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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35345(T2002−35345/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標登録の無効の審判

1 本件商標

本件商標登録の無効の審判に係る、登録第4470562号商標(以下「本件商標」という。)は、「HOBBY SCISSOR」の欧文字と(「HOBBY」の文字と「SCISSOR」の文字との間には一文字程度の空白がある。)、「ホビーシーザー」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成12年3月3日に登録出願され、第8類「手動利器」を指定商品として、平成13年4月27日に設定登録されたものである。

2 本件商標登録の無効の審判

本件商標登録の無効の審判は、本件商標が商標法4条1項11号及び同16号に違反して登録されたものであるとして、商標法46条により本件商標の登録を無効にすることを請求するものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1182359号商標(以下「引用商標」という。)は、「ホビー」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和48年2月27日に登録出願され、第13類「手動利器、手動工具、金具(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、昭和51年1月29日に設定登録され、昭和61年2月19日、及び平成8年2月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。

1 請求の理由

(1)本件商標の欧文字部分の「SCISSOR」なる英語は、「はさみ」の語義を有するものとしてわが国で一般に認識されているものと推認せしめるに足る文献等が多数存在する(甲第3号証ないし甲第18号証)。

(2)「HOBBY SCISSOR」の文字をその構成中に含む本件商標が、その指定商品中「はさみ」に使用された場合、本件商標の要部を「HOBBY」であると認識し、『ホビー』の称呼・観念をもって取引に当たる取引者・需要者が相当数存在するとみるべきである(甲第3号証ないし甲第18号証)。

加えて、「HOBBY SCISSOR」なる文字部分に接する取引者・需要者が、これを「HOBBY(印)のはさみ」の如き意味合いのものと看取し、時と処を異にして請求人の製造販売する「ホビー印のはさみ」に接した場合に両者を区別できず、商品の出所を混同するおそれはないと認定できるに足る合理的理由は見出せない。

(3)取引者・需要者の中には、「SCISSOR」の文字部分を「はさみ」の意であると認識する者が少なからず存在するとみるべきであるから(甲第3号証ないし甲第18号証)、「SCISSOR」の文字をその構成中に含む本件商標がその指定商品中「はさみ以外の商品」に使用された場合、商品の品質について誤認を生ぜしめるおそれは多分にある。

(4)本件商標は引用商標と類似するものであるから商標法4条1項11号に違背して商標登録されたものであり、かつ、本件商標がその指定商品中「はさみ以外の手動利器」について使用されると商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められるので商標法4条1項16号に違背して商標登録されたものである。

よって、本件商標の登録は商標法46条1項1号に該当し、その商標登録は無効とされるべきである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標の上段の「SCISSOR」の英語が、わが国において、『シザー』と称呼され、「はさみ」を意味する語として通用していることを認めている。その一方で、本件商標の上段の「HOBBY SCISSOR」の文字部分が取引者・需要者に「HOBBY印のはさみ」と理解されることはあり得ないから、本件商標は商標法4条1項11号に該当するとの請求人の主張は誤りである旨の主張をする。

しかしながら、「HOBBY」の英語及び「SCISSOR(S)」の英語が共にわが国で馴染まれた英語である以上、本件商標の上段の「HOBBY SCISSOR」の文字部分が取引者・需要者に「HOBBY印のはさみ」と理解されることはあり得ないとの被請求人の主張には理由がない。けだし、本件商標がその指定商品中に「はさみ」を含む以上、下段の「ホビーシーザー」の文字部分の存在が、上段の「HOBBY SCISSORS」の文字部分から生じる引用商標との類似関係を払拭できるわけではないからである。

請求人は、被請求人が本件商標の下段の「ホビーシーザー」の文字部分を「はさみ」以外の商品に使用することには異議を挟まない。けだし、「シザー」ではなく「シーザー」であれば、それはもはや「はさみ」を意味せず、「歴史上著名なローマのカエサル」を意味すると言うべきであるからである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べた。

本件商標は「HOBBY SCISSOR」の欧文字と「ホビーシーザー」の片仮名文字とを二段に横書きしたものであり、この中の「SCISSOR」の文字部分は確かに、一般的には「シザー」と読まれると思われる。また、「SCISSOR」の英語が「シザー」と発音され、「はさみ」を意味する語として通用していることもその通りと思われる。

しかしながら、本件商標では、「HOBBY SCISSOR」の欧文字とともに「ホビーシーザー」の片仮名文字を併記しており、これにより、本件商標は全体として「ホビーシーザ−」と読まれると思われる。

即ち、日本国内においては一般的に、欧文字に比して馴染みやすい片仮名文字部分より生ずる称呼が注目されると思われるので、本件商標も片仮名文字部分に相応して、「ホビーシーザー」の称呼を生ずると思われる。

ここで「シーザー」の語について検討すると、「シーザー」の語は「シ」と「ザ」の間の第2字目に長音符号が存在しており、「シザー」とは異なっている。そしてこの「シーザー」の語は、日本国内においては、特定の商品を意味するものとして親しまれている語ではなく、ましてや「はさみ」を取り扱う業界において普通に使用されている語ではなく、造語である。そのために、「シーザー」の語を「はさみ」を意味する「シザー」と同一視することはできないと思われる。従って、取引者・需要者が本件商標における「SCISSOR」及び「シーザー」の部分を「はさみ」の意味を有するものとして認識するとは到底思えない。

してみれば、本件商標がその指定商品中「はさみ」に使用された場合において、取引者、需要者が本件商標の要部を「HOBBY」及び「ホビー」であると認識して「ホビー」の称呼・観念をもって取引に当たるとは思えず、従って、本件商標が商標法4条1項11号に違背して登録されたとする請求人の主張は誤りであると考える。

また、本件商標中「SCISSOR」及び「シーザー」の部分が「はさみ」の意味を有するものとして認識されないために、これをいずれの商品に使用しても、商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものと思われ、従って、本件商標が商標法4条1項16号に違背して登録されたものとする請求人の主張も誤りと考える。

このように、本件商標は片仮名文字部分に相応して「ホビーシーザー」と称呼されるとともに、「シーザー」の部分が「はさみ」の意味を有するものと認識されるとは思えないので、本件商標が商標法4条1項11号及び同法4条1項16号に違背して登録されたとする請求人の主張は誤りであり、従って、本審判請求は成り立たないと考える。

第5 当審の判断

1 「SCISSOR」の語について

本件商標は、前記したとおり、「HOBBY SCISSOR」の欧文字と「ホビーシーザー」の片仮名文字により構成されるものである。

請求人は、本件商標の欧文字部分の後半部の「SCISSOR」の英語について、これが「はさみ」の語義を有するものとしてわが国で一般に認識されると推認させる文献等が多数存在すると主張して各甲号証を提出しているので、まず、この点について判断する。

請求人が提出した甲第3号証ないし同第5号証、同第7号証及び同第8号証、同第11号証ないし同第13号証、同第15号証及び同第16号証、同第18号証によれば、「はさみ」の意味を有し、「シザー」と表記(発音)されるもととなる英語は「Scissors」であることが認められる。

しかして、本件商標の欧文字部分の後半部の英語は、「SCISSOR」であることから、この部分が「はさみ」の意味を有する英語と一般に認識されるとは直ちにはいい得ないところである。

この点に関して、請求人は、「本件商標に関する件外登録異議申立てに関する登録維持決定の理由中に見出される事実誤認」として、甲第12号証及び同第13号証をもって、「SCISSORS」の英語は単数形でも「はさみ」を意味すると主張している。

しかしながら、甲第12号証及び同第13号証によれば、「Scissors」の語は、「s」が付いていることで形式上は複数形の名詞であるが、単数扱いをすることが記されており、また、「ただし、その際にはa pair of 〜のほうが一般的」(甲第13号証)とあり、さらに、これら各号証によれば、「s」の付されていない「Scissor」の語は「はさみで切る」等の意味を有する動詞であることが認められるものの、これが「はさみ」の意味を有する語であることは確認できない。

してみれば、これらの各号証をもって「『SCISSORS』の英語は単数形でも『はさみ』を意味する」との請求人の主張は採用することができない。

2 商標法4条1項11号について

上記判断したように、本件商標構成中の「SCISSOR」の英語は、「はさみ」の意味を有する英語であると、一般に認識されるとは直ちにはいい得ないところである。

そして、請求人が提出した甲第3号証及び同第4号証、同第7号証及び同第8号証、同第11号証、同第15号証及び同第16号証、同第18号証によれば、「はさみ」を意味する外来語は、「シザー」であることが認められるところ、本件商標下段部を構成する「シーザー」の片仮名文字は、第2字目に長音符号が存するものであり、「シザー」の文字と同一視して、これを直ちに「はさみ」の意味を理解するものとはいい得ないところである。

してみれば、これらの証拠によっては、本件商標の構成中の「SCISSOR」及び「シーザー」の文字(語)が「はさみ」を表すものとして普通に使用されているとは認められないから、これらの語が「はさみ」の意味を有する語として、取引者・需要者に認識されるということはできない。

そうとすれば、本件商標は、構成中の「SCISSOR」又は「シーザー」の文字部分が商品の普通名詞あるいは品質等を表す語とはいえないから、これらの語を省略し、ここから、「HOBBY」又は「ホビー」の文字部分を抽出して「ホビー」の称呼をもって取引にあたると見るべき特段の理由は見出せない。

したがって、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の造語よりなるものと把握、認識されるものというべきであり、また、本件商標の構成各文字は、外観上もまとまりよく一連に表されてなり、これより生ずる称呼も欧文字綴りに比して馴染み易い片仮名文字部分より生ずる称呼を自然とするものであるから、該片仮名文字部分に相応して、平滑、流暢に一連に称呼し得る「ホビーシーザー」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、構成文字に相応して上記一連の称呼を生じ、全体として、一種の造語よりなる商標というべきである。

他方、引用商標は、その構成文字に相応して、「ホビー」(趣味)の称呼及び観念を生ずること明らかである。

しかして、本件商標より生ずると認められる「ホビーシーザー」の称呼と引用商標より生ずる「ホビー」の称呼とは、その音構成及び音数に明らかな差異が認められるものであるから、両称呼は容易に区別し得るものである。

また、本件商標は、その構成全体として一種の造語よりなる商標というべきであるから、引用商標と観念上比較すべくもない。

さらに、本件商標は、「HOBBY SCISSOR」と「ホビーシーザー」との欧文字と片仮名文字よりなるものであって、他方、引用商標は「ホビー」の片仮名文字よりなるものであるから、両者は外観においても明確に区別し得るものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するものということはできない。

3 商標法4条1項16号について

本件商標は、上記のとおり、構成中の「SCISSOR」又は「シーザー」の文字部分が商品の普通名詞あるいは品質等を表す語とはいえないから、これを「はさみ類」以外の「手動利器」に使用しても、商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものといわなければならない。

4 請求人の主張について

請求人は、本件審判請求書の「(4)異議2001−90573号の経緯・異議決定の理由の要旨」及び「(5)上記登録維持決定の理由(根拠)中に見出される事実誤認」において、本件商標に係る件外登録異議申立ての決定に関して種々述べているが、その内容は、件外登録異議の決定に対する不服の主張であって、商標法43条の4の規定に反するものであり、この主張が本件無効審判の請求の理由として援用し得るものであるとしても、本件審判請求との関係では当を得ない主張であることを附言する。

5 以上のとおり、本件商標は、商標法4条1項11号及び同16号に違反して登録されたものではなく、商標法46条1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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