Trademark Appeal Case
称呼類似性:語尾差異
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2003−60047(T2003−60047/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第1183751号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲のとおり「アロエーヌ」の片仮名文字により構成されてなり、昭和48年3月13日に登録出願され、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、昭和51年2月5日に商標権の設定登録がされたものであり、当該商標権は、昭和61年1月20日及び平成8年10月30日に存続期間の更新登録がされている。
第2 イ号標章
被請求人が商品「化粧品」について使用する標章として、請求人が示すイ号標章は、「アロエール」の片仮名文字よりなるものである。
第3 請求人の主張
請求人は、商品「化粧品」についてイ号標章は本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1.必要性
請求人は、本件商標の商標権者であるが、過日イ号標章の使用がテレビ及び新聞等にて確認され、平成15年5月12日付「警告書」で、その使用の中止等を要求したが、同5月16日付「回答書」にて、「侵害にあたらない」との返事で、現在もそのまま使用を継続し、同業である当社の営業に及ぼす影響極めて重大深刻な状態となりつつあるもので、急遮庁の判定にて効力範囲を確認したく請求する次第である。
なお、被請求人には、商願2002−103500「アロエール」第3類「せっけん類、歯磨き、化粧品を含む」の出願が確認されるが、審査の結果を待つ時間或いは早期審査請求の結果待ち等を充分検討した結果での判定請求に及んだ次第である。
2.イ号標章の説明
イ号標章は、商品「化粧品」につき本年3月頃より使用の開始を見聞し、全国「コンビニ」にて取り扱い展示し販売を行っており、テレビや新聞(全国紙)を通しての宣伝広告を繰り返している実情が確認される(甲号証参照)。請求人は、化粧品である「化粧水、トニック、クリーム」に商標「アロエーヌ」を本件商標の登録時より使用し現在まで継続して商品の製造販売を行っているものである。
3. イ号標章が商標権の効力範囲に属するとの説明
本件商標とイ号標章とは、その構成態様からして称呼上類似するものであり、その商品「化粧品」に使用することは、本件商標の効力範囲に属すること明らかである。
その根拠として、両者は称呼識別上重要な要素となる語頭音を含め前3音節「アロエー」を同じくし、異なる語尾の「ヌ」(nu)と「ル」(ru)は、共に有声の歯茎音であり、前者が鼻音(n)、後者が弾音(r)からなり、共に母音(u)を共通にする近似する音で、しかも、比較的聴取し難い語尾に位置していることから、その差異が称呼全体に影響せず、全体一連に発音称呼したとき、その語韻語調が近似し互いに聴き誤るおそれがある。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、商品「化粧品」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の範囲に属しない。との判定を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。
1.被請求人の製造・販売に係る商品「化粧品セット」に使用する文字と本 件商標が類似しないことについて(その1)
請求人がイ号標章として特定する文字は、商品「化粧品セット」で使用する「DHCアロエールコンセントレート」及び「DHCアロエールミルク」と表示を異にする構成のものであり、被請求人の使用するこれらの文字は、常に一連一体に表現し、不可分の態様方法で表示しているのである(乙第1号証及び乙第3号証)。
そうとすれば、商品「化粧品セット」からは、「ディーエイチシーアロエールコンセントレート」及び「ディーエイチシーアロエールミルク」の称呼又は「DHC」による「アロエールコンセントレート」及び「アロエールミルク」の称呼及び観念のみに限定されるものである。
そのため、商品「化粧品セット」中より「アロエール」の文字のみを抽出してイ号標章と特定することは、これが請求人の周知・著名な商標で、かつこれと類似するものでない限り当を得ないというべきである。
したがって、本件商標の「アロエーヌ」と商品「化粧品セット」における「DHCアロエールコンセントレート」及び「DHCアロエールミルク」は、称呼及び観念において類似しないばかりでなく、外観上も綴り字を異にするものであり、両者は互いに区別されるので、称呼、観念及び外観においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
2.請求人が特定したイ号標章と本件商標が類似しないことについて(その 2)
商品「化粧品セット」より、仮に請求人が主張するように「アロエール」の称呼が生ずると仮定しても、「アロエーヌ」とは、次に述べる理由により、称呼、観念及び外観において非類似のものである。
すなわち、イ号標章の「アロエール」と本件商標の「アロエーヌ」との称呼について比較すると、両称呼は、互いに「アロエー」の称呼を同じくするとしても、聴者に強く印象付け、かつ、語感を変化させる語尾音に「ル」と「ヌ」の明らかな差異を有するものである。
その上、差異音の「ル」と「ヌ」は、前者が有声の弾音であるのに対し、後者が有声の通鼻音であって、発音方法の違いが音質を著しく異にし、かつ明瞭に識別し得る音である。そのため、この差異音が両称呼全体に及ぼす影響は極めて大きいものである。
してみれば、両称呼を全体としてそれぞれ称呼する場合でも、その音感が著しく相違して聴取されるので、互いに聞き誤るおそれがないのである。
また、イ号標章と本件商標は、その構成態様いずれも前記のとおりであり、共に特定の意味合いを生じないので、観念について比較すべくもないのである。
さらに、イ号標章と本件商標は、その構成態様いずれも前記のとおりであり、前者がゴシック体であるのにに対し、後者が特殊態様で構成されており、書体を互い異にするばかりでなく、語尾の綴り字を異にするので、外観上全く別異のものと認識されるのである。
3.まとめ
以上のとおり、被請求人の商品「化粧品セット」において使用する文字(イ号標章とするものを含む。)は、本件商標と称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似であり、指定商品において抵触するところがあるとしても、非類似の商標である以上、本件商標の権利範囲に属しないものである。
第5 当審の判断
本件商標は、後掲のとおり、ややレタリング化された「アロエーヌ」の片仮名文字を書してなるところ、これに相応して「アロエーヌ」の称呼を生ずるものである。これに対し、イ号標章は、「アロエール」の片仮名文字と特定するものであるから、これより「アロエール」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標より生じる「アロエーヌ」とイ号標章より生じる「アロエール」の両称呼を対比するに、両者は共に同数の音よりなり、異なる音は比較的に聴別し難い語尾における「ヌ」の音と「ル」の音との差でしかなく、この差も母音を共通にする音であるから、それぞれを一連に称呼するときは語調語感が近似し、彼此相紛れるおそれのある程度のものといわなければならない。そして、化粧品の取引場において、その需要者等が当該商品に付された商標より生じる称呼を記憶し、これにより取引にあたる場合も決して少なくないというべきであって、これを否定し得るものでもない。
そうすると、本件商標とイ号標章とは、共に特定の意味合いを有しないものであって、観念上識別し得るものではなく、このほか、外観上の差異を考慮するとしてもなお、両者は類似のものというべきである。
してみれば、イ号標章を「化粧品」に付して使用するときは、取引者、需要者をして、恰も本件商標に係る商品であるかのような商品の出所について誤認を生じさせるおそれがあると判断するのが相当である。
したがって、イ号標章は、「化粧品」に使用する場合、指定商品に「化粧品」を含む本件商標の効力の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
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