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Trademark Appeal Case

不使用取消における商標同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30887(T2002−30887/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第589232号の1商標(以下「本件商標」という。)は、明朝体風の文字をもって「スピア」と横書きしてなり、昭和35年9月26日登録出願、第1類「薬剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、同37年6月14日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。また、指定商品については、「医療補助品」についての商標権が分割譲渡により移転され、その登録が平成7年5月29日にされ、さらに、「無機工業薬品、有機工業薬品、界面活性剤、化学剤」についての商標権が平成14年11月12日付けの審決により取り消され、その確定登録が同15年1月31日にされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中『薬剤』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1.請求の理由

本件商標は、その指定商品中、「薬剤」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2.答弁に対する弁駁

(1)登録商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用について

ア.乙第1号証の2ないし4(商品写真)に示された商標は、いずれも図案化された「スピアパップ」であり、明朝体の如き書体で横書きに書された本件商標とは、社会通念上同一の商標とは認められない。同証拠に示されている商標は、いずれも不可分一体に図案化されて書されており、これを特に「スピア」の文字部分と「パップ」の文字部分とに分離しなくてはならない格別の事情が存するものとは認められないので、「スピアパップ」と一連に称呼されるのみであって、また、特定の意味を認識し得ない造語商標と認められる。してみると、本件商標と使用に係る商標は、その外観、称呼、観念において顕著な差異を有するものであり、到底社会通念上同一の商標であると認めることはできない。

イ.乙第2号証の2、乙第3号証の2、乙第4号証の2及び乙第5号証の2(仕切書(控)3通、請求書(控)1通、これらをまとめていうときは、以下「取引書類」という。)に示された商標は、いずれも一連不可分に書された「スピアパップ」であり、本件商標と社会通念上同一の商標であると認めることはできないことは上述のとおりである。

(2)乙第1号証の2ないし5(商品写真)、並びに乙第2号証の2、乙第3号証の2、乙第4号証の2及び乙第5号証の2(取引書類)について

ア.確かに、乙第1号証の3及び5には、「配置期限2005.11」の表示があるが、これが2005年11月を意味するとしても、それだけでは、これら証拠に係る商品に付された商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたものであることの証明にはならない。

イ.乙第1号証の2ないし5のいずれにも、「医薬品」の表示がなく、証拠としての客観的信憑性に欠けるものと思料する。

被請求人は、参考までにとして、「スピアパップ」の新商品である「スピアパップ<IM>」の医薬品製造承認申請書の写を乙第12号証として提出しているが、商品写真及び取引書類に係る商品である「スピアパップ」自体の医薬品製造承認申請書の写は提出していない。

ウ.被請求人のインターネット上のホームページにおける「製品紹介」の頁には、「配置用医薬品」の「パップ剤」として、「テイカパップ−ハイ」及び「テイカ温パップ」の商標に係る製品紹介はあるが、「スピアパップ」に係る製品紹介は一切掲載されていない(甲第2号証)。

このことから、少なくとも、被請求人が、その態様の如何を問わず「スピアパップ」なる商標を現在使用している蓋然性はないものと思料される。

取引書類のうち最新の日付のものは、乙第3号証の2の「2002年7月20日」であり、被請求人がその後「スピアパップ」なる商標の使用を中止したと考えることも可能ではあるが、被請求人はそのような点には一切言及しておらず、むしろ「スピアパップ」に係る商品の商取引が継続して行われている旨を示唆していることに鑑みると、被請求人のインターネット上のホームページにおいて、「スピアパップ」に係る製品紹介が一切掲載されていないことは、不自然であるといわざるをえない。このことからも、商品写真及び取引書類は、証拠としての客観的信憑性に欠けるものであるといわざるを得ない。

エ.乙第1号証の3及び5には、該パップ剤の売価について「消費税」の表示がなく、消費税が平成元年(1989年)から導入されたことに鑑みると、これもまた不自然であるといわざるを得ない。

なお、取引書類に関しては、株式会社マツバラ(以下「マツバラ社」という。)が実際に受領したものであるかについては証明されていない。

(3)以上により、答弁書は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定商品「薬剤」について使用されていることを立証していないことが明らかである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む)を提出した。

1.本件商標は、その指定商品中「薬剤」に属するパップ剤について、被請求人によって使用されているものである。

(1)商品写真(乙第1号証の2ないし5)

該商品には、表裏に商標「スピア(パップ)」が表示され、「スピアパップは手軽に使用できて痛み、はれをおさえるパップ剤です。」の文言より該商品がパップ剤であることが明白である上、製造元としてテイカ製薬株式会社(被請求人)、配置期限として2005年11月の記載がある。

(2)取引の事実

上記商品「スピアパップ」は、主に富山市西中野町1丁目15番40号所在のマツバラ社との間で取り引きされており、その事実は「仕切書(控)写」(2002年7月8日付け発行;乙第2号証の2)、「請求書(控)写」(2002年7月20日付け発行;乙第3号証の2)により明らかであって、かかる商取引が継続して行われていることは「仕切書(控)写」(2001年7月16日付け発行;乙第4号証の2)、「仕切書(控)写」(2002年1月15日付け発行;乙第5号証の2)からも窺い知れることである。これらがいずれも本件審判の予告登録日前3年以内の日付であることはいうまでもない。

(3)ちなみに、「パップ剤」について商標の後に「パップ」の文言を付して「○○パップ」のように称するのは業界においては通例の事であって、特許庁においても「○○パップ」の如き商標について、その指定商品を「パップ剤」に限定すべく取り扱われている。

してみれば、「スピアパップ」は社会通念上、本件商標と同一とみなされる使用態様である。

かかる事実は、登録第2314528号商標「カユピタック」第1類の不使用取消審判事件において、「カユピタックローション」の名称をもって販売されている「乾燥性皮膚疾患治療薬」について、「構成中の『ローション』の文字は『乳液状』を意味する商品の品質を表示する語であり、構成中で自他商品の識別標識として機能するのは『カユピタック』の文字であるとみるのが相当であるから、『カユピタックローション』と『カユピタック』は社会通念上同一性を有する商標と認め得るものである。」と認定した(乙第6号証)。

また、登録第2539094号商標「NESTY」第19類の不使用取消審判事件においても、「『ネステイバスケット』及び『NESTYBASKET』の各文字は、その構成中の『バスケット』及び『BASKET』の文字部分が『篭』の意味を有する商品の品質を表すにすぎない部分であって、商標としての機能を果たし得るのは『ネステイ』及び『NESTY』の文字部分であるから、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。」と認定した(乙第7号証)。

その他、「小江戸弁当」と「小江戸」、「ウイングマタニティパンスト」と「ウイング」、「DAX−STAND」と「DAX」、「リッスルクッキー」と「リッスル」が、それぞれ社会通念上同一とみなされ、登録商標の使用と認定された多数の先例に徴するも明白である(乙第8号証ないし乙第11号証)。

なお、参考までに「スピアパップ」の新商品である「スピアパップ<IM>」(IMはインドメタシンの略)の医薬品製造承認申請書の写(乙第12号証)を添付する。

2.以上述べたように本件商標は、その指定商品中「薬剤」に属するパップ剤について、被請求人によって、本件審判の予告登録日前3年以内に使用されていたことが明白であるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取消されるべきではない。

第4 当審の判断

1.乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)及び乙第12号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証の1ないし5は、富山市荒川一丁目3番27号に所在の「テイカ製薬株式会社」が商品「パップ剤」に本件商標を使用していることを示す「登録商標の使用説明書(1)」及び使用に係る商品「パップ剤」(以下「使用商品」という。)の写真であるところ、該写真は、使用商品の包装袋の表面の写真(乙第1号証の2)、同裏面の写真(乙第1号証の3)、同裏面の拡大写真(乙第1号証の4及び5)からなるものである。

ア.使用商品の包装袋の表面には、「うちみ/ねんざ/筋肉痛」、「タテにもヨコにも、しなやかに伸びる」、「冷湿布効果と消炎鎮痛効果/スピアパップ」(「スピアパップ」は、ゴシック体風の影付き文字で横書きされている。以下「使用商標1」という。)などの文字が表示されている。

イ.使用商品の包装袋の裏面には、「うちみ・ねんざ・筋肉痛・・・/スピアパップ」(「スピアパップ」は、ゴシック体風の文字で横書きされている。以下「使用商標2」という。)」、「MYG」、「配置用」などの文字が上段に書され、その下に「スピアパップは手軽に使用できて痛み、はれをおさえるパップ剤です。」の文字とともに、「成分及び分量又は本質」、「用法及び用量」、「使用上の注意」が記載され、右下には、「配置期限2005.11」、「MD006」、「製造元/テイカ製薬株式会社/富山市荒川1−3−27」などの文字が記載されている。

ウ.使用商品の包装袋の裏面の拡大写真は、上記イ.の上段部分と右下部分のものである。

(2)乙第2号証の1及び2は、「登録商標の使用説明書(2)」及びこれに添付された「仕切書(控)」であるところ、該仕切書(控)は、被請求人が富山市西中野町1丁目15番40号に所在のマツバラ社に対して発行したもので、「発行年月日/20020708」、「伝票No./0517582」の記載とともに、「統一商品コード」、「品名・規格・容量」、「数量」、「製造番号/使用期限」の各欄には、1行目に「399070363/交換」、「スピアパップ MYG/700円」、「350」、「MD006/2005.11」、2行目に「399070363/売上」、「スピアパップ MYG/700円」、「4」、「MD006/2005.11」、3行目に「399070363/添付」、「スピアパップ MYG/700円」、「6」、「MD006/2005.11」の記載がある。

(3)乙第3号証の1及び2は、「登録商標の使用説明書(3)」及びこれに添付された「請求書(控)」であるところ、該請求書(控)は、被請求人が前記マツバラ社に対して2002年7月20日に発行したもので、「日付」、「伝票番号」、「品名・規格・容量」の各欄の1行目から3行目までには、前記(2)の仕切書(控)に対応するように、「7/8」、「0517582」、「スピアパップ MYG/700円」と記載され、また、「数量」欄の1行目から3行目までには、順に「350」、「4」、「6」の数字が記載されている。

(4)乙第4号証の1及び2は、「登録商標の使用説明書(4)」及びこれに添付された「仕切書(控)」であるところ、該仕切書(控)は、被請求人が前記マツバラ社に対して発行したもので、「発行年月日/20010716」、「伝票No./037460」の記載とともに、「統一商品コード」、「品名・規格・容量」、「製造番号/使用期限」の各欄には、「399070363/売上」、「スピアパップ MYG/700円」、「MD006/2005.11」の記載がある。

(5)乙第5号証の1及び2は、「登録商標の使用説明書(5)」及びこれに添付された「仕切書(控)」であるところ、該仕切書(控)は、被請求人が前記マツバラ社に対して発行したもので、「発行年月日/20020115」、「伝票No./044627」の記載とともに、「統一商品コード」、「品名・規格・容量」、「製造番号/使用期限」の各欄には、1行目に「399070363/交換」、「スピアパップ MYG/700円」、「MD006/2005.11」、2行目に「399070363/売上」、「スピアパップ MYG/700円」、「MD006/2005.11」の記載がある。

(6)乙第12号証は、平成14年1月21日付けで被請求人が厚生労働大臣に対して申請した「医薬品製造承認申請書」であるところ、「名称/販売名」欄には「スピアパップ〈IM〉」の記載があり、「備考」欄には「一般用医薬品」の記載がある。

2.(1)前記1.で認定した事実を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である2001年(平成13年)7月ころから継続して富山市西中野町1丁目15番40号に所在のマツバラ社に、使用商標1及び2を使用した「パップ剤」(使用商品)を販売していたと認められるところであり、該「パップ剤」は、本件請求に係る「薬剤」の範疇に属する商品と認められる。

(2)そこで、使用商標1及び2が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるか否かについてみるに、前記認定のとおり、本件商標は、明朝体風の文字をもって「スピア」と横書きしてなるものであるのに対し、使用商標1は、ゴシック体風の影付き文字で「スピアパップ」と横書きされているものであり、使用商標2は、ゴシック体風の文字で「スピアパップ」と横書きされているものである。

そして、使用商標1及び2の文字中、「パップ」の部分は、「巴布剤を布に塗って皮膚の局所に貼り、罨法を施すこと」(広辞苑第5版)を意味するものであって、使用商品「パップ剤」を表したと容易に理解されるものであるから、使用商標1及び2において、自他商品の識別標識としての機能を発揮する部分は、「スピア」の部分にあるといわなければならない。

また、一般的に、登録商標は、使用の過程において多少の変更が加えられることは、商取引の実際に照らしてみれば、むしろ自然であるというべきであり、本件における使用商標1及び2における書体の変更は、本件商標の有する識別性に何ら影響を及ぼすものではなく、本件商標と同一の範囲に属するものというべきである。

したがって、使用商標1及び2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。

3.請求人の主張について

(1)請求人は、商品の包装袋の裏面に記載された「配置期限2005.11」の表示からは、使用商品について付された使用商標1及び2が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことの証明にはならない旨主張する。

確かに、商品の包装袋の裏面に記載された「配置期限2005.11」の表示のみでは、使用商標1及び2が本件審判の請求の登録前3年以内に使用商品について使用されたことが証明されたとはいえないが、本件においては、商品の包装袋に記載された「スピアパップ MYG」、「配置期限2005.11/MD006」と同じ文字、記号等が取引書類に表示され、本件審判の請求の登録前3年以内に取引に資されたと認め得るところであるから、商品写真及び取引書類を総合すれば、使用商品について付された使用商標1及び2が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたと証明し得たということができるというべきである。

(2)請求人は、商品の包装袋には「医薬品」の表示がなく、証拠としての客観的信憑性に欠けるものである旨主張し、さらに、本件使用商品についての医薬品製造承認申請書の写は提出していない旨主張する。

しかしながら、商品の包装袋に「医薬品」の表示がないとしても、該包装袋の表及び裏面には、前記認定のとおり、「うちみ/ねんざ/筋肉痛」、「冷湿布効果と消炎鎮痛効果」、「スピアパップは手軽に使用できて痛み、はれをおさえるハップ剤です。」などの記載があり、かつ、使用商品の新製品である「スピアパップ〈IM〉」の「医薬品製造承認申請書」中の「備考」欄には「一般用医薬品」の記載があることからすれば、使用商品は、医薬品の範疇に入る「パップ剤」であることが容易に認識され得るものである。そして、医薬品の範疇に入る商品である以上、その製造に関しては、原則として薬事法第14条第1項の規定により厚生労働大臣の承認を得なければ行うことができないものであるから、当然に使用商品についても医薬品製造承認申請をしているものと推認することができる。

(3)請求人は、被請求人のインターネット上のホームページには使用商品の掲載がなく、また、商品の包装袋の裏面の商品の価格には、消費税の表示がないから、使用商標1及び2を現在使用している蓋然性はなく、商品写真及び取引書類は信憑性に欠け、不自然である旨主張する。

しかし、現在、被請求人のインターネット上のホームページに使用商品の掲載がないとしても、使用商標1及び2を使用商品について使用していたか否かの時期は、本件審判の請求の登録前3年以内の期間であり、本件においては、前記したとおり、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を総合すれば、同期間内に使用商標1及び2を使用商品について使用していたと認め得るところであるから、被請求人のインターネット上のホームページに、使用商品に関する掲載がないことをもって、前記認定が左右されるものではない。

また、一般的には、商品の包装袋に消費税を直接表示することは少ないと考えられ、通常は、商品の請求書、領収書等に消費税が加算される場合が多いというのが相当であるから、本件使用商品の包装袋に消費税の表示がないとしても、何ら不自然であるということにはならない。

他に、乙各号証が虚偽であると認めるに足りる証拠は見出せないし、その他乙各号証に関する請求人の主張は、いずれも憶測に基づくものであって、その主張を認めるに足りる証拠の提出はない。

4.以上のとおり、被請求人は、被請求人(商標権者)が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を請求に係る「薬剤」の範疇に属するパップ剤について使用していたことを証明したと認め得るところである。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものではない。

よって、結論のとおり審決する。

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