Trademark Appeal Case
著名商標の混同判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−14126(T2000−14126/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本件商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「ゲラン」の片仮名文字を上段に、「Gerlain」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、政令で定める商品及び役務の区分、第9類に属する願書記載の商品を指定して、平成11年6月16日に登録出願され、その指定商品については、平成12年9月6日付の手続補正書により、「パーソナルコンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ,業務用テレビゲーム機のゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、フランスの香水会社『ゲランソシエテアノニム』及びその関連会社が『香水その他の化粧品』に使用した結果、取引者・需要者間に広く認識されている『ゲラン』、『GUERLAIN』と称呼を同一にする『ゲラン』及び『Gerlain』の文字よりなるから、これを出願人が本願指定商品に使用するときは、恰もこれが前記会社の業務に係り、あるいは何等かの関係があるかの如く、商品の出所について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法4条1項15号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
本願商標の構成は、前記のとおりであって、その構成中の「Gerlain」の欧文字が採択されやすい既成語とは認められず、かつ、上段部が「ゲラン」の片仮名文字よりなることから、本願商標は、「ゲラン」の片仮名文字及び「ゲラン」と称呼される欧文字とを二段に横書きしてなる、特定の観念を生じさせない商標と認識される構成のものとみるのが相当である。
しかして、「英和商品名辞典」(株式会社研究社1991年発行)、「コンサイスカタカナ語辞典」(三省堂2002年11月発行第6版)、「世界の一流品大図鑑’98」(株式会社講談社1998年5月発行)、新聞記事データベース情報、インターネット検索情報等を総合して検討すれば、原査定のいう、「ゲラン」の片仮名文字及び「GUERLAIN(Guerlain)」の欧文字は、フランスの香水会社「ゲラン ソシエテ アノニム」及びその関連会社が「香水その他の化粧品」に使用する商標(以下、「ゲラン」の片仮名文字よりなる商標を「片仮名ゲラン商標」と、「GUERLAIN(Guerlain)」の欧文字よりなる商標を「GUERLAIN商標」といい、両者を総称して「ゲラン商標」という。)として、本願商標出願時には、わが国内において広く知られ、著名となっていたものと判断され、かつ、これが現在も継続しているということができるものである。そして、請求人も、ゲラン商標の著名性自体を否定はしていない。
また、前示の「英和商品名辞典」によれば、GUERLAIN商標は、その創業者の氏から採択されたものであることが把握できるものであって、ゲラン商標を構成する文字が、前記以外の特定の意味を有する既成語とは認められない。
そこで、以下、本願商標が、商標法4条1項15号に該当するか否かについて検討する。
商標法4条1項15号でいう、「他人の業務に係る商品(又は役務)と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品に使用したときに、当該商品が他人の業務に係る商品であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがある商標を含むものと解するのが相当である(平成12年7月11日最高裁判所第三小法廷判決 平成10年(行ヒ)第85号参照)。
そして、出願に係る商標が、「他人の業務に係る商品(又は役務)と混同を生ずるおそれがある商標」であるか否かを判断するにあたっては、上記の最高裁判所の判示を踏まえ、出願に係る商標と他人の商標との類似性の程度、他人の商標の周知著名性及び独創性の程度や、出願に係る商標の指定商品と、他人の業務に係る商品との関連性の程度並びに当該商品の取引者・需要者の共通性等の取引の実情、さらに、昨今の、企業における多角経営化の進展や、経営規模の拡大、異業種への進出等といった産業界の事業展開の実情等に照らし、取引者・需要者が普通に有する注意力を基準として、総合的に判断すべきである。
しかして、本願商標とゲラン商標を対比するに、本願商標は、前記で認定した著名商標である片仮名ゲラン商標と同一構成の「ゲラン」の片仮名文字を含むものであり、また、本願商標構成中の欧文字部分は、上記したように「ゲラン」と称呼されるというべきであり、また、この部分は、GUERLAIN商標とは、「U(u)」の文字を有するか否かの差にすぎないから、外観において類似すると判断するのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、ゲラン商標と外観上類似し、また、「ゲラン」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
しかるところ、本願商標の指定商品は、「業務用テレビゲーム機,家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた光ディスク」等であるところ、これら商品の取引者・需要者及びこれらゲームの遊技者や、これらに興味をもっている需要者層は、普通一般の消費者であり、「香水その他の化粧品類」の需要者もまた、普通一般の消費者であることから、これら商品の需要者層は、かなりの部分において共通するところがあるといえるものである。
そうとすれば、本願商標の指定商品とゲラン商標が使用されている商品「香水その他の化粧品類」とは、その品質、用途、機能を異にするものとしても、本願商標がゲラン商標と外観及び称呼において類似し、前記認定のように、創業者の氏から採択されたゲラン商標が周知著名となっており、本願商標が採択されやすい既成語よりなるものとはいえず、かつ、本願商標の指定商品の需要者と、「香水その他の化粧品類」の需要者層(この需要者が本願商標の指定商品の取引者となり得ることも否定はできない。)が一部において共通し、また、昨今の産業界の事業展開の実情を総合すれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、その取引者・需要者は、ゲラン商標を連想・想起し、それがあたかも、フランスの「ゲラン ソシエテ アノニム」社、もしくは、同社と経済的に関連を有する社(者)の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標が商標法4条1項15号に該当するとした原査定は、妥当であって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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