させている鉄道には下記のものが存在する。

(1)申立人Aである「ソシエテ、ナショナル、デ、シュマン ドゥ、フェール、フランセ(フランス国営鉄道会社:略称は「SNCF」)」が経営する、パリ〜ブカレスト間を走る電車(申立人Aが提出した異議申し立てに係る甲第3号証)。

(2)申立人Bである「ベニス シンプロンーオリエントーエクスプレス インコーポレーテッド(略称は「VSOE」)」が経営する、ロンドン〜ベニス間を走る「ベニス、シンプロン−オリエント急行」(インターネットホームページ http://www.orient-express.co.jp/trains/vsoe/index.html)。

(3)「ノスタルジック−イスタンブール−オリエント急行」(インターネットホームページ http://www.asahi-net.or.jp/~vy6t-kbys/VSOE.html)。

(4)そして、上記の3社の営業にかかる鉄道のいずれかが、単に「オリエント急行」と略称されて、他の2社の営業と識別されているとの事実は発見できない。

(5)この他にも、ベトナム国内の鉄道、シンガポール−マレーシア−タイを結ぶ鉄道、オーストラリア国内の鉄道について「オリエント急行」と称して鉄道の運行が行われているとの新聞報道がされていることが確認できる。

これらの事実からすれば、他に特別な事情が存しない限り、「オリエント急行」が特定の者の営業にかかる鉄道の名称として知られているということはできないというべきである。

2 「ORIENT EXPRESS(オリエント急行)」の語の著名性について

上記「1」の事実に照らして、以下、「ORIENT EXPRESS(オリエント急行)」の語が特定の者の運営にかかる鉄道の名称として著名となっているとする特別な事情の有無について検討する。

(1)原査定の認定との関係

申立人Aが、原査定において提出した甲第1号証は、申立人Aがイギリス及びアメリカの会社と交わした契約書の写しと推認されるが、これによれば「オリエント急行」に関する、ある種の契約が交わされたことは推認できるが、それにとどまり、これをもってしては、「オリエント急行」と称されている鉄道が、申立人Aの運行にかかる鉄道の名称として世界的に著名性を獲得しているとするには充分ではないといわざるを得ない。

また、申立人Aが提出した甲第2号証はフランス、イギリスをはじめとするヨーロッパの国における「ORIENT EXPRESS」の商標登録の事実が把握できるにすぎず、このことをもって、「オリエント急行」と称されている鉄道が、申立人Aの運行にかかる鉄道の名称として世界的著名性を獲得しているとすることはできない。

さらに申立人Aが提出した甲第3号証は、パリ−ウイーン間の「ORIENT EXPRESS」と称する鉄道の現地語での広告宣伝であって、この広告をもって、「ORIENT EXPRESS(オリエント急行)」と称されている鉄道が、申立人Aの運行にかかる鉄道の名称として著名性を獲得しているとすることはできない。

そうとすれば、原査定の「本願商標をその指定役務に使用するときは、該役務が申立人Aあるいは同人と何らかの関係にある者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあり、本願商標は商標法4条1項15号に該当する。」旨の理由は妥当なものとはいえず、この理由をもって本願を拒絶することはできない。

(2)申立人Bの申立て理由について

原査定において、申立人Bが提出した甲各号証を徴するに、甲第2号証ないし同第15号証の商標公告公報、甲第17号証及び同第18号証の登録異議の決定、甲第19号証ないし同第25号にかかる商品「ワイン」についての宣伝の事実、甲第26号証ないし同第28号証にかかる宣伝の事実をもってしては、「ORIENT EXPRESS(オリエント急行)」の商標が申立人Bの取り扱いに係るものとして著名なものとなっていると認めることはできない。

なお、この他に職権をもって調査するも、申立人Bの営業にかかる鉄道は「ベニス シンプロン オリエント急行(VSOE)」と、一連に呼称され、認識されていることは確認できたが、申立人Bの営業にかかる鉄道が「ORIENT EXPRESS(オリエント急行)」と略称されて周知・著名なものとなっているとすべき証拠は発見できなかった。

(3)その他、職権をもって調査するも、「ORIENT EXPRESS(オリエント急行)」の語が特定の者の運営にかかる鉄道の名称として周知・著名となっているとする証拠は発見できなかった。

3 結論

してみれば、本願商標は、前記したように、原査定が理由とする条文には該当せず、また、ほかに、本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。