結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35503(T2002−35503/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4381126商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲(1)に示したとおりの構成よりなり、平成11年1月21日に登録出願、第41類「空手の教授」を指定役務として、同12年5月12日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4303890号商標(以下、「引用商標」という。)は、「修交会」の文字を横書きしてなり、平成10年5月7日に登録出願、第41類「空手の教授」を指定役務として、同11年8月13日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第15号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)「修交会」及び「拳の図形」について
「谷派糸東流拳法空手道修交会」は、先代宗家「谷長治郎」が昭和23年に神戸において「修交会総本部道場」を開設したことにはじまり(甲第4号証)、50年以上にもわたって「修交会」の名称を用いて「空手の教授」の活動を行い(甲第5号証ないし同第7号証)、現在では国内各地ばかりでなく、外国にも支部が開設され、弟子も相当数にのぼっている(甲第8号証ないし同第10号証)。
その結果、「修交会」の名称は、空手の指導者や空手を習得中の者に限らず、空手に興味を覚えてこれから習得しようとする者にとって、「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指す略称として日本国内ばかりでなく、世界的にも著名となっている。
また、甲第3号証、同第4号証、同7号証ないし同第10号証に表された後掲(2)に示した図形(以下、「拳の図形」という。)は、先代宗家「谷長治郎」が当初から好んで使用してきた図形であり、「谷派糸東流拳法空手道修好会」を指す図形として空手界において広く認識されている。
(2)商標法第4条第1項第8号違背について
被請求人は、当初は先代宗家の弟子の一人であり、「修交会」に所属していたが(甲第8号証)、先代宗家の死去後、許可なく当会を離脱して別会派を設立し(甲第11号、同第12号証)、指定役務「空手の教授」について本件商標の商標登録を受けたものである。
「修交会」の名称は、上記のとおり、「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指す略称として著名なものであり、しかも、被請求人は、請求人の承諾なしに本件商標の登録出願をなし、登録を受けたものである。
また、空手界においては、習得した流派の名称、その名称の一部あるいはその略称を使用して独自の流派を開設する場合、その流派の宗家の許可を得るというのが空手家の常識であり、その意味からすると、本件商標は不正競争の目的でもって商標登録を受けたものであるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標であり、商標法第4条第1項第8号の規定に違背して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号違背について
本件商標は、円形図形の中に特徴的な「拳の図形」を大きく描き、その下方に「糸東流修交会」の文字を書してなるものである。
本件商標を検討するに、本件商標は、その態様のうちの「糸東流修交会」の文字から「シトウリュウシュウコウカイ」の称呼が自然に発生すると認められる。
しかし、「シトウリュウ」と称呼される「糸東流」の文字は沖縄空手の主たる流派の名称である。しかも、「修交会」の名称は請求人が主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として空手界においては著名となっている。
かかる実情を考慮すると、役務の提供を受ける主たる需要者が本件商標に接した場合には、空手界において著名な「修交会」の文字に注目して、本件商標を「シュウコウカイ」と省略して称呼すると考えるのが自然である。
引用商標は、その態様から「シュウコウカイ」の称呼が自然に発生すると考えられ、本件商標の略称は、引用商標の称呼と同一である。
また、本件商標の「糸東流修交会」の文字及び本件商標の略称「シュウコウカイ」に相当する文字「修交会」は、請求人の主催する流派を意味し、本件商標は、観念においても引用商標と同一である。
したがって、本件登録は、引用商標と外観は異なるものの、称呼及び観念が全くの同一であって類似し、商標法第4条第1項第11号の規定に違背して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号違背について
前述したところから、役務の提供を受ける主たる需要者が本件商標に接した場合、被請求人が提供する役務を、請求人の主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」が提供する役務と混同するか、あるいは、請求人の主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」と何らかの関係のある者の提供する役務と誤って信じるおそれのあることは明らかである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれのある商標であり、商標法第4条第1項第15号の規定に違背して登録されたものである。
(5)答弁に対する弁駁
(a)商標法第4条第1項第8号違背について
被請求人の挙げている平成13年(行ケ)第387号事件の東京高裁判決は、原告の業務に係る商品と被告の業務に係る商品とが種類を異にする場合における商標法第4条第1項第8号の規定を適用する際の判断であり、同一の役務(空手の教授)を対象とする本件の無効審判事件に同様に適用すべきではない。
したがって、同一の役務(空手の教授)を対象とする本件の無効審判事件において、商標法第4条第1項第8号の規定の適用を判断するにあたっては、「本号でいう『著名』の程度の判断については、商品又は役務との関係を考慮するものとする」という役務に係る審査基準をそのまま適用されるべきであり、請求人の略称「修交会」の著名性は「空手家は勿論のこと、空手に興味を覚えこれから空手を習得しようとする者」の認識に基づいて判断されると考えるのが相当である。
被請求人は、甲第4号証ないし同第10号証によっては「谷派糸東流拳法空手道修交会」の名称を使用していたか否か不明であると主張している。
しかし、請求人が主催する団体「谷派糸東流拳法空手道修交会」は先代宗家から継承した団体である(甲第3号証)。先代宗家は、正式な名称が長いためか、あるいは免状等を与える相手に応じて使い分けていたのか不明であるが、著書や免状には「修交会会長」「日本空手道連盟修交会会長」「修交会全世界空手道連合範士」「修交会審議委員会議長」「修交会空手道宗家」「国際空手連盟総裁修交会会長」の名称を使用するとともに、その時々に応じて「谷派空手道宗家」「谷派糸東流宗家」「谷派糸東流拳法空手道宗家」等の略称を使用していたが(甲第14号証の1ないし41)、団体としての実体は請求人の主催する団体と同一である(甲第3号証)。
したがって、請求人の主催する団体が先代宗家の時代から「修交会」の略称で認識されていたことは甲3号証ないし同第10号証から明らかである。
また、被請求人が請求人の主催する団体を離脱して会派を設立する際に、被請求人が各所に送付した案内状に、「さて先般、旧修交会は、谷長治郎先生の忌明け後」(甲第11号証第4行)及び「これまで、谷先生と旧修交会会員が築き上げてきた五十年の歴史と伝統を継承し」(甲第11号証第7行ないし第8行)と被請求人自らが「修交会」の略称を使用していることからも、請求人の主催する団体が先代宗家の時代から「修交会」の略称で認識されていたことを証拠づけるものである。
また、被請求人は、乙第4号証ないし同第17号証を挙げ、免状、書籍、大会パンフレットに「修交会」の略称を使用していないと主張している。
請求人は、先代宗家が発行した多数の免状、あるいは先代宗家が主催する多数の大会のパンフレットに「修交会」の略称が普通に使用されていたことを立証する証拠を提出する(甲第14号証の1ないし41及び甲第15号証の1ないし13)。
してみれば、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標であり、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものであり、登録無効とされるべきである。
(b)商標法第4条第1項第11号違背について
「シトウリュウ」と称呼される「糸東流」の文字は、沖縄空手の主たる流派の名称である。しかも、「修交会」の名称は、請求人が主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として空手界においては著名となっていることは上述のとおりである。
してみると、役務の提供を受ける主たる需要者は、本件商標に接した場合には、空手界において著名な「修交会」の文字に注目し、本件商標の「糸東流修交会」の部分うち、「修交会」を商標の要部ととらえる可能性があり、この「修交会」の部分からは「シュウコウカイ」の称呼が自然に発生すると考えるのが自然であり、引用商標と称呼において相紛れるおそれがあるといわざるをえない。
また、請求人は、「糸東流」と「糸東流○○派」が重複して登録されていることから、本件商標の「糸東流修交会」も識別力があり、「修交会」のみを抽出すべきでないと主張するが、「糸東流」の場合がそうであるからといって、「修交会」の略称が請求人の主催する団体を表示するものとして空手界において広く知られているという状況において、請求人の主催する団体「谷派糸東流拳法空手道修交会」の著名な略称「修交会」を含む本件商標の場合にも同様であるとの被請求人の主張には妥当性がない。
したがって、役務の提供を受ける主たる需要者が本件商標に接した場合には、本件商標の「糸東流修交会」の部分から、あるいはこれに含まれる「修交会」の文字から、請求人の主催する流派を直感し、引用商標の「修交会」と観念において相紛れるおそれがあるといわざるを得ない。
被請求人は、被請求人の主催する「糸東流修交会空手道連合会」が免状や認定書に「糸東流修交会空手道連合会」の名称を使用し、各種の大会に「糸東流修交会空手道連合会」の名称で宣伝広告を行い、さらには財団法人全日本連盟に「糸東流修交会空手道連合会」の名称で認定されていると主張しているが、本件商標が引用商標と類似するか否かとは別の問題である。
請求人は、日本空手道連合会会長に請求人が「谷派糸東流拳法空手道修交会」を継承する旨の書面を送付するとともに(甲第12号証)、「糸東流修交会」を含む名称による日本空手道連合会への被請求人の団体登録を受け付けないことを要請しているところである。
(c)商標法第4条第1項第15号違背について
「修交会」の名称は、請求人が主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として空手界において著名となっていることは前述のとおりである。また、本件商標のうち「糸東流」の文字は、沖縄空手の主たる流派の1つであって、請求人が主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」もその「糸東流」の流れをくむ1つの流派である。
さらに、本件商標のうち「拳の図形」は先代宗家が好んで用いた図形であり、請求人の主催する「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指す図形として広く認識されていることは甲第4号証ないし同第10号証ばかりでなく、今回提出の甲第14号証からも立証されるところである。
したがって、役務の提供を受ける主たる需要者が、被請求人が提供する役務を請求人の主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」が提供する役務と混同するか、あるいは、請求人の主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」と何らかの関係のある者の提供する役務と誤って信じるおそれのあることは明らかである。
(6)結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号又は同第15号の規定に違反して登録されたものであるので、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とされるべきである。
被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第28号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第8号について
商標法第4条第1項第8号の「著名な略称」の「著名」は、近時の判例によると(平成13年(行ケ)第387号事件、乙第1号証)、特定の役務(商品)の取引者、需要者に広く知られているかどうかではなく、その略称が特定人を表示するものとして世間一般に広く知られているかどうかによるべきと判断している。
そうであるなら、請求人が「空手家は勿論のこと、空手に興味を覚えこれから空手を習得しようとする者」を対象とし、世間一般の認識を全く考慮することなく、「修交会」が「谷派糸東流拳法空手道修交会」の著名な略称と判断したことは、同号の「著名な略称」の「著名」の判断を誤った失当なものといわざるを得ない。
また、請求人提出の甲各号証からは、この種空手の業界において「修交会」なる名称が「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として著名であるとは到底いえるものではない。
すなわち、請求人は、「修交会」の略称としての著名性を甲第4号証ないし同第10号証により立証しようとしているが、これら甲号証には「修交会」なる名称が表示されているものの、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称は一切表示されておらず、この名称を使用していたか否かは全く不明である。
そうすると、請求人の主張は、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称の使用事実とは関係なく、この名称と「修交会」とを結び付け、「修交会」なる名称が「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として著名であると結論付けたもので、これは客観的な根拠のない失当なものである。
しかも、甲第9号証及び同第10号証は、谷派空手道修交会50周年記念世界大会、第51回谷派空手道修交会全国大会のパンフレットであるが、それぞれ大会の日時が平成11年8月29日、平成12年8月27日の記載があり、そうするとこれらパンフレットは、少なくとも本件商標の出願日以後に作成、配布されたものであるといえる。
よって、これらの書証により、本件商標が、その登録出願時に商標法第4条第1項第8号の要件を具備していたとする証拠になり得ないことは、同法第4条第3項の規定により明らかである。
さらに、被請求人の調査によると、請求人の先代宗家「谷長治郎」氏は、空手の普及に力を注いだ功労者の一人であり、自身の教えを「谷派糸東流空手道」又は「谷派空手道」の名称として広く普及しようとしたが、先代宗家は、昭和23年に神戸で修交会総本部道場を開設以降、一貫して「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称を使用し続けたとはいえないのである。すなわち、先代宗家の著書「ヤング空手」(乙第2号証)や「考える空手」(乙第3号証)によれば、「谷派糸東流拳法空手道」なる名称をその表紙に表示しているが、「修交会」なる表示は一切使用していない。また、空手の段位を授与する免状においても、「修交会」なる名称を使用することなく、「谷派糸東流拳法空手道宗家」(乙第4号、同第5号証)や乙第6号ないし同第11号証のように「谷派空手道宗家」と表示し、さらに自身が主催する空手大会におけるパンフレットの表紙に「谷派空手道」なる名称を使用している事実があり(乙第12号ないし同第17号証)、これら書証より、先代宗家が、本来、自己の流派を広く知らしめるべき著書、免状や大会名にも「修交会」なる名称を使用していないことを看取できる。
してみれば、請求人の主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」は、その略称として「修交会」を先代宗家の時代から一貫して使用しているとはいえず、少なくとも先代宗家の時代に「修交会」なる名称よりも「谷派糸東流拳法空手道」又は「谷派空手道」の名称で活動していたことは明らかであり、そうすると、例え、空手家や空手に興味をもつ者であっても、使用事実のない「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称を「修交会」と結び付け、さらに後者が前者の略称として認識できるはずもないと思料する。
よって、上記のとおり「修交会」が「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として認識できない以上、「修交会」なる名称が空手界において著名な略称でないことは明白であり、それ故、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものでないと考えるのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標が「拳の図形」とその下方に同書・同大の漢字「糸東流修交会」とを同じ円形内に表示したものであるため、本件商標は全体として「拳の糸東流修交会」のほか、図形部分の「拳」又は文字部分の「糸東流修交会」と認識されるものと考えるのが自然である。
そして、上記「糸東流修交会」は、同書・同大でしかも円弧状に沿って外観上まとまりよく一体的に表現され、しかも全体の称呼も「シトウリュシュウコウカイ」とよどみなく一連に称呼できるものであるから、外観上も称呼上もこれから「修交会」のみを抽出して認識しなければならない理由は全くないのである。
この点につき、請求人は、「糸東流」なる語が沖縄空手の主たる流派の名称であり、しかも「修交会」なる名称が請求人が主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」の著名な略称であることを理由に本件商標の文字部分から、さらに「修交会」の文字に着目して「シュウコウカイ」とも称呼されると主張する。
しかるに、「糸東流」なる語は、「空手の教授」を指定役務とする商標「糸東流」(登録第3231571号−乙第19号)のほか、「世界糸東流空手道連盟」(登録第4494455号−乙第20号)や「全日本糸東流空手道連盟」(登録第4494456号−乙第21号)が登録されており(乙第19号証ないし同第21号証)、これら登録例からすれば、この語が沖縄空手の流派としてその識別力が否定されるべきものでないことは明らかである。むしろ、空手界において、例えば「林派糸東流会」、「玄制流武徳会」、「国際沖縄剛柔流空手道連盟」等、「○○流」なる語を含んだ空手の流派が数多くあり、そうすると「○○流」だけでは特定の流派を認識できず、「○○流」と結合した他の語と一つとなって、はじめてその流派を認識するのが常であるから、本件商標の「糸東流修交会」なる語も全体としてのみ特定の流派を意味し、これから敢えて「修交会」のみを抽出して、その流派を認識すると考えるのは不自然である。
また、「修交会」なる名称が、上記のとおり空手界において「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として著名でないことは明白である。
しかも、被請求人である山田治義が主宰する「糸東流修交会空手道連合会」は、段位を認定する免状(乙第22号、同第23号証)や「指導員の認定書」(乙第24号証)に至るまで上記「糸東流修交会空手道連合会」を一体的にのみ使用し、また、他流派が参加する国や地方公共団体が主催する空手の大会にも参加し、かつこれら大会パンフレットにおいて「糸東流修交会空手道連合」なる名称で宣伝広告活動を行っており(乙第25号ないし同第28号証)、さらに、我が国において唯一の空手の財団法人である全日本空手道連盟においても、都道府県連盟を通じて「糸東流修交会空手道連合」の名称で認定されているのである(乙第28号証)。
そうすると、本件商標は、空手界における被請求人の主宰する団体の使用態様を考慮しても、その構成中、文字部分の「糸東流修交会」から「修交会」のみを抽出すべき特別の事情があるとは考えられず、そうであるなら本件商標は、同じ円内に表示された「拳」の図形と一体的に「拳の糸東流修交会」と認識されるか、文字部分の「糸東流修交会」が一体的にのみ認識され、かかる文字部分からは「シトウリュシュウコウカイ」なる称呼のみが生じると考えるのが極めて自然である。
これに対し、引用商標は、その構成文字に相応して「シュウコウカイ」の称呼が生じるものである。
してみれば、両商標は、外観上は勿論のこと、本件商標は上記のとおり「糸東流修交会」の文字部分を一体的にのみ認識するものであるため、「修交会」と認識される引用商標とは観念上も称呼上も全く異なるものであることは明らかである。
よって、両商標は、外観、観念及び称呼の何れも異なる非類似の商標であり、それ故、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないと考えるのが相当である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
「修交会」なる名称が「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として空手界において著名でないことは、上記したとおりであり、また、「修交会」なる名称が請求人の主宰する「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として広く知られて周知であると結論付けるには、請求人提出の甲各号証によっては無理がある。
さらに、「拳の図形」が請求人の主張とおり甲第3号証、同第4号証、同第7号証、同第8号証及び同第9号証に表示されているとしても、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称とこの拳の図形の双方が表示されたのは甲第3号証のみにすぎず、他の甲各号証には一切「谷派糸東流拳法空手道修交会」が表示されておらず、そうであるなら、上記甲各号証を手にした者にとって実際に表示されていない「谷派糸東流拳法空手道修交会」と「拳の図形」とを結び付けるとは到底考えられないのである。
しかも、上記甲第3号証は、同第9号証と共に本件商標の登録出願日以後に配布されたものであるから、これら書証により本件商標の出願時に拳の図形が請求人主宰の団体を指す図形として広く知られた証拠になり得ないことは、同法第4条第3項の規定により明らかである。
してみれば、「拳の図形」が「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指す図形として広く知られているには、その前提として両者を容易に結び付ける状況にあるべきであるが、上記のとおり請求人提出の書証によって両者を結び付けることができないため、「拳の図形」が「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指すものとして広く知られていることはあり得ないと思料する。
よって、「修交会」なる名称が「谷派糸東流拳法空手道修交会」の略称として著名又は周知ではなく、また「「拳の図形」」についても「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指すものとして広く知られていることはあり得ないため、結局、本件商標が他人の業務に係る役務と混同を生じるおそれはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないと考えるのが相当である。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号の規定に該当しないことは明白であるので、同法第46条第1項の規定によりその登録が無効とされるべきものではない。
(1)請求人主宰の団体の名称について
請求人は、「修交会」の名称は請求人が主宰する団体である「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指す略称として著名なものであり、また、「拳の図形」は「谷派糸東流拳法空手道修交会」を指す図形として広く認識されている旨主張している。
そこでまず、前提として、請求人の主宰している団体が流派を越えた空手界全般における社会的認識として、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称の団体として認識され、通用していたものであるか否かについて検討する。
請求人の提出に係る甲各号証をみるに、甲第3号証は、平成11年2月7日に請求人である谷寛が「谷派糸東流拳法空手道修交会の宗家会長第二代谷長治郎襲名披露」をした際の案内状であり、該書面には「谷派糸東流拳法空手道修交会」の名称並びに「拳の図形」及び「修交会」の文字が表示されている。
甲第4号証ないし同第8号証は、全て、請求人が第二代目の襲名披露をする以前の、初代谷長治郎が会長を努めていた頃の書証であるところ、甲第4号証は、「谷長治郎著 空手の奥義教えます」と題する冊子であり、巻末の著者紹介の欄には「昭和23年、神戸で修交会総本部道場を開設し、谷派空手道宗家として、・・・」とあり、奥付には、1991年3月I日 谷派空手道修交会発行と記載され、その次頁に「拳の図形」が表されている。
甲第5号証は、’72年4月20日発行の谷長治郎著「修交会空手道」と題する冊子であり、冊子の記事中には、会則が掲載されており、第1章総則の第1条(名称)には「本会の組織の名称を修交会と呼称する。」と規定されており、それ以降の記事においても、「修交会空手道試合規定」、「修交会空手道審判規定」、「修交会会員名簿」のように表示されており、「拳の図形」及び「修交会」の文字も表示されている。
甲第6号証は、昭和47年2月11日 修交会総本部発行の谷長治郎著「修交会空手道」と題する冊子であり、「修交会空手道の基礎」、「修交会写真集」のごとく表示されている。
甲第7号証は、1974年8月1日 修交会谷長治郎発行の「修交会空手道教本」と題する冊子であり、題号の下方に「拳の図形」及び「修交会」の文字が表示され、序の末尾には「修交会空手道宗家 谷長治郎」と記されており、甲第5号証と同じ会則が掲載されている。
甲第8号証は、平成元年度の指導者・支部登録名簿であり、その表題は「谷派空手道修交会」となっていて、その下方に「拳の図形」及び「修交会」の文字が表示されている。
甲第9号証及び同第10号証は、請求人が第二代目の襲名披露をした以降の発行に係る大会パンフレットであるところ、甲第9号証は、平成11年8月29日に行われた「谷派空手道修交会/50周年記念世界大会」のパンフレットであり、主催として「谷派空手道修交会」とあり、ごあいさつの末尾には「谷派空手道修交会/宗家 会長 谷長治郎」と記載されている。また、最後の頁には「拳の図形」及び「修交会」の文字が表示されている。
甲第10号証は、平成12年8月27日に行われた「第51回谷派空手道修交会全国大会」のパンフレットであり、ここにおいても、甲第9号証と同様の表示がなされている。そして、甲第10号証のパンフレットの後半部分には、「谷派空手道修交会/総本部道場」をはじめとして、所属する各道場が紹介されており、「姫路修交会」「谷派糸東流拳法空手道修交会/玄武館」「谷派空手道修誠館」「谷派糸東流空手道修交会/浜甲子園空手道教室」「谷派糸東流空手道/修交会志染支部」「谷派空手道修交会/岡山船穂支部」「谷派糸東流拳法空手道修交会/三田誠士館」「谷派糸東流心武館」「修交会四国地区本部」「谷派空手道岡山県連合」「日本虎風館」「修交会広島県空手道連合」「谷派糸東流拳法空手道修交会備後支部」「谷派空手道修交会 拳心館」「谷派糸東流空手道錬成館」「忠信館」等の如く、各道場の名称が表示されている。また、最後の頁には「拳の図形」及び「修交会」の文字が表示されている。
甲第12号証は、平成10年9月16日付で請求人が日本空手道連合会に宛てた文書であり、谷派糸東流拳法空手道修交会/宗家会長第二代谷長治郎と表示されている。
また、甲第14号証の1ないし41は、初代宗家谷長治郎発行の各種免状等であり、これらには「修交会会長」「谷派糸東流宗家/修交会会長」「谷派空手道宗家/修交会会長」「日本空手道連盟修交会会長/谷派糸東流拳法空手道宗家」「修交会全世界空手道連合範士」等のごとく表示されている。 これらの中には「拳の図形」及び「修交会」の文字が表示されているものもある。
甲第15号証の1ないし13は、平成元年から同10年に開催された谷派空手道修交会の大会パンフレットであり、「第22回少年少女/谷派空手道選手権大会」「谷派空手道修交会/創立40周年記念全国大会」「谷派空手道修交会/全国選手権大会」のごとく表示されている。
これらの甲各号証よれば、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称が使用されているのは、甲第3号証の請求人が谷派糸東流拳法空手道修交会の宗家会長第二代谷長治郎襲名披露をした際の案内状、甲第10号証に紹介されている3つの道場名及び甲第12号証の請求人が日本空手道連合会に宛てた文書においてのみである。
そして、請求人が初代谷長治郎から会の名称を含めて会を引き継いだものとしても、初代谷長治郎が会長を努めていた頃の甲第5号証及び甲第7号証に掲載されている会則には、「本会の組織の名称を修交会と呼称する。」と記載されているのみで、他に、組織の名称が「谷派糸東流拳法空手道修交会」であることを規定した会則は提出されていない。また、初代及び二代目を通じて、開催された大会の名称あるいは主催者の表示にも「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称を見出すことはできない。さらに、宗家谷長治郎が発行した各種免状等(甲第14号証の1ないし41)においても、「修交会会長」、「谷派糸東流宗家/修交会会長」、「谷派空手道宗家/修交会会長」、「日本空手道連盟修交会会長/谷派糸東流拳法空手道宗家」、「修交会全世界空手道連合範士」等々のごとく表示されており、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称を見いだすことはできない。
以上を総合してみれば、請求人は、第二代谷長治郎襲名披露において、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称を表示しているのであるから、請求人である谷寛が「谷派糸東流拳法空手道修交会」の宗家会長であるとはいえても、個々の構成員とは別個独立した存在としての社会活動を営む社団としての見地からみた場合、団体の名称が「谷派糸東流拳法空手道修交会」であることを規定した会則もなく、また、実際に使用されている名称も、その時々の使用場面によって、「谷派糸東流空手道修交会」であったり、「谷派空手道修交会」であったり、あるいは単に「修交会」と称したりしており、一定の定まった名称を使用しているものではないことからすれば、流派を越えた空手界全般における社会的認識として、請求人の主宰する団体が「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称の団体として認識され、通用していたものといえるか、いささか疑問の残るところである。
(2)「修交会」の名称及び「拳の図形」の著名性について
次に、「修交会」の名称が請求人の主宰する団体の名称の略称として、また、請求人の業務に係る役務の商標として著名なものであったか否か、更に、「拳の図形」の商標が請求人の主宰する団体を指すものとして著名であったか否かについて判断する。
前記において認定したように、甲第5号証及び同第7号証において掲載されている会則には「本会の組織の名称を修交会と呼称する。」と規定されており、その外「修交会空手道試合規定」、「修交会空手道審判規定」、「修交会会員名簿」のように表示されている。また、初代谷長治郎の著になる冊子には「修交会空手道」(甲第6号証)、「修交会空手道教本」(甲第7号証)とあり、初代谷長治郎発行の各種免状等(甲第14号証の1ないし41)の中には「修交会会長」と表示されたものもあり、「拳の図形」と「修交会」の文字の入ったものも見かけられる。
これらの事実からすれば、請求人を含め初代谷長治郎が主宰していた団体は、「修交会」とも表示されていて、「拳の図形」を使用していたことも認めることができる。
しかしながら、本件商標の登録出願後に作成された案内状(甲第3号証)及び本件商標の登録出願後に開催された大会のパンフレット(甲第9号証及び同第10号証)を除くと、「修交会」あるいは「拳の図形」が表されているのは、いずれも、会則や試合規定、審判規定等の内部文書あるいは、教本や専ら会員に対して交付される免許状等の類であって、空手に関わる関係者が広く認知し得る、例えば、大会パンフレット等において使用されているものではない。
さらに、提出に係る大会パンフレットにおいては、初代及び二代目谷長治郎の期間を通して、主に、「谷派空手道修交会」の表示が使用されており、わずかに、甲第15号証の9の大会パンフレットにおいて、長方形輪郭内に「SHUKOKAI」と書された表示が1件あるのみであり、「修交会」の文字のみが独立して使用されておらず、また、「拳の図形」はいずれにも使用されていない。
しかも、提出に係る大会のパンフレットは、いずれも、請求人が主宰する流派内の大会におけるものであり、流派を越えた団体が参加する大会におけるパンフレットではない。
してみれば、請求人の提出に係る甲各号証をもってしては、本件商標の登録出願時に、流派を越えた空手界全般において、「修交会」の文字からなる標章が請求人の主宰する団体の名称の略称として著名なものであったとは認め難く、かつ、請求人の業務に係る役務の商標として、「修交会」の文字を含む他の団体名称との間で出所の混同を生じさせるほど著名なものであったとも認められない。
また、「拳の図形」の商標が請求人の主宰する団体を指す商標として著名なものであったとも判断することができない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
請求人は、本件商標は他人の名称の著名な略称を含むものである旨主張している。
しかしながら、上記(1)及び(2)において認定したとおり、請求人が主宰している団体が法人格のない社団として、個々の構成員とは別個独立して存在し、社団として独自の社会活動を営んできたものであるとしても、流派を越えた空手界全般において、「谷派糸東流拳法空手道修交会」なる名称の団体として認識され、通用していたものとは直ちには認め難いばかりでなく、「修交会」の文字からなる標章についても、請求人の主宰する団体の名称の略称として、空手界全般において著名なものであったと認めることはできない。
また、請求人は、被請求人は請求人の承諾なしに本件商標の登録出願をなし、登録を受けたものであり、空手界においては習得した流派の名称、その名称の一部あるいはその略称を使用して独自の流派を開設する場合、その流派の宗家の許可を得るというのが空手家の常識であり、その意味からすると本件商標は不正競争の目的でもって商標登録を受けたものであるといわざるを得ない旨主張している。
しかしながら、請求人の提出に係る甲第11号証は、被請求人である山田治義が会長である糸東流修交会空手道連合の結成式(平成10年9月27日)の案内状(写し)と認められるものであるところ、ここには「・・・さて先般、旧修交会は、谷長治郎先生の忌明け後の平成10年6月27日に修交会会則に基づき臨時総会を開催し『糸東流修交会空手道連合』の名称で再出発することと相成りました。・・・」と記載されている。この修交会会則は、甲第5号証及び同第7号証に掲載されている会則と推認し得るものであるところ、同会則によれば、第6章機関、第1節総会の第15条(総会の権限と開催)に「総会は本会の最高決議機関であって、・・・次の事項を審議する。・・・(6)本会の解散もしくは組織の合同に関する事項 (7)その他重大な事項」と規定されている。また、該案内状に会長山田治義とともに名を連ねている「範士高原元弘、範士田中豊、範士中島照平、範士伊藤和徳、常任相談役横地英雄」は、甲第8号証(平成元年度の谷派空手道修交会/指導者・支部登録名簿)の谷派空手道修交会総本部役員の最高幹部会を構成していた9名中の6名であることを認めることができる。
そうとすれば、初代谷長治郎が主宰していた空手道の団体は、少なくとも、その会則に則り、平成10年6月27日の臨時総会の議決を経て、「糸東流修交会空手道連合」の名称に変更されたか、あるいは「糸東流修交会空手道連合」として新たに発足したものと推認されるところである。
してみれば、甲第11号証及びその他の甲各号証をみる限りにおいては、被請求人は、正当な権原なくして本件商標の登録出願をなし、登録を受けたものであるということはできないから、この点についての請求人の主張も採用することはできない。
したがって、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含む商標ということはできない。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲の1に示したとおり、円輪郭内に「拳を描いた図形」と円に沿うように表された「糸東流修交会」の文字を配してなるところ、「糸東流修交会」の文字は同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表されていて、これを例えば「糸東流」と「修交会」の各文字よりなるとみても、これら各文字間には軽重の差を見出せないものであり、その全体から生ずる「シトウリュウシュウコウカイ」の称呼も一連に称呼することが困難な程冗長なものともいい難いものである。
そして、請求人の提出に係る甲第11号証(糸東流修交会空手道連合結成式の案内状写し)、被請求人の提出に係る乙第22号証ないし同第24号証(段位を認定する免状等写し)によれば、被請求人は「糸東流修交会空手道連合」という団体を主宰していることが認められる。
さらに、乙第25号証(高槻市体育協会空手道連盟主催、第27回高槻市空手道選手権大会パンフレット写し)、同第26号証(茨木市空手道連盟主催、第29回茨木市空手道選手権大会パンフレット写し)及び同第27号証(大阪市空手道連盟主催、第29回大阪市空手道選手権大会パンフレット写し)の各大会パンフレットに被請求人が主宰する団体に関係する広告が掲載され、また、該団体が財団法人全日本空手道連盟(Japan Karatedo Federation)の「全流派・会派組織図」(乙第28号証)に、都道府県を通じてJKFに参加している団体として掲載されていることからすると、該団体は、JKFに参加している団体として「糸東流修交会空手道連合」の名称で現に活動しているものと推認することができる。そして、該名称中の「空手道連合」の文字部分が団体の組織の内容、性格を表すものと認められるから、「糸東流修交会」の文字部分はその名称の主要部というべきものであって、空手界においては、流派を示す「○○流」の文字に「○○会」や「○○派」など他の語を結合させて流派の名称として使用している実情にあることは容易に推認し得るところである。
そうとすれば、本件商標の「糸東流修交会」の文字部分は、その構成全体をもって特定の流派の名称を表したものと認識し把握されるとみるのが自然であり、構成中の「修交会」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせないから、本件商標は、「糸東流修交会」の構成文字に相応して「シトウリュウシュウコウカイ」の称呼のみを生じ、「糸東流修交会」という名称の流派の観念のみを生ずるものと見るのが相当である。
他方、引用商標は、前記したとおり、「修交会」の漢字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「シュウコウカイ」の称呼を生じ、「修交会」という会の観念を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標から生ずる称呼とは、その音構成及び構成音数において、顕著な差異が認められるから、称呼上十分聴別し得るものであり、他に、両商標が称呼において類似するとすべき理由は見いだせない。
また、両商標は、観念及び外観においても明らかな差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。
(5)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、本件商標は請求人が提供する役務と出所の混同を生ずるおそれがある旨主張している。
そこでまず、本件商標と請求人の使用に係る「拳の図形」とを比較するに、本件商標は、前述のとおりの構成よりなるところ、構成中の円輪郭内に配された「拳を描いた図形」は、手の指を折り曲げて握り固めた五本の手の指部を、甲を上にして親指が左側となる構図で描かれているものであるのに対し、請求人の使用に係る「拳の図形」は、上記本件商標の図形と同様に、手の指を折り曲げて握り固めた五本の手の指部を、甲を上にして親指が左側となる構図で描かれているものであって、両図形は、親指の付け根部、人差し指の左側、中指、薬指、小指の丸みの持たせ方などに差異は見られるものの、ほぼ同様の構図で描かれた図形という印象を受けるものである。
しかしながら、上記(2)において認定したとおり、請求人の提出に係る甲各号証をもってしては、請求人の使用に係る「拳の図形」は、請求人の業務に係る役務を表す商標として著名なものであったとは認められないものである。
また、本件商標中の「糸東流修交会」の文字と引用商標とが十分に区別し得る別異の商標であるばかりでなく、「修交会」の商標が請求人の業務に係る役務を表す商標として著名なものであったと認められないことは、上記(2)及び(4)において認定したとおりである。
したがって、商標権者が、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標あるいは「拳の図形」の商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(6)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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