Trademark Appeal Case
著名な略称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−15311(T2000−15311/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標登録出願
本件商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「AAWフリーフレーム」の文字を横書きしてなり、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金網」を指定商品として、平成11年5月14日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その構成中に、『フリーフレーム協会』の著名な略称である『フリーフレーム』の文字を有してなるものであり、かつ、その者の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は商標法4条1項8号に該当する。」との理由で本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標の構成は、前記したものであって、「AAW」の欧文字と「フリーフレーム」の片仮名文字とが結合された構成であるところ、その構成に照らせば、これを一体不可分のものとして認識されるとする特別な理由は見当たらず、むしろ、構成中、前半部分の「AAW」の欧文字部分については、請求人が提出した甲第2号証によれば、この文字自体が自他商品識別標識と判断され登録されており、また後半部分の「フリーフレーム」の片仮名文字については、請求人提出の甲第4号証ないし同第6号証によれば、のり面(斜面)防護工事の工法、斜面工事用型枠の種類名として、独立の語として使用されていることが認められるところである。
したがって、本願商標の構成においては、構成中の「フリーフレーム」の片仮名文字部分も、観者の注意を惹くというべきである。
2 しかして、この「フリーフレーム」の語について、新聞記事情報や、インターネット掲載情報に照らせば、以下の事実が認められる。
(1)「経営ひと言/ライト工業・吉沢伸常務『より高強度に』」との見出しのもと、「『より高強度の技術を確立するのが私の役目』と抱負を語るのは、フリーフレーム協会(東京都墨田区)会長に就任したライト工業常務の吉沢伸さん。フリーフレームは、金網型枠とコンクリートを吹き付けて切り土法(のり)面、自然斜面に枠をつくる工法。災害防止効果から道路などの急傾斜地で採用している。協会の会員も103社と『順調に拡充している』」との記事が掲載されている。(2003年(平成15年)6月13日 日刊工業新聞 19頁)
(2)「技術の研さん深める/フリーフレーム協が25周年記念式典」との見出しのもと、「フリーフレーム協会(会長・多久実ライト工業専務)は十一月三十日、東京都台東区の浅草ビューホテルで協会創立二十五周年記念式典を開いた。式典では、フリーフレーム工法の普及と発展に貢献した初代会長の中尾中三郎氏や岡部社長の鏑木俊二氏らに感謝状と記念品を贈り表彰した。」との記事が掲載されている。(2000年(平成12年)12月4日 建設通信新聞)
(3)「フリーフレーム協会」の見出しのもと、「フリーフレーム協会は、昭和50年に『フリーフレーム工法』と称するユニークな金網型枠を用いた吹付のり枠工法を発明し、急傾斜面、ダム・高速道路のり面など、これまでの現場打ちのり枠工での施工が困難と思われる所にも幅広く適用できるようフリーフレーム工法の普及・技術の向上を目的として発足いたしました。皆さまのご支援により平成4年度で17年を経過し、吹付のり枠工のパイオニアとして着実に施工実績をのばし、場所打ちのり枠工の中でも確固たる地位を占めるようになりました。」との記事が記載されている。(1993年(平成5年)4月28日付日刊建設工業新聞紙面)
(4)「フリーフレーム協、のり面安定工事を省力化した『交点ブロック工法』を開発」との見出しのもと、「フリーフレーム協会は、道路、ダムなどののり面(斜面)安定工事の省力化を図った『交点ブロック工法=写真』を開発した。斜面に据え付ける梁(はり)交差部のブロックをプレキャスト化し、現場作業を省力化したのが特徴。.........同協会はフリーフレーム工法業者六十七社で組織。」との記事が掲載されている。(1992年(平成4年)9月1日 日刊工業新聞 20頁)
(5)フリーフレーム協会のインターネットホームページ(http://www.freeframe.gr.jp/profile/top/index.html)によれば、同協会は、昭和51年1月に発足し、十勝川ダムのり面工事でフリーフレーム工法採用して以来、これが、画期的工法として全国に知られることとなり、昭和55年には、協会事務局を岡部(株)に置き、同協会員20社を越える旨の沿革が紹介されており、以降、今日まで、同協会は活動を継続していることが認められる。
また、同ホームページ情報によれば、現在、同協会は、全国会員、地域会員合わせて103社により構成されていることが認められる。
3 上記「2」の「(1)」ないし「(5)」の事実に照らせば、「フリーフレーム」の語は、本願商標出願時において、全国的規模にわたる法面工事の施工業者及び需要者間において、フリーフレーム工法の略称として著名であったとともに、同工法を実施している、社団である「フリーフレーム協会」(東京都墨田区業平に所在)の名称の略称としても著名となっており、これが現在においても継続しているということができると判断される。
(1)この点について、請求人は審判請求書において、要旨以下の主張をしている。
(ア)「『フリーフレーム協会』は任意の団体にすぎず、その者を商標法4条1項8号の『他人』として認めるべきではない。」
(イ)「『フリーフレーム』なる文字が『フリーフレーム協会』なる協会の『著名な』略称とするが、この事実認定は誤りである。請求人は『FREA−FLAME』の商標権を有している。これに対して異議があったが理由なしとされている(甲第1号証)。これによれば、『フリーフレーム』なる略称が存在していたとしても、その『著名性』など全く確定していないことを示している。」
(ウ)「『フリーフレーム』を使用しているのは請求人のみであり(甲第3号証)、この語を商標として使用している(甲第4号証〜6)。」
(エ)「『フリーフレーム協会』は、略称を商標として使用してはいない。」
(オ)「請求人は『ストロングフリーフレーム』について登録を受けている(甲第7号証)。」
(2)しかしながら、請求人の上記主張はいずれも失当であって採用できない。
すなわち、(ア)の主張については、法人格のない社団は、権利主体となることについて一定の制限があるとはいえ、社会において一定の地位を占めており、それに伴う名誉、信用等の人格権的利益を享受し得るものであり、自己の名称等が他人によりみだりに使用されない利益をも含むものと解すべきである(平成10年1月14日 東京高裁 平成8年(行ケ)225号判決参照)。
(イ)の事例については、対象とされる商標は「FREA−FLAME」の商標であって、「フリーフレーム」の文字とは異なるから、本件と事例を異にするものである。
(ウ)については、請求人が「フリーフレーム」の商標を使用していることをもって、本願商標が商標法4条1項8号に該当しないとする理由とはなり得ない。
(エ)については、仮に、「フリーフレーム協会」が、その略称を商標として使用してはいないとしても、そのことをもって、本願商標が商標法4条1項8号に該当しないとする理由とはなり得ない。
(オ)については、登録異議の申立てがあり、当該商標は商標法4条1項8号に該当するとの決定がされているところである。
4 以上のとおり、本願商標は、「フリーフレーム協会」の著名な略称である「フリーフレーム」の文字を有してなるものであり、かつ、同協会の承諾を得ているとは認められないから、商標法4条1項8号に該当するものであり、その理由をもって本願を拒絶すべきものとした原査定の認定・判断は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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