結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2002−30446(T2002−30446/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4250625号商標は、「ZARTRA」の欧文字(標準文字)を書してなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成10年2月6日登録出願、同11年3月12日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品「薬剤」について、継続して3年以上日本国内において使用されていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
2.答弁書に対する弁駁
(1)ミネソタ マイニング アンド マニュファクチュアリング コンパニー(以下「3M社」という。)が被請求人の黙示の使用許諾社であることについて
乙第1号証は、J・マーク・アダムなる人物の略歴を示すものの、この文書の作成者、作成時等は不明である。略歴中に、「カナダ3M社」、「ヨーロッパ3M社」、「ライカーラボラトリーズ」及び「3M社」の法人名の略称と思われる文字を認めることはできるが、これら法人と被請求人との関係についての記載はないから、乙第1号証をもって、被請求人は3M社の子会社であるということはできない。
また、特定の人間が2つの会社に在籍したことがあれば、その2つの会社は親子関係にあるとの一般的又は普遍的経験則はない。また、親子関係にある2つの会社は、黙示の実施許諾関係にあるとの一般的又は普遍的経験則もない。したがって、証明なしにする被請求人の主張は前提において誤っており、その結論は失当である。
(2)被請求人は、「レポートの中身は企業秘密に属するものであるから、その表紙の写しを提出するに止める」旨述べ、「6th Periodic Safety Update Report」のタイトルのある表紙の写しを提出しているにすぎないため、このレポートの内容は不明である。また、レポートを用意した者と被請求人や持田製薬株式会社(以下「持田製薬」という。)との関係についての記載はないから、乙第2号証をもって「3M社が(持田製薬に)技術提供を行っている」ということはできない。
(3)被請求人は、乙第3号証を示し、日本では、3M社が契約を結んでいる持田製薬が局所用免疫反応調整剤に本件商標を使用し、販売を予定している旨主張する。
しかしながら、乙第3号証には、本件商標が使用される局所用免疫反応調整剤について3M社が持田製薬に技術提供を行い、持田製薬が開発を行い販売することになっていることを示す記載はない。
乙第3号証に係る文書が真正である限り、被請求人は、持田製薬は、商標「アルダーラ」が使用される局所用免疫反応調整剤のみでなく、本件商標が使用される局所用免疫反応調整剤についても、3M社が持田製薬に技術提供を行い、持田製薬が開発を行い販売することになっている、と主張するも同然である。
しかし、乙第2号証における2つの商標(Aidara、Zartra)の表示方法からして、これらの商標は、同一の局所用免疫反応調整剤について海外において選択的に使用されているものと見受けられ、商標が異なるごとに異なる局所用免疫反応調整剤が存在することを意味するとはいい難い。被請求人が、商標が異なるごとに異なる局所用免疫反応調整剤が存在すると主張するのであれば、その存在を証明すべく、乙第2号証の2枚目以下を提出すべきである。
(4)被請求人は、乙第3号証には「アルダーラ」のみで、本件商標の記載はないが、これは日本で薬事登録されるまでどちらの商標を用いて販売できるかが決まらないからで、この合意を公開した文書(乙第3号証)は、本件商標が使用される商品の導入がされることを証するものである旨主張する。
乙第3号証に「アルダーラ」のみの記載があるのは、これのみの使用を意図したからである。どちらの商標を使用するか未定のうちにその一方のみを公開して周知にした後、他の商標に変更することこそが需要者の混乱を招く。被請求人の主張は薬事又は販売の実務に反し、非現実的である。
また、「日本で薬事登録されるまでどちらの商標を用いて販売できるかが決まらない」旨主張するが、薬事登録の手続をしていない以上、いずれの商標を使用することになるかは永久に決まらない。被請求人はあたかも薬事登録の手続をしているかのごとき主張をするが、その主張に反し、薬事登録の手続をしていない。その理由として、前記(2)にいう「開発」が終っていないことも考えられる。さらに、乙第3号証に本件商標に関する記載はないから、「本件商標が使用される商品の導入がされることを証する」ものではありえない。
(5)被請求人は、本件審判の予告登録時点で、持田製薬が薬事登録のための手続を行っていたことは明らかであるから、該時点ではわが国では法的に本件商標が使用された局所用免疫反応調整剤が販売できない状態にあり、したがって、本件商標の不使用について正当な理由がある旨主張する。
持田製薬が本件商標を使用する商品について、薬事登録のための手続を行っていたことは証明されていない。使用の意思も準備も証明されていない、ということである。
また、「本件商標が使用された局所用免疫反応調整剤が販売できない状態にある」との主張は、本件商標が局所用免疫反応調整剤に使用された事実はないから、誤りである。
よって、本件商標の不使用に正当な理由があるとは到底いえない。
3.まとめ
以上のとおりであるから、被請求人の主張及び証拠は、本件商標の使用事実を明らかにするものでも、不使用正当理由を明らかにするものでもない。
よって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1.被請求人と3M社との関係
被請求人は、3M社の子会社である。このことは電子メール用テンプレートのJ・マーク・アダムス氏の略歴から明らかである(乙第1号証)。したがって、被請求人は、3M社に対して黙示の使用許諾を行っていると解される。
2.3M社による商品展開
本件商標は、3M社によって商品「局所用免疫反応調整剤」に使用され、現在は世界42ヵ国で販売されている。
日本では、3M社が契約を結んでいる持田製薬が販売を予定している。本件商標が使用される局所用免疫反応調整剤は、3M社が持田製薬に技術提供を行い、同社が開発を行い販売することになっている。ここに、3M社が技術提供を行っていることを示す「6th Periodic Safety Update Report(PSUR;第6回 定期的安全性最新報告)」の表紙を提出する(乙第2号証)。定期的安全性最新報告は、医薬品を導入する会社としては知っておかなければならない重要な情報である。なお、このレポートの中身は企業秘密に属するものであるから、その表紙の写しを提出するに止める。
この表紙には、商標「Aldara」及び「Zarta」の2つの商標が表記されているが、これは海外では「Aldara」ないし「Zarta」の商標の下で販売されていること、及び、日本で薬事登録されるまで、どちらの名称を用いて販売できるかが決まらないからである。
持田製薬は、すでに平成13年7月11日に、局所用免疫反応調整剤の導入について合意している(乙第3号証)。この合意を公開した文書中には「アルダーラ」のみの記載があり、本件商標の記述がないが、これは日本で薬事登録されるまでどちらの商標を用いて販売できるかが決まらないので、需要者が混乱することを防止するためである。この点で、この合意を公開した文書は、本件商標が使用される商品の導入がされることを証することができる。
3.正当理由の存在
以上述べたことから、本件審判の予告登録時点で、持田製薬が薬事登録のための手続きを行っていたことは明らかである。したがって、該時点ではわが国では法的に本件商標が使用された局所用免疫反応調整剤が販売できない状態に在る。したがって、本件商標の不使用について正当な理由があるといえる。
4.むすび
以上述べたことから明らかなように、被請求人が答弁書とともに提出した証拠方法によって、本件商標の不使用について正当理由があることが立証された。
1.商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項に規定により、被請求人において、その取消請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取り消しを免れないところである。
しかるところ、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「薬剤」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることを立証していない。
また、使用していないことについて、本件商標の商標権の通常使用権者である3M社が日本における持田製薬に対し、局所用免疫反応調整剤についての技術提供を行い、持田製薬が同商品を開発、販売する予定であり、該局所用免疫反応調整剤に使用される商標は、「Aldara」か、若しくは「Zarta」か、日本で薬事登録されるまでどちらの商標を用いて販売できるか決まらないが、本件審判の予告登録時点で、持田製薬が薬事登録のための手続きを行っていたことは明らかであるから、該時点ではわが国では法的に本件商標が使用された局所用免疫反応調整剤が販売できない状態にあり、したがって、本件商標の不使用について正当な理由があるといえる旨主張するのみで、持田製薬が薬事法に基づく医薬品の製造の承認申請の手続きを行ったと認めるに足りる証拠は何ら提出していないものである。
そうすると、被請求人は、上記薬事法に基づく医薬品の製造の承認申請の手続きをしたことについて、何ら証拠を示していないものであるから、商標法第50条第2項ただし書きでいう「登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにした」ものとは到底認めることはできない。他に請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用していないことについて、正当な理由があると認めるに足りる証拠の提出はない。
2.以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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