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Trademark Appeal Case

立体商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第16905号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「ゆでだこ・たこの煮物その他のたこを主原料とする加工水産物,たこその他の食用魚介類(生きているものを除く。),たこ入りサラダ,たこ入りマリネ」、第30類「たこ焼き,たこ焼き弁当,たこ入り焼きそば,たこ入りお好み焼き,たこせんべいその他のたこを主原料とする菓子及びパン」及び第42類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成9年11月7日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、その指定商品及び指定役務との関係よりすれば、突起状のデザインが施されてはいるが特異性があるものとは認められない装飾的なデザインの一種とみられるものであるから、通常採用し得る商品の容器又は役務の提供の用に供する物の形状の範囲を出ないものと認識させる立体的形状のみからなるものといわざるを得ない。してみれば、これを本願の指定商品又は指定役務について使用しても、単に商品の容器又は役務の提供の用に供する物の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。

立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」(30頁)においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地方裁判所 昭和50年(ワ)第3035号 昭和52年12月23日判決言渡【最高裁判所事務総局発行 無体財産権関係民事・行政裁判例集第9巻第2号769頁】)との判示がなされているところである。

(3)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、上部から底部にかけて徐々に広くした円錐状の形状よりなるところ、上部の部分がものを入れるための収納口であり、円錐状の全体図形は、ものを収納する容器そのものを表したものである。そして、容器の外側の面に施された突起物の模様は、商品の美観を効果的に高めるためのデザインであって、特異性があるものとは認められない装飾的なデザインの一種とみられるものであるから、通常採用し得る商品の容器又は役務の提供の用に供する物の形状の範囲を出ないものと認識させる立体的形状のみからなるものといわざるを得ない。

してみれば、本願商標を本願指定商品又は指定役務に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の収納容器又は役務の提供の用に供する物の形状を認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

請求人は、「商品の新規な立体的形状は、自他商品の識別力があり、そして、我が国において、かつて、このような形状の『食器』或いは『包装用容器』につき意匠登録がなされた事実が存在しなければ、そのことは、本願商標が未だ使用されたことのないものであることを強く推認させるものである。すなわち、仮に、本願の立体形状を物品『食器』或いは『包装容器』の意匠として出願した場合に、その登録が認められるようであれば、本願の立体的形状が未だ嘗て我が国に存在していなかったことが承認される。そして、本願商標がかつて使用されたことがない新規なものであるので出所の識別表示機能を有するに足るものである。」旨述べている。

しかしながら、意匠法による保護は、同法の目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているものであって、これらに従った登録意匠の実施と商標の使用とは明らかに異なるものであるから、意匠登録による独占を理由としては自他商品の識別力を有するに至ったものとは認めることができないものであり、過去に「食器」或いは「包装用容器」の形状として、登録意匠として存在していない形状であるからといって、自他商品の識別力を有するとも到底いえない。さらに、請求人は、「過去に同一の形状が使用された事実はない。」旨主張しているが、商標法第3条第1項第3号の商品の品質、形状等を表示する標章とは、商品の品質、形状等を表示する標章として認識されるものであれば足り、その標章が現実に使用されていることは必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁昭和52年(行ケ)第82号判決)。そして、食品業界においては、その取り扱う商品が「店内で食する又は持ち帰り」できる商品であるが故に、特徴を持たせた形状の容器を多種類採用し、その容器に商品を収納して販売していることは一般におこなわれているところであって、本願商標を構成する収納容器の特徴は商品等の機能(使いやすさ、持ち易さ等)や美観(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲内のものというべきであるから、請求人(出願人)の主張は、いずれも採用することはできない。

(4)以上のとおり、本願商標は、単に商品の容器又は役務の提供の用に供する物の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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