結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−30482(T2003−30482/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第1831681号商標(以下「本件商標」という。)は、横書きした「ぎん」の平仮名文字と、「吟」の漢字とを上下二段に書きしてなり、昭和58年8月12日に登録出願され、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、昭和60年12月25日に商標権の設定登録がされたものである。
当該商標権は、平成7年12月25日に存続期間更新登録がされている。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
被請求人は、少なくとも過去3年間、本件商標を商品「茶」について使用してきた事実は無く、また、第三者に使用権を設定している事実も無い。したがって、その登録は取り消されるべきものである。
(1)請求人は、乙第4号証の写真に表わされているような商品が市場に流通している事実は争わない。しかしながら、本件商標について被請求人が株式会社沖縄国際テクノ(沖縄県宜野湾市在:以下「沖縄国際テクノ」という。)に対し使用許諾をしているとの事実は不知。上記商品の写真に表わされている業者は「株式会社ぎん茶総本舗」(以下「ぎん茶総本舗」という。)であり、同社が如何なる権原でこの商品を販売しているのかは知らないが、商標権者である被請求人と沖縄国際テクノとの間の使用許諾契約の存在を示す契約書等は提出されていない。
(2)本件商標は、平仮名の「ぎ」の文字と漢字の「茶」の文字との間に、この文字のみを単独で示されれば読めない程度に変化させた「ん」の平仮名文字を置いた縦書きの構成のものである。これは、全体として見れば「ぎん茶」と読むことが出来るので、何人によって付されているかは別として「ぎん茶」の文字が使用されているという事実は争わない。しかしながら、これは以下に述べるように登録商標の使用ということは出来ない。
(3)本件商標は、構成上記のとおりであり、一方、使用されている標章の態様は、上記のように独特の書体で「ぎん茶」の文字を縦書きしたもの、即ち、本件商標の構成中、上段の「ぎん」の平仮名文字を縦書きとし、これに「茶」の漢字を結合させて一体としたものである。
(4)被請求人は、「吟」は「ぎん」以外に称呼が無いのであるから、いずれか一方の使用であっても本件商標と実質的に同一とみなすことができる、という。本件商標の下段の「吟」の文字は、「詩歌や俳句などを作ること。またそれを口に出して歌うこと。」を意味する語である。一般に日本語で「ぎん」といえば、通常「銀」の漢字を想起するのが普通であろう。ところが、本件商標は「吟」の漢字を書し、その上方に「ぎん」の文字を表わしているのであるから、本件商標における「吟」の文字は重要で、これを無視することはできないから、乙第4号証に表われている標章は、登録商標の中で最も強く看者の目を引く部分を欠いており、登録商標の使用とみることはできない。
(5)以上のとおり、乙第4号証に表われているような態様では、「吟」の漢字を欠き、独特の書体で「ぎん」の平仮名文字に「茶」の漢字を加え一体のものとした態様での使用は、本件商標から生じる称呼とは異なった称呼のものであり、また「吟」の観念が全く生じないものであるから、社会通念上、登録商標の使用とは認められないものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用の負担は請求人の負担とする。との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、通常使用権者をして、本件審判請求の予告登録日以前の3年間に本件商標を商品「茶」に使用している。
通常使用権者は、商標権者が当事者契約により使用許諾を与えている沖縄国際テクノである。
(2)乙第1号証は、「ぎん茶」として取引されている商品「茶」が、通常使用権者から、ぎん茶総本舗(沖縄県浦添市在)へ、平成13年4月2日に「ぎん茶 60TB」が200個、平成14年8月5日に「ぎん茶 60TB」が2個、平成14年10月9日に「ぎん茶60TB」が2個、各納品されたことの事実を示す納品書(兼受領書)である。
乙第2号証は、通常使用権者が「ぎん茶」として取引している商品「茶」が、平成14年度沖縄県優良県産品推奨商品として認められた沖縄県発行の推奨状である(推奨番号第760号)。平成15年3月5日から平成18年3月4日までが推奨期間と定められており、当然のことながら、その申請書、対象商品の提出は同3月5日以前に行われている。
乙第3号証は、沖縄県庁ホームページ内の「沖縄県優良県産品推奨制度について」である。冒頭の「平成14年度沖縄県優良県産品推奨商品」写真中の左端に、通常使用権者の「ぎん茶」商品であって乙第2号証で推奨商品とされた商品が写されている。また、平成14年度の一般食料品の部の欄に「推奨番号第760号 ぎん茶 4g×60包」「推奨番号第761号 ぎん茶6g×20包」「申請者:沖縄国際テクノ(通常使用権者)」として記載されている。
乙第4号証は、上記の推奨番号第760号の商品、乙第1号証でぎん茶総本舗へ納品された商品「ぎん茶4g×60包」と同一包装商品の写真である。商品包装表面に「ぎん茶」の文字が印刷され、本件商標が使用されていることが確認できる。なお、商品の正面左側の中間部やや下寄り部位に「平成10年度優良ふるさと食品中央コンクール(財)食品産業センター会長賞受賞」の表示がされている。
乙第5号証は、財団法人食品産業センターのホームページ中、「ふるさと食品の振興」事業からリンクした「優良ふるさと食品中央コンクール」のページである。これにより乙第4号証に示された上記表示が裏付けられるとともに、乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第5号証により、通常使用権者により「ぎん茶」商品が平成14、15年度のみならず、平成10年度以来市場に供給し続けられていることが明らかである。
(3)本件商標は、「ぎん」及び「吟」の文字を二段併記したものであるのに対して、通常使用権者の使用態様は「ぎん茶」である。
しかしながら、「茶」は、本件商品そのものを表す普通名称であるので、「ぎん」が商標表示であると認定することに何ら問題がない。例えば、商品「牛乳」について「明治牛乳」、「森永牛乳」の表示は、商標「明治」、「森永」の使用と認められるのと同じことである。「ぎん」は、本件商標の上下段の上段を使用するものである。下段「吟」は「ぎん」以外に称呼がないのであるから、「吟」であっても「ぎん」であっても何らの変化もないのであるから、いずれか一方の使用であっても本件商標と実質的に同一とみなせるものである。結局、通常使用権者が使用する商標「ぎん茶」は、社会通念上、本件商標の使用と認め得る範囲のものである。
(4)以上のとおり、被請求人は、通常使用権者をして、本件審判請求の予告登録日以前3年の間に、本件商標を商品「茶」に使用せしめており、本件審判請求には理由がない。
そして、本件使用商標の構成中の「茶」の文字部分が、その商品との関係において、商標の要部でない附記的な部分と認め得るとしても、「吟」の文字の使用事実は認められない。
してみると、本件使用商標は、その構成前記したとおり「ぎん」の平仮名文字と「吟」の漢字とを上下二段に横書きした構成よりなる本件商標とは「吟」の文字部分の有無という点で明かな構成態様上の差異を有し、かつ、「ぎん」の平仮名文字を単独で使用する場合において、観念的に緊密な知覚作用が働いて、「(詩歌などを)うたうこと」の意味合いを有する「吟」の語が単一的に想起され認識されるような相互・互換性を有するものといい得ず、「ぎん」の平仮名文字と「吟」の漢字とを併記して使用する場合とは、自ずと異なる観念が生ずることのある別異の商標というのが相当である。
その他、本件商標がその指定商品について使用されていることを示す証拠はない。
したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により本件取消し請求に係る商品「茶」について使用されていたものとは認めることはできず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められないから、結局、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中の結論掲記の商品についてその登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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