結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35329(T2002−35329/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4417138号商標(以下「本件商標」という。)は、「キューバンボーイズ」の文字を標準文字として、平成11年4月13日に登録出願、第41類「音楽の演奏の興行の企画又は運営,音楽の演奏」を指定役務として、同12年9月14日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第59号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求人(社団法人日本音楽家協会)と見砂直照(本名:見砂保雄)との関係
請求人は、昭和23年2月12日に社団法人として成立した法人である(甲第3号証の1)。その理事には、著名な日本の歌手が理事として活動している。
一方、見砂直照は、その音楽歴及び活動歴は極めて華々しいものであり、我が国の音楽史上において屈指の音楽家の一人である(甲第2号証)。
同人は、請求人の代表理事として請求人の法人設立後に協会のためにも活躍していた。
「見砂直照と東京キューバンボーイズ」なる楽団は、昭和24年の設立から、見砂直照を代表とし、かつ、請求人たる社団法人日本音楽家協会を中心に活動し、見砂直照が亡くなった後も、請求人を中心に活躍しているものである。ただし、同楽団は、見砂直照が亡くなった平成2年6月20日(甲第4号証の1及び2)以前の昭和55年2月1日に解散した。
ここに、請求人の代表権の存在を示す昭和54年5月31日付の印鑑証明書、昭和54年11月29日付の請求人の登記簿謄本、平成4年10月15日付の請求人の登記簿謄本を提出し、見砂直照が請求人の代表的な理事として活躍していた事実を明らかにする(甲第3号証の2ないし4)。
(2)被請求人と見砂直照氏との関係
被請求人のうち、立石高三及び宮本勲の2名は、「東京キューバンボーイズ」に入団していた事実は認める。
見砂直照は、「東京キューバンボーイズ」を解散した後、音楽に関する出版の契約、レコード発売の契約等につき、株式会社ハバナ(以下「ハバナ」という。)名義、あるいは株式会社エル・コンパス(以下「エル・コンパス」という。)名義で契約した事実は一切ない。
請求人は、これらの諸事実を明らかにするため、出版契約書(覚書)、レコード発売の契約書、カラオケ用ミュージックテープに「見砂直照と東京キューバンボーイズ」の名称等を使用することの契約書、見砂直照と東京キューバンボーイズのコンパクトディスクの印税の取扱いについての同意書、印税支払いについての契約書(甲第54号証ないし甲第58号証)を提出する。
上記の契約書等の存在から考えても、被請求人のうちの立石高三及び宮本勲の2名が見砂直照の名誉の維持及び「東京キューバンボーイズ」の名声の維持について、承継すべき地位には全くなかった事実が客観的に明らかである。
したがって、被請求人のうちの立石高三及び宮本勲の2名に正当承継性は存在していなかったはずである。
(3)被請求人のうちの立石高三及び宮本勲と、ハバナ及び同社の改称によるエル・コンパスとの関係
請求人の調査によれば、ハバナは、昭和27年12月12日に会社設立されており、昭和43年2月27日にハバナの代表者見砂保雄がキングレコード株式会社と契約していた事実は認める。
しかし、エル・コンパスの登記簿謄本(甲第8号証)によれば、平成2年の商法等の一部を改正する法律に基づき、エル・コンパスは、みなし解散の法人(平成8年6月3日登記)となっていた。したがって、本件商標の登録出願時(平成11年4月13日)には、エル・コンパスは、みなし解散法人となっていたものであって、法人としては活動し得ない立場にある。よって、宮本勳が、かつて、エル・コンパスの取締役であった(代表取締役でない以上、会社の債権・債務についての決定権は何もなかった。)からといって、そのことが、本件商標取得の正当承継性を認めるものとはならない。
(4)見砂直照の死去後における請求人ら主催の「東京キューバンボーイズ」公演等について
請求人は、平成2年に見砂直照が死去した後も、請求人を主催者あるいは共催者として、約9回程の公演を行っている。
見砂直照の死後において、請求人らの主催又は後援に係る演奏会を東京郵便貯金ホール、日比谷公会堂等で行った事実を明らかにし、請求人らこそが、「東京キューバンボーイズ」の名称の正当承継人であることを明らかにする(甲第9号証ないし甲第17号証)。
上記の客観的な事実に基づき、請求人こそが、「東京キューバンボーイズ」の正当な承継者である。
(5)本件商標の著名性に関する主張及び立証について
「見砂直照と東京キューバンボーイズ」という楽団の名称が、我が国において本件商標の登録出願日の約50年も前から極めて著名になっている諸事実を明らかにするため、「見砂直照と東京キューバンボーイズ」の発売LPレコード一覧表(甲第19号証)、「見砂直照」、あるいは、「東京キューバンボーイズ」あるいは、その両者宛の感謝状等一覧表とその賞状(甲第20号証の1ないし20)、「東京キューバンボーイズ」指揮、見砂直照の年譜(甲第21号証)、東京キューバンボーイズと共に歩んだ見砂直照の音楽生活40年(甲第22号証)、昭和51年10月27日に見砂直照が「紫綬褒章」を受彰した受彰記念のパンフレット(甲第23号証)、昭和54年3月付けの帝国ホテル2階「富士の間」における祝会の案内(甲第24号証)、昭和55年1月発行の「見砂直照と東京キュ−バンボーイズ」解散のラストコンサートに関するパンフレット(甲第25号証)、昭和58年7月1日付け琴河原学園発行の「Latin Music is My Life」(甲第26号証)、平成元年3月10日 よみうりホール公演の「TOKYO CUBAN BOYS」(夢ステージ)のパンフレット(甲第27号証)、平成元年11月15日の世田谷区民会館で公演の「TOKYO CUBAN BOYS」(アンコール公演)のパンフレット(甲第28号証)、平成3年1月発行の世界画報 特集「よみがえるラテン・リズム」思い出の「見砂直照と東京キューバンボーイズ」(甲第29号証)を提出する。
さらに、「見砂直照と東京キューバンボーイズ」の著名性を明らかにするため、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞等に掲載された「見砂直照と東京キューバンボーイズ」に関する各掲載記事を提出する(甲第30号証の1ないし甲第53号証の2)。
(6)本件商標と「東京キューバンボーイズ」標章について
本件商標は、片仮名の「キューバンボーイズ」からなるものである。
一方、著名標章は、「東京キューバンボーイズ」である。したがって、「東京」の2文字が地名を現すものであるため、標章の要部は片仮名の「キューバンボーイズ」である。
よって、両者は、片仮名の「キューバンボーイズ」の点で同一である。
「東京」を入れたとしても要部の「キューバンボーイズ」が同一である以上、両者が類似することは明らかである。また、指定役務についても、両者は同一又は類似するものである。
(7)不正の目的について
本件商標権者らのうち、「立石高三氏及び宮本勲」は、「見砂直照と東京キューバンボーイズ」OBに属していたことを奇貨として、本件商標を登録した(なお、立石好美は立石高三の妻である)。しかも、被請求人(商標権者)自らは公式な演奏会の興行を全く行わないにもかかわらず、被請求人は、請求人が日比谷公会堂において、平成14年9月15日に、「東京キューバンボーイズ」(TOKYO CUBAN BOYS)と「原 信夫とシャープス&フラッツ」(NobuoHara SHARPS&FLATS)とによる「ラテンとジャズの豪華競演」を行わんとして公演活動を開始(甲第5号証)したとたんに、請求人に対し、警告状(甲第6号証)を内容証明郵便にて送ってきた。
これによると、被請求人は、請求人に対し、商標権侵害に基づき、上記9月15日挙行の日比谷公会堂における公演会について、「東京キューバンボーイズ」の文字の使用中止の請求、上記演奏会の興行の中止、上記演奏会の宣伝広告の中止、上記演奏会のパンフレット等の回収廃棄等、の差止請求権及び損害賠償請求権、更には不当利得返還請求権等を行使する旨の警告を発している。
まず、被請求人は、本件商標権取得の審査過程において、真正なる諸事実を隠蔽して、あたかも正当承継人であるかの如くに主張して本商標権を取得したものである。
加えて、被請求人は、本来正当な商標権者となるべき請求人に対し、上記のとおりの権利行使を行う旨警告している。
被請求人のこの行為こそ、正に「不正の目的」をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する
本件商標「キューバンボーイズ」は、「東京キューバンボーイズ」の著名な略称である。
本件商標権者は、審査過程において提出した「意見書」によって、既に本件商標の出願日より約9年も昔に死去した見砂直照から、何等の法的承継がないにもかかわらず、あたかも「東京キューバンボーイズ」に関する権利義務を承継したかのように主張し、かつ、その証拠として法律的には全く意味のない登記簿謄本を提出した。その上で、いかにも商標法第4条第1項第8号でいう「その他人の承諾を得ているものを除く。」の事実があったかのように装った主張を行ったものである。
請求人は、「創立(S.24/9/1)以来30数年の間に、見砂直照と東京キューバンボーイズに在籍したメンバー及び、深く係わった方々」のリストを提出する(甲第18号証)。
ここでは、メンバーの氏名が10種類の楽器のパートごとに分記されており、さらに、「事務所スタッフ」、「アレンジャー」、「シンガー」等とあり、逝去した方を含め、総数179名(見砂直照を含めると総数180名)である。
したがって、「立石高三」及び「宮本勲」はその中の構成員の一人に留まっており、この点からも、二人が「キューバンボーイズ」標章につき、見砂直照、あるいは「東京キューバンボーイズ」という楽団から承諾を得ていたという事実は全くないし、承諾を証明するものも全くない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する商標である。
本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するか、あるいは同第8号に該当し、その登録は無効を免れ得ないものである。
被請求人は、何ら答弁していない。
(1)請求人社団法人日本音楽家協会は、昭和23年2月12日に設立された法人であること(甲第3号証の1)。そして、見砂直照(本名:見砂保雄)の他、その理事には、日本の歌手が理事として任務していること(甲第3号証の2ないし甲第3号証の4)。
(2)「東京キューバンボーイズ」(見砂直照と東京キューバンボーイズ)は、見砂直照により昭和24年9月3日に結成された楽団の名称であり、見砂直照を代表とする楽団であって、同楽団は、昭和55年2月1日に解散していること(甲第2号証)。また、見砂直照は、平成2年6月20日に死亡していること(甲第4号証の1及び甲第4号証の2)。
(3)被請求人うち、立石高三及び宮本勲は、該楽団に入団していたメンバーであり(甲第1号証の3及び甲第7号証)、立石好美は立石高三の妻であると推認されること。
(4)見砂直照は、各会社との間で出版契約書(覚書)、レコード発売の契約書、カラオケ用ミュージックテープに「見砂直照と東京キューバンボーイズ」の名称等を使用することの契約書、見砂直照と東京キューバンボーイズのコンパクトディスクの印税の取扱についての同意書、印税支払いについての契約書を交わしていたこと(甲第54号証ないし甲第58号証)。
(5)被請求人の一人である、宮本勲等を取締役とするエル・コンパスは、本件商標の登録出願前平成8年6月1日に、みなし解散法人(平成8年6月3日登記)となっていたこと(甲第8号証)。
(6)請求人は、平成2年に見砂直照氏が死去した後も、「東京キューバンボーイズ」の名称を使用し、請求人が主催者あるいは共催者又は後援に係る演奏会を東京郵便貯金ホール、日比谷公会堂等において9回にわたって興行行っていること(甲第9号証ないし甲第17号証)。
(7)「東京キューバンボーイズ」(見砂直照と東京キューバンボーイズ)という楽団の名称は、「見砂直照と東京キューバンボーイズ」の発売LPレコード一覧表、「見砂直照氏」、あるいは、「東京キューバンボーイズ」あるいは、その両者宛の感謝状等一覧表とその賞状、「東京キューバンボーイズ」指揮、見砂直照の年譜、東京キューバンボーイズと共に歩んだ見砂直照の音楽生活40年、昭和51年10月27日に見砂直照が「紫綬褒章」を受彰した受彰記念のパンフレット、昭和54年3月付けの帝国ホテル2階「富士の間」における祝会の案内、昭和55年1月発行の「見砂直照と東京キュ−バンポーイズ」解散のラストコンサートに関するパンフレット、昭和58年7月1日付け琴河原学園発行の「Latin Music is My Life」、平成元年3月10日よみうりホール公演の「TOKYO CUBAN BOYS」(夢ステージ)のパンフレット、平成元年11月15日の世田谷区民会館で公演の「TOKYO CUBAN BOYS」(アンコール公演)のパンフレット、平成3年1月発行の世界画報 特集「よみがえるラテン・リズム」思い出の「見砂直照と東京キューバンボーイズ」(甲第19号証ないし甲第29号証)及び日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞に掲載された「見砂直照と東京キューバンボーイズ」に関する記事(甲第30号証の1ないし甲第53号証の2)等に掲載されている実情よりすれば、本件商標の登録出願前より広く知られ、楽団解散後の現在においても継続して広く認識されているものと認められること。
(8)被請求人は、請求人に対し、被請求人が2002年9月15日に挙行の日比谷公会堂における公演会について、「東京キューバンボーイズ」の文字の使用中止の請求、演奏会の興行の中止、演奏会の宣伝広告の中止、演奏会のパンフレット等の回収廃棄等、の差止請求権及び損害賠償請求権、更に、不当利得返還請求権等を行使する旨の警告を発していることが認められる(甲第5号証及び甲第6号証)。
してみると、両者は、「キューバンボーイズ」の称呼を共通にする類似のものというべきである。また、両者の使用する役務は、同一又は類似するものである。
そして、請求人の主張及び前記した(1)ないし(6)の事実よりすれば、被請求人(商標権者)のうち立石高三及び宮本勲は、かつて、楽団「東京キューバンボーイズ」(見砂直照と東京キューバンボーイズ)のメンバーであった事実は認められ、被請求人(商標権者)のうち立石好美は立石高三の妻であると推認し得るとしても、被請求人(商標権者)ら3人のみが、該楽団の名称を唯一独占的に使用する権利者又は承継者であると認められる客観的事実は見当たらない。
してみれば、「東京キューバンボーイズ」(見砂直照と東京キューバンボーイズ)の楽団の名称は、請求人が正当の承継者であるか否かはともかくとして、被請求人(商標権者)ら3人がその楽団の名称を唯一独占的に使用する権利者又は承継者であると認められない以上、本件商標は、他人に係る業務の役務を表示するものといわざるを得ない。また、被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していないから、請求人の主張を否定することはできない。
そうとすれば、被請求人(商標権者)が「キューバンボーイズ」の名称をもって、演奏会の興行を行なった事実も見当たらないし、被請求人(商標権者)が請求人に対し、警告状を発した前記(8)の事実よりすれば、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的)をもって使用するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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