結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35350(T2002−35350/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4049684号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年3月5日に登録出願、「NORDIC GEAR」の欧文字を書きしてなり、第25類「靴下,手袋,スカーフ」を指定商品として、同9年8月29日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、下記の3件の登録商標を引用するとともに、同法第4条第1項第15号及び同第10号に該当するものとして、請求人の業務に係る商品「スキーブーツ、スキーウエア」等の商標として取引者・需要者間において広く認識されているとする商標「NORDICA」(「N」の文字は一部図案化されている。以下、「引用D商標」という。)及び「NORDICA GEAR SYSTEM」(「N」の文字は一部図案化されている。以下「引用E商標」という。)を引用している。
(1)「NORDICA」の文字を横書きしてなり、昭和48年7月7日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同52年1月10日に設定登録された登録第1245132号商標(以下、「引用A商標」という。)。
(2)後掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和57年3月1日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同60年7月29日に設定登録された登録第1794763号商標(以下、「引用B商標」という。)。
(3)後掲(2)のとおりの構成よりなり、1989年11月17日イタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成2年2月20日に登録出願、第17類「サンバイザー、帽子、その他の被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同4年6月30日に設定登録された登録第2419920号商標(以下、「引用C商標」という。)。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第135号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標の構成文字中、「GEAR」の文字は、「用具、道具」を表わすものとして一般に使用されているものである。このことは、過去の審決例および異議決定例(甲第9号証−1及び甲第9号証−2)においても認められており、また、「イミダス」「知恵蔵」(甲第10号証及び甲第11号証)、英和辞典(甲第12号証ないし甲第14号証)にも記載されており、雑誌の表紙や記事(甲第15号証ないし甲第19号証)、雑誌広告(甲第88号証、甲第90号証ないし甲第96号証、甲第98号証及び甲第99号証)、カタログ、パンフレット(甲第20号証)等においても使用されている。加えて、米国における被請求人の「NORDIC GEAR」商標登録/出願について、「GEAR」の語についてディスクレーム(disclaimer)がなされている事実から、被請求人自身が「GEAR」には自他商品識別力がないことに同意していることがわかる(甲第21号証−1及び甲第21号証−2)。したがって、本件商標中「GEAR」の文字は、自他商品識別機能を有しない文字であるといえるから、本件商標は、「ノルディックギア」なる称呼の他に、「NORDIC」の文字部分から「ノルディク」及び「ノルディック」なる称呼をも生じるものである。
一方、引用A商標ないし引用C商標は、「NORDICA」の文字部分より「ノルディカ」の称呼を生ずる。
そこで、「ノルディク」の称呼と「ノルディカ」の称呼とを対比するに、両称呼は、称呼の識別上重要な語頭の3音「ノルディ」を共通にするものであって、わずかに末尾音において「ク」と「カ」の相違を有するのみである。末尾音は、通常明瞭に聴取されにくいものであるが、これら両称呼においては、末尾音の直前の音「ディ」音が強音であるために、末尾音は一層聴取されにくく、更に「ク」と「カ」は、ともにカ行に属する音であって、その子音を共通にしていることから、両称呼は相紛れるおそれがある(平成9年審判第11400号:甲第22号証参照)。
また、「ノルディック」の称呼と「ノルディカ」の称呼とを対比するに、両称呼は、その前半音「ノルディ」を共通にする上、称呼「ノルディック」においては「ディ」音が促音を伴って強く発音されるため、末尾音「ク」がより一層弱く称呼され、聞き取りにくいため、両称呼は相紛れるおそれがある。したがって、両商標は、称呼上類似する商標である。
また、本件商標は、上述のとおり、「NORDIC」のみが独立して看取される場合があり、その場合、本件商標中の「NORDIC」の部分と引用A商標の「NORDICA」とは、「NORDIC」の文字を共通にし、その相違は、わずかに末尾における「A」の有無でしかない。したがって、迅速を旨とする取引の場においては、両者は、外観上相紛れるおそれがある。
よって、本件商標は、引用A商標ないし引用C商標と、称呼上及び/又は外観上において互いに類似する商標であり、その指定商品も互いに同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
請求人の使用に係る引用D商標「NORDICA」は、「スキーブーツ、スキーウェア、スキー用手袋、帽子、ネックウォーマー、靴下、スポーツウェア、カジュアルウェア」等に使用され、本件商標の出願の日前より広く知られていたものである。とりわけ、スキーブーツについては、市場の約3割のシェアを有しており(甲第17号証、甲第37号証、甲第40号証)、例えば、1993年における、日本での「NORDICA」ブランドの売上高は、約116億円に上り、その内訳はブーツが約101億円、被服が約7.6億円、小物類が約7.3億円である。また、1993年の「NORDICA」ブランドに関する日本での広告宣伝費は約4.3億円に上っている。
引用D商標の著名性は、別件商標の拒絶査定においても認められており(甲第23号証参照)、また、請求人及び子会社等のカタログ、パンフレット、チラシ等(甲第24号証ないし甲第48号証)、雑誌・新聞等に掲載された請求人の商品等に関する記事・広告等(甲第15号証ないし甲第19号証、甲第49号証ないし甲第109号証及び甲第110号証ないし甲第122号証)、世界各国で「NORDICA」商標を使用して販売された商品に関するインボイス等(甲第123号証−1ないし甲第131号証−9)からも明らかである。
そして、請求人の使用に係る商品と本件商標の指定商品とは、互いに類似しあるいは密接な関係にある商品であり、また、「GEAR」の語は、前述のとおり、「道具、用具」の意味を有するものであって、他の単語の後ろに続けて使用されて「〜用具」という意味を表す場合が多いことに照らしても、本件商標に接した取引者・需要者は、これが「NORDICA用具」を意味するものと認識し、請求人もしくは関連する者の製造販売にかかる商品であるかのごとく商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第10号の該当性について
請求人の使用に係る引用E商標「NORDICA GEAR SYSTEM」商標は、「スキーブーツ、スキーウェア、スキー用手袋、帽子、ネックウォーマー、靴下、スポーツウェア、カジュアルウェア」等に大規模に使用された結果、日本をはじめ世界において広く知られていた商標である。このことを示すものとして、引用E商標の使用の一例を示す写真(甲第132号証ないし甲第135号証)及びカタログ(甲第43号証、甲第45号証及び甲第47号証)を提出する。
引用E商標において、「SYSTEM」の文字部分は、系統だった一連の商品シリーズであることを示す語として一般に使用されているものであるから、自他商品識別機能は弱く、「NORDICA GEAR」の文字部分によって需要者に認識把握される場合もあるものである。
したがつて、本件商標と引用E商標とは、中間部分における「A」文字の有無の差異のみであるから、外観において類似するばかりでなく、称呼においても相紛れるおそれのある類似の商標であり、その商品も互いに類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
被請求人は、答弁していない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、前半の「NORDIC」の文字と後半の「GEAR」の文字とは外観上まとまりよく一体的に構成されており、これより生ずる「ノルディックギア」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく、一気一連に称呼し得るものである。
そして、その構成中の「GEAR」の語は、「歯車、伝動装置、道具、用具」等の意味を有するものではあるが、本件商標の指定商品である「靴下,手袋,スカーフ」との関係においては、特定の商品又は商品の品質等を具体的に表示するものとはいえず、むしろ、全体として「北欧人の道具」のごとき意味合いを想起させるものである。加えて、本件商標は、被請求人の商号の略称を欧文字をもって表したものと認められることをも併せ考慮すれば、「NORDIC」の文字と「GEAR」の文字と間で分断して認識されるものとはいい難く、他に、構成中の「NORDIC」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の理由は、見い出せない。
そうとすれば、本件商標は、その構成全体をもって、一体不可分の造語を表したものと認識し、把握されるとみるのが自然であるから、構成文字全体に相応して「ノルディックギア」の称呼のみを生ずるものというべきである。
他方、引用A商標ないし引用C商標は、前記及び後掲のとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ノルディカ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「ノルディックギア」の称呼と引用A商標ないし引用C商標より生ずる「ノルディカ」の称呼とを比較するに、両称呼は、その構成音及び構成音数に明らかな差異が認められるものであるから、互いに紛れるおそれのないものである。
また、外観上より見るに、本件商標と引用A商標ないし引用C商標とは、相紛れるおそれがない程度に相違し、観念については、引用A商標ないし引用C商標が特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、比較すべくもない。
してみれば、本件商標と引用A商標ないし引用C商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない、非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人の使用に係る引用D商標は、後掲(2)に示した引用C商標と同じく、「NORDICA」の文字の「N」の文字を一部図案化した構成からなるものと認められるところ、引用D商標が本件商標の登録出願時において、請求人の業務に係る商品「スキーブーツ、スキーウエア」等を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであることは認め得るとしても、本件商標と引用D商標とは、上記した引用A商標ないし引用C商標についての判断と同様の理由により、十分に区別し得る別異の商標というべきであり、他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用D商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が請求人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
請求人の使用に係る引用E商標は、「NORDICA GEAR SYSTEM(「N」の文字は一部図案化されている)」の文字よりなるところ、請求人が引用E商標の周知性を証明するものとして提出した甲第132号証ないし甲第135号証(使用例を示す写真)及び甲第43号証、甲第45号証、甲第47号証(カタログ)によれば、引用E商標が「帽子、靴下」等の商標として使用されていた事実は認められるとしても、該商標の使用期間、商品の販売数量、売上高、広告宣伝の状況等、引用E商標の周知性を具体的に裏付ける証拠は何ら提出されていないから、請求人の提出に係る証拠をもってしては、本件商標の登録出願時において、引用E商標が請求人の業務に係る上記商品を表示する商標として、取引者、需要者間に広く認識されていたものと認めることができない。
してみれば、その余の要件について判断するまでもなく、この点についての請求人の主張は採用できない。
(4)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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