Trademark Appeal Case
著名商標と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−864(T2000−864/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第8類「手動利器(「刀剣」を除く。),ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,マニキュアセット,かつお節削り器,角砂糖挟み,缶切,くるみ割り器(貴金属製のものを除く。),スプーン,フォーク,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル」を指定商品として、平成9年6月26日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、米国のデザイナー『ラルフ・ローレン』がデザインした商品を表すものとして世界的に著名な標章『POLO』又は『Polo』と同一又は酷似するものであるが、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品は紳士物、婦人物の被服類をはじめ日用品や雑貨等広範囲に及んでいることが認められるから、これを本願指定商品に使用するときは、前記デザイナー又は前記デザイナーと何らかの関連を有する者の業務に係る商品と商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 証拠調べ通知
当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」、「POLO」、「ポロ」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらを一括して「POLO商標」」という。)が各種記事、新聞等に紹介されている事実について、平成13年11月19日付で請求人(出願人)に対して通知した「証拠調べ通知書」は、要旨次のとおりである。
(1)(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84 ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバン等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 わが国においても、そのころからラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by Ralph Lauren」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形の各商標(以下「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されている。
(2)(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッションブランド総覧1980年版」における「ポロ/Polo」の項、ボイス情報(株) 昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項及び同63年10月29日付けの日経流通新聞には、わが国においては、ポロ・ファッションズとの契約に基づき、西武百貨店が昭和51年にポロ・ファッションズから使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始した旨記述されている。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「dansen男子専科」(株式会社スタイル社1971年7月発行)、前出「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑’79年版」(株式会社講談社昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑’80」(株式会社チャネラー同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(株式会社講談社同55年6月発行)、「MEN’SCLUB1980.12」(婦人画報社同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社同56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社同60年5月発行)において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されている。(4)ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡、判例時報1401号)及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡、判例時報1619号)があるほか、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同289号(11年12月21日言渡)、同第288号(平成12年1月25日言渡)、同第299号(平成12年2月1日言渡)、同第192号(平成12年2月29日言渡)、同第315号(平成12年3月21日言渡)、同第334号(平成12年3月29日言渡)等の一連の判決がある。
(5)引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付け朝日新聞夕刊、同4年9月23日付け読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付け読売新聞(大阪版)朝刊、同10年6月8日付け朝日新聞夕刊等において報道されている。
4 前記の「証拠調べ通知書」に対し、相当の期間を指定して応答する機会を与えたが、請求人からは何らの意見、応答もない。
5 当審の判断
(1)「POLO」商標の著名性について
請求人(出願人)に示した、上記のラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「POLO商標」についてした証拠調べ通知に記載された事実及び判決を併せ考慮すると、該商標は我が国においては、遅くとも本願商標の出願の時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においてもなお継続しているものと認めることができる。
(2)商品の出所の混同について
本願商標は、別掲のとおり、馬に乗った一人の競技者がマレットを振り上げてポロ競技をしている図形を描き、それを円で囲み、さらに円状に囲むように時計回りに「ROYAL COUNTY OF BERKSHIRE POLO CLUB」と欧文字で書してなるものである。そして、本願商標はそのかかる構成において、全体を常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事由があるとは認められないものであり、これが不可分一体の既成の観念を示すもの、或いは、現存する団体名を指称するものとして我が国世人一般に認識されているものとは認め難いものである。
しかして、本願商標構成中の文字部分から生ずる「ロイヤルカウンティオブバークシャーポロクラブ」の称呼は長音も含めて20音という長い音数からなり冗長であるばかりでなく、これらが一連一体の熟語として親しまれた観念を有するものとして広く認識されているともいえないことに加え、本願商標の構成中には、前記(1)において、その著名性を認定した「POLO商標」の基幹商標ともいうべき「POLO」の文字を有してなるものであって、かつ本願商標構成中の図形部分はポロ競技のプレーヤーを認識せしめるものであることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、「POLO」の文字部分及びポロプレーヤーの図形部分に着目し、該部分に強く印象づけられるとみるのが相当である。
そして、本願指定商品はファッション関連商品を含むものであるか若しくは同一デザイナーによる統一ブランドの下にトータル的にファッションをまとめようとする商品群の一つとなりうるものであることよりすれば、本願商標に接した取引者・需要者は、球技としてのポロに関係する商品とは認識せず、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンに係る商品を表示するものとして広く知られている「POLO商標」を連想・想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。そして、その混同を生ずるおそれは、本願出願時から現在においても継続しているものと認められる。
そうとすると、前記(1)で認定したとおり、我が国において遅くとも本願商標の登録出願時までには引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたという取引の実情を考慮すると、本願商標は、その指定商品に使用する場合には、引用商標と構成上相違する点があるとしても、時と処を別にしてこれに接する取引者、需要者は、前記した実情から「POLO」の文字又はポロ競技の図形部分に着目して、引用商標を連想、想起し、ラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人の主張について
ア)請求人は、本願商標を構成する文字は英国に実在する特定のポロ競技団体の名称を表す旨主張しているが、たとえそうであるとしても、我が国においては、上記ポロクラブは知られたものではなく、本願商標に接する取引者、需要者が本願商標の構成中の「ROYAL COUNTY OF BERKSHIRE POLO CLUB」の文字部分から直ちに上記ポロクラブを表したものと理解し、これを一連一体のものとして認識するとは言い難いから、請求人の主張は採用できない。
イ)その他、請求人は、当庁における審査例を掲げて種々主張するところがあるも、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、本件事案の判断にあたっては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきであるから、この点に関する請求人の主張も採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとするとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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