Trademark Appeal Case
品質・原料表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−19173(T2000−19173/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「再生植物油」の漢字を標準文字として、第2類「印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。)」を指定商品として、平成11年9月22日に登録出願されたものであるが、指定商品については、同12年9月13日付け手続補正書により、第2類「再生植物油を用いた印刷インキ(「謄写版用インキを除く。)」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『再生植物油』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるが、本願商標はその構成する語のもつ意味合いから『植物性の廃油を再生したもの』等の意味合いが看取されるところ、指定商品との関係において、例えば、印刷インキの原料として植物油が使用されている実情よりすれば、これをその指定商品に使用しても、本願商標を付した商品が『廃油を再生した植物油を原料に使用した印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。)』と認識されるものであるから、単に商品の品質、原料を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、上記のとおり「再生植物油」の文字よりなるところ、構成中の前半部「再生」の文字は、「死にかかったものが生きかえること、蘇生、復活、廃物を原料としてもう一度使えるものを作り出すこと」等(「広辞苑」株式会社岩波書店 第5版)の意味を有し、「再生ゴム」(古ゴムを粉末とし、酸・アルカリまたは脂肪油なとど過熱して脱硫したもの)及び「再生紙」(回収した新聞紙などの古紙をときほぐし、再び漉きなおした紙)(「広辞苑」株式会社岩波書店 第5版)のよう、特定の商品に冠して用いられている語でもある。
そして、後半部「植物油」の文字は、「植物の種子・果実から採取する油、亜麻仁油・〜・大豆油などの類」(「広辞苑」株式会社岩波書店 第5版)の意味を有する語であって、「再生」、「植物油」、「再生ゴム」及び「再生紙」の各語は、前記意味をもって、いずれの語も一般に良く知られた語であることからすれば、「再生植物油」の文字よりなる本願商標よりは、全体として「廃油を再生した植物油」の意味合いを容易に理解させるものであるというのが相当である。
また、印刷インキは、これを製造するときに原料として植物油が使用されていることは、例えば、以下の辞書、新聞記事情報及びインターネットのホームペイジ情報に説明、掲載されているところである。
(a)「印刷事典」(編集 社団法人 日本印刷学会、財団法人 印刷局朝陽会 昭和62年6月30日 発行 28頁及び29頁)に「〜一般に印刷インキは、色料である顔料と、これを分散させ流展性を与え固定させる触媒となるビヒクル,および乾燥性・流動性・皮膜特性などを調整する補助剤から成る。〜ビヒクルは植物油を原料を用いている(表2)。 28頁、29頁」と掲載されいる。
(b)2001年1月31日付け「日刊工業新聞」(25頁)における、「印刷インキ中堅のザ・インクテックは〜石油系揮発溶剤を減らした大豆油インキシリーズ『SOYBI』(ソイビー)の『Prime(プライム)』として4月をめどに商品化。〜」との記事。
(c)同じく、2000年11月27日付け「日本食料新聞」における、「アサヒビール(株)は、〜印刷インキも従来の石油系溶剤を主としたものからアロマフリー型大豆油インキに変える。」との記事。
(d)同じく、2000年6月28日付け「日本食料新聞」における、「大黒工業(株)は、〜4月から容器・包装リサイクル法が施行、エコロジー商品が注目を浴びているが、〜今回展示されるエコロジー商品の一例を挙げると次の通り。〜▽大豆油インキを使用したケナフテーブルマット、バカステーブルマット。〜大豆油インキは、オフセットインキ中の石油系溶剤と乾性油を大豆油に替えたもの。」との記事。
(e)同じく、2000年4月25日付け「日刊工業新聞」(19頁)における、「三星インキは、環境特性に優れた植物油(大豆油)100%の印刷用インキ『ソイ・エコVー100=写真』を開発、販売した。オフセットインキ中に含まれるすべての溶剤(石油系溶剤)を大豆油に置き換えた。」との記事。
(f)「DIC−印刷インキにおける顔料分散」の見出しの下におけるの「3.印刷インキの原料、印刷インキの顔料・ビヒクル(ワニス)溶剤・助剤からなり(table2)、各々の機能は次のとおりである。 b.ビヒクル、ビヒクルは、樹脂・動植物油・溶剤・助剤を加熱、重合して作られる。」(http://www.dic.co.jp/rd/tech/rev0303/)の記述。
(g)同じく、「TokyoInk」の見出しの下におけるの「印刷インキが出来るまで、顔料・鉱物油・植物油などが原料です。」(http//www.tokyoink.co.jp/inkguide/nyumon.htm)の記述。
以上のように、「植物油」は、印刷インキの原料として用いられており、「大豆油」が印刷インキ原材料の一種として注目されていることが窺える。
してみれば、前記のとおり、「廃油を再生した植物油」の意味を理解させる「再生植物油」の文字よりなる本願商標は、これをその補正後の指定商品である「再生植物油を用いた印刷インキ(「謄写版用インキを除く。)」に用いても、取引者、需要者をして、単に、原材料(再生植物油)を表示したものと理解し、認識させるにとどまるものというべきである。
したがって、本願商標は、これを補正後の指定商品「再生植物油を用いた印刷インキ(「謄写版用インキを除く。)」に使用しても、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
(2)請求人(出願人)の主張
請求人(出願人)は、もともと、印刷インキの製造原料として、再生植物油を用いるということは、通常考えられないことであり、また、印刷インキについて、「再生植物油」なる語が用いられている例はない。さらに、本願商標の指定商品は、製造業者も少なく、一般家庭で用いられる日用品のようなものでなく、全く特殊なものであるから、商品との関係における商標の識別性は、さほど強いものでなくても、それなりに識別される状況にある旨主張する。
しかしながら、本願商標は、上記認定のとおり、これを補正後の指定商品に使用した場合、取引者、需要者の間において商品の原材料名であると認識される可能性は極めて大きく、また、かかる原材料名のみからなる商標を特定人に独占させることは適切ではないというべきであるから、この点に関する請求人(出願人)の主張は、採用することができない。
(3)したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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