Trademark Appeal Case
特殊書体の識別力と記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−13178(T2000−13178/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、後掲のとおりの構成からなり、第30類「菓子,パン」を指定商品として、平成11年6月25日に登録出願されたものである。
指定商品については、平成12年6月7日付の手続補正書により、第30類「パン」と減縮補正されている。
第2 原査定の拒絶理由
本願商標は、その土地で産した麦を用いたパンであることを認識させる「地麦麺麭」の文字を表してなるから、これを本願指定商品中パンに使用するときは、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
第3 請求人(出願人)の意見及び主張(要旨)
1.上記拒絶理由に対する出願人の意見
(1)本願商標は、その構成中に「麺麭」の構成を有するものであるから、「パン」以外の商品に使用するときには、商品の品質誤認を生じるものであるから、本願指定商品について、「パン」のみに削除する補正をした。
(2)本願商標は、「地麦麺麭」の構成を有してなるところ、構成中の「地麦」の文字は「その土地で産した麦」を表すものとして、普通に使用されている事実はない。また、指定商品中の例えば、「麦パン」に「地」の構成を有する商標を使用しても、自他商品識別標識としての機能に疑問を生じることはなく、登録要件を具備するものと思料される。「地麦麺麭」の構成上「麦」及び「麺麭」の構成が商品の品質及び原材料を表すとしても、本願商標の全体から、識別標識としての機能を生じるものであって、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(3)さらに、本願商標は、「地麦麺麭」を特殊な字体で書してなるものであるから、審査官の指摘にある「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」ではない。
2.審判請求の理由
(1)本願商標は、後掲のとおりの構成からなり、未だ文字として認識されない特殊な態様からなり、商品区分第30類、指定商品「パン」として商標登録出願されたものである。
(2)審査官の指摘では、本願商標は「地麦麺麭」の文字を表してなるとのことであるが、仮に左側から1番目の図形が漢字の「地」の文字を、2番目の図形が漢字の「麦」の文字を表示しているとしても、3番目と4番目の図形については、煩雑な態様からなるものであって、未だ意味を有する漢字とは見て取れないものである。一般の需要者・取引者にあっては、この構成から「その土地で産した麦を用いたパン」と認識されるまでには及ばず、本願商標から仮に「地麦」程度の意味が認識されるとしても、残りについては、にわかに判読しがたい極めて特殊な態様で表示されているものであるから、本願商標が指定商品との関係において、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断した原査定は失当というべきであり、さらに、商品の品質の誤認を生じるおそれは全くないと思料される。
(3)本願商標は、文字がレタリング化された態様とはいえず、この書体が一般に普通に用いられているものではなく、その書体自体に自他識別標識としての機能を有し、特に左から3番目、4番目の構成態様は極めて煩雑に成り立っており、審査官の指摘の文字を表示するものとは到底言い切れず、判読しがたい極めて特殊なものであるから、通常取引の場において普通に用いられる方法で表されたものとは認められない、独特の構成に特徴を有する商標である。更に「地麦」が「その土地で産した麦」との意味合いを有するとしても、具体的に生産地を表すものではなく、又単に「麦」を表すものでもないので、これを指定商品「パン」に使用しても、普通に用いられる方法に該当しないものと思料する。
第4 当審の判断
本願商標は、構成後掲のとおり、筆字風に書した「地麦麺麭」(「麺」の部首(へん)は旧字体で表されている。以下同じ。)の文字よりなるところ、該文字からは、「その土地で産した麦を用いたパン」の意味合いを看取するものであって、これを端的に表現したものと把握されるというのが相当である。そうすると、本願商標を補正後の指定商品「パン」に使用するときは、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定・判断は妥当であり、これを取り消す理由はない。
請求人は、本願商標の構成にあって、特に左から3番目、4番目の構成態様は極めて煩雑に成り立っている旨述べているが、いずれの漢字も部首(へん)は「麦」の旧字体で表されていること、かつ、旁りが「面」、「包」であることは容易に判読できるものであって、さらに、構成後半の「麺麭」の文字よりは、指定商品「パン」を表したものと理解する需要者は決して少なくない。
そして、構成前半の「地麦」が「その土地で産した麦」との意味合いを有するものであれば、当該商品「パン」の製造地域で産した麦を原材料として使用していると認識するというのが自然である。
また、たとい本願の指定商品「パン」に筆字風に表された標章が希なものであるとしても、羊羹や饅頭など各種食品において筆字風の書体により表された標章は我が国の一般取引場で多数見受けられるものであって、使用により商品識別力を具備するに至った標章は別として、判読できる筆字風文字が常にそれ自体の特異な形象(字形)として印象づけられ、自他商品の識別標識として機能するものでもない。しかして、本件商標は上述のとおり「地麦麺麭」の文字により構成されると看取でき、「その土地で産した麦を用いたパン」の意味合いを理解・認識させるものであるから、この意味合いを超えてかかる筆字風文字がそれ自体で自他商品の識別標識として機能するような独創的な字形と認識されるということはできない。
したがって、本願商標をその指定商品「パン」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標よりは「その土地で産した麦を用いたパン」の意味合いを看取し、単に商品の品質、原材料を理解・把握するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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